駒井先生の習ったつもり!? の英文法 #26 分詞構文をマスターしよう①

学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。
分詞が、動詞と接続詞の両役をこなす分詞構文
みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。
第25回では分詞の基本的な使い方を説明しました。
少しだけ「分詞の基本的な使い方」を復讐……いや、復習しましょう!
(文法に復讐してもいいことありませんからね!)
第25回のコラムの中で、分詞は「動詞と形容詞の性質を分かち持って」いて、「形容詞と同じように、名詞を修飾できる」と説明しました。
- a long letter(長い手紙)
- a typed letter(タイプされた手紙)
形容詞 long(長い)と同じように、
過去分詞 typed(タイプされた)も名詞 letter を修飾していますね。
分詞には現在分詞と過去分詞の2つがあり、それには以下のような違いがありました。
| 現在分詞 | 基本的には動詞に |
| 過去分詞 | 基本的には動詞に |
思い出しましたか?
さて、今日は、さらに一歩踏み込んで……
「分詞構文」を説明していきます!
分詞構文は簡単に言うと、「分詞を使った構文」です(そのままですね……)。
例えば、Hearing the news, she smiled. のように、文の中には必ず現在分詞(~ing)や過去分詞(~ed)が出てきます。
さぁ、今回は苦手な構文ランキング第1位に輝いた(駒井独自のランキング)、分詞構文を一緒にマスターしていきましょう!
1. 分詞構文の基本のカタチ
冒頭で、分詞は「動詞と形容詞の性質を分かち持って」いて、「形容詞と同じように、名詞を修飾できる」と説明しましたね。
しかし!
分詞構文では、分詞は「動詞と接続詞の働きを兼ねる」ことができ、分詞が含まれる部分は、「副詞のように文の情報を補足する」ことができます。
(安心してください! 皆様の混乱を招いていることは自覚しています!)
実際に<接続詞を使った文>と<分詞構文>の2つの文を見比べてみましょう。
<接続詞を使った文>
When she heard the news, she smiled.
(彼女はそのニュースを聞いた時、微笑みました。)
<分詞構文>
Hearing the news, she smiled.
(そのニュースを聞いた時、彼女は微笑みました。)
では、この2つの文を元に、下記の2点に着目しながら、分詞構文の構造を確認していきます!
- 分詞構文では、
- 1) 接続詞 when が省略されている。
- 2) 従属節(when節)の主語 she が省略されている。
1) 接続詞 when が省略されている。
分詞は「動詞と接続詞の働きを兼ねることができる」というのが、まさにここに表れていますね!
分詞構文では、接続詞 When が省かれ、その代わりに現在分詞 Hearing が置かれています。
日本語訳は、「…を聞いた時」という意味で、接続詞 When がなくても、when「~する時」と同じ訳になっています。
また、分詞が含まれる「Hearing the news, (ニュースを聞いた時、)」の部分は、「彼女が微笑んだのはいつか」という情報を補足していますね!
2) 従属節の主語 she が省略されている。
接続詞 when を使った文では、主節(she smiled)と従属節(when she…)では同じ主語 she が用いられています。
しかし、分詞構文では、同じ主語を2回言わなくてもよいように、従属節の主語は省かれていますね!
いかがでしょうか。
冒頭で、分詞構文の中では、分詞は「動詞と接続詞の働きを兼ねる」ことができ、分詞が含まれる部分は、「副詞のように文の情報を補足する」ことができると言っていた意味が理解できたでしょうか。
では、上記2点を踏まえた上で、改めて<接続詞を使った文>から<分詞構文>の文に変えてみましょう。
When she heard the news, she smiled. <接続詞を使った文>
↓(When/she を省く)
When she heard the news, she smiled.
↓(動詞は現在分詞のカタチにして置く)
Hearing the news, she smiled. <分詞構文>
両者の違い、改めて確認できましたか。
では、もう少し<接続詞を使った文>と<分詞構文>を見てみましょう!
- 1. Because he missed the train, he was late for the meeting.
- (彼は電車を逃したので、打ち合わせに遅刻しました。)
- ↓
- <分詞構文>
- Missing the train, he was late for the meeting.
- (電車を逃したので、彼は打ち合わせに遅刻しました。)
元の文では理由・原因を導く接続詞 because を使っています。分詞構文を使った文は、「逃したので」と訳しても、「逃して」と訳しても、どちらでも構いませんが、「~すると、~して(時を表す)」、「~なので(理由を表す)」のように訳すと、意味が整う場合が多いです。
この例のように、分詞構文では「~した時」に加えて、「~なので」と理由を表すこともできるのです。
- 2.Because she was tired, she went to bed early.
- (彼女は疲れていたので、早く寝ました。)
- ↓
- <分詞構文>
- (Being) Tired, she went to bed early.
- (疲れていたので、彼女は早く寝ました。)
この例文は、もちろん「疲れていて」と訳しても大丈夫です。
分詞構文の場合、be動詞は現在分詞 being を置きます。
ただ、文頭に Being が来る場合、通常、省略します。
- 3. Since he was surrounded by a lot of friends, he felt happy.
- (彼は多くの友達に囲まれていたので、幸せを感じました。)
- ↓
- <分詞構文>
- (Being) Surrounded by a lot of friends, he felt happy.
- (多くの友達に囲まれて、彼は幸せを感じました。)
接続詞が使われた文では、Since の後ろが「受動態(be+過去分詞):~される」になっています。
分詞構文では、接続詞 Since、主語 he を省いているのが分かります。
この場合、受動態の形を残し、分詞構文は Being surrounded としますが、通常、文頭の Being は省略します。よって、文頭には過去分詞 Surrounded が置かれています。
このように、文頭に過去分詞が置かれた分詞構文は、もともと受動態であったことがわかるように、「~されて」と訳すのがポイントです!
徐々に分詞構文の基本のカタチが理解できてきましたか。
2. 分詞構文の「位置」と「意味」
ここまでは、「分詞構文の基本のカタチ」を説明しました。
全ての例文では、分詞が文頭に置かれていましたが、実は文頭・文中・文末のどこにでも置くことが可能です。
それぞれの位置と意味を確認してみましょう!
<文頭>
Walking to school, I found a new restaurant.
(学校へ歩いていると、私は新しいレストランを見つけました。)
文頭に分詞構文がある場合、「~すると」と訳すと意味が通じる場合が多いです。
また、分詞構文の内容の方が時間的に前のことであれば、原則として「文頭に置く」ということも頭に入れておきましょう。
<文中>
The man, living in Tokyo, can speak three languages.
(その男性は、東京に住んでいて、3言語を話すことができます。)
文中に分詞構文が入り込んでいます。
この場合、主語について説明を加えることが多く、「~して」と訳すと文意が通ります。
<文末>
She was watching TV, talking with her friend.
(彼女は、友達と話しながらTVを見ていました。)
文末に分詞構文が続いていますね。
訳し方は、「~しながら、SV だ。」や、「SV だ。そして~する。」と訳すと流れが整います。
このように、分詞構文の位置によって、オススメの訳し方があります。
では、ここで「位置とオススメの訳し方」を整理しておきましょう!
| 文頭 | ~して、~すると(時) / ~なので(理由) |
| 文中 | ~して(時) |
| 文末 | ~しながら、SV だ。/ SV だ。そして~する。(付帯状況) |
分詞構文の位置によって「こんな風に訳すと文意が通りやすい」というパターンを知っていると、複雑に見える分詞構文も捉えやすくなります!
分詞構文の位置と訳し方のパターンを押さえたうえで、どの訳し方がピッタリくるか見極めましょう。
分詞構文について説明しましたが、その構造や訳し方が分かると、苦手意識が少し軽減できたのではないでしょうか。
次回のコラムでは、分詞構文の否定形と完了形、独立分詞構文について学んでいきましょう!
Thinking of all my readers, I wrote this column!
(全ての読者の方々を思いながら、このコラムを書きました!)
See you next time!
(ではまた!)

TOEIC 990点(満点)、英検1級。神田外語学院、共立女子大学講師。大手企業でもTOEICの指導にあたる。外資系企業勤務を経て、英語講師へと転身。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト はじめて受験のパスポート』(旺文社)、『TOEIC L&R TEST 200問音読特急 瞬発力をつける』(朝日新聞出版)、『駒井のたった5時間で TOEIC L&R TEST 攻略 730点』(Gakken)などがある。









