学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

「驚きました」を伝えるには?

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。
先日、夕方に仕事から帰宅し、電気のついていない部屋に入ると、いきなり何かがソファの後ろから出てきたんです!「わ!」と大きな声がしたと思ったら、その正体は私を驚かそうと隠れていた息子でした…

さて、ここで突然ですがクイズです。この状況を「私は昨日、息子の大きな声に驚きました」と描写したい場合、空所に入る単語は(A)と(B)のどちらでしょうか。

I was ------- by my son’s big voice yesterday.
(私は昨日、息子の大きな声に驚きました。)
(A) surprising   (B) surprised

正解は… (B) surprisedです!

正解できましたか?
この例文のように、「驚く」のような感情を英語で表現する場合、-ing を用いるのか、-ed を用いるのか、迷ってしまうことがありませんか。でも、基本的な考え方を知っておくと混乱せずに使い分けできるようになりますよ。

さぁ、今日は、英語の -ed を使った「感情表現」をメインに学んでいきましょう!

英語の「感情表現」の基本的な考え方というのは、「感情は勝手に湧き上がらない」ということです。感情は主体的に湧き上がるのではなく、何かの出来事によって、そのような感情にさせられるんです。何も起きていないのに、人は驚いたり喜んだりしませんよね?

そのため、日本語では「驚く」や「喜ぶ」、「ワクワクする」と表現しても、英語では「驚かされる」「喜ばされる」「ワクワクさせられる」のように、<受動態(~させられる):be動詞 + -ed> で表現できると考えると整理しやすくなります。(日本語にするときは「驚く」「喜ぶ」のように表した方が自然です。)

一方、先ほどの問題の選択肢にあった (A) surprisingは、He got surprising news this morning.(彼は今朝、驚くべきニュースを受け取りました)のように使います。この surprising は主語 ‶He(彼)” の感情を表しているわけではなく、後ろにある名詞 news を直接修飾していて、「どのようなニュースなのか(モノの特徴・性質)」を描写しています。

<ポイント>
人の感情・気持ちを表現する⇒ -ed
人やモノの特徴・性質を表現する⇒ -ing

では、上記を踏まえた上で3問を一気に解いてみましょう!
(A)と(B)のどちらが正しいか答えましょう。

(1) She was ------- with the present.
 (彼女はそのプレゼントを喜びました。)
 (A) pleasing   (B) pleased

(2) The test result was -------.
 (そのテスト結果は満足のいくものでした。)
 (A) satisfying   (B) satisfied

(3) He is ------- at the noise from the next door.
 (彼は隣から聞こえる騒音にイライラしています。)
 (A) annoying   (B) annoyed

では、1つ1つ答えを見てみましょう。

(1) 正解(B)
She was pleased with the present. (彼女はそのプレゼントを喜びました。)
ここでは「喜ぶ」という彼女の感情を (B) pleased で表します。(A) pleasing(楽しい)は、pleasing atmosphere(楽しい雰囲気)のように使います。

(2) 正解(A)
The test result was satisfying. (そのテスト結果は満足のいくものでした。)
ここでは人の感情を説明しているわけではなく、「テストの結果」について「満足いくものだ」という特徴や性質を述べているので、-ing の (A) satisfyingが正解です!

一方、 (B) satisfied はこんな風に使うことができます。

I spent last weekend studying for an English test.
(私は先週末、英語のテスト勉強をして過ごしました。)
I got my test back yesterday, and I’m satisfied with the result.
(昨日テストが返ってきて、その結果に満足しています。)
※前回のコラムで取り扱った spend を使って日記風に例文を書いてみました。spendの使い方を忘れてしまった方は、ぜひ前回のコラムをご覧ください!

あくまでも、「満足している」という ‶I (私)” の感情を伝えているため (B) satisfied を使っています。

(3) 正解(B)
He is annoyed at the noise from the next door. (彼は隣から聞こえる騒音にイライラしています。)
「イライラする」というのは ‶感情” ですね。ここでは「騒音にイライラさせられている」という状況が目に浮かびます。つまり、ここでは人の感情を表すことができる (B) annoyed を入れるのが適切です。

ちなみに、He is annoying. とすると「彼はうっとうしい(イライラさせる存在だ)」という意味になります。彼がどのような人なのか(その人の特徴・性質)を annoying(うっとうしい)で表現していますね。

いかがでしたか。
3問全て正解できたなら、しっかり英語の感情表現を理解できた証拠です!
ぜひ英語を使う時には意識してみましょう!

Anyway, I’m relieved because I was able to meet the deadline for this column!
(とにかく、私はこのコラムを締め切りに間に合わせることができてホッとしています!)
※be動詞+relieved:「ホッとする」という感情表現。
※meet the deadline:「締め切りに間に合う」という意味。

では、また次回お会いしましょう!