学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

「いる」「ある」をうまく伝えるには?

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

いきなりですが問題です!
「本がそのテーブルの上にあります」を英作文してみてください。

「そんなの簡単! A book is on the table. でしょ?」と、みなさんの声が聞こえてきました。

おしい!

この A book is on the table. という表現、間違いではないのですが、あまりそうは言いません。この場合、There is を使い、There is a book on the table. と表現するのが普通です。

では、なぜ A book is on the table. とは言わず、There is を使った方がいいのでしょうか。今回はこの There is / are 構文を使う理由とその文法ルールを学んでいきましょう!

1. There is / are 構文の使い方

There is / are には「…がある/…がいる」という意味があり、「不特定の人・モノの存在」を相手に伝えたい時に使います。

「不特定の人・モノ」とは、下記のような語句です。

a book(どれでもいい1冊の本)
a man(誰か特定していない1人の男性)
some dogs(犬種や誰の飼い犬かを特定しない数匹の犬)
※一般的に a / some / many / much が付くことが多い

先ほどの問題のように、「(どんな本か分からないけど)テーブルの上に本があるよ」と言いたければ、There is a book on the table. と表現します。

下線部分は不特定の語句 a book になっていますが、be動詞の後ろに置く語句が複数形であれば、There are some books on the table.「テーブルの上に数冊の本がある」となり、be動詞は are となります。いずれも、「不特定のモノの存在を示している」ことがポイントです。

There is a book on the table. (本がテーブルの上にあります。)
There are some books on the table. (数冊の本がテーブルの上にあります)
※be動詞の後ろに置く語句が単数か複数かによって、is / areを使い分ける
※be動詞の後ろが「主語」となる点に注意

2. 「~がある/~がいる」の2つの表現の使い分け

「~がある/~がいる」には2つの表現方法があります。

1. <There is / are +場所を示す語句>
  There is a book on the table.(テーブルの上に本があります。)

2. <主語+be動詞+場所を示す語句>
  My book is on the table.(私の本がテーブルの上にあります。)

では、この2つの表現、どのように使い分ければいいのでしょうか。

まずは1. の文(There is a book on the table.)を見てみましょう。
こちらは There is / are 構文を使っています。

先ほど、「不特定の人・モノの存在」を伝える時には There is / are を用いると説明しましたね!

例えば、みなさんが誰かと電話で話している場面を想像しましょう。メモをとりたくなって、「テーブルの上にメモ帳があるんだけど、取ってくれる?」と、家族にお願いするとします。

まずは「テーブルの上にメモ帳がある」という存在を伝えるために、There is a notepad on the table. と言い、その後に、Can you pick it up for me?(取ってくれる?)と続けます。

また、「あなたの車の下に猫がいますよ! 車を発車させないで!」と言いたければ、There is a cat under your car! と猫の存在を伝え、Don’t start your car! と続けます。

「不特定の人・モノの存在」というのは「相手がその存在に気づいていない人・モノ」とも言い換えられ、会話(もしくは文脈)の中でそれまでに登場していない人やモノの存在を相手に伝える時に、この There is / are 構文を使います。

上記の例文を見ると、どちらかというと「場所」に焦点を当てながら、その存在を伝えているように感じられますね。

一方、2. の文(My book is on the table.)を見てみましょう。

この場合は、“私の本”というように、「特定のモノの存在」を示しています。この場合は、わざわざ There is / are 構文を用いる必要がなく、ドーン! と My book is と文頭に出して構いません。

「特定の人・モノ」とは下記のような語句です。

My teacher → 誰でもいいわけではなく、「“私の”先生」と特定している。
Tokyo station → 固有名詞 Tokyo を使って、「東京駅」と具体的に伝えている。
The café → 冠詞 the を使って、既にお互いに知っている「カフェ」と特定している。

こんな風に、相手が知らない「不特定な人・モノの存在を示す時」と、相手が知っている「特定の人・モノの存在を示す時」の使い分けができるようになるといいですね。

これは余談ですが、実は日本語でも、相手が「知っている人・モノの存在」かどうかによって、言葉の使い分けをしています。

「佐藤さん部長です」⇒「佐藤さん」は相手が知らない人(不特定な人)なので、「は」で表す。
「佐藤さん部長です」⇒「佐藤さん」は相手が知っている人(特定の人)なので「が」で表す。

このように日本語でも英語でも、使い分けが必要ということですね!

3. There is / are 構文の There ってなに?

There is / are 構文の There は、何か訳を当てはめようとしても、意味はありません。
ただ置いただけ、です。

でも、念のため、ここで2つの there を整理しておきましょう。

  • 1. There is / are 構文の there
    ※文頭に置かれ、“形式主語”としての役割をしているだけで、There に意味はありません。
  • 2. 副詞の there
    ※「そこに/そこで」という意味で、I went there.(私はそこに行きました。)のように場所を表す。

この2つの there の役割は全く異なります。
そのため、下記のような文を作ることができます。

There are some restaurants there.(そこに何軒かレストランがあります。)
(1)            (2)

「there が2回出てきて、なんか変!」と思うかもしれませんが、それぞれ異なる役割を果たしているため、全く問題ありません。

(1)の There は There is / are 構文で「~がある」という存在の意味を表し、
(2)の there は「そこに」という場所を表しています。

4. 練習問題を解いてみましょう!

2つの文で、適切な文はどちらでしょうか。
There is / are 構文の使い方に注意しながら選びましょう。

1. 富士山は日本にあります。

  • (A) There is Mt. Fuji in Japan.
  • (B) Mt. Fuji is in Japan.

2. テーブルの下に数匹の犬がいます。

  • (A) There is some dogs under the table.
  • (B) There are some dogs under the table.

3. 私の国語の先生が教室にいました。

  • (A) There was my Japanese teacher in the classroom.
  • (B) My Japanese teacher was in the classroom.

では、答えをみてみましょう。

1. (B) Mt. Fuji is in Japan.(富士山は日本にあります。)
Mt. Fuji は「なんでもいい、ただの山」ではなく、“富士山”という特定の山なので、文頭に出しても問題ありません。つまり、There is / are 構文を使う必要がありません。

2. (B) There are some dogs under the table.(数匹の犬がテーブルの下にいます。)
be動詞を選ぶ時には、be動詞の後ろが単数形か複数形かで判断します。この場合、some dogs と複数形なので、be動詞は are を置きます。

3. (B) My Japanese teacher was in the classroom.
My Japanese teacher(私の国語の先生)は、「誰かよくわからない先生」ではなく、特定の情報です。そのため、There / are 構文を使う必要がありません。

さて、いかがでしたか。

There is a lot of information here, but I hope you won’t be confused!
ここにはたくさんの情報がありますが、混乱しないことを望みます!

※ここでは a lot of information と不可算名詞が置かれているので、be動詞は is になります。

ではまた次回!