この記事では、英語試験TOEFL(トーフル) ITPテストについて解説しています。まず、TOEFL ITPテストを受験する意義やTOEFL iBTテストとの違い、試験の内容やスコアの仕組みなど、試験の概要を説明します。それから学習計画の立て方や、出題傾向に合わせた勉強法を詳述します。最後に当日の試験対策を、リスニング、文法、リーディングのセクションごとに解説します。TOEFL ITPテストを受験する予定のある方は、ぜひ参考にしてください。

TOEFL ITPテストには2つのレベルが設けられていますが、この記事では、原則としてLevel 1について記述します。

※本記事は、2019年3月時点の情報に基づいています。受験の際は、TOEFLウェブサイトで最新情報をご確認ください。

TOEFL ITPテストとは

この記事では、大学・企業など団体向けの試験である「TOEFL ITPテスト(TOEFL Institutional Test Program)」について解説しています。留学を主な目的とする「TOEFL iBTテスト」とは異なる試験なのでご注意ください。

TOEFLとは、Test of English as a Foreign Languageの略です。TOEFLテストは、アメリカに拠点を置く非営利テスト開発機関 Educational Testing Service(ETS)が開発した英語試験で、日本では ETS Japan が運営に当たっています。

TOEFLテストは、1964年から実施されています。現在日本で行われているTOEFLテストは、インターネット版のTOEFL iBTテスト(TOEFL Internet-based Test)とTOEFL ITPテストです。この記事で扱うTOEFL ITPテストは、かつて留学のために公式に使われ、日本でも実施されていたペーパー版TOEFLテスト(TOEFL PBTテスト)を再利用した団体向けのテストです。日本では、大学や語学学校、企業、官公庁など500以上の団体が利用し、約22万人が受験しています。大学での利用目的は、実力測定や留学の選考、クラス分けや成績評価など、さまざまです。

TOEFL ITPテストの特徴

TOEEL ITPテストは、過去のTOEFL PBTテスト(2017年7月廃止)を再利用したペーパーベースのテストで、受験者の英語力を客観的に判断するテストとして高く評価されています。スコアは英語力の証明にはなりますが、通常、海外の大学や大学院出願に使うことはできません。公式のTOEFLテストの約7分の1という割安な価格で受験できます。

また、TOEFL ITPテストのスコアとTOEFL iBTテストのスコアには高い相関性があります。したがってTOEFL ITPテストの成績を見れば、「もしTOEFL iBTテストを受けたら、これくらいのスコアが取れそうだ」と推測できます。留学のためにTOEFL iBTテストを受験する予定がある人は、TOEFL ITPテストを受けられるかどうか、所属する学校・企業に問い合わせてみるとよいでしょう。今の実力を把握できれば、弱点を克服する学習計画を立てたり、留学の時期や志望校を変更したりなど、具体的な対策をとることができます。

TOEFL ITPテストには、Level 1とLevel 2という2つのレベルが設けられています。Level 1 はTOEFL PBTテストと問題数、スコア範囲が同じです。Level 2は問題数がTOEFL PBTテストより少なく、やややさしい問題で構成され、試験時間も短いテストです。この記事では、主にLevel 1についての情報を扱います。

TOEFL iBTテストとの違い

TOEFL ITPテストは団体向けのテストで、個人では申し込めません。企業や大学、語学学校などにおいて、社員や学生の英語力を把握する、クラスを振り分けるなどの用途で使用されています。そのスコアは団体内でのみ有効です。留学などでTOEFLテストのスコアを求められる場合は、一般的にTOEFL ITPテストではなく、TOEFL iBTテストのスコアを取得する必要があります。

TOEFL iBTテストは公開テストで、個人単位で申し込み、受験します。そのスコアは英語力の公的な証明として利用できます。北米の大学への留学を志す人を主な対象として設計されている試験ですが、北米だけでなく、130を超える国々の10,000以上の大学や機関で英語力の証明として認定されています。インターネット版のテストで、コンピュータを用いて受験します。

TOEFL ITPテストとTOEFL iBTテストは、内容にも違いがあります。TOEFL ITPテストはリスニング、文法、リーディングから構成されていますが、TOEFL iBTテストには文法がなく、代わりにスピーキングとライティングがあります。試験時間も、TOEFL ITPテストは約2時間ですが、TOEFL iBTテストは約4~4.5時間です。

●TOEFL ITPテストとTOEFL iBTテスト、各セクションの違い

  TOEFL ITPテスト TOEFL iBTテスト
リスニング 短い会話 30問
2会話 各4問
3トーク・講義 各4問
(計50問)
2または3会話 各5問
4または6講義 各6問
(計34~51問)
文法 空所補充問題 15問
誤文訂正問題 25問
(計40問)
 
リーディング 5題 各10問
(計50問)
3または4題
各12~14問
(計36~56問)
スピーキング   6課題
ライティング   2課題

●TOEFL ITPテストとTOEFL iBTテスト、試験時間の違い

  TOEFL ITPテスト TOEFL iBTテスト
リスニング 約35分 60分または90分
文法 25分  
リーディング 55分 60分または80分
スピーキング   約20分
ライティング   約50分
TOTAL 約2時間 約4~4.5時間

TOEFL iBTテストについて、より詳しく知るには、この記事がおすすめ!
「TOEFL iBTテストとは:概要と勉強法・試験対策」

この記事ではTOEFL iBTテストの特徴や、IELTSとの違い、留学に当たって求められるスコアなどについて解説しています。各セクションの内容や出題傾向、試験当日に役立つ情報もまとめています。ぜひ参考にしてください。

試験内容

TOEFL ITPテストは、マークシートを使った選択式のテストです。アカデミックな内容やキャンパスで使われる英語が主に出題されます。Level 1とLevel 2という2種類がありますが、この記事ではLevel 1について記述します。

●試験の構成

セクション 問題数 試験時間
リスニング 50問 約35分
文法 40問 25分
リーディング 50問 55分
TOTAL 140問 約115分

●各セクションの内容

セクション パート 内容

リスニング

(Listening Comprehension)

Part A 短い会話を聞き、質問に答える。30問。
Part B 2つの長い会話を聞き、それぞれ複数の質問に答える。8問。
Part C 3つの長いトークや講義を聞き、それぞれ複数の質問に答える。12問

文法

(Structure and Written Expression)

Structure 空所のある短い英文を読み、空所に入る語句を選ぶ。15問。
Written Expression 短い英文の4箇所の下線部のうち、誤りのあるものを選ぶ。25問。
リーディング
(Reading Comprehension)
Reading 5つのパッセージを読み、それぞれ複数の質問に答える。50問。

スコア

測定できるレベル

TOEFL ITPテストのスコアが表す英語力レベルを、語学力の指標のひとつであるCEFR* を使って比較すると、下表のようになります。

CEFR TOEFL ITPテスト
C2  
C1 627-677
B2 543-626
B1 460-542
A2 337-459
A1  

* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

スコアの算出方法

TOEFL ITPテストの得点は、運営団体であるETSの独自の方法によって算出されています。以下の表は、『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』で紹介している換算表の1例です。換算方法は実力を大まかに知るための「目安」と考えてください。また、換算表での正解数と素点との対応関係は、テストによって若干のばらつきがあるので注意してください。

1. 答え合わせをして、正答数をセクションごとに数えます。
2. 正答数を以下の表に当てはめ、各セクションの点数の最大値と最小値を確認します。
3. 3つのセクションの最小値と最大値をそれぞれ合計し、10倍したものを3で割り、四捨五入します。それがあなたの予想スコアです。

例:セクション1で35問、セクション2で32問、セクション3で38問正解の場合
  セクション1が52-53点、セクション2が54-56点、セクション3が54-55点。
  最小値合計:52+54+54=160 → 160×10÷3≒533
  最大値合計:53+56+55=164 → 164×10÷3≒547
  よって、あなたのスコアは533~547点ほどと予想されます。

正解数 セクション1 セクション2 セクション3
48-50 63-68   63-67
45-47 60-62   61-62
41-44 57-59   58-60
39-40 56 62-68 56-57
36-38 54-55 59-61 54-55
33-35 52-53 57-58 52-53
30-32 49-51 54-56 50-51
27-29 47-48 51-53 48-49
24-26 45-46 48-50 45-47
21-23 43-44 45-47 43-44
18-20 40-42 43-44 41-42
15-17 38-39 40-42 39-40
12-14 36-37 37-39 37-38
9-11 34-35 34-36 35-36
6-8 32-33 32-33 32-34
0-5 31 31 31

TOEFL iBTテストへ[から]のスコア換算方法

TOEFL ITPテストのスコアから、TOEFL iBTテストのスコアを推測するには、以下の表を参考にしてください。なお一般的に、北米への留学に当たって必要なTOEFL iBTテストのスコアは、一般大学レベルで61~80点、難関大学・大学院レベルで80~100点、超難関校レベルで105点以上とされています。

TOEFL ITPテスト TOEFL iBTテスト レベルの目安
640 – 677 111 – 120 超難関校レベル
600 – 637 100 – 110
577 – 597 90 – 99 難関大学・大学院レベル
550 – 573 79 – 89
一般大学レベル
527 – 547 71 – 78
500 – 523 61 – 70
467 – 497 51 – 60  
437 – 463 41 – 50  
397 – 433 30 – 40  

※この表は、TOEFL PBTテスト(リスニング・文法・リーディング)のスコアを参照して算出しています。

英検・IELTSとのスコア比較

TOEFL ITPテストのスコアが表す英語力レベルを、語学力の指標のひとつであるCEFR* を使って英検・IELTSと比較すると、下表のようになります。

CEFR TOEFL ITPテスト 英検 IELTS
C2     8.5-9.0
C1 627-677 1級合格 7.0-8.0
B2 543-626 準1級合格 5.5-6.5
B1 460-542 2級合格 4.0-5.0
A2 337-459 準2級合格  
A1   3級合格  

* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

英検は日本で馴染みのある試験なので、その級と比較すると、TOEFL ITPテストのスコアが示すレベルがつかみやすいでしょう。ただし、英検・IELTSは、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能を測定する試験ですが、TOEFL ITPテストにはライティング・スピーキングの試験がありません。したがって単純に比較はせず、あくまでも目安として参考にしてください。

日程・申し込み

TOEFL ITPテストは団体単位で申し込む試験なので、日程は主催する団体により決まります。大学や企業など、自分の所属する団体に確認しましょう。

サンプル問題

サンプル問題は、TOEFLウェブサイトからダウンロードできます。

TOEFL ITPテスト対策には、『はじめてのTOEFL ITPテスト完全対策 [改訂版]』がおすすめ!

初級者向けの対策書です。TOEFL ITPテストをはじめて受験する方が、必要な知識を効率よく身につけられるように書かれています。1回分の模擬試験に加え、リスニング、文法、リーディングという各セクションの攻略法を「傾向と解答手順」でコンパクトにまとめているので、あまり時間がない方も効率よく対策できます。本書を活用して、目標スコアを目指しがんばってください!

目標スコアへの道のり

以下では、「大学生が、短期留学の選抜のためTOEFL ITPテストを受ける」ことを例にして、目標スコア獲得までのロードマップやそれに必要な時間を示しています。個人差があり学習条件も異なるのであくまで目安ですが、学習計画の参考にしてください。

ロードマップ

1. 計画を立てる

留学希望先の大学を調べ、何点程度が目標となるのか確認しましょう。そして、TOEFL ITPテストが実施される日を確認し、その日までの日数を意識して計画を立てます。

留学に当たっては、TOEFL ITPテストのスコアが認められずTOEFL iBTテストのスコアを求められるケースが多く見られますが、以下のような場合は、TOEFL ITPテストのスコアでも認定されることがあります。
・大学内で交換留学生を選抜するなど学内選考の場合(ただし、合格に当たるスコアを設定せず、成績上位者から順に選抜することもある)
・受け入れ先の教育機関がTOEFL ITPテストのスコアを認定している場合(ただし、学部授業履修プログラムや語学力強化プログラムなど、短期留学を対象とすることが多い)

2. 今の実力を把握する

『はじめてのTOEFL ITPテスト完全対策 [改訂版]』などを解いて自己採点し、今の実力を把握しましょう。そして希望の大学へ留学するために必要なスコアとの差を確認します。あまりにも差がありすぎる場合は、志望校の変更や留学時期の延期を検討すべきでしょう。どのくらいの勉強・期間でスコアを上げられるかは、次項「平均学習時間」を参考にしてください。

3. 日常的に学習する

2. で把握した今の実力を検証して、TOEFL ITPテスト対策を日々実践しましょう。「語彙力が全般的に足りない」と思う場合は『TOEFLテスト 英単語3800[4訂版]』『TOEFLテスト 英熟語700[4訂版]』などを使って、語彙を計画的に覚えます。苦手なセクションがある場合は、リスニングなら『TOEFL ITPテスト リスニング問題攻略』、文法なら『TOEFL ITPテスト文法問題攻略[改訂版]』、リーディングなら『TOEFL ITPテスト リーディング問題攻略』などを用い、集中的に強化します。また、『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』などで問題演習を行い、時間配分や出題傾向に慣れておきましょう。

4. TOEFL ITPテストを実際に受験する

大学でTOEFL ITPテストを複数回受験できるなら、実際に受けて日頃の学習成果を確認するとよいでしょう。試験の形式や時間の配分に慣れることができます。

5. 苦手を強化しステップアップする

結果が判明したら、計画のペースで成績を伸ばせているか、伸ばせていない場合はどのセクションが弱点なのかなどを検証し、受験対策に反映させましょう。

平均学習時間

一般に、外国語運用能力の国際的な指標CEFRを1段階上げるには、指導者の下での学習が約200時間必要とされています。CEFRのレベルの1段階は、レベルにより差がありますが、A2をB1に上げるためには、TOEFL ITPテストのスコアが最大で84点程度必要です。ですからスコアを80点程度上げるために200時間の授業が必要だと考えてよいでしょう。

自習、特に書籍での自学では、もっと時間がかかると思われます。ただし、TOEFL ITPテストはスピーキングとライティングがないので、取り組みやすいテストとも言えるでしょう。TOEFL ITPテストに特化した効率のよい学習をすれば、必要時間の短縮は可能です。以下の勉強法を参考に、密度の濃い学習を心がけましょう。

勉強法

単語

TOEFL ITPテストでは、文系から理系まで多岐にわたる分野のアカデミックな語彙が頻出します。高度に専門的な用語は使われず、難しい語句には説明が加えられますが、neuroscience(神経科学)など学問の名称、suffrage(参政権)、nitrogen oxide(酸化窒素)など大学の講義・教科書で使われる基本的な学術用語は、頭に入れておくべきでしょう。mid-term(中間試験)などキャンパス用語の知識も必要です。また、リーディングの長文やリスニングの会話・講義で、同じ単語が繰り返し使用されることはほとんどなく、言い換え表現が頻出するので、同義語の知識も大事です。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFLテスト 英単語3800[4訂版]』です。TOEFL ITPテスト対策に必要な3800語を、難易度別に4段階に分けて収録しています。別冊「分野別英単語リスト」には、さまざまな分野の学術的な専門用語や基礎知識が、カッコ書きの英単語つきで載っていて、アカデミックな用語・内容を効率的に学ぶことができます。見出し語の音声は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも無料で聞くことができます。

勉強法

語彙の学習の基本は、教科書を読む中で出会った単語の意味・発音をきっちり頭に入れることです。ただ、TOEFL ITPテストは幅広い分野から出題されるアカデミックな試験なので、必要な語彙を読書によって覚えようとすると、膨大な量を読む必要が生じます。やはり、『TOEFLテスト 英単語3800[4訂版]』など専用の単語集を使い、効率よく暗記する方法を併用しましょう。見出し語とその訳語を見比べるだけではなく、付属のCDを使って、流れる音声に合わせて音読するなど、耳や口も使って覚えると、頭に入りやすくなります。赤セルを使って意味をすぐに思い出せるかテストしてみる、すきま時間があったら音声を再生して少しでも覚えるなど、繰り返したり気軽に少しずつ覚えたりする習慣をつけると、記憶がコンスタントに刺激されて定着しやすくなりますし、いつの間にか実力が蓄積されているものです。

『TOEFLテスト 英単語3800[4訂版]』を使って効果的に活用するには、旺文社リスニングアプリ「英語の友」がおすすめ! アプリを「単語モード」にすると、見出し語の音声を聞きながら、チェックボックスを使って覚えた/覚えていないを仕分けることができ、効率よく覚えられます。詳しくは、「アプリ「英語の友」の使い方と学習法:「単語モード」を使った学習法」をご参照ください。

熟語

TOEFL ITPテストでは、リーディングセクションの同義語選択問題で、熟語が出題されることがあります。リスニングセクションでは、特にPart Aで、口語的な熟語が頻出します。またリーディングでもリスニングでも、問題文や選択肢に同じ語句が繰り返し使用されることは少なく、別の表現で言い換えられることが多いので、言い換えに用いられることが多い熟語の知識が求められます。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFLテスト 英熟語700[4訂版]』です。TOEFLテスト対策(iBT・ITP)に必要な熟語・口語表現を700、厳選して収録しています。10週で全体を学習できるよう構成され、各週は1日~4日が熟語、5日めに口語表現を学べるようになっています。音声は、BGM付きの付属CD版とBGMなしのMP3版の2タイプで提供され、好みや用途に合わせて使い分けることができます。

勉強法

熟語は、前置詞の意味を分析するなど理屈で覚えようとすると、非ネイティブには納得しにくいものが多く、かえって混乱しがちです。また、単語集の見出しだけを見て覚えるやり方は、リスニングテストのときなどに出てくると、「あ、あの熟語だ」と気をとられてしまい、大意を把握できないことがあります。

おすすめなのは、何度も例文ごと聞いて頭に馴染ませるなど、文から切り離さずに覚える方法です。その例文が、どのような状況でどんな人によって言われているのかと想像をふくらませながら聞いたり、当事者になったつもりで真似して読み上げてみたりすると、記憶に定着しやすくなるでしょう。例えば out of line(協調性がない、節度を欠いている)の場合、例文のHe’s been out of line in recent meetings.(彼は、最近の打ち合わせで協調性がないね。)を、打ち合わせのメンバーの一人になったつもりで実際に発話してみましょう。暗記しやすくもなりますし、リスニングテストで耳にしたとき、状況や大意をつかみやすくなるはずです。

リスニング

TOEFL ITPテストのリスニングは、Part A、B、Cから構成されています。Part A では短い会話の要旨を聞き取る力を、 Part B では長めの会話を聞いて複数の要点を聞き取る力を、Part C では講義など長めのトークを聞いて複数の要点を聞き取る力を測定します。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFL ITPテスト リスニング問題攻略』です。TOEFL ITPテストのリスニングセクションに特化した問題集です。CHAPTER 1 では、よく出題される会話・講義のパターンをまとめており、どのようなポイントに注意すべきかを確認できます。CHAPTER 2では模擬試験を3回分収録していて、リスニングの日本語訳と詳しい解説により実戦形式の自習が可能です。CHAPTER 3では、TOEFL ITPテストのリスニングで特に重要な「口語・定型・キャンパス表現」がリスト形式でまとめられており、効率的に学習できます。

勉強法

TOEFL ITPテストのリスニングでは、北米の大学生活を想定した口語や定型表現、キャンパス用語が頻出します。『TOEFL ITPテスト リスニング問題攻略』など、TOEFLテストに特化した問題集を使い、アメリカ英語・キャンパス英語の音声を徹底して聞き込むとよいでしょう。耳を慣らすことも大事ですが、日本語訳を参照して内容や細かいニュアンスを正しく理解できているか確かめるのも重要です。スコアがいまひとつ伸びない、という場合は、スクリプトと突き合わせながら、一文ずつ、音声に合わせて読みあげてみましょう。慣れてきたらスクリプトを見ずに、音声を1、2秒遅れで真似して読んでいくシャドーイングをしてみます。このようなトレーニングを繰り返すうちに、英語の音声を聞くのと同時に内容がつかめるようになっていきます。

リスニングの学習法について、より詳しく知るには、この記事がおすすめ!
「英語のリスニング:上達する勉強法」

この記事では、リスニングの上達を妨げている要因を分析し、それぞれの要因ごとに解決法を提示しています。一段上のスコアを目指すために、ぜひ参考にしてください。

英文法

TOEFL ITPテストの文法問題で問われる文法の多くは、日本の中学校・高校で教えられる内容です。ただし、この文法問題の目的は、大学の教科書で用いられるアカデミックな英文を正確に書いたり読んだりできるかを試すことにあります。そのため問題文には、幅広い分野の学術的な英文が使われる傾向があります。それらの1文としては長めで構造が複雑な英文を読み、その中に使われている文法を判別して、必要な要素を補充したり、誤りを見つけたりできる力が問われます。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFL ITPテスト文法問題攻略[改訂版]』です。よく出るポイントと解くコツを詳細に解説してあり、さらに本番形式のPractice Testを5セット解くことによって、知識を定着させることができます。また、文法の力は英語の基礎となるので、本書を通じた学習は単なる試験勉強にとどまらず、英語力そのものの向上にも役立ちます。

勉強法

文法問題に苦手意識のある人の場合は、まず、簡単な文法書を最初から最後まで通して読んでみましょう。『TOEFL ITPテスト文法問題攻略[改訂版]』のCHAPTER 1には、最低限必要な事項がまとめてありますから、これを読み、忘れているところや理解できないと感じるところがあったら、文法書の対応する項目を読むという方法でもいいでしょう。それから問題集を解いてみて、理解できるなら制限時間内に解くトレーニングを重ね、なぜ間違えたのか理解できない場合は、文法書にもう一度戻って解説をじっくり読むといいでしょう。

文法の知識に自信のある人は、『TOEFL ITPテスト文法問題攻略』『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』などで、本番形式の問題を数多く解き、出題パターンに慣れるようにしましょう。TOEFL ITPテストの文法問題は、計40問を25分で解かなければならない上、問題文が比較的長く、難解なのが特徴です。したがって短時間で英文の大意をつかみ、文法を見極めて解答できるよう、制限時間を守って解いてみるトレーニングを積むとよいでしょう。

リーディング

TOEFL ITPテストのリーディングでは、250語~350語程度の英文を5つ読み、それぞれにつき10問、計50問の問題に答えます。英文は、幅広い分野のアカデミックな内容ですが、専門的な知識がなくても読めるよう、必要な情報は文中で与えられています。設問には、同義語を選ぶ問題や代名詞が指す内容を問う問題のほか、書かれている内容の細部についての問いや、文章全体の主旨を問う質問などがあります。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFL ITPテスト リーディング問題攻略』です。リーディングセクションでよく出題される10の問題パターンを挙げ、それぞれのパターンについて、例題を使って解き方、ポイント、学習アドバイスを解説しています。CHAPTER 2では、リーディングの模擬試験を3回分収録してあり、本番形式の演習の数をこなすことができます。本書を活用して、目標スコアを目指してがんばってください!

勉強法

TOEFL ITPテストのリーディング問題攻略のコツは、『TOEFL ITPテスト リーディング問題攻略』『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』などを使い、本番形式の問題を制限時間内に解く訓練を重ねることです。文章の難度が高く、じっくり取り組んでいると時間が不足してしまうので、パッセージの構成を念頭において読み大意をすばやくつかむ、語彙問題は短時間で解くなど、時間配分のコツを身につけましょう。

また、ボリュームのあるアカデミックな英文を時間内に読み切るには、速読の訓練が欠かせません。長文読解に自信がある人は、英語の学術雑誌を購読するなど、一定量を読むことを日課にするとよいでしょう。雑誌では読み切れない、速読だと意味が理解できない、という人は、『TOEFL ITPテスト リーディング問題攻略』などTOEFL ITPテスト用の問題集を使い、本番に近い内容・量の英文を、繰り返し読むことがおすすめです。

予想問題

TOEFL ITPテストは、約2時間に及ぶテストです。冒頭のリスニング・Part Aから短い会話文の聞き取りが出題されるなど、集中力を求められます。さらに続く文法問題、リーディング問題は時間との戦いになるので、心身共にハードな内容です。高スコアを目指すには、予想問題を解いてみて、時間配分のコツをつかみ、出題形式にも慣れておくことが大事です。

参考書

おすすめの参考書は、『はじめてのTOEFL ITPテスト完全対策 [改訂版]』と、『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』です。『はじめてのTOEFL ITPテスト完全対策 [改訂版]』は、1回分の模擬試験に加え、リスニング、文法、リーディングという各セクションの攻略法を「傾向と解答手順」でコンパクトにまとめてあります。『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』は、2回分の模試を収録しています。また、30分ずつ解く場合のマークも入っているので、まとまった時間が取れない場合でも、制限時間内で時間を割り振る要領をつかめます。

勉強法

模擬試験を解くときは、できるだけ本番に近い環境・心構えで行うことが大事です。「練習だから」と時間をたっぷりかけて解いたり、リスニングを何度も聞いたりしていると、本番では時間が限られているので、実力を発揮できないかもしれません。付属のマークシート式解答用紙を使い、制限時間を守って取り組みましょう。その方が、「聞き取れなかったリスニング問題はすっぱりあきらめ、次の問題に集中する」「難しい問題は、正答らしい選択肢をとりあえずマークし、先へ進む」など、スコアを少しでも上げるタイムマネージメントのテクニックを身につけられます。

模擬試験を解き終えたあとは、解きっ放しにせず、答え合わせをしましょう。スコアを見るだけでなく、自分の弱点を分析することが大事です。例えば、同義語を選ぶ問題でミスが目立つなら、『TOEFLテスト 英単語3800[4訂版]』などを使って語彙力を強化するとよいでしょう。文法問題は、比較的短時間でスコアアップを見込めるセクションです。ですから、本番までの日数が少ない場合は『TOEFL ITPテスト文法問題攻略』を繰り返し解き、文法の知識を固めることをおすすめします。

『はじめてのTOEFL ITPテスト完全対策 [改訂版]』『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』の音声は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも聞くことができます。手軽に聞いて耳を慣らすほか、「3秒戻し機能」や「再生速度変換機能」を駆使してリスニング力を向上させることも可能です。詳しくは、当サイト内の記事「アプリ「英語の友」の使い方と学習法」をご参照ください。

当日の試験対策

当日は、試験の開始を落ち着いて待てるよう、時間に余裕を持って試験会場へ入りましょう。

持ち物は、一般的には、
・必要事項を記入したAdmission Form
・身分証明書(写真付き)
・黒色鉛筆と消しゴム
です。

ただしTOEFL ITPテストは、企業・学校など団体単位で実施する試験であるため、持ち物や以下の当日の流れなどは、団体ごとに違う可能性があります。詳細は所属団体へ確認してください。

当日の流れ

当日は、以下の順で各セクションのテストが実施されます。試験時間はトータルで約115分です。

セクション 試験時間
1 リスニング 約35分
2 文法 25分
3 リーディング 55分

一般的には、セクションの間に休憩はなく、試験についての指示は英語でなされます。また、リスニングの間は問題冊子の余白部分にメモを取ることができるとされていますが、実施団体により対応が異なる場合もあります。詳細は所属団体に確認してください。

セクション1:リスニング(Listening Comprehension)

問題構成

パート 内容 設問数
Part A 2人の話者がそれぞれ1回ずつ発言する短い会話を聞き、質問に答える。 30問
Part B 男女2人による6~8往復の会話を聞き、複数の質問に答える。 8問
Part C 話者1人による1~2分程度の講義を聞き、複数の質問に答える。 12問

いずれの問題も、音声が放送されるのは1回だけです。会話や講義のあとに質問が流れるので、4つの選択肢から1つを選んで解答します。解答時間は13秒で、それを経過すると次の問題の音声が流れ始めます。

Part A では、学校生活についての悩みを語る、宿題について相談するなど、キャンパス生活を想定した話題が主に取り上げられます。学生同士の会話がほとんどですが、教職員や店員との会話が出題されることもあります。

Part B では、男女2人による約200~300語程度の会話が交わされます。会話は2つで、会話の放送後、1会話につき3~5問ずつ計8問の Question が放送されます。トピックは、学生同士で学校生活についての情報をやりとりする、学生が教授に専門分野について相談するなど、キャンパスを想定したものが主体です。

Part C では、通常、教授による約200~300語程度の講義が取り上げられます。ガイドによる博物館での解説など、キャンパス外の内容であることもあります。トピックは歴史、芸術、生命科学、テクノロジーなど多岐にわたりますが、基本的には学術的な内容で、論理的な構成です。

例題

会話

例題:
(問題冊子に記載される選択肢)
(A) Mike will be using that seat.
(B) There is no more room in the class.
(C) The seat is available.
(D) The man should use the seat in front instead.

(放送文)
M: Excuse me, is anyone sitting here?
W: Go ahead. Mike isn’t going to make the class today.

Question: What does the woman mean?

『TOEFL ITPテスト リスニング問題攻略』より)

答え:C

講義

例題:
(問題冊子に記載される選択肢)
(A) To show how it influenced American Sign Language.
(B) To show that sign language has existed in America for a long time.
(C) To show that sign language was brought to America from France.
(D) To show that sign language was difficult to learn.

(放送文)
Listen to a professor giving a talk about sign language.

  Some of you here might know sign language, but how many of you know how sign language got started in America? In North America, forms of sign language have existed for hundreds of years. Native Americans used it before the arrival of Europeans to communicate between tribes with different languages. However, the system of sign language in common use today in the U.S. wasn’t developed until the 19th century. It’s called American Sign Language, or ASL, and it started in Hartford, Connecticut.

Question: Why does the professor mention Native American sign language?

『TOEFL ITPテスト リスニング問題攻略』より抜粋)

答え:B

解き方、コツ

会話

Part A は、うっかりしているとあっという間に会話が終わってしまいますから、集中して聞くようにしましょう。会話の冒頭は、特に重要です。第1話者が Excuse me? と話し始めたなら、何かを質問したり頼んだりする会話であることが想定できますし、それに対する第2話者の返事も、冒頭をしっかり聞き取れれば大意を把握できることが多いものです。

Part B では、話題の展開を推測しながら詳細な情報を聞き取る必要があります。5W1H(Who、When、Where、What、Why、How)の疑問詞が聞こえたら、特に注意して、その答えを聞き取りましょう。

講義

Part C はアカデミックな講義なので、論理的な構成であることがほとんどです。ですから、まずは冒頭に注意して、主題をしっかり聞き取りましょう。学術用語や抽象的な話題で「難しい」と感じる文が聞こえた場合は、そのあとに具体例などで噛み砕いて説明されることが多いので、あきらめずに聞き続けることが大事です。

セクション2:文法(Structure and Written Expression)

問題構成

 パート 内容 設問数
Structure 空所のある短い英文を読み、空所に入る語句を選ぶ。 15問
Written Expression 短い英文の4箇所の下線部のうち、誤りのあるものを選ぶ。 25問

セクション2 の「文法」は、Structure と Written Expression から構成されています。Structure は15問で、空欄のある文を読み、選択肢から空欄にふさわしい語句を選びます。Written Expression は25問で、英文中の文法的誤りを見つける問題です。それぞれの英文には、下線を引かれた語・句が4つあり、その中の1つが誤りとなっています。

このセクションでは、計40問を25分で解く必要があります。文法・語彙の問題は知識を問う出題が多いので、悩んでも正答に近づける可能性はあまりありません。わからない場合はある程度の類推から選択肢を絞り込んで解答し、速やかに次の問題へ進みましょう。目標解答時間は Structure のパートを8分、Written Expression を15分とし、2分程度を見直しに当てるとよいでしょう。

例題

Structure

例題:
By the 1980s, large American investment firms had a significant ------- on mathematicians, physicists and computer scientists to evaluate stocks.

(A) depend
(B) dependence
(C) dependent
(D) dependently

『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』より)

答え:B

Written Expression

例題:

『TOEFL ITPテスト本番模試[改訂版]』より)

答え:C

解き方、コツ

Structure

TOEFL ITPテストの文法は、挿入句がある、関係代名詞が使われるなど、構造の複雑な英文が多く見られます。慌てず落ち着いて、主語と動詞をまず見極めましょう。主語が単数か複数かを意識するだけで、対応する動詞を見つけやすくなります。

選択肢に知らない単語が多い場合は、スペルから品詞・意味を推測する方法もあります。例えば、語尾に ly がついているから副詞だろう、dependence の意味がわからないけれど depend(頼る)と関係がありそうだ、などと考えるのです。

Written Expression

動詞に下線が引かれていたら、その主語と数・活用・時制が合っているかチェックしましょう。名詞の場合は、単数か複数かを誤っていないか、意味が不自然でないかがポイントです。主節の動詞以外の動詞を文中に見つけたときは、その数・活用・時制に着目し、その用法を判別して誤りがないか確認しましょう。

セクション3:リーディング(Reading Comprehension)

問題構成

TOEFL ITPテストのリーディングでは、5つのパッセージを読み、1パッセージにつき10問程度、計50問の問題に答えます。1つのパッセージの量は250語~350語で、解答時間は55分です。

英文の内容は、大学の教科書のような、諸分野の入門書の抜粋が多く、ジャンルは文系から理系まで多岐にわたります。学術用語が頻出し、語彙のレベルはかなり高度です。ただし、専門知識がないと答えられない出題はなく、専門用語にはたいてい解説や言い換えが添えられて、英語力があれば理解できる内容となっています。

例題

例題:

1. What is the purpose of the first paragraph?
(A) To discuss a controversial issue
(B) To define a medical term
(C) To present a solution to a problem
(D) To explain the causes of a condition

2. The word “resistant” in line 8 is closest in meaning to
(A) immune
(B) difficult
(C) quarrelsome
(D) angry

『TOEFL ITPテスト リーディング問題攻略』より抜粋)

答え:1. D 2. A

解き方、コツ

英文の量が多く、内容も難解なので、時間との戦いになります。始めに設問に目を通し、問われている点を把握した上で読み始めるとよいでしょう。各パラグラフのキーセンテンスだけを拾い読みして大意をつかむのもよい方法です。

また、同じ単語が繰り返し使われることはほとんどなく、たいていは同義語や別の表現で言い換えられます。「パッセージと同じ単語がある」という理由で選択肢を選ぶのは避けましょう。一方、難解で読みにくい箇所があっても、前後の言い換え表現と照らし合わせることで意味を類推できることがあります。

まとめ

TOEFL ITPテストの全体像が把握できたでしょうか? TOEFL ITPテストは、英語試験として国際的に利用されているTOEFLテストの一つであり、それを受けることは、自分の英語力を世界基準で把握するのに役立ちます。交換留学などTOEFL ITPテストのスコアを留学に使えるケースもあるので、所属団体がTOEFL ITPテストを実施しているなら、受けてみるとよいでしょう。語彙のレベルが高い、内容がアカデミックなど、容易な試験では決してありませんが、出題パターンがある程度限られているので、しっかり対策すればスコアは着実に上げられます。地道な学習を日々続けて、目標のスコアを勝ち取ってください!