駒井先生の習ったつもり!? の英文法 #20 look と look like の使い分け
学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。
後ろにくる語(句)に注目しよう!
みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。
いきなりですが、問題です!
「あなたの息子はあなたに似ている」と言いたい時、どちらの英文が正しいでしょうか?
1)Your son looks you.
2)Your son looks like you.
正解は2) Your son looks like you.(あなたの息子はあなたのように見える=あなたの息子はあなたに似ている。)が正しい英文です。(ちなみに私の息子は私にソックリらしく、これは私の母から言われた言葉です……笑)
1)の英文は間違っているので注意しましょう!
2)を「あなたの息子はあなたのように見える」と、なんとなく日本語には訳せても、「like を付けるか付けないか、どちらが正しいのかよくわからない」と思う人も多いのではないでしょうか。
look も look like も「~のように見える」という意味で使うことができますが、使い方には注意が必要です!
また同様に、seem(~のように思われる)と seem like も、それぞれ使い方が異なります。
今回は、look と look like、そして seem と seem like の使い方を説明します!
ぜひこの機会にマスターして、使いこなせるようにしましょう。
1.look と look like の違いについて
まず、look「~のように見える、~のようだ」の使い方から見ていきましょう。
- The office looks new. (そのオフィスは新しいように見えます。)
- This task looks difficult. (この仕事は難しそうです。)
- The book looks heavy. (その本はとても重そうに見えます。)
この3つの例文を見て、文法のルールやパターンについて何か気づくことはありますか?
気づけた人はとっても鋭いです!
そう、動詞 look の後ろに置かれている単語はすべて形容詞なんです!
形容詞は「性質や状態」を表す品詞ですよね。
この形容詞は look の後ろにきて、S+V+C(S≒C)のC(補語)の役割をしています。
- <主語+look+形容詞>:主語は~のように見える、~のようだ
みなさんにとって馴染みがあるのは、動詞 look の代わりにbe動詞(is / am / are)が置かれている形だと思います。
The office is new. (そのオフィスは新しいです。)
This task is difficult. (この仕事は難しいです。)
The book is heavy. (その本はとても重いです。)
このように、 be動詞の場合は「~です、~だ」と断定する表現になりますが、look を使う場合は「~のように見える、~のようだ」と、その見た目から判断した様子や状態を表します。
では次に、look like の使い方を見ていきましょう。
- He looks like an actor! (彼は俳優のように見えます!)
- The sunset looks like a beautiful picture. (夕焼けが美しい絵のように見えます。)
みなさん、look との使い方の違いに気づきましたか?
look の後ろに置かれた品詞は形容詞でしたが、
look like の後ろには、それぞれ名詞(句)(an actor / a beautiful picture)が置かれています。
- <主語+look like+名詞(句)>:主語は~のように見える、~のようだ
つまり、look は「様子や状態」を表す場合に用いられ、look like は、「人・モノ・事」のいずれかに見える場合に用いられるのです。
また、look like は後ろに名詞(句)だけではなく、節(主語+動詞)を続けることもできます。
- <主語+look like+節(主語+動詞)>:主語は~するように見える、~のようだ
例文を見て確認してみましょう!
He looks like he knows everything. (彼はすべてを知っているように見えます。)
She looks like she hurt her ankle. (彼女は足首を痛めたようです。)
The goldfish looks like it is hungry. (金魚はお腹が空いているように見えます。)
※動物の代名詞には基本的に it を用います。
なお、後ろに節を置く場合、下記のように It looks like … で始めることもできます。
It looks like he knows everything.
It looks like she hurt her ankle.
It looks like the goldfish is hungry.
ちなみに、このlikeは一体何なのかと言うと……
look like の like の正体は「前置詞」、もしくは「接続詞」です。
(動詞の like(~が好き)ではありません!)
名詞(句)が後ろに続く時には前置詞、
節が後ろに続く時は接続詞の役割をしています。
さて、ここで look と look like の使い方を整理しておきましょう。
- <主語+look+形容詞>:主語は~のように見える、~のようだ(様子や状態)
- <主語+look like+名詞(句)>:主語は~のように見える、~のようだ(人・モノ・事)
- <主語+look like+節(主語+動詞)>:主語は~するように見える、~するようだ
2.seem と seem like の違いについて
ではもう一つ、look / look like と同様に使い分ける seem と seem like を見ていきましょう。
この seem や seem like は「(実際に見たり聞いたりして判断すると)~のように思われる」という意味で使われます。
look / look like は「視覚情報がメインとなる判断」の場合に使われます。
一方、seem や seem like は外観からの判断だけではなく、「伝聞や直感、経験などによる主観的な印象に基づいた判断」も表します。
seem / seem like の文法ルールは、look / look like と同様です。
seem の後ろには形容詞、seem like の後ろには名詞(句)や節を置きます。
例文を見てみましょう!
- <seem+形容詞>:~だと思われる、~のようだ
He seems worried about the results. (彼は結果を心配しているようです。)
This book seems interesting. (この本は面白そうです。)
seem の後ろには形容詞 worried(心配して)、interesting(面白い)が置かれていますね!
今度は、seem like の例文を見てみましょう。
- <seem like+名詞(句)/ 節>:~だと思われる、~のようだ
<seem like+名詞(句)>:~だと思われる、~のようだ
He seems like a good teacher. (彼はいい先生だと思われます。)
The meeting seems like a waste of time. (そのミーティングは時間の無駄に思われます。)
後ろには名詞句 a good teacher / a waste of time が置かれています。
<seem like+節>:主語は~すると思われる、~のようだ
She seems like she is in a good mood today. (今日、彼女は機嫌が良さそうです。)
They seem like they have already made a decision. (彼らは既に決定したようです。)
ちなみに look like と同様に、後ろに節をつなげる場合は、It seems like … で始めることも可能です。
It seems like she is in a good mood today.
It seems like they have already made a decision.
いかがでしたか。
それぞれの違いを整理しながら、ぜひ自分でも例文を作ってみましょう!
3.練習問題にトライ!
look と look like、seem と seem like の使い分けはできそうですか?
ではここで練習問題に挑戦してみましょう!
空所の後ろをヒントに、空所に入れるべき形を2つの選択肢から選びましょう。
1)There are a lot of fruit on this cake! It ( ) very delicious! 【looks / looks like】
(このケーキにはたくさんフルーツが載っていますね!とても美味しそうです!)
- looks
空所の後ろには形容詞 delicious(それを副詞 very が修飾しています)があり、「フルーツがたくさん乗っている」と見た目で判断しているため、looks が適切ですね!
2)We have been waiting for him for an hour. He ( ) he will not come. 【seems / seems like】
(私たちは1時間彼を待っています。彼は来ないと思われます。)
- seems like
「1時間待っている」という状況に基づいて判断しており、空所の後ろに節が続いているため、seems like が正解です。
3)She said she studied a lot. She ( ) ready for the test. 【seems / seems like】
(彼女は沢山勉強したと言いました。彼女はテストの準備ができているようです。)
- seems
彼女の発言を聞いて「準備ができていそうだ」と判断しており、空所の後ろには形容詞 ready があるため、seems が正解です!
もし前文に、「彼女は自信に満ち溢れている」というような外見的な情報があれば、looks も正解になりますね!
4)The sky is getting dark. It ( ) it’s going to rain. 【looks / looks like】
(空が暗くなってきました。雨が降りそうです。)
- looks like
空が暗くなってきたという見た目から判断しており、空所の後ろには節が続いているため、looks like が正解です!
いかがでしたか?
If you answer all the questions correctly, you seem like you understand everything!
(もしすべての問題に正確に答えられていたら、すべて理解しているようですね!)
See you next time!
ではまた!
TOEIC 990点(満点)、英検1級。神田外語学院、共立女子大学講師。大手企業でもTOEICの指導にあたる。外資系企業勤務を経て、英語講師へと転身。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト はじめて受験のパスポート』(旺文社)、『TOEIC L&R TEST 200問音読特急 瞬発力をつける』(朝日新聞出版)、『1か月で復習するTOEIC(R) L&Rテスト 基本の500単語』(語研)などがある。