駒井先生の習ったつもり!? の英文法 #18 不定代名詞の使い方②
学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。
both / either / neither の違いをおさえよう!
みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。
前回のコラム「#17 不定代名詞の使い方①」では、one / other / another などを扱い、「one と it の違い」「others と the others の違い」「another と the other の違い」を中心に学びました。
今回も引き続き、「不定代名詞」をテーマとして、前回学びきれなかった内容を詳しく説明していきます!
さて、先日、こんなことがありました。
仕事で帰りが遅くなった夜、家にいる夫にLINEで連絡を取りました。
その時に、「(帰ったら)お風呂とご飯、どっちがいい?」と聞かれました……(笑)。
心の中で「新婚夫婦じゃあるまいし」と突っ込みつつ、「どっちでもいいよ」と返信しました。
この「どっちでもいいよ」という表現、とても便利ですよね。
「パスタとラーメン、どっちがいい?」
こんな2択の簡単な質問ではありますが、こういう質問を息子にすると、たいてい「どっちでもいいよ」と返ってきます。
ちなみにこの表現は、英会話でも頻繁に登場する便利な表現です。
例えば飛行機を予約する際にこのように質問されたとします。
Would you like a window seat or an aisle seat?
(窓側の席と通路側の席、どちらがいいですか。)
この質問に対し、「どっちでもいいですよ」と英語で言えますか?
英語では……
- Either is fine!
- (どちらでもいいですよ!)
と言うことができます。
この肯定文で使われている either は「(2つのうちの)どちらか一方、どちらでも」という意味を表す「不定代名詞」です。
さて、今回は either を含む、前回扱えなかった他の「不定代名詞」を一緒に学びましょう!
1.「不定代名詞」の both / either / neither を理解しよう
まずは前回も取り上げた「不定代名詞とは何か」のおさらいから始めましょう!
不定代名詞とは、不特定の数や量の人やモノを表す代名詞です。
(不定代名詞の中には、other のように代名詞・形容詞のどちらにも用いられるものもあります)
今回は、不定代名詞の both / either / neither の使い方に焦点を当てていきます。
both | 両方[両者]とも |
either | (2者のうち)どちらかのモノ[人]、どちらのモノ[人]でも<肯定文・疑問文>/どちらのモノ[人]も~ない<否定文> |
neither | (2者の)どちらのモノ[人]も~ない |
まずはそれぞれ例文を見ながら使い方を確認してみましょう
both:「両方[両者]とも」
A: Which do you prefer, cake or cream puffs?
(ケーキとシュークリームとでは、どちらが好きですか。)
B: I like both.
(両方とも好きです。)
この場合、both(両方とも)というのは、cake と cream puffs の2つを指し、目的語の役割をしています。
選べるわけないですよね……。両方好きに決まっています(個人の感想)。
either:「(2者のうち)どちらかのモノ[人]、
どちらのモノ[人]でも」<肯定文・疑問文>/
「どちらのモノ[人]も~ない」<否定文>
主に2つの選択肢から1つ(1人)を選ぶ時や、2つのうち1つ(1人)を言及する際に用いられます。
<肯定文で使う場合>
There’re chocolate and ice cream in the fridge. You can have either.
(冷蔵庫にチョコレートとアイスがあるよ。どちらかを食べていいよ。)
この either は chocolate と ice cream の2つのうちどちらかを選ぶことができるということを表します。either は目的語の役割をしています。
究極の選択ですね(食い意地が張っている個人の感想)。
<否定文で使う場合>
I found a nice bag and a T-shirt, but I didn’t buy either.
(私は素敵なバッグとTシャツを見つけましたが、どちらも買いませんでした。)
この either は否定文で使われて、bag と T-shirt の「どちらも買わなかった」ということを表しています。ここでも目的語の役割をしています。
夏用のバッグとTシャツを買うのを我慢している私のリアルな日常です。
either を否定文で使う場合は、「どちらも~ない」という意味になり、neither を使って書き換えることができます。neither は「否定形にした both (両方とも)」と考えましょう。
- I found a nice bag and a T-shirt, but I didn’t buy either.
- ⇒ I found a nice bag and a T-shirt, but I bought neither.
- ※ neither を置くだけで否定の意味になるため、didn’t のような否定語は使いません。
neither:「(2者の)どちらのモノ[人]も~ない」
2つ(2人)のうち、どちらにも当てはまらない際に用いられます。neither は both の否定になります。
A: Can I wear sneakers or sandals to the corporate event?
(会社のイベントでスニーカーかサンダルを履いていいですか?)
B: Neither is suitable for the event.
(どちらもそのイベントにはふさわしくないよ。)
この Neither は肯定文で使われて、ここでは sneakers と sandals の「2つうちどちらも~ない」という否定の意味を表し、主語の役割をしています。
- <注意>
- 先程、either を否定文で使うと、「どちらも~ない」になると説明しましたが、neither を言い換えて、<either ~ not>の語順で使うことはできないので注意が必要です。
- × Either is not suitable for the event.
- either を用いる時は、前述の I found a nice bag and a T-shirt, but I didn’t buy either. のように、必ず not を先行させて<not ~ either>の語順で使いましょう。
ちなみに、sandals はつま先が露出している形のサンダルで、ビーチサンダルは flip-flops と言います。この夏にぜひ使いたい単語ですね!
2.<both / either / neither of + 限定詞 + 複数名詞>
<both / either / neither of + 複数の人称代名詞>の形も覚えよう
1. では、単独で使用し、名詞として目的語や主語の役割をする both / either / neither について説明しました。ここでは、前置詞 of と一緒に用いて名詞となる使い方を見ていきましょう。
- ~の両方とも
<both of + 定冠詞/ 指示代名詞 / 所有格などの限定詞 + 複数名詞>
<both of + 複数の人称代名詞> - (2者のうち)のどちらか一方
<either of + 定冠詞/ 指示代名詞 / 所有格などの限定詞 + 複数名詞>
<either of + 複数の人称代名詞> - (2者の)どちらも…ない
<neither of + 定冠詞/ 指示代名詞 / 所有格などの限定詞 + 複数名詞>
<neither of + 複数の人称代名詞> - ※複数名詞の前には、必ず定冠詞 the や her などの所有格、these などの指示代名詞が付きます。
※複数の人称代名詞は目的格で、us や you、them などを指します。
それぞれ例文を見てみましょう!
<both of ~>
A: Which one is your computer?
(どちらがあなたのパソコンですか?)
B: Both of these computers are mine. One is for my work and the other is for my private use.
(これらのパソコンの両方とも私のです。1つが仕事用で、もう1つが個人使用です。)
※ the other の使い方は前回のコラムをご参照下さい!)
複数形の computers に指示代名詞(限定詞)の these が付いています。指示代名詞を付けずに Both of computers are mine. とするのは間違いです。
ちなみに、<both of ~>の of を省略することも可能です。
〇 Both these computers are mine.
<either of ~>
A: Do you know either of the textbooks on the shelf?
(棚にあるそのテキストのうちどちらか一方を知っていますか?)
B: I know the one from Obunsha, but I don’t know the other.
(旺文社のものならわかりますが、もう一方は知りません。)
複数形の textbooks に定冠詞(限定詞)の the が付いています。ここでは「2冊の」テキストがあることを意味していて、どちらかを知っているか聞いています。
もし「どちらも知りません」という否定の意味を表現したい場合は、1. でも説明したとおり、2通りの答え方ができます。
- <don’t ~ either>を使う場合:I don’t know either. (eitherの否定文)
- <neither>を使う場合: I know neither.
<neither of ~>
A: Have you been to that new restaurant in the downtown area?
(あなたたちは繁華街にあるあの新しいレストランには行きましたか?)
B: No, neither of us has been there yet.
(いいえ、私たち2人ともまだ行ってません。)
こちらは neither of の後ろに複数の人称代名詞を置くパターンです。
neither は常に単数扱いとなる点に注意が必要です。そのため、これに呼応する動詞は is や三人称単数形に変化させる必要があります(上記では neither of us に呼応し、has となっています)。
いかがでしたか。前回と今回のコラム、2回に渡り「不定代名詞」を扱いました!
I hope both of my columns are useful for your study!
(私の両方のコラムがあなたの勉強に役立つことを願っています!)
ではまた!
TOEIC 990点(満点)、英検1級。神田外語学院、共立女子大学講師。大手企業でもTOEICの指導にあたる。外資系企業勤務を経て、英語講師へと転身。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト はじめて受験のパスポート』(旺文社)、『TOEIC L&R TEST 200問音読特急 瞬発力をつける』(朝日新聞出版)、『1か月で復習するTOEIC(R) L&Rテスト 基本の500単語』(語研)などがある。