学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

spend と It takes を使いこなそう!

みなさん、いかがお過ごしですか。駒井亜紀子です。

この原稿を書いているのは12月の師走。寒いのが苦手な私には地獄の季節です…。

この記事をみなさんが読んでいるのは2022年の1月だと思いますが、きっとあっという間に1年過ぎるのでしょうね。時間が過ぎるのは本当に早いです!

日本語では時間の過ぎる早さを表現した「光陰矢の如し」という言葉がありますね。
「月日が経つのは矢が飛ぶように早い」という例えであることは有名ですが、「放たれた矢(時間)は手元に戻ってこない」という例えでもあります。

ちなみに、これを英語で言うと、Time flies like an arrow.
直訳すると、「時間が矢のように飛んでいく」という意味。
日常会話では、Time flies!(時間があっという間!)のように使うことが多いです。

さて、今回は「時」を表す表現を2つご紹介します!

まず、「時」を表現する上で、絶対に素通りできないのが動詞 spend(時間を費やす・過ごす)。この spend は「時間」だけではなく「お金を費やす」という時にも使うことができますが、今回は「時」を表す表現に絞って解説します。

まず、どのように動詞 spend を使うのか、みてみましょう!

主語 + spend + <時間> + 動詞のing形
(主語は~して<時間>を費やす / 過ごす)

※<時間>の後ろに動詞のing形を置くのがポイント!
※過去形は、主語 + spent  となります。

<時間>の部分には two hours(2時間)や weekends(週末)、the summer vacation(夏休み)のような語句を入れることができます。

では早速ですが、この spend を使って以下の日本語を英文にしてみましょう!
自力で英文が作れるか、試してみてくださいね!

 「私は昨日、あまりに多くの時間をインターネットを見て過ごしてしまいました。」

よくありますよね… YouTube やショッピングサイトを見て、いつの間にか何時間も過ぎてしまっているということ。

これを英語で言うとこうなります。

 I spent too much time surfing the Internet yesterday.
 (私は昨日、あまりに多くの時間をインターネットを見て過ごしてしまいました。)

動詞 surf(ネットで色々なサイトを見て回る)を動詞のing形にしていますね。
動詞 spent と動詞のing形 surfing にはさまれた <時間> の部分には too much time(あまりに多くの時間)が入ります。

ちなみに、「ネットサーフィン」という言葉を聞いたことがあると思いますが、このサーフィンはおなじみ「波乗り」のサーフィンです。それがどうして「ネットで色々なサイトを見て回る」という意味になるかというと、ウェブサイトを次々とページを変えて見ていく様子が波を次々と乗り継ぐ様子に似ているので、そのように使うようになったとのことです。

では、もう1つ英文を作ってみましょう!

 私は丸1日、本を読んで過ごしました。

子育てで忙しい私ですが、いつか温泉へ行き、本をずっと読むというのが、ささやかな夢です…(現実逃避)。

では答えを見てみましょう。

 I spent all day reading books.
 (私は丸1日、本を読んで過ごしました。)

どうでしょうか。動詞のing形をしっかり入れられましたか?

このように、「~して」の部分を動詞のing形にすることを忘れないようにしましょう!

他にも、I spent the winter vacation staying at my parents’ house.(私は冬休みを実家に滞在して過ごしました)や、I spent the day sleeping in bed.(私はその日はベッドで寝て過ごしました)のように使うことができます。

さて、もう1つの「時」を表す表現をご紹介しましょう!
今度は「時間がかかる」と言いたい時の表現です。

It takes + <時間> + to不定詞
( ~するのに<時間>がかかる(<時間>を必要とする))

※<時間>の後ろにto不定詞を置くのがポイント!
※過去形はIt took となります。

動詞 take のイメージは「取る」。日本語でも「こんなに時間を取られてしまった!」のように言いますね。その「取る」のイメージがあると、take を使いやすいですね。また、主語 It が置かれていますが、これは形式主語の it で訳しません。「それ(it)ってなに?」と思うかもしれませんが、「とりあえず It を置いておく」という意識でかまいません。

さっそく、It takes の表現を使って、次の問いを英語にしてみましょう!!

 職場に行くのにどのくらいの時間がかかりますか?

答え、分かりましたか?

 How long does it take to get to work?

このように、「ある行為」にかかる時間の長さを聞きたいときには How long does it take to ~? を使います。How long は「どのくらい長い?」と聞く感じですね。この例文では、「ある行為」に get to ~「~に到着する」が入っていて、work「職場」に到着するまでの時間を聞いているわけです。 この work は、不可算名詞の「職場」の意味で使っています。
そしてこの質問には、こんな風に答えることができます。

 It takes one and a half hours to get to work.
 (職場に行くのに1時間30分かかります。)

It takes + <時間> + to不定詞 の形になっていますね。

もう少し例文を見てみましょう!

 1. It took three hours to finish this job.
 (この仕事を終えるのに3時間かかりました。)

 2. It took three hours for her to finish this job.
 (彼女がこの仕事を終えるのに3時間かかりました。)

1. と 2. の違いに気づきましたか?
そう、2. は「彼女が」と、仕事を行った人を示していますね。
このように <for 人 to不定詞> とすることで、to不定詞が表現する動作(to不定詞の動詞)を行う人を明確にすることができます。

2. のように行為者を示す場合は、上記で説明した動詞 spend で言い換えることも可能です。
その場合は、行為者を主語にして、She spend three hours finishing this job.(彼女はこの仕事を終えるのに3時間費やしました。)となります。

英語のネイティブスピーカーはこれらの微妙なニュアンスの違いを感じるかもしれませんが、まずは spend と take を正しい文法で使えるようにしておきましょう!

Oops, I spent too much time staying here.
(おっと、ここに滞在する時間を費やしすぎました。)
Times flies!
(時間があっという間!)

ぜひ今日習った表現を使ってみてくださいね!
では、また次回お会いしましょう!