駒井先生の習ったつもり!? の英文法 #19 スポーツを「する」play, do, go の使い分け
学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。
スポーツによって使える動詞が異なる!
みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。
今年の夏はパリ・オリンピック・パラリンピックが開催されましたね!
スポーツ観戦が好きな方は、毎日寝不足だったのではないでしょうか。
私は柔道の阿部詩選手の悔し泣きに痺れました。
激しく泣き崩れる姿を見て、さぞ努力を積み重ねてきただろうとこちらまで泣きそうになりました。
みなさんご存知の通り、阿部詩選手の兄は阿部一二三選手。
阿部一二三選手の座右の名は「努力は天才を超える」です。
努力をすれば、体格差のある選手が相手でも必ず勝てるという信念が伝わってきます。
英語学習も同じで、コツコツと継続して努力すれば自分の限界値を超え、必ず上達していきます!
さて……前置きが長くなりましたが、本題へと入っていきましょう(笑)。
今回は、オリンピックにちなんで、「スポーツをする時の動詞表現」を学んでいきます!
みなさんは日頃、スポーツはしていますか。
私は健康のために、半ば渋々ジョギングをしています。
走り始めはいつも「走りたくない」という気持ちでいっぱいですが(笑)、走り終わったあとの爽快感に支えられています。
娘や夫はバスケットボール、息子はテニスをしています。
また、「英語の友」のコラム「なっちゃんのTOEIC勉強4コマ」に出てくる濱崎潤之輔先生は空手をしてらっしゃいます。
これらの「スポーツ一般」を英語で言う場合、おもにイギリスでは sport、アメリカではsports が使われます。
では、「(スポーツ)をする」と言う場合、どんな動詞を使うのでしょうか。
実は「スポーツをする」と言う時の動詞は3つあります!
さっそく、1つ1つご紹介していきます。
1.スポーツをする時に使う3つの動詞
play
スポーツを「する」動詞と言えば、まずこの単語を思いついた人が多いのではないでしょうか。play は球や道具を使うスポーツ・チームで競うスポーツをする時に使用し、ハッキリと勝敗がつくスポーツであることが多いです。
- 使えるスポーツ:
- baseball(野球)/ soccer(サッカー)/ basketball(バスケットボール)/ rugby(ラグビー)/ badminton(バドミントン)/ tennis(テニス)/ volleyball(バレーボール)/ ice hockey(アイスホッケー)/ table tennis[ping-pong](卓球)など
(例文)
My daughter plays basketball every weekend.
(私の娘は毎週末バスケットボールをします。)
He used to play rugby when he was a high school student.
(彼は高校生の時、ラグビーをしていました。)
How about playing ping-pong to pass the time?
(暇つぶしに卓球でもしませんか?)
ちなみに「卓球」は2通りの言い方があります。
table tennis は「競技」としての正式名称です。一方、ping-pong とも言うことができ、「遊び」として気軽にプレイを楽しむ時などによく用いられます。
do
この単語はすぐに思い浮かばなかった人も多いかもしれませんね。do は個人で行うスポーツ・武道や格闘技をする時に使用します。中には勝敗がある種目もありますが、エクササイズや自分を鍛えるスポーツが多いことが特徴です。
- 使えるスポーツ:
- ・個人スポーツ→yoga(ヨガ)/ aerobics(エアロビクス)/ archery(アーチェリー)など
- ・武道や格闘技→karate(空手)/ judo(柔道)/ kendo(剣道)など
(例文)
Mr. Hamasaki does karate five times a week.
(ハマサキさんは、週5回空手をします。)
She’s interested in doing yoga.
(彼女はヨガをすることに興味があります。)
I’ve done judo in PE class.
(私は体育の授業で柔道をしたことがあります。)
※PE: physical education の略語で「体育」の意味
go
go は、動名詞-ing で表すスポーツをする時に使用します。
英語には、スポーツの名前そのものが動詞になっている種目もあります。
例えば skate、jog、swim などです。
I jog every morning. (私は毎朝ジョギングをします。)
Ryo swam like a dolphin. (リョウはまるでイルカみたいに泳いだ。)
このように、動詞でそのスポーツをすることを表したことがあるのではないでしょうか。
でも、これらの種目名を「ジョギング」「水泳」のように名詞で言いたいこともありますね。その場合、後ろに -ing をつけて動名詞で表します。例えば jog(ジョギングする)の名詞形は jogging、bowl(ボウリングをする)の名詞形は bowling、swim(泳ぐ)の名詞形は swimming になります。
これらのように、動詞でそのスポーツをすることを表す(=名詞形が -ing になる)場合は、ある地点から別の地点へと移動する動きがあるものや、そのスポーツをするために特別な場所(スケートリンク、山、海など)に行くことが前提になっているものが多いです。
そしてこの、「名詞化した時 -ing になる」スポーツを「する」ことを表すには go を用います。スポーツをすることで移動する、あるいはそのスポーツを特別な場所に行ってする、というイメージを持つと、go(行く)という動詞が出てきやすいのではないでしょうか。
つまり、私がする「jogging(ジョギング)」は、まさに後ろに -ingがつき、移動を伴うスポーツなので、go を使うというイメージが湧きやすいですね!
- 使えるスポーツ:
- jogging(ジョギング)/ bowling(ボウリング)/ skating(スケート)/ skiing(スキー)/ swimming(スイミング)/ cycling(サイクリング)/ dancing(ダンス)など
(例文)
I rarely go jogging.
(私はめったにジョギングをしません。)
※準否定語 rarely の使い方についてのコラムはこちらをご覧ください。
We went skating after school.
(私たちは放課後にスケートをしました。)
Let’s go skiing this winter!
(今年の冬にスキーをしましょう!)
3つの動詞の使い方がわかりましたか。
上で紹介した、それぞれの動詞と一緒に使うおもなスポーツを一覧にして整理してみましょう!
play | do | go |
球や道具を使う・ チームで競う |
個人スポーツ・ 武道や格闘技 |
-ing で表すスポーツ・ 移動を伴う・特別な場所で行う |
baseball soccer basketball rugby badminton tennis volleyball ice hockey table tennis[ping-pong] |
yoga aerobics archery karate judo kendo |
jogging bowling skating skiing swimming cycling dancing |
2.練習問題にトライ!
「スポーツをする」と言う時の動詞は3つ、もう区別はつきましたか?
ではここで練習問題です。
下線の単語をヒントにして、空所に入れるべき動詞は何かを考えてみましょう(動詞の形は時制や主語によって変わるため、注意が必要です)!
(1)It’s important to ( ) a stretch after sitting for long periods.
(長時間座っている後は、ストレッチをすることが大切です。)
- do
(2)I didn’t have to work overtime, so I ( ) bowling after work.
(私は残業する必要がなかったので、仕事帰りにボウリングをしました。)
- went
(3)He ( ) running to stay fit every morning.
(彼は毎朝、健康を維持するためにランニングをします。)
- goes
(4)I ( ) ping-pong with my coworker during lunch breaks to refresh.
(私はリフレッシュするために昼休みの間に同僚と卓球をします。)
- play
(5)My son ( ) judo, while I prefer to ( ) aerobics at the gym.
(私の息子は柔道をしますが、私はジムでエアロビクスをするのが好きです。)
- 1つめ:does
2つめ:do
(6)In the winter, we always ( ) skiing in the mountains.
(冬には、私たちはいつも山でスキーをします。)
- go
(7)We often ( ) tennis on a day off.
(私たちは休みの日によくテニスをします。)
- play
(8)She’s been ( ) karate since she was two years old.
(彼女は2歳の頃から空手を続けています。)
- doing
3. 動詞として使う場合と<go + 動名詞-ing>とする場合の違い
さて、動詞 go についてお話した時に、動詞(dance / cycle など)としてそのまま使う場合と、<go + 動名詞-ing>(go dancing / go cycling など)として使う場合があると説明しました。この違いを確認しておきましょう。
(例)
dance (動詞):Mr. Kimura danced awkwardly. (キムラさんはぎこちなく踊りました。)
go + dancing:We’ll go dancing tonight. (私たちは今夜(ダンスホールなどに移動して)踊ります。/踊りに行きます。)
動詞をそのまま使うのは、その動作自体に焦点を当てて表現したい場合です。
一方、<go + 動名詞-ing>の場合は、「適切な場所に移動して一連の活動をする・そのスポーツをしに行く」というニュアンスが伴います。
では、このような文に変えるとどうでしょうか。
× Mr. Kimura went dancing awkwardly.
went により「移動」のニュアンスが入り、違和感のある文になってしまいます。
副詞の awkwardly「ぎこちない」は「踊る」という動作自体を修飾しているため、ここでは動詞 dance をそのまま使う方が自然です。
△ We’ll dance tonight.
間違いではありませんが、その場で踊るわけではないので、「適切な場所に移動して踊る・踊りに行く」というニュアンスを出すために go dancing とした方が自然ですね。
他の例も見てみましょう。
cycle(動詞):I cycled to work today. (私は今日は自転車で出勤した。)
出勤手段として「自転車に乗る」という動作自体に焦点を当てています。
go + cycling:Let’s go cycling. (サイクリングに出かけましょう。)
「移動してサイクリングをする・サイクリングをしに行く」という一連の活動を指しています。
さらに、動詞をそのまま使い、動作自体に焦点を当てた文の例をみてみましょう。
I ran a half marathon. (私はハーフマラソンを走りました。)
He swam at full speed. (彼はフルスピードで泳ぎました。)
She skated elegantly. (彼女は優雅にスケートをしました。)
これらの文はすべて<go + 動名詞-ing>の形で言うことはできません。
いかがでしたか?
That’s all for today!
(本日はこれで終わりです!)
Writing this column gave me a stiff shoulder, so I’ll go jogging to loosen up a bit!
(このコラムを書いていたら肩が凝ったので、少し(体を)ほぐすためにジョギングに行ってきます!)
※ stiff shoulder:肩こり
※ loosen up:緩める・くつろぐ
See you next time!
(ではまた!)
TOEIC 990点(満点)、英検1級。神田外語学院、共立女子大学講師。大手企業でもTOEICの指導にあたる。外資系企業勤務を経て、英語講師へと転身。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト はじめて受験のパスポート』(旺文社)、『TOEIC L&R TEST 200問音読特急 瞬発力をつける』(朝日新聞出版)、『1か月で復習するTOEIC(R) L&Rテスト 基本の500単語』(語研)などがある。