学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

「もの」と「行動」、それぞれをススメル表現を覚えよう!

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

さっそくですが、ちょっとイメージしてください。
みなさんは今、海外のホテルにいます。
一緒にいるのは英語が全く話せない友人です。
その友人は、普段から英語学習をがんばっているあなたにこう言います。

「ねぇ、オススメのレストランをホテルのフロントで聞いてみてよ」と。

これを無茶振りだと思うのか、はたまた、カッコよく英語で聞いてみせるのか。ここは英語学習者として日頃の学習の成果が試される場面です!

無茶振りだ! と思ってあきらめてしまった方は、まずこの表現を覚えておきましょう。

Could you recommend any good restaurants around here?
(この辺のいいレストランをお勧めいただけますか?)

さぁ、今回は、ここで使われている動詞 recommend など、「(何かを)ススメル動詞」を使った文法表現を一緒に学んでいきましょう!

下記は、何かを勧める時に使われる代表的な2つの単語です。

1. recommend ~:~を勧める
(例)He recommended ABC restaurant on Maple Street.
 (彼は、メイプル通りにあるABCレストランを勧めました。)

2. suggest ~:~を提案する、~を勧める
(例)She suggested regular exercise.
 (彼女は、定期的な運動を提案しました。)

<主語 + recommend / suggest + 目的語>の順序で語句を並べます。

では、練習に下記の2つの日本語の文をカッコ内の動詞を使って英語に言い換えてみましょう。

 1. 彼は小川さんを英語の先生として推薦しました。(recommend)
 2. 彼女は黒いシャツをお客様にお勧めしました。(suggest)

どうでしたか。
では正解を見ていきましょう!

 1.He recommended Mr. Ogawa as an English teacher.
 (彼は小川さんを英語の先生として推薦しました。)

recommend は「物を勧める、推奨する」という意味だけではなく「(人を)推薦する」という意味もあります。前置詞 as が置かれていますが、後ろに「役割(この文ではEnglish teacher)」を置くと、「~(の役割)として」という意味になります。

 2. She suggested a black shirt to her customer.
 (彼女は黒いシャツをお客様にお勧めしました。)

最後には to her customer(お客様に)と付け足します。前置詞 to は「~に、~へ」という意味で、そちらの「方向」へ向けるイメージです。

<suggest / recommend + 目的語 + to +人:(人)に~を提案する / 勧める>という使い方もぜひ覚えておきましょう!

それでは、recommend / suggest の使い方をもう少し掘り下げていきましょう。

ここまでは「もの」や「人」を勧めしたり推薦したりする場合の言い方を見てきました。しかし、「~する方がいいよ」と、「行動」を勧めたいこともありますよね。

例えば、人気のテーマパークに初めて行くという友だちに、「朝早く出発することをお勧めします」「朝8時までに入口に並ぶことをお勧めします」などと教えてあげたいときはどう言えばいいでしょうか。

ポイントは「早く出発すること」や「入口に並ぶこと」という「行動(~すること)」を勧めている点です。動詞 recommend(勧める)を使って次の文を英語にしてみましょう!

 1. 朝早く出発することをお勧めします。
 2. 朝8時までに入口に並ぶことをお勧めします。

答えは・・・

1. I recommend leaving early in the morning. (朝早く出発することをお勧めします)
2. I recommend standing in line at the entrance by 8 a.m. (朝8時までに入口に並ぶことをお勧めします)

目的語に注目してみましょう。「行動」を勧める時には、目的語の位置に動詞のing形を置き、「名詞としての役割」ができる形(動名詞)にする必要があります。ただし、recommend /suggest は目的語の位置には動詞のing形しか置けない点に注意が必要です。
うっかりこれらの動詞の後に、「to不定詞」を使いたくなる人もいるかもしれませんが、to不定詞は「想定的な(未来の)出来事を表す表現」として使われることが多く、一方、動名詞は「現実的な出来事を表す表現」として使われることが多いため、recommend や suggest の後には動詞のing形(動名詞)のみを使用します。

最後にもう1つ!
この <recommend / suggest + 動詞のing形> と同じように使える他の動詞もご紹介します。

Our instructor advised studying in the morning every day.
(私たちのインストラクターは、毎朝勉強することをアドバイスしました。)
My colleague proposed taking a rest for five minutes.
(私の同僚は5分間休憩を取ることを提案しました。)

<advise / propose + 動詞のing形>になっています。

recommend / suggest / advise / propose は「(何かを)ススメル動詞」として同じ使い方ができます。ぜひセットで覚えましょう。

以上を踏まえてもう一度、文法事項をまとめておきます。

1. recommend / suggest + 目的語(名詞・名詞句)
(~を勧める / 提案する)
2. recommend / suggest / advise / propose + 目的語(動詞のing形)
(~することを勧める / 提案する / アドバイスする / 提案する)

※recommend / suggest / advise / propose はどれも「勧める・提案する」というニュアンスで使われますが、proposeより recommend / suggest / advise の方が日常会話ではよく使われます。 propose は正式かつ強めな提案で、ビジネスの場面で使われることが多い動詞です。

いかがでしたか。
これで、友人からの無茶振りにも対応できるようになりますね!

I recommend memorizing all the sentences and practicing them!
(全てのセンテンスを覚えて練習することをお勧めします!)

※動詞 memorize は「記憶する」という意味です。

ではまた!