学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

単語の「役割」に注目しよう!

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

突然ですが、みなさんは夢をよく見ますか。
私は先日、2日連続で仕事の夢を見ました……。(夢の話、少々お付き合いください。)

1日目は、悪夢の「仕事のダブルブッキング」です。
仕事をしていたら、ほかの仕事現場から連絡が入るという地獄の状況で目が覚めました。
(注:リアルでは1度もありません。)

2日目は、悪夢の「仕事を急かされる」です。
編集者さんから「明日までに原稿を書いてください」という鬼の無茶振りメッセージを受け取って、焦って目が覚めました。
(注:リアルでは1度もありません。)

さて……
夢の話はこのあたりにして、ここからが本題です。(お待たせしました。)

夢の中の鬼編集者さんの「明日までに原稿を書いてください」というメッセージ。
せっかくなので英語にしてみましょう!(鬼の無茶振り)

さあ、これを英語にした場合、どちらの英文が正しいでしょうか。

1)Please write a draft by tomorrow.
2)Please write a draft until tomorrow.

いかがですか。

これは1番の Please write a draft by tomorrow. が正解です!
違いは by と until だけですが、迷った人も多いと思います。

実はこの by と until、使い分けるのが苦手な人がとても多いのです。
でも、「使い分けに迷う理由」は明確です。
それは……「日本語訳が似ているから」に尽きます。

by は「~までに」、until は「~まで」。
確かに似ていますよね。

英語を学ぶ時、私たちは母語(日本語)を頼りに学びます。
それゆえ、「日本語訳が似ている」ために混乱して使い分けに迷うということは、by や until に限らずよくあることで、自然なことでもあります。

日本語が似ていてイメージが湧きづらいときや区別ができないときに知識を整理する方法は2つあります。

まず1つ目。

単語の「働き」や「役割」に着目すること。
by は「期限」、until は「継続」を表します。
(のちほど詳しく説明していきます!)

そして2つ目。

英英辞典を使うこと。
英語の説明を見ると、「似ている日本語」に惑わされることがなくなります。

意味
by
期限
Indicating a deadline or the end of a particular time period.
(期限または特定の期間の終了を示す。*
Oxford Dictionary of English, Second Editionより
until
継続
If something happens until a particular time, it continues and then stops at that time.
(もしある時間まで何かが起これば、それは続き、その時間で終わる。*
Longman Dictionary of Contemporary English, 6th Editionより

* 訳は駒井によるものです。

bydeadline(期限)という単語で説明され、
until では continue(継続)という単語で説明されており、具体的なイメージが湧きやすいと思います。
英英辞典を使っていない方は、ぜひ一度使ってみてください。
単語の使い方や意味の違いがクリアになることがよくあります。

なお、英英辞典によって説明の仕方はさまざまです。
いくつか見比べるのもおすすめです。

さて、今回はこの、by と until の違いについて説明します!

1. by は「期限」を表す

前置詞 by は「~までに」という意味で「期限」を表します。
ある行動や動作を完了させなければいけない期限を指すということですね。

 1)Please write a draft by tomorrow.
冒頭のこの例文では、「原稿を書く」という行為に対して「明日までに」と期限を示し、それまでに完了させなければいけないということを、前置詞 by を使って表しています。

前置詞 by の後ろには名詞(句)を置く点も覚えておきましょう。
by は前置詞なので、後ろに節(文)は置けません

他の例文を見てみましょう。

  • I have to leave home by 6 o’clock.
    (私は6時までに家を出なければなりません。)
  • You have to sign up for the seminar by tomorrow.
    (あなたは明日までにセミナーに申し込まなければなりません。)

どちらも by を使って、「いつまでに」という「期限」を表していますね!

もう1つ例文を作ってみましょう。
「家を出るまでに洗濯物を干してね」と言いたい場合はどうでしょうか。
「家を出るまでに」という部分が「期限」を表しています。

  • Please hang the laundry by the time you leave the house.
    家を出るまでに洗濯物を干してね。)

このように、by the time を用いて、後ろに「主語+動詞」を置き、「~が…するまでに」と表すことがでます!

いくつか例文を見てみましょう。

  • I have to finish my report by the time the meeting starts.
    会議が始まるまでにレポートを仕上げなければなりません。)
  • I’ll get dressed by the time my mother picks me up.
    母が迎えに来るまでに着替えます。)

by the time の後ろには「主語+動詞」が続いていますね!

ではここで一度、by の使い方を整理しておきましょう。

  • byは「期限」を表す
    <by+名詞(句)>:~までに
    <by the time+節(主語+動詞)>:~が…するまでに

2. until は「継続」を表す

次に until を説明します!

until は「~までずっと」という「継続」の意味を表し、その時まで同じ行動・動作や状態が続くことを表します。

  • I will continue writing a draft until tomorrow.
    (明日までずっと原稿を書き続けます。)

「明日」まで、「原稿を書く」という行動を継続する様子を表現しています。
(悪夢が頭をよぎる例文ですね……。)

前置詞 until の後ろには名詞(句)を置きます。
他にも例文を見て確認してみましょう。

  • I have to work until 8 o’clock today.
    (今日は8時まで仕事をしなければいけません。)
  • She stayed at the party until midnight.
    (彼女は夜中までパーティーにいました。)

どちらも「~まで(ずっと)」という、ある時点までの「継続」を表す文になっており、後ろに名詞(句)が続いています。

では、次の文を英語にできますか。
「雨が止むまで、私たちは待たなければなりません。」
ポイントは「雨が止むまで」ですね。

これは次のような英文で表現できます。

  • We have to wait until the rain stops.
    雨が止むまで、私たちは待たなければなりません。)

実は、 until には「前置詞」と「接続詞」の2つの用法があります

前置詞として使う時は後ろに名詞(句)を置きますが、
この例文では接続詞として使われていて、後ろに「主語+動詞」(節)が続いています!

他にも例文を見てみましょう。

  • I kept reading the novel until I got sleepy.
    眠くなるまで小説を読み続けました。)
  • I stayed up until my husband came home.
    夫が家に帰って来るまで起きていました。)

接続詞 until の後ろには「主語+動詞」が続いているのがわかりますね。

ここで by と until の使い方を整理しておきましょう!

役割 品詞 意味・用法
by 期限」を表す 前置詞 ~までに
<by+名詞(句)>
~が…するまでに
<by the time+節(主語+動詞)>
until 継続」を表す 前置詞 ~まで
<until+名詞(句)>
接続詞 ~が…するまで
<until+節(主語+動詞)>

ぜひ自分自身でも例文を作ってみてください!

3.練習問題にトライ!

by と until の使い分けはできそうですか?
ポイントは by は「期限」、until は「継続」です!

さあ、練習問題に挑戦してみましょう!

日本語をヒントに、また、空所の後ろをヒントにして、
by、by the time、until の3つの選択肢から選びましょう!

1. He didn’t realize his mistake (   ) it was too late. 【by / by the time / until】
(彼は手遅れになるまで自分の間違いに気づきませんでした。)

▼答えと解説を見る

  • until (~まで)
    「~まで」と「継続」を表しています。
    後ろに「主語+動詞」が続いているため、接続詞として機能しています。

2. I need to return these books (   ) the library closes. 【by / by the time / until】
(図書館が閉まるまでに、これらの本を返却しなくてはなりません。)

▼答えと解説を見る

  • by the time(~までに)
    「~までに」と「期限」を表しています。
    後ろには「主語+動詞」と続いているため、by the time を入れます。

3. The meeting lasted (   ) evening. 【by / by the time / until】
(会議は夕方まで続きました。)

▼答えと解説を見る

  • until(~まで)
    「~まで」と「継続」を表しています。
    後ろには名詞が続いているため、前置詞として機能しています。

4. She needs to arrive there (   ) tomorrow morning. 【by / by the time / until】
(彼女は明日の朝までに、そこに到着する必要があります。)

▼答えと解説を見る

  • by(~までに)
    「~までに」と「期限」を表しています。

5. I usually check all my emails (   ) the meeting starts. 【by / by the time / until】
(打ち合わせが始まるまでに、たいてい全てのメールを確認します。)

▼答えと解説を見る

  • by the time(~までに)
    「~までに」と「期限」を表しています。
    後ろには「主語+動詞」と続いているため、by the time を入れます。

6. He was playing tennis (   ) it got dark. 【by / by the time / until】
(彼は暗くなるまでテニスをしていました。)

▼答えと解説を見る

  • until(~まで)
    「~まで」と「継続」を表しています。
    後ろに「主語+動詞」が続いているため、接続詞として機能しています。

いかがでしたか。

I hope you keep practicing how to use “until” and “by” until you master them!
(マスターするまで、「until」と「by」の使い方の練習を続けていただきたいと思います!)

Anyway
I’m relieved to have submitted this draft by the deadline!
(とにかく……私は、締め切りまでに原稿を提出できて安心しています!)

See you next time!
(ではまた!)