学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

「~を手に入れる」だけじゃない get の使い方

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

「先生、見て~! カワイイでしょ? これ、昨日のセールでゲットしたの!」
私の大学の教え子の言葉です。
この日本語の「ゲット」、実は『広辞苑』にも載っているくらい、浸透していますよね!

ご存知のように、この「ゲット」は、英語の動詞 get で、このように使います。

I got a ticket for the concert.
(私はコンサートのチケットを手に入れました
I got this bag at a bargain price.
(私は割引価格でこのバッグを買いました
※ got は get の過去形です。

しかし、動詞 get は「~を手に入れる」「~を買う」という意味だけではなく、幅広い使い方がある非常に便利な単語です。

今回は、この動詞 get の知識をゲットしていきましょう!

1.get+形容詞:~になる

ではさっそくですが、みなさんに問題です。
下記の日本語を英語にできるかチャレンジしてみましょう!

(1)私は家に帰る途中、雨に濡れました。
(2)彼が怒るのも当然です。
(3)私はお腹が空きました!

いかがでしょうか。
この3つの文を英語にするには、<get+形容詞:(主語が)~になる>という形を用います。この場合の動詞 get は「◯◯という状態になる」という「変化」を表します。

get+形容詞:~になる(状態・感情の変化を表す)

では1つずつ答えを確認していきましょう。

(1)I got wet from the rain on my way home.
  (私は家に帰る途中、雨に濡れました。)
   ※ got は get の過去形です。

get wet(get+形容詞)の組み合わせで「濡れる」という状態の変化を表します。

(2)It is natural for him to get angry.
  (彼が怒るのも当然です。)

get angry(get+形容詞)の組み合わせで「怒る」という感情の変化を表します。
(この問題の<it is 形容詞 + to 不定詞>の使い方は第4回のコラムで取り扱っています。ぜひ復習してみてください!)

(3)I got hungry!
  (私はお腹が空きました!)
   ※ got は get の過去形です。

get hungry(get+形容詞)の組み合わせで「お腹が空く」という状態の変化を表します。

次に、「状態の変化を表す」get を使った応用編を見てみましょう。

It’s getting dark outside.
(外がだんだん暗くなってきました。)

It’s getting hot! Summer is coming soon.
(だんだん暑くなってきました。夏はすぐそこです。)

ここでは、天候を表現する時に使う主語 it を先頭に置いています。そして、<be動詞+getting+形容詞:だんだん~になる>のように現在進行形を用いて、徐々に状態が変化していく様子を表現しています!

もちろん、主語を「人」にしてもOK!
例えばこのように使うことができます。

How long did we walk? I’m getting tired.
(私たち、どのくらい歩きましたか? だんだん疲れてきました。)

I didn’t sleep well last night. I’m getting sick.
(昨夜よく眠れなかったんだよね。だんだん気分が悪くなってきたよ。)

ぜひ、この形も覚えておきましょう!

be動詞+getting+形容詞:だんだん~になる

ところで、<be動詞+形容詞>でも「状態」を表現することができますが、getを用いる場合と何が違うのでしょうか? 下記の(1)「be動詞を用いた文」と(2)「getを用いた文」で違いを比べてみましょう。

(1)She is angry because you were late.
  (あなたが遅刻したので彼女は怒っています。)
   ※「あなたが遅刻した」という出来事がきっかけで、「今」怒っている状態。

(2)She got angry when she received the message.
  (彼女はそのメッセージを受け取って怒りました。)
   ※「メッセージを受け取った」という出来事によって「怒る」という変化を表現。

(1)は「現在そのような状態である」という「今」の状態を表しています。一方、(2)は、「そのような状態へと変化した過程」に焦点を当てています。

2.get +(人)+(モノ):(人)に(モノ)を入手してやる・買ってやる

もう1つ、get の使い方を見てみましょう!
みなさん、こちらの例文を日本語訳することはできますか?

I’ll get you a cup of coffee!
※友人とカフェに来ました。友人がサッと注文カウンターに行く時に、あなたに言ったセリフだと想像してみてください

この get を「~を手に入れる」と訳そうとしても、you が入るとどう解釈すべきか迷いますね。

これは<get + (人)+(モノ):(人)に(モノ)を入手してやる・買ってやる>という用法で、get の後ろに2つ目的語がつながっています。

動詞getの基本イメージは「~を手に入れる」のままで大丈夫です。この場合は(人)が入ることで、誰のために~を手に入れるのか」という情報がプラスされています。

つまり、先程の例文で、友人があなたに言ったセリフ I’ll get you a cup of coffee! は、「君(のため)にコーヒーを買ってくるよ!」という意味でした!

get +(人)+(モノ):(人)に(モノ)を入手してやる・買ってやる

上記を踏まえて、今度は英作文にチャレンジしてみましょう!
次の日本語を英語にしてみましょう。

(1)父は誕生日に新しいパソコンを私に買ってくれました。
(2)忙しそうだね! 君にランチを買ってきてあげるよ。
(3)戸棚から紙を持ってきてくれない?

いかがでしょうか。全て動詞の後ろに目的語が2つ続くという点に注意しましょう!

答えは…

(1)My father got me a new computer for my birthday.
  (父は誕生日に新しいパソコンを私に買ってくれました。)
(2)You look busy! I’ll get you lunch.
  (忙しそうだね! 君にランチを買ってきてあげるよ。)
(3)Can you get me some paper from the cabinet?
  (戸棚から紙を持ってきてくれない?)

いかがでしたか?
動詞 buy(買う)や動詞 bring(持ってくる)と同じ意味・形で使えるのがこの get ですが、get は buy や bring よりも口語的な使い方で、日常会話では頻繁に使われています。

今回は動詞 get「~になる」「だんだん~になる」、そして、「(人)に(モノ)を入手してやる・買ってあげる」を学習しました!

Are you getting excited to learn more?
(もっと学ぶことにだんだんワクワクしてきましたか?)
Sorry! That’s all for today’s column!
(すみません! 今日のコラムはここで終わりです)

ではまた!