駒井先生の習ったつもり!? の英文法 #15 準否定語「~ない」の使い方
学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。
not を使わず否定の意味を表す!?
みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。
突然ですが問題です!
次の日本語を英語に変えてください。ただし not や no を使ってはいけません。
- 1)私は彼女の顔がほとんど見えません。
- 2)彼は自由時間にめったに本を読みません。
- 3)彼女はほとんど友達がいません。
いかがでしたか?
みなさんの気持ちが想像できます。
「『~ません』と否定している文なのに、not や no を使わないでどうやって作るの?」と思った人もいるんじゃないでしょうか……。
日本語は全て「~ません」となっていますが、実は英語では not や no を使わずに表す方法があるんです!
それぞれの解答をみていきましょう!
- 1)I can hardly see her face.(私は彼女の顔がほとんど見えません。)
- 2)He rarely reads a book in his free time.(彼は自由時間にめったに本を読みません。)
- 3)She has few friends.(彼女はほとんど友達がいません。)
「その方法があったか!」と思った方もいらっしゃると思います!
ここでは、否定語 not を使わずに、準否定語(hardly / rarely / few)を使って否定「~ない」を表しています。
否定語 not は「全く~ない(=ゼロ)」と完全否定を表すのに対し、準否定語の場合は「弱い否定(=ゼロではないがゼロに近い)」を表します。
準否定語(hardly / rarely / few)には既に not の意味が含まれているので not は置きません。しかし、準否定語を使った文は「~ない」という否定的な意図を表す文になる点に注意しましょう!
今回は、この「弱い否定」を表すことができる準否定語を学んでいきます!
1.「程度」を表す準否定語 hardly / scarcely
「ほとんど~ない」のような「程度」を表す場合には、準否定語である副詞 hardly / scarcely を使います。動詞を修飾して「(どの程度)ほとんど~ない」かを表します。
否定語 | 「程度」を表す準否定語 「ほとんど~ない」 | |
not | hardly | scarcely |
それでは、オンライン会議をしている場面を想像し、次の日本語を英文にしてみましょう。
- 1)私はあなたの声が聞こえません。
- 2)私はあなたの声がほとんど聞こえません。
いかがでしたか。解答はこちらです!
- 1)I cannot hear you.(私はあなたの声が聞こえません。)
- 2)I can hardly[scarcely]hear you.(私はあなたの声がほとんど聞こえません。)
2)のように、準否定語を使用する場合は not を入れる必要はありません。
また、準否定語の副詞を置く位置は、否定語 don’t や not を置く位置と同じです!
以下の例で確認しましょう。
<一般動詞の前>
I hardly have time to study. (私は勉強する時間がほとんどありません。)
<be動詞の後ろ>
The room is scarcely used. (その部屋はほとんど使われません。)
<助動詞の後ろ>
I can hardly hear you. (私はあなたの声がほとんど聞こえません。)
2. 「頻度」を表す準否定語 seldom / rarely
「めったに~ない」のように、「動作が行われる頻度」を表す場合は、準否定語である副詞 seldom / rarely を使います。動詞を修飾して「(頻度がどのくらい)めったに~ない」かを表します。
目安として、always(いつも)が頻度100%、sometimes(時々)が頻度30%を表すのに対し、seldom / rarely は頻度5%程度です。
頻度 | 単語 | 意味 |
100% | always | いつも |
30% | sometimes | 時々 |
5% | seldom / rarely | めったに~ない |
0% | not / never | 全く~ない |
では次の日本語を英文にしてみましょう!
- 1)私は放課後にめったに図書館に行きません。
- 2)私は放課後に図書館に行きません。
いかがでしたか。解答はこちらです!
- 1)I rarely[seldom]go to the library after school. (私は放課後にめったに図書館に行きません。)
- 2)I don’t go to the library after school.(私は放課後に図書館に行きません。)
こちらの準否定語である副詞 seldom / rarely を置く位置も、否定語 don’t や not の位置と同じで、「一般動詞の前・be動詞や助動詞の後ろ」です!
3. 「数」や「量」を表す準否定語 few / little
「数」に関しては準否定語 few を用いて「(数が)ほとんど~ない」、「量」に関しては little を用いて「(量が)ほとんど~ない」の意味になります。
ただし、a few / a little の場合は<肯定的な意味>になり、意味が異なるため、注意が必要です!
数 (可算名詞の複数形の前に置く) |
量 (不可算名詞の単数形の前に置く) |
|
肯定的 | a few「(数が)少しはある」 | a little「(量が)少しはある」 |
否定的 | few「(数が)ほとんど~ない」 | little「(量が)ほとんど~ない」 |
それぞれの使い分けを見てみましょう。
<数を表す a few / few>
a few や few は数えられる名詞(可算名詞)の複数形の前に置いて使います。
【肯定的】A few students attended the class. (数名の(少しの)学生がその授業に出席しました。)
【否定的】Few students attended the class. (ほとんどの学生がその授業に参加しませんでした。)
※ student は可算名詞
<量を表す a little / little>
a little や little は数えられない名詞(不可算名詞)の前に置いて使います。
【肯定的】There is a little butter in the fridge.(冷蔵庫にバターが少しあります。)
【否定的】There is little butter in the fridge.(冷蔵庫にほとんどバターがありません。)
※ butter は不可算名詞
いかがでしたでしょうか。
今回は、not を使わずに準否定語を使って「弱い否定(=ゼロではないがゼロに近い)」を表せることを学びました!
I hope you won’t say, “I have little interest in this column…”
(「このコラムに興味がほとんどありません……」なんて、みなさんが言わないことを願っています!)
ではまた次回お会いしましょう!
TOEIC 990点(満点)、英検1級。神田外語学院、共立女子大学講師。大手企業でもTOEICの指導にあたる。外資系企業勤務を経て、英語講師へと転身。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト はじめて受験のパスポート』(旺文社)、『TOEIC L&R TEST 200問音読特急 瞬発力をつける』(朝日新聞出版)、『1か月で復習するTOEIC(R) L&Rテスト 基本の500単語』(語研)などがある。