学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

can は「~できる」だけではない!

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

いきなりですが……

英会話や英文Eメールの中でよく使われる助動詞と言えば何だと思いますか。
助動詞の種類はたくさんありますが、頻繁に使用されるのは間違いなく助動詞 can でしょう(駒井調べ)。

「あぁ、can ね。中学生の時に習ったわ。簡単、簡単」と思ったそこのあなた!(テレビショッピング風の呼びかけ)

can は「~できる」、過去形 could は「~できた」と覚えている方も多いと思いますが、実はそんなにシンプルではなく、誤用している方が多いのも事実です。

例えばこの英文の意味、わかりますか。

That can be true.

「can = ~できる」とだけ覚えていたら、こんな文に出合うと戸惑うのではないでしょうか。
いえ、絶対戸惑いますよね(強制的な戸惑いの要求)。

今日は、この助動詞 can を改めて一緒に学んでいきましょう!

1. 助動詞 can の現在形の使い方

助動詞 can には大きく分けて3つの役割があります。
1つ1つ一緒に見ていきましょう。

●能力を表す:「~できる」

みなさんがよくご存知なのはこの、能力を表す can だと思います!
中学生の時に学んだ内容と同じだと思って間違いありません。

例文を見てみましょう。

  • I can speak English.
  • (私は英語を話すことができます。)

こちらの can は「~できる」と訳し、主語が持っている「能力」を表します
「やろうと思ったらできる能力やスキルを持っている」ということを表します。

例えば、同僚が「海外からお客様が来るんだけど、私は英語が話せないんだよ」と言ったのに対して、みなさんが I can speak English. と言えば、「必要なら自分が対応できますよ」という自然な申し出になります。

「私、英語が話せますけど(ドヤ)」のような能力自慢に聞こえるわけではありません。

このような文脈では、今持っている能力の提示とサポートの意思を示す提案の表現として使われています。

他にも例文を見てみましょう。

  • My son can cook, but he rarely does it.
  • (息子は料理をすることはできますが、滅多にしません。)

これは私の息子をイメージしておりますが、「料理をしようと思ったらできる」という状態です。

実際には滅多に料理をしない息子ですが、「その能力はある」と表現しているまでです(書きながら料理をしない息子に苛つく母親の私)。

このように、can の役割の1つとして、「can は内在的能力を示す」と整理しておきましょう!

●可能性を表す:「~する可能性がある / ~である可能性がある」

2つ目の役割を見ていきましょう。
冒頭に挙げた That can be true. がこの役割にあたります。
この can の使い方を知らずに戸惑う人がきっと多いですよね。
いえ、多いはずです(再び戸惑いの強要)。

この can は、知識・経験や状況を踏まえ、話し手が1つの可能性を提示する時に用いられます

例えば……

Aさんが、Private lessons are more effective than group lessons.(個人レッスンはグループレッスンよりも効果的だよね。)と言ったとしましょう。

それに対し、That can be true.(そうかもね[本当かもね]。)と言って、自分の知識や経験に基づいて「そのようなことがあり得る」と伝えることができます。

ちなみに、主語の that は、相手が提供した話題(ここでは「個人レッスンの方が効果的だ」という内容)全体を指しています。

この可能性を表す can の例をもう少し見てみましょう!

  • A:Is English grammar easy for you?
  • (君にとって英語の文法って簡単?)
  • B:Well, it can be difficult.
  • (うーん、難しいこともあるよ。)
  • A:I go to the gym every day.
  • (毎日ジムに通ってるよ。)
  • B:That’s great, but it can lead to health problems if you overdo it, so be careful.
  • (いいね。でもやりすぎると健康問題につながることもあるから気をつけて。)
  • ※lead to ~:~に繋がる
     overdo:~をやりすぎる

また、否定文にすると「~であるはずがない」という意味になり、「可能性の強い否定」を表します

  • A: She is late again.
  • (彼女、また遅れてるよ。)
  • B: Really? She can’t be that careless.
  • (本当に? そんなにだらしないはずないよ。)
  • ※that:「そんなに」という意味で形容詞 careless を修飾しています。
     careless:不注意な

ちなみに……
同じような意味で使える助動詞 may(~かもしれない)もありますね。
can も may も「可能性」を表す助動詞です。

can は「理屈の上では起こり得ること」、「一般的にあり得ること」を示し、may は「今回はそうかもしれない」という、具体的な場面状況に応じた可能性を示します。

例えば、The traffic can be heavy on ABC street.(ABC通りは渋滞する可能性があります。)と言えば、普段のABC通りの状況を踏まえると渋滞する可能性があるという意味を示します。

一方、この文の can を may に変えると、「今日はたまたまお祭りがあるので、その通りは渋滞する可能性がある」などのように、それを発言した時の特別な状況を配慮した上で、起こり得る可能性を話していることになります。

●許可を表す:「~してもいい」

3つ目の役割を見ていきましょう。
can は「~してもいいですよ」という「許可」の意味も表します
直訳すると can は「~できますよ」という意味にもなるので、「許可」という認識がなくても、文の意味を理解できている方は多いと思います。

Can I join you?(参加していいですか。)という文のように、Can I ~?が「~してもいいですか?」という意味になることがありますが、これは「許可」を得る時に使う表現ですね。

この can を肯定文で使い、You can と主語が変わると、相手に「許可」を与える文になります。

  • A:Can I join you?
  • (参加していいですか。)
  • B:Sure, you can
  • (もちろん、いいですよ!)

この「許可」を与える can は上下関係を感じさせないのが特徴です。
一方で、「許可」を与える際、助動詞 may も使用することができますが、こちらは権限を持った上の立場の人から許可を出す場合に用いられます

「許可」を表す can の例をもう少し見てみましょう!

  • You can ask me any questions.
  • (なんでも質問してくださっていいですよ。)

この場合、「あなたは質問できる能力がある」ということではなく、「質問をしてもいい」という許可を与えています。

2. 助動詞 can の過去形 could の使い方

次に過去形 could を見ていきましょう。
過去形 could は、単に can の過去形で「~できた」という意味になると覚えている人も多いと思います。

しかし、could には注意しなければいけないポイントがあります!
そのポイントを踏まえ、主に2つの使い方を整理し、覚えておきましょう。

●能力を表す「~できた」

could は can の過去形であることは間違いありません。
しかし、「~できた」という訳し方をするがゆえ、よくやりがちな間違いがあります。

次のような内容を英語で話す場面を想定してみましょう。

「長年、富士山に登ることを目標としていました。そのため、体を鍛え、体力をつけ、去年、富士山に登ることができました!」

よくやってしまうミスは、「去年、富士山に登ることができました!」という部分を I could climb Mt. Fuji last year! としてしまうことです。

「え? なにが間違いなの?」と思ったそこのあなた!
ちょっと思い出してみてください。

can は「やろうと思ったらできる能力やスキルを持っている」ということを表す表現でした。could はその過去形です。

つまり「やろうと思えばできる能力を持っていた」という、過去の時点で備わっていた能力やスキルを表します。

一方、「去年、富士山に登ることができました!」と言いたいとき、その核心は「富士山に登ろうと思えばできる能力を持っていた」、ということではないですよね。「富士山に登ることに実際に成功した」と表現したいです。
このような場合は、was able to~ を用いて、Last year, I was able to climb the Mt. Fuji! とするのが適切です。

was able to~ は、「ある1回の状況で持っている力を発揮し、実際に成功した」という意味になり、could と使い方が異なります。

could と be able to~ の違いは以下の通りです。

  • could:過去にそのようにできる能力を持っていた。
  • was(were) able to~:実際にやってみて成功することができた。

では、改めて2つの例文を比べてみましょう。

  • 過去の能力(一般的な日頃の力)
  • I could run 10 kilometers when I was a child.
  • (子供の頃は10キロ走ることができました。)
  • →実際に10キロ走ったかどうかは別として、「やろうと思ったらできる能力」を備えていたということ。
  • 過去の成功・達成(単発)
  • I was finally able to run 10 kilometers yesterday.
  • (昨日、ついに10キロ走ることができました。)
  • 実際に10キロ走り、成功したということ。

いかがでしょうか。
could と was able to~ の意味の違いを整理して、2つの使い分けをしっかりできるようにしましょう。

●可能性を表す:「~する可能性がある / ~である可能性がある」

これは現在形 can でも説明した使い方ですね!

can も could も同じように「可能性」を表すことができます。
can と could をどう使い分けるかがポイントになりますが、非常にシンプルに考えてくださって大丈夫です!

could は can よりも低い可能性を表す」と覚えておきましょう。
「ひょっとするとそうかもしれない」という程度の低い可能性を表します

  • He could come, but I’ve heard he is busy.
  • (彼は来るかもね、でも忙しいって聞いてるよ。)

この場合、「彼は忙しいようだ」という情報を踏まえ、彼が来ることができる可能性の低さを伝えています。

例文を見てみましょう。

  • The plan can work if we have enough time.
  • The plan could work if we have enough time.

両方の日本語訳は、「私たちに十分な時間があれば、計画はうまくいくかもね」となります。

ただ、can の場合は、「可能性が高い」ため、条件が満たされさえすれば、計画はうまくいくという明るい見通し持っていることを示しています。

一方 could の場合、たとえ時間があっても、何かしらの原因で「計画がうまくいく可能性は低い」と考えている話者の気持ちを表しています。

  • The plan can work if we have enough time.
  • (私たちに十分な時間があれば、計画はうまくいくかもね。)
  • →うまくいく可能性が比較的高い
  • The plan could work if we have enough time.
  • (私たちに十分な時間があれば、計画はうまくいくかもね。)
  • →うまくいく可能性が低い

いかがでしたか。
助動詞 can の使い方を整理して、適切な場面で適切な使い方ができるようにしておきましょう。

最後に……
私事ですが、先月、自分の目標を2年がかりでクリアすることができました。
私にとってエネルギーを要する大変なチャレンジでしたが、なんとか達成することができました。

そんな私から、みなさんにエールを送ります。

I was able to accomplish my goal, so I believe you can do it too. Keep chasing your goal!
(私は自分の目標を達成することができました。だから、みなさんもできると信じています。目標を追い続けてください!)

See you next time!
(ではまた!)