学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

動詞の原形がココに使えるの!!?

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

いきなりですが、こちらの問題を解いてみましょう!

【問題】空所に入る適切な選択肢を選んでください。
 My son helped me ------- dinner last night.
 (A) to cook  (B) cooked  (C) cooking  (D) cook

いかがでしたか?
実は、空所に入れられる選択肢は2つあります!
(答えを1つに絞ろうと悩んだ方、ゴメンナサイ!)

その2つとは、(A) to cook と (D) cook です。
正解を当てはめると下記のような英文になります。

My son helped me to cook / cook dinner last night.
(私の息子は昨晩、夕食を作るのを手伝ってくれました。)

この問題は、動詞 help と、それと一緒に使うことのできる動詞の使い方をチェックする問題でした! この動詞 help は頻出の基本的な動詞ですが、このようにいざ使おうするとその使い方を迷う人も少なくありません。実際、この問題でも、動詞 helped の後に(D)cook が置けることに違和感をもった人もいるのではないでしょうか?

今回は、この問題で使われている動詞 help(手伝う)の使い方について学んでいきましょう。最初の問題で悩んだ人は、ぜひ最後までお読みください!

動詞 help の使い方
1. help を使って「(人)が~するのを手伝う」の形にする時
Can you help me?(手伝ってもらえますか?)のように、<help +(人):(人)を手伝う>であれば非常にシンプルで使いやすい形ですね。しかし、最初の問題のように、「(人)が~するのを手伝う」と言いたいときは、help と一緒に使う動詞の形はどうなるでしょうか。
次の例文を見てみましょう。

(1)I helped my coworker move / to move the desk.
 (私は同僚が机を動かすのを手伝いました。)

(2)She helped me repair / to repair my computer.
 (彼女は私がパソコンを直すのを手伝ってくれました。)

(3)This textbook helped me learn / to learn English.
 (この教科書は私が英語を学ぶのに役立ちました。)

 ※主語を「人」ではなく「物」にすることもできます。

<help +(人) + (to) do:(人)が~するのを手伝う・(人)が~するのに役立つ>

このように、(人)の後ろには、「to不定詞」か「動詞の原形」を置きます。どちらの方が使用頻度が高いかという調査では、回答したアメリカ英語話者の7割が「動詞の原形」を使用するとの結果になりました。また、「動詞の原形」の方が口語的に使われるそうです。(「オーレックス英和辞典 第2版」(旺文社)より)

英作文をする場合には、まずは I helped my coworker.(私は同僚を手伝いました)のように、「誰が誰を手伝ったのか」を書き、その後に、「何をするのを」という部分を「動詞の原形」(もしくはto不定詞)で付け足す感覚を持つといいですよ!

2.help を使って、「(人)の(物事)を手伝う」と言いたい時

また、「私は同僚のレポートを手伝いました」のように言いたい場合を見てみましょう。この場合も、上記で説明したように help の後ろに目的語の(人)を置くことは変わりません。そして、そのあとに「何を手伝うのか?」について<with + 名詞>を続けます。

例文を見てみましょう。

(1)I helped my coworker with the report.
 (私は同僚のレポートを手伝いました。)

(2)My mother helped me with my homework.
 (母は私の宿題を手伝いました。)

<help +(人) + with + 名詞:(人)の(物事)を手伝う>

前置詞 with は状況を付帯する意味で使われ、my coworker with the report(レポートを持った同僚)、me with my homework(宿題のある私)のように、どんな状況に置かれた(人)を手助けするのかを表現します。

ついつい My mother helped my homework. ように英語を並べてしまう人がいますが、これは間違いです。いつも動詞helpの後ろには(人)を置くという点に注意しましょう!

<help +(人)+ do / to do:(人)が~するのを手伝う>

<help+(人)+ with + 名詞:(人)の(物事)を手伝う>

3.便利な can’t help doing(~せずにはいられない)の形

動詞 help の便利な使い方をもう一つご紹介します!

主語 + can’t help + 動詞のing形. (~せずにはいられない)

この表現がなぜ「~せずにはいられない」という意味になるの? と疑問が湧くかもしれませんね。

動詞 help には「(困難な状況)を取り除く・解決する・避ける」という意味があります。canを使った否定文で使われると「~するということを避けられない ⇒ ~せずにはいられない」という意味になり、主に感情や行動について自分では制御できないことを表します。

いくつか例文を見てみましょう!

(1)I can’t help thinking about my presentation next week.
 (来週のプレゼンについて考えずにはいられません。)
(2)I can’t help looking at my smartphone during class.
 (授業中にスマホを見ずにはいられません。)
(3)I couldn’t help crying when I finally passed the exam!
 (試験に合格した時、泣かずにはいられませんでした。)
 ※can’t を couldn’t にして過去形「~せずにはいられませんでした」を作ります。

この場合、helpの後ろに動詞のing形が来ています。動名詞の持つイメージの中に「反復」がありますが、「~することを避けられない」という状況は「(自分の意思に反して)同じ行動を繰り返さざるを得ない」というイメージから連想するとよいでしょう。

今回は以上となります!

I hope this column helps you understand better!
(このコラムが、みなさんがより理解するのに役立てれば幸いです!)

ではまた次回お会いしましょう!