この記事では、英語試験TOEFL(トーフル) iBTテストについて解説しています。まず試験内容や出題の形式など、TOEFL iBTテストの概要を説明します。それから目標とすべきスコアや、出題傾向に合わせた勉強法を詳述します。最後に当日の試験対策を、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの技能ごとに解説します。TOEFL iBTテストを受験しようと思っている方、留学を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2024年4月時点の情報に基づいています。受験の際は、TOEFLウェブサイトで最新情報をご確認ください。

※TOEFL iBTテストは、2023年7月26日から問題数が減り、試験時間が約1時間短縮されたほか、ライティングの問題のうち1問の問題形式が変更されました。本記事で紹介したTOEFL iBT対策書には、変更前の問題数・時間に基づいているものがあります。ご利用の際は、旺文社公式サイト「TOEFL iBTテスト 試験時間・問題数変更のお知らせ」をご確認ください。

TOEFL iBTテストとは

TOEFLとは、Test of English as a Foreign Language の略です。この記事では、「TOEFL iBTテスト(TOEFL Internet-based Test)」について解説します。大学・企業など団体向けの「TOEFL ITPテスト(TOEFL Institutional Test Program)」とは異なる試験なのでご注意ください。

TOEFL iBTテストは、アメリカに拠点を置く非営利テスト開発機関 Educational Testing Service(ETS)が開発した英語試験で、北米の大学への留学を志す人を主な対象としています。そのスコアは北米だけでなく、160 を超える国々の12,000以上の大学や機関で、英語力の証明として受け入れられています。このテストでは、アカデミックな内容や場面で使われる英語が中心となっています。日本では、ETS Japan が運営に当たっています。

受験の際は、テストセンターで1人1台のパソコンを割り当てられます。リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能をすべてコンピュータ上で測定します。テスト当日には、身分証明書が必要です。

受験する意義

留学を希望する場合、TOEFL iBTテストの受験を検討すべきでしょう。TOEFL iBTテストのスコアは留学の際に求められる英語力の証明として、世界的に採用されているからです。また、その受験対策を通じて、留学後のキャンパスライフや学業で必要な語彙・表現も身につけられます。

高校生の場合、TOEFL iBTテストの成績を大学入試に利用できることがあります。英語外部検定利用入試*を行っている大学のうち、TOEFL iBTテストを採用している大学の割合は、2022年度一般入試で80%(旺文社教育情報センター調べ)に達しています。志望大学がTOEFL iBTテストを入試に利用している場合、そしてまた将来留学を考えている場合は、TOEFL iBTテストの受験を検討してもよいでしょう。

*英検、TOEFL iBTテストなど、外部の英語資格・検定試験の結果を利用した大学入試のこと。

IELTSとの違い

IELTS(アイエルツ)も留学に利用できる英語試験であり、大学での講義や教授との相談などの話題が多く扱われます。IELTSの特徴は、イギリスやイギリスと歴史的に関係の深い国々(オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど)の教育機関で広く利用されていることです。特にイギリスでは、留学先の大学がTOEFLテストを入学書類として受け付けているなどの例外を除き、TOEFLテストのスコアを学生ビザ申請に使用できません。したがってイギリスの大学への留学を希望する場合は、IELTSを受けた方がよいことが多いので、留学先の条件をよく確認しましょう。

一方、TOEFL iBTテストは、北米への留学を主要な目的としています。北米にはIELTSを認定していない教育機関もあるため、留学先が北米であればTOEFL iBTテストの受験を第一に考えましょう。

試験内容

TOEFL iBTテストは、以下のような構成になっています。

セクション 試験時間 設問数
リーディング 35分 2題
(各10問)
リスニング 36分 講義3題(各6問)
会話2題(各5問)
スピーキング 16分 4課題
ライティング 29分 2課題

試験時間は約120分です。

試験はすべてコンピュータを使って行われ、標準の英語キーボード(QWERTY配列)が使用されます。メモ用紙と筆記用具が提供され、試験中はいつでもメモを取ることができます。

スコア

TOEFL iBTテストのスコアは、4技能がそれぞれ30点で120点満点です。TOEFL iBTテストのスコアが表す英語力のレベルを、語学力の指標CEFR*を使って以下に表で示しました。TOEFL iBTテストとしばしば比較される英語試験IELTSは、成績を0から9.0までの0.5刻みのバンドスコアという指標で表します。TOEFL iBTテストとIELTSのバンドスコア、および英検との対照関係も、参考として表示しています。

CEFR TOEFL iBT IELTS 英検
C2   8.5-9.0  
C1 95-120 7.0-8.0 1級合格
B2 72-94 5.5-6.5 準1級合格
B1 42-71 4.0-5.0 2級合格
A2     準2級合格
A1     3級合格

(大学入試センターの公開資料を基に作成)

なお、2019年8月1日以降に発行されるすべてのTOEFL iBTテストスコアレポートに、「MyBestスコア」が表示されるようになりました。これは、受験した回の試験結果だけでなく、受験者が過去2年間に取得した有効なTOEFL iBTテストスコアの中から、各セクションの最も高いスコアを組み合わせて表示するものです。MyBestスコアを利用するかは、受け入れ先の機関の方針によりますが、このスコアの導入により、受験者にとって、大学の志望先の出願(スコア)要件を満たすチャンスが増えることなどが期待されます。 

* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。A1/A2レベルは「基礎段階の言語使用者」、B1/B2レベルは「自立した言語使用者」、C1/C2レベルは「熟達した言語使用者」であるとされています。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

問題内容

リーディング

アメリカの大学で使われる教科書レベルの、学術的な文章の抜粋を読んで質問に答えます。内容は生物学、医療、天文、経済、歴史など、文系から理系まで多岐にわたります。宗教の話や小説など主観にかかわる文章や、高度に専門的な語彙は出題されません。答え方のパターンは、4つの選択肢から1つを選んでクリックするのが基本ですが、パッセージに文を挿入したり、選択肢をドラッグしたりするものもあります。

語数は、1パッセージ当たり700語程度です。パッセージの数は2つ、試験時間は35分です。

リスニング

講義やディスカッション、キャンパスを舞台にした会話などが、ナチュラルスピードで1回だけ再生されます。北米英語がほとんどですが、イギリス・オーストラリア・ニュージーランド英語であることもあります。講義の場合は、文系から理系まで幅広い内容が扱われます。会話では paperを 「紙、新聞」ではなく「レポート、論文」の意味で使うなどの大学特有の表現が頻出します。答え方のパターンは、4つの選択肢から1つを選んでクリックするのが基本ですが、選択肢ごとに Yes か No をチェックするタイプや、答えを2つ選ぶものもあります。

テストは、会話2題(各5問)と講義3題(各6問)の組み合わせで行われます。試験時間は36分です。音声はすべて、コンピュータに付属しているヘッドホンから流れます。

スピーキング

スピーキング問題には、スピーキング力だけを測定する Independent task と、リスニング力やリーディング力も測る Integrated task があります。4課題のうち、No. 1は Independent task で、「大学生がキャンパス内に住むよう義務づけられることに賛成か」など、受験者自身の意見を理由を挙げて説明することを求められます。No. 2~No. 4は Integrated task で、講義や会話を読んだり聞いたりした上で、会話・授業の要約を述べることを要求されます。

各課題につき、15~30秒の解答準備時間を与えられます。解答時間は45~60秒です。マイク付ヘッドホンを着用し、解答を吹き込む(録音する)形式で受験します。

ライティング

ライティング問題には、学術的な文章を読み、関連する講義を聞いて答える Integrated task と、教授の質問と学生のオンラインのやりとりを読んで答える Academic Discussion task があります。

ライティングは、標準の英語キーボード(QWERTY配列)を用い、タイプで入力します。

日程・申し込み

TOEFL iBTテストの試験日は、年に50日程度、土曜、日曜に設けられています。テスト日は、TOEFLウェブサイトで確認できますが、全ての会場で実施されるとは限りません。複数回受験する場合は、間に3日間空ける必要があります。テストセンターの所在地は、北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄です。

TOEFL iBTテストの受験にはTOEFLウェブサイトで、My TOEFL Homeという個人専用アカウントページを作成する必要があります。希望のテスト日に空席があるかなどの最新情報は、このMy TOEFL Homeから確認できます。受験料は通常申し込みの場合245米ドルです。

サンプル問題

サンプル問題は、TOEFLウェブサイトで見ることができます。

 TOEFL iBT対策には、『はじめてのTOEFLテスト 完全対策』がおすすめ!
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目標設定

TOEFL iBTテストのスコアは、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの各技能につき30点が割り当てられ、満点は120点です。スコアレポートには、各技能それぞれのスコアと総合スコアが記されます。

アメリカへ留学する場合、一般的な大学では61~80点、難関大学や大学院では80~100点が目安とされています。例えば、MITと呼ばれる名門マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)は最低90点、推奨スコアを各技能23点以上、総合100点以上としています。アイビーリーグと呼ばれる有名大学などの場合、大学が最低スコアを設定していなくとも留学希望者間の競争が激しく、結果として入学者のスコアの平均が100点以上となることも珍しくありません。

なお、ETSの「Test and Score Data Summary for the TOEFL iBT Tests」によると、2022年度において、全世界の受験者の平均スコアは、リーディング22.8点、リスニング23.0点、スピーキング20.9点、ライティング21.7点、総合88点となっています。対して、日本語を母語とする受験者の平均スコアは、リーディング19点、リスニング19点、スピーキング17点、ライティング18点、総合73点です。

目標スコアへの道のり

以下では、TOEFL iBTテストの目標スコアを獲得するまでのロードマップや、それに必要な時間の一例を挙げています。個人差があり学習条件も異なるのであくまで目安ですが、学習計画の参考にしてください。

ロードマップ

1. 留学に向けて計画を立てる

留学したい大学を調べ、その大学へ入るために必要なスコアを把握します。いつ留学するのか、そのためにはいつまでにスコアを取得する必要があるのかも含めて、計画を立てましょう。

2. 今の実力を把握する

『はじめてのTOEFLテスト 完全対策』などを解いて自己採点し、今の実力を把握しましょう。そして希望の大学へ留学するために必要なスコアとの差を確認します。あまりにも差がありすぎる場合は、志望校の変更や留学時期の先送りを検討してもよいでしょう。どのくらいの勉強・期間でスコアを上げられるかは、次項「平均学習時間」を参考にしてください。

3. 日常的に学習する

2. で把握した今の実力を検証して、TOEFL iBTテスト対策を日々実践しましょう。「語彙力が全般的に足りない」と思う場合は『TOEFLテスト 英単語3800』『TOEFLテスト 英熟語700』などを使って、語彙を計画的に覚えます。スピーキングが弱い場合は『TOEFLテスト スピーキング問題』で基本知識や解答の組み立て方を学ぶ、ライティングが苦手な場合は『TOEFLテスト ライティング問題100』でエッセイの型を学習する、などの方法があります。また、『TOEFL iBTテスト 本番模試』などで問題演習を行い、出題傾向に慣れておきましょう。

4. TOEFL iBTテストを実際に受験する

金銭的・時間的余裕があったら、実際にTOEFL iBTテストを受けて日頃の学習成果を確認するとよいでしょう。仮に志望留学先が70点以上のスコアを要求していて、現時点でのあなたのスコアが60点だったとしたら、スコアが低い技能を伸ばすように努めましょう。

平均学習時間

一般に、外国語運用能力の国際的な指標CEFRを1段階上げるには、指導者の下での学習が約200時間必要とされています。CEFRのレベルの1段階は、TOEFL iBTテストのスコア20~30点に相当しますから、スコアを20~30点上げるために200時間の授業が必要だと考えてよいでしょう。

自習、特に書籍での自学では、もっと時間がかかると思われます。ただし、TOEFL iBTテストに特化した効率のよい学習をすれば、必要時間の短縮は可能です。以下の勉強法を参考に、密度の濃い学習を心がけましょう。

勉強法

単語

TOEFL iBTテストでは、リーディング・セクションで語彙問題が1パッセージにつき1、2問あります。また全般的に、大学での講義や教科書で使われるレベルのアカデミックな語彙が頻出します。高度に専門的な用語は使われず、難しい語句には説明が加えられますが、例えばneurology(神経学)、archaeology(考古学)など学問名や、carbon dioxide(二酸化炭素)、Civil War(南北戦争)など基本的な学術語は、読んだり聞いたりしたときすぐ理解できるレベルに馴染んでおく必要があるでしょう。加えて、required(必修の)、optional(選択の)などのキャンパス用語や、dormitory(寮)を略したdormなどの大学特有の口語表現も使われます。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFLテスト 英単語3800』です。TOEFL iBTテスト対策に必要な3800語を、難易度別に4段階に分けて収録しています。別冊「分野別英単語リスト」には、学術的な語句や各分野についての基本的な知識がまとめられていて、TOEFL iBTテストで出題されるアカデミックな内容を効率的に学ぶことができます。見出し語の音声は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも無料で聞くことができます。

勉強法

語彙学習の基本は、教科書や参考書などで読んだ英文の中の語句をきっちり覚えることです。ただし、限られた時間の中で効率的に学ぶにはコツがあります。

まず、参考書は『TOEFL iBTテスト 本番模試』など、TOEFL iBTテストに特化したものを選びましょう。TOEFL iBTテストはアカデミックな英語力を測る、傾向のはっきりした試験なので、専用の問題集を使うことが一番の対策になります。そして、問題を解いて答え合わせをするだけではなく、素材の英文を使って単語の知識を整理しましょう。例えば、リーディング問題のトピックがAmerican history(アメリカ史)だったとしたら、文中からPre-Columbian Era(先コロンブス期)、American Revolution(アメリカ独立革命)、autonomy(自治、自治権)など関連する語句を抜き出して、まとめて覚えると効率的です。それらの語句をノートに書き込めば、トピックごとに内容のまとまった、自作の単語帳にもなります。

次におすすめなのが、『TOEFLテスト 英単語3800』など、TOEFL iBTテスト向けの単語集を使った勉強法です。英文を読むことだけを通して覚えようとすると、膨大な量を読まなければなりません。ですから単語集などを使って効率よく頭に入れていきましょう。『TOEFLテスト 英単語3800』には、TOEFL iBT61点前後までの単語、80点前後までの単語、100点前後までの単語、105点超の単語と、単語が4つのランクに分けて収録されているので、目標スコアに合わせて単語を覚えることができます。付属のCDを使って、流れる音声に合わせて音読する、聞こえた単語の意味をすぐに思い出せるかどうかテストしてみるなど、耳や口も使って覚えると定着しやすくなります。

『TOEFLテスト 英単語3800』の見出し語は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」の「単語モード」を使うと効果的に覚えられますよ! 詳しくは、「アプリ「英語の友」の使い方と学習法:「単語モード」を使った学習法」をご参照ください。

熟語

TOEFL iBTテストでは、リーディング・セクションで語彙問題が1パッセージにつき1、2問あり、これらの中には熟語を問うものも含まれています。またリスニング・セクションの会話部分では、make sense(筋が通っている、わかる)など、口語的な熟語が使われます。したがって、キャンパスや教室で使われるような熟語や定型表現は覚えておく必要があります。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFLテスト 英熟語700』です。TOEFL iBTテスト対策に必要な熟語と口語表現を700、厳選して収録しています。10週で勉強できるよう構成され、各週は1日~4日が熟語、5日目が口語表現、週末が復習のReview Questionsとなっていて、効率的に学習できます。見出し語の音声は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも無料で聞くことができます。

勉強法

語彙学習の基本は、教科書や参考書などで読んだ英文の中の語句をきっちり覚えることです。しかし、文中に現れる頻度が単語より少ない熟語を、長文読解を通してだけで覚えようとするのは非現実的です。『TOEFLテスト 英熟語700』などの参考書を使い、赤セルを使って見出し語を覚えたり、付属音声に合わせて例文を読み上げたりして、記憶していきましょう。

参考書などで目にした口語表現を身につけるには、実際に使ってみるのが一番です。留学生の友達と話してみたり、スカイプやチャットなどで使ったりすると身につきます。間違えて笑われたり訂正されたりする経験は、記憶にしっかり残るので、口語を覚えるチャンスだとポジティブに受け止めましょう。会話する機会がない場合は、アメリカの映画やテレビドラマを見て、どのようなときに使われているかチェックするという方法があります。大学を舞台にした学園ものが、キャンパスの様子や大学生活にかかわる用語を知ることができておすすめです。ただし、TOEFL iBTテスト本番のスピーキング・セクションでは、口語を多用してカジュアルすぎる話し方にならないよう注意しましょう。

英文法

TOEFL iBTテストでは、文法の知識のみを問う出題はありません。しかし当然ながら文法の知識は、リーディングやリスニングにおいて内容を正確に理解するために必須です。また、スピーキングとライティングでは、文法の適切さ・豊富さも採点されます。したがって高校までで習うレベルの基礎的な文法は、確実に身につけておく必要があります。また、スピーキングとライティングでスコアを上げるためには、文法ミスをしないだけでなく、多彩な文型を使ったり、文を接続詞や関係代名詞、分詞構文などでつないだりなど、文法を使いこなす技量が求められます。

参考書

おすすめの参考書は、『English Grammar in Use(for Intermediate Learners of English)』(Cambridge University Press)です。CEFRのB1~B2(TOEFL iBTスコアの42~94点相当)の学習者を主な対象とした本で、文法を使って英語のコミュニケーション力を上げることを目的とした、世界的なロングセラー文法書です。解説を英語で読むのはつらいという方には、翻訳版の『マーフィーのケンブリッジ英文法(中級編)』があります。

勉強法

必要な文法が身についているかどうか、自信のない人はまず、高校の教科書をしっかり読む、『English Grammar in Use(for Intermediate Learners of English)』などで演習をするなど、基礎固めから始めましょう。それが済んだ人や、文法力に自信がある人は、『TOEFL iBTテスト 本番模試』など実戦形式の問題集を、文法学習という観点からやってみることがおすすめです。具体的には答え合わせの後、リーディングやリスニングの素材の英文を、日本語訳と漫然と見比べるだけでなく、「ここは debated ではなく have debated と現在完了形になっている」などと文法に注目して、「だから『論争してきた』という日本語訳で、継続性を表しているのだな」と、文法がもたらすニュアンスの違いを確認するのです。スピーキングやライティングの問題をやってみた後は、自分の解答と模範解答を比較してみて、「自分は意見を言うとき、I think や I believe ばかり使っているけれど、模範解答は People should . や It is for X to do など、バラエティに豊んだ表現を使っている」などと分析します。最終的には、複雑な構造の長文でも意味を即座に正しく把握できることや、文法の知識をいかして自分の表したい内容を正確に表現したスピーキング、ライティングができることを目標にしましょう。

リーディング

TOEFL iBTテストではアメリカの大学の教科書レベルの、学術的な語彙を用いた論理的な文章を読んで理解する力が求められます。分量は各パッセージ700語程度です。35分の試験時間でパッセージを2つ読み、各パッセージにつき10問の問題に解答するので、大意をすばやくつかむスキルと、求める情報を速やかに見つけるスキルがカギになります。英文の内容は文系から理系まで幅広く、理系では語彙の難度も高いので、学問のさまざまな分野について、大学の一般教養科目レベルの知識があるとよいでしょう。

参考書

おすすめの参考書は、『TOEFLテスト リーディング問題270』です。「文化」「地理」「医学」など、TOEFL iBTテストに頻出する17の分野のパッセージを収録しており、読解力だけでなく一般教養も学ぶことができるのが特長です。短めのパッセージの読解問題を多くこなして、読解の基礎やTOEFL iBTテストのリーディング攻略法を身につけた上で、本番形式の問題を解く構成になっており、リーディング力を着実に練成できます。仕上げにWeb特典で、本番同様の模擬試験を体験して、自信をつけましょう。

勉強法

TOEFL iBTテストのリーディングでは、高度な内容の分量もある英文を、時間内に読み切らなくてはいけません。したがって速読が必要になります。まずは「スキミング」と呼ばれる、要点を拾いながら全体をざっと読む速読をしましょう。頭から正確に全部理解しようとすると時間が足りなくなりますし、論理的な構成の文章なので、初見ではわからなかった箇所も読み進むと類推できたりするからです。for instance (例えば、…)で始まる文は例示なので軽く読む、分詞構文の後に続く主節には注目するなど、メリハリをつけて読むトレーニングを積みましょう。スキミングの次には「スキャニング」と呼ばれる、求める情報だけを捜し出す速読が必要です。設問を読んでその内容を理解してから、本文中をスキャニングして関係のある箇所を見つけ出しましょう。TOEFL iBTテストのリーディングでは、According to paragraph 2, (第2パラグラフによれば、…)など、当該段落を明示している設問が一定数あり、また全体の主旨を問う問題以外は、設問で問う内容が本文の段落に対応して順番に出題されます。ですから当該箇所の周辺をすばやくスキャニングして、ポイントになる固有名詞や数字、正答と思われる選択肢の語句を言い換えた表現などを見つけましょう。そしてその前後を入念に読み、選択肢を絞り込みます。スキミングもスキャニングも一朝一夕にはできないので、演習を重ねて身につけましょう。

ただし、速読ばかりをしていると、正しい読解が実はできておらず、「読めているつもりなのに、スコアが伸びない」という事態に陥る可能性があります。ですから答え合わせをするときは、精読を心がけましょう。具体的には、英文を1文1文、「どこがSで、どこがVだろう」「急に過去形が出てきたけれど、どういう時系列だろう」などと、精密に分析し理解するのです。難しい語彙が多すぎて混乱してしまう場合は、あらかじめ語彙を整理して頭に入れてから、しっかり読み返しましょう。仕上げには、内容が理解できるくらいの遅めのペースで、何度も音読することがおすすめです。語彙が定着し、英文の語順や英語特有の発想にも頭が馴染み、ついでにスピーキングの練習にもなって一石二鳥です。

リスニング

TOEFL iBTテストでは、講義の内容や大学生活での会話を、大意だけでなく要点までしっかり聞き取る力が求められます。文系から理系まで幅広い分野のアカデミックな話題が取り上げられるので、頻出する学術用語や、5分ないしそれ以上の長さの会話やモノローグ、あるいは複数人によるナチュラルスピードのディスカッションなどに圧倒されない聴解力が必要です。また、キャンパス特有の語彙や話題も頻出します。

参考書

おすすめの参考書は『TOEFLテスト リスニング問題』です。4つのCHAPTERで構成されており、まずリスニングの基礎を学び、次に練習問題を解き、それから2回分の模試を体験して仕上げる、と順を追ってステップアップできます。Webで模試体験ができるので、TOEFLのリスニング問題を体験し慣れることも可能です。また音声を、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも聞くことができるので、効率的な学習や手軽なトレーニングにも役立ちます。

勉強法

TOEFL iBTテストのリスニング対策には、まず、大学特有の用語や表現を聞き慣れることが大事です。GPA(Grade Point Average、成績平均点)や grant(奨学金)などの独特の語彙を知っておくだけでなく、credit を「単位」、minor を「副専攻」という意味で使うなど、一般社会とはやや異なる言い回しを覚え、さらに馴染んでおく必要があります。『はじめてのTOEFLテスト 完全対策』の「キャンパスで使う英語」の音声を聞き込んだりシャドーイングしたりして、習熟しておきましょう。

また、TOEFL iBTテストのリスニングの特徴は、ノートテイキングに熟達していると有利であることです。繰り返し現れそうな単語は、例えば psychology(心理学)なら P、environment(環境)を E などと頭文字を大文字で書いたり、negative を×、positive を○と表記したりなど、自分なりのルールを編み出し、要点をすばやくメモできるよう訓練を重ねましょう。その素材には、『TOEFLテスト リスニング問題』中の英文がおすすめです。アメリカの非ネイティブ向けの国営放送VOA(Voice of America)や講演会「TED」の動画などにチャレンジしてみるのもいいでしょう。数をこなすうちに、自分流の技術が洗練され、さらに、メリハリの効いた聞き方もできるようになり、長丁場のリスニングに対する体力もつきます。

スピーキング

TOEFL iBTテストのスピーキングは、マイク付ヘッドホンを着用し、解答を吹き込む(録音する)形式で行われます。15~30秒で解答を準備し、45~60秒でスピーチします。スピーキング力のみを測る Independent task だけでなく、リーディング・リスニング力も併せて問われる Integrated task があるため、読んだり聞いたりした内容をすばやく要約し、明快に言い表すスキルも必要です。

参考書

おすすめの参考書は『TOEFLテスト スピーキング問題』です。TOEFL iBTテストのスピーキングの、各問題で求められる解答の型を学び、効率的なメモの取り方、最終的な解答の組み立て方を学べる仕組みになっています。問題が豊富に収録されているだけでなく、特典のWeb模試では自分の解答を録音することもでき、TOEFL iBTテスト本番に備えた本格的な演習が可能です。付属音声は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも無料で聞くことができます。

勉強法

TOEFL iBTテストのスピーキングで求められるのは会話力というより、むしろ英文エッセイを頭の中で即座に組み立て、それを聞きやすい言葉にする力と言えます。キャンパスでの会話を聞き取る課題もあるので口語表現についての知識は必要ですが、解答で口語やスラングを多用するのは好ましくありません。文を言いかけで終わらせたり、思いつきをどんどん付け加えて締めくくれなくなったりするのもNGです。言うべき要点をメモにすばやくまとめ、時間配分に注意しながら、論理的に話す演習を重ねましょう。最初は日本語で解答してみるのもよい方法です。母語でスピーチのできない人が、英語でできるはずがないからです。

演習は、時間を計り、スマートフォンなどで録音しながらやるようにしましょう。まずは指示文をしっかり読み、リーディング、リスニングもある場合はその内容を把握します。次いでメモを作成しましょう。「例/理由を挙げよ」「XとYを比較し、どちらがよいと思うか述べよ」など、指示文が要求している要素を、メモに漏れなく入れることが重要です。それから実際にスピーチしてみましょう。解答時間の45~60秒内におさまるように、スピーチをまとめ上げることがポイントです。「超過しそうだ」と感じたら、Then, . /Next, . などと言って次の話題に移り、すべての要素を盛り込むようにしましょう。最後に録音を確認し、聞き取りやすい話し方や論理的な構成になっているか、確認することが大事です。「え~」「ん…」などと日本語で言いよどむ癖がある場合は、意識して直すようにしましょう。

TOEFL iBTテストのスピーキングでは、マイク付ヘッドホンを着用してはいますが、他の受験者の声が聞こえます。周りが上手に話しているように聞こえて萎縮したりしないよう、事前にスピーキング対策をみっちり行い、「これだけ努力してきたのだから大丈夫!」と自信を持って臨むようにしましょう。雑音が聞こえても集中力を維持し、正しい発音・イントネーションに努める訓練も効果的です。スピーチ練習をするときに、英語のCDやラジオ番組をつけておくとよいでしょう。

ライティング

TOEFL iBTテストのライティング問題には、文章を読み、講義を聞いて答える Integrated task と、オンラインのやりとりを読んで答える Academic Discussion task があります。

Integrated task では、学術的な話題についての文章を読み、さらに同じ話題についての講義を聞いて、その内容をまとめます。英文を読んで要約するスキルと、講義のポイントを聞き取るスキル、英文と講義の対立点を把握し、整理して書くスキルが求められます。読み聞きした英文を写すのではなく、言い換える語彙力が必要とされます。

Academic Discussion task では、あるトピックに関する教授からの説明と質問、それに対するクラスメート2人それぞれの意見が投稿されている画面が表示されます。これらを踏まえて、このディスカッションに貢献できるよう、自分の意見とそれをサポートする理由を述べるのがここでのタスクです。必要な情報をすばやく理解し、それを踏まえたうえで自分の意見を簡潔かつ具体的にまとめるスキルが求められます。

勉強法

Integrated task では、英文を読み講義を聞いた上で、講義の中で教授がどのように英文の内容に反論しているかを要約する必要があります。したがって特に重要なのは、講義の要点を聞き取ってメモする訓練です。この訓練については、前述した「リスニング/勉強法」を参考にしてください。

Academic Discussion Task では、必要な情報をすばやく理解したうえで、それを踏まえて自分の意見を簡潔かつ具体的に書くことが求められます。日頃から社会的な話題について、自分の意見とその理由を考えたり、さまざまな人の意見と自分の意見とを比べたりする習慣をつけておくとよいでしょう。

スピーキング/ライティングの練習の際は、ミスを減らすことを普段から心がけましょう。具体的には、不定冠詞 a/an や定冠詞 the、三単現の s を忘れずに正しく使う、動詞の時制と活用に気を配るなどです。日頃からミスしないよう気をつけていると、正しい用法や活用が習慣となり、自然と使えるようになります。

模擬試験

TOEFL iBTテストの試験時間は約2時間ですが、コンピュータの操作や画面の展開で戸惑って時間をロスすると、大きなダメージになります。模擬試験を活用し、試験形式や出題傾向に慣れておきましょう。TOEFL iBTテストは難度の高い試験ではありますが、出題のパターンを知り、演習を重ねることによって、スコアを上げることが期待できます。

参考書

おすすめの参考書は、『はじめてのTOEFLテスト 完全対策』『TOEFL iBTテスト 本番模試』です。『はじめてのTOEFLテスト 完全対策』では、模試1回分を解いたあと、詳しい解説を読むことで、TOEFL iBTテストの全貌をつかむことができます。『TOEFL iBTテスト 本番模試』は、問題形式を手軽に把握できる問題数の少ないウォームアップ模試1回分と、本番形式の模試2回分を収録しており、たくさんの問題の数をこなすことができます。

『はじめてのTOEFLテスト 完全対策』『TOEFL iBTテスト 本番模試』のどちらも、特典のWeb模試で、書籍に収録された問題を本番の環境に近い画面で受験できます。TOEFL iBTテストはマウスでのクリックやドラッグ、マイクを使った録音、さらにタイピングも必要です。長時間集中することやパソコン操作に慣れるため、ぜひWeb模試を体験しておきましょう。

勉強法

模擬試験で重要なのは、時間配分の目安をつけることです。TOEFL iBTテストでは、例えばリーディング問題では最後のパッセージの選択肢をドラッグして答える要約問題の配点が高くなっています。1パッセージあたりの解答時間は約17分ですから、この要約問題に3分程度は確保できるよう時間を計りながら問題を解いてみて、ペース配分を確認しておきましょう。またライティングでは、どんなペースで書くべきかが重要です。「メモの作成を何分で済ませるべきだろう」、「どれくらいの速度で書き進めればいいのかな」など、実際にタイプしてみて、計画を立てておくようにしましょう。

当日の試験対策

当日は、予約したテスト開始時間の30分前までに、テストセンターに入りましょう。遅刻した場合は受験できません。

受験には下記のものが必要です。忘れずに持参しましょう。

  • テスト当日に有効な身分証明書
  • Appointment Number
  • My TOEFL Home(申し込みをしたウェブサイト)の「Upcoming Tests/今後のテスト」より該当のテスト日を選択し、「Test Appointment Details/テストの予約の詳細」で受験会場・時間を再確認し、印刷したもの

テスト会場内へは、身分証明書以外は原則持ち込めません。ネクタイやヘアバンドなどの衣類や着用品が調査または禁止されることもあります。前日にMy TOEFL Homeから規定を確認し、必要のない物はなるべく持参しないようにしましょう。

当日は、以下の順で各セクションのテストが実施されます。試験時間はトータルで約120分です。メモ用紙と筆記用具が提供され、試験中はいつでもメモを取ることができます。

セクション 試験時間
リーディング 35分
リスニング 36分
スピーキング 16分
ライティング 29分

リーディング

問題構成

試験時間 35分
パッセージの数 2
1パッセージの設問数 10問
1パッセージの語数 700語程度

TOEFL iBTテストのリーディングでは、大学の教科書レベルのアカデミックな文章を読み、設問に答えます。パッセージの内容は文系から理系まで多岐にわたります。出題形式は、4つの選択肢から1つの正解をクリックして選ぶものがほとんどです。ただし、抜けている文を適切な位置に挿入する、6つの選択肢から3つを選んでパッセージの要約を完成させるなど、その他の形式もあります。

問われる内容は、以下の3パターンに大別されます。

  • Basic Comprehension Questions:単語の意味や文中にある/ない情報などを問う
  • Inference Questions:文中の情報に基づいて、推測できる内容を問う
  • Reading to Learn Questions:文中に散在する情報を集め、要約や表を作成する

1問につき1ポイントが原則ですが、設問の最後に出題される Reading to Learn Questions は2~3ポイントを与えられます。採点は3つのパッセージで獲得したポイントの合計を、30点満点のスコアに換算する形で行われます。仮にリーディングの目標スコアを20点とすると、60~65%程度正解する必要があります。

例題

Color Perception and Language

Has the human ability to perceive color evolved over time and with cultural advancement? Examining ancient literature, British statesman and scholar William Ewart Gladstone theorized in 1858 that it had, touching off a debate over the relationship between language and biology that took decades to resolve.

In the Greek epic poems The Iliad and The Odyssey, Homer (writing no later than 700 B.C.) describes physical objects and environments with exacting detail of shape and texture. But he most frequently deploys color in very vague terms: brightness vs. darkness, or values along the white-black range. When he does use other colors, the effects are alien. Even if we concede that a poet may embellish observed scenes with imagination, what are we to make of Homer’s depictions of “green” honey, “white” sky, and “purple” sheep? Despite writing about a coastal Mediterranean agricultural society, he never uses a word that can be understood to mean “blue” (even for the sea) and almost never applies “green” to plant life.

1. The word concede in the passage is closest in meaning to about hail damage?
A acknowledge
B enjoy
C doubt
D discover

2. Which of the following can be inferred from paragraph 2 about Homer’s writing?
A He writes about color more vaguely than other ancient Greek poets.
B It provides evidence that he saw the color of the sky as blue.
C His color descriptions were based on imagination.
D He describes color less specifically than other physical characteristics.

『TOEFL iBTテスト 本番模試』より)

答え:
1. A 2. D

解き方、コツ

1. は語彙を問う出題です。この文に用いられている even if 〜 は「〜だとしても」という譲歩の表現です。主節が「『緑の』ハチミツ,『白い』空,『紫の』ヒツジというホメロスの描写をどう考えればよいのか」という意味なので,「詩人は見た光景を想像力を使って装飾することがあると『認めた』としても」となるのが自然です。アカデミックな文章は論理的なので、出題されている語彙が未知であっても、文章の構造をつかんで意味を推測しましょう。

2. のように、何についての情報をどのパラグラフから見つけ出すべきか明示されている出題では、当該パラグラフを速やかにスキャニングしましょう。設問に can be inferred とある Inference Question なので、探す情報が明示されていない可能性があります。正解に思える選択肢に飛びつかず、他の選択肢も検討して、該当しないものはしっかり除外しましょう。

リスニング

問題構成

試験時間 36分
パッセージの数 会話2題+講義3題の組み合わせ
1パッセージの設問数 会話は5問
講義は6問
1パッセージの長さ 会話は3分程度
講義は3~5分またはそれ以上

会話では、学生が悩みやトラブルを相手(教授や大学のスタッフなど)に相談し、相手がアドバイスをして解決に導く、というパターンが一般的です。講義には、1人の教授が話し続けるものと、複数の学生も加わってディスカッションするものとがあります。講義の流れは、冒頭にその授業の目的や主旨を述べ、実例や根拠、現状の問題点など具体的な事柄を展開するというものが主流です。

問われる内容は、以下の3パターンに大別されます。

  • Basic Comprehension Questions:話の主旨や目的、または細部の情報を問う
  • Pragmatic Understanding Questions:話者の意図や感情、態度を問う
  • Connecting Information Questions:情報の論理展開や音声の一部が持つ意味を問う

1問につき1ポイントが原則ですが、2ポイントを与えられる設問もあります。採点は正答した問題のポイントの合計を、30点満点のスコアに換算する形で行われます。テストの難度によってばらつきがありますが、仮にリスニングの目標スコアを20点とすると、7割程度の正答率が目安となります。

例題

会話

(画面に表示される設問と選択肢)
1. What is the main reason the student is talking to the academic counselor?
A She wants help deciding her major.
B She wants to change her major midway through.
C She is having difficulty with a math course.
D She is trying to choose between biology and anthropology.

5. Listen again to part of the conversation.
Then answer the question.
What does the counselor imply by saying this: (音声をお聞きください)
A The student is going to compete with other students.
B The student’s concern is not all that uncommon.
C Finding a job today is difficult.
D The student should avoid becoming a history major.

(放送文)

Listen to a conversation between a student and an academic counselor.

Counselor(以下、C): Hi, Alice. So, how can I help you today?
Student(以下、S): Hi, Mr. Wade. I wanted to talk to you about my major.
C: OK. It’s still the beginning of your second year, so you have time, but it’s probably a good idea to think about it now so that you can make a good decision.
S: I agree. I would like to choose a major that is in line with my interests but also increases my chances of finding a job when I graduate.
C: Of course. That’s what everyone’s looking for.(以下略)

『TOEFL iBTテスト 本番模試』より)

答え:
1. A 5. B

講義

(画面に表示される設問と選択肢)
7. According to the lecture, what are the positives of recycling?
Click on 2 answers.
A It costs less than throwing things away.
B It encourages people to buy less.
C It allows us to use fewer resources.
D It reduces the amount of waste to be thrown away.

8. What is mentioned as encouragement for people to recycle?
A Better education about recycling
B Difficult times such as war
C Digging up ancient sites
D Better curbside collection services

(放送文)
Listen to part of a lecture in an environmental studies class. The professor has been discussing recycling.

Professor: Today, we’re going to talk about recycling. The standard view is that recycling is a good thing. We’re taking things we’ve already used and through various processes making them once again usable. The benefit of this is that we reduce the amount of fresh resources used and reduce the amount of waste to dispose of. Overall, this is a good thing because we can save our resources and have less waste to worry about. However, recycling has its issues. We’ll talk about those, but first let’s briefly go over the history of recycling and how the recycling process works.

Recycling actually goes back thousands of years. Some people say that even as far back as 400 B.C. the Greek philosopher Plato advocated recycling. Earlier civilizations recycled things such as glass and bronze from weapons and coins. Archeologists digging up ancient sites have found less waste during times of famine and war. What do you think this implies? Robert?

Student 1: I guess that people had to reuse what they had when times were tough.
Professor: Indeed, civilization has often turned to recycling during hard times. People reused their goods during the economic depression of the 1930s and recycling was also a big thing during World War II. Citizens at home were encouraged to donate metal or to use everyday materials more sparingly. After World War II recycling was spurred on by rising energy costs. (以下略)

『TOEFL iBTテスト 本番模試』より)

答え:
7. C, D 8. B

解き方、コツ

会話

冒頭は特に注意して聞きましょう。多くの場合、挨拶が交わされたあとすぐに、学生が用件を述べます。したがってこの箇所の情報は、パッセージの主旨をつかむ上でも、話者2人が誰と誰でどういう関係なのかを知るためにも重要なのです。また、約3分というボリュームのある会話なので、5W1H(When, Where, Who, What, Why, How)の要素をきっちりメモし、大事なポイントを忘れてしまわないようにしましょう。

講義

講義も冒頭に、その授業のテーマなど重要な情報が述べられるので、集中して聞きましょう。ボリュームがあるので、イニシャルだけの表記や略称、記号や矢印などを使ってメモを取ると役立ちます。出題は全体の主旨だけでなく、講義のディテールにも及ぶので、学生の質問に対する教授の回答や、教授が Remember that .(忘れないでください)などと強調したことは、漏らさず記録しましょう。理系の話題では特に、対照されているものや事象の推移・過程を、綿密にメモすることが必要です。

TOEFL iBTテストでは、会話や講義の音声の一部をもう一度聞かせて、その箇所が持つ意味やその箇所を手掛かりに推測できることなどを答えさせる出題があります。解答に必要な箇所をもう一度聞くことができるので、「リスニングの本文、聞き逃しちゃった…」という人も、リプレイをしっかり聞けば正答のチャンスがあります。気合を入れ直して、リプレイされた部分を集中して聞き、言い方やトーンなども参考にして答えるようにしましょう。

スピーキング

問題構成

スピーキング問題には、スピーキング力だけを問われる Independent task と、リスニング力やリーディング力も求められる Integrated task があります。タスクは全部で4つあり、タスク1はスピーキングのみの Independent task、タスク2~4はリーディングとリスニングも行う Integrated task です。試験時間は、スピーキング・セクション全体で16分です。

タスク番号 リーディング リスニング スピーキング
(準備時間/解答時間)
1     15秒/45秒
2 80~110語 60~80秒 30秒/60秒
3 80~110語 60~90秒 30秒/60秒
4   90~120秒 20秒/60秒

タスク1では受験者自身の意見を、理由や例を挙げて具体的に話すことが求められます。タスク2と3では、掲示や教科書など大学で見られる類の英文を読み、それにかかわる会話や講義など音声を聞いて、英文・音声の要点を話すことが課題です。タスク4ではアカデミックな講義などを聞き、その要点をスピーチにまとめます。

採点項目は、大きく分けて3つあります。

  • Delivery(音声面:明確さ、抑揚、ペース、ためらい、発音など)
  • Language Use(言語面:文法と単語の質と種類の豊富さ、適切さなど)
  • Topic Development(内容面:論理展開、関連性、説明、補足など)

採点の仕組みは次のようになっています。まず各タスクには4ポイントが割り当てられています。4タスクなので合計は16ポイントです。このポイントを4で割って、タスク1つ当たりの平均値を出し、その平均値を30点満点のスコアに換算します。仮にスピーキングの目標スコアを20点とすると、平均値2.66程度が必要です。

例題

Independent task

When you complete your studies, would you rather work for a large, international company or a small, local firm? Include reasons and examples to support your choice.

Preparation Time: 15 seconds
Response Time: 45 seconds

『TOEFL iBTテスト 本番模試』より)

Integrated Task

(画面に表示される指示文)
Using points and examples from the talk, describe two ways that driverless cars could affect the economy.

Preparation Time: 20 seconds
Response Time: 60 seconds

(放送文)
Now listen to part of a lecture in an economics class.

Driverless cars are expected to be a significant part of traffic within the next decade or so. Some analysts believe that they could completely replace conventional cars eventually. Let’s think for a moment about how they could have an impact on two specific economic areas, productivity and consumer spending.

First, in terms of productivity, think about how cars are used today. During commutes, drivers are unable to do any kind of meaningful work. The driver has to keep his or her eyes on the road and hands on the wheel at all times. And if you’ve ever been in a traffic jam, that could be hours of your precious time lost.

In driverless cars, however, drivers, or should I say, “car operators,” can work from their laptops or tablets or make business calls. If one is tired, the car seat can be pushed back for napping — with the person later waking up reenergized. In this way, driverless vehicles can act as mobile offices or break rooms. By the time people arrive at their offices, a good deal of their work may have been already completed. With less time wasted in commutes, we can expect worker productivity to rise.

Another way that driverless cars could affect the economy is through less consumer spending. At present, cars are some of the most expensive yet underutilized consumer goods around. When not on the road, they simply sit in parking lots or driveways. And on top of the purchase price, they have to be fueled, insured and maintained. Driverless cars could change all that. Companies are already working on how their businesses could provide transportation services using fleets of these cars anytime and anywhere. People would be able to use an app on their smartphones to arrange for a ride at a relatively low price. Moreover, two or more people — those with complementary work schedules, a day-shift worker and a night-shift worker, for example — might share one of these driverless cars without buying their own. Either way, with people needing to purchase vehicles at a lesser rate, they would have more money left over in their budgets to spend on other goods and services.

『TOEFL iBTテスト 本番模試』より)

解き方、コツ

Independent task

TOEFL iBTテストの Independent task では、受験者自身の意見を問われます。まず I would choose . や I agree that . などと意見をはっきり答えます。それから、そう思う理由や例を挙げましょう。理由を列挙するときには First, .、Second, . と文頭に言う、具体例を述べるときは For instance, . と前置きするなど、つなぎ言葉を使って話の展開を明瞭にすると好印象です。最後に、So, I believe . などと、意見をもう一度語って締めくくると、完成度の高いスピーチになります。

Integrated task

Integrated task では、問題の要件をすべて満たした答えができるかがポイントになります。特にリスニングは一度しか聞けないので、注意して聞き取りましょう。リーディングとリスニングの両方を求められるタスクでは、同じトピックについて文章と音声が異なる見解を示すケースがあります。そのような問題では、何が対立点なのか、それぞれの理由は何かなど、情報を整理してから解答しましょう。Therefore, . や On the other hand, . などつなぎ言葉を使って、論理展開を明瞭にするとより高く評価されます。

TOEFL iBTテストのスピーキングで求められるのは、論理的なプレゼンをするスキルです。英会話のテストではないので、スラングを使ったり早口でしゃべったりなど、「会話慣れアピール」をする必要はありません。発音も良い方がいいのはもちろんですが、重要なのはむしろ、内容の明瞭なスピーチを聞き取りやすく話すことです。

ライティング

問題構成

ライティングでは、2つのタスクが課されます。最初のタスクは ライティングの力だけでなく、リーディングとリスニングの力も求められる Integrated task です。アカデミックな話題に関して意見を述べた文章を読み、それとは異なる見解の教授の話を聞いて、両者の要点を150~225語でまとめます。次のタスクは、Academic Discussion task です。与えられた質問と対話に基づいて、自分の意見を、理由や例を挙げながら述べます。

タスク 必要な技能 語数の目安 解答時間
Integrated task リーディング
リスニング
ライティング
150~225語 20分
Academic Discussion task 主にライティング 100語以上 10分

各タスクは、次の観点で採点されます。

Integrated task:文章の質(構成、文法と語法の適切さ・正確さ)と、内容の完成度・正確さ
Academic Discussion task:文章の全般的な質(論理的一貫性、議論への貢献、構成、展開、構成、文法と語法の適切さ・正確さ)

採点の仕組みは次のようになっています。まず各タスクには5ポイントが割り当てられています。全2タスクなので合計は10ポイントです。このポイントを2で割ってタスク1つ当たりの平均値を出し、その平均値を30点満点のスコアに換算します。仮にライティングの目標スコアを20点とすると、平均値3.00程度が必要です。

例題

Integrated task

Reading Time: 3 minutes

College sports in the U.S. can be traced back to 1843. Since that time, amateurism has been a persistent component of college sports. Student athletes are given scholarships but are not paid a wage or salary. However, today college sports are a big business, and some people feel the athletes contributing greatly to them are not being compensated enough.

Universities gain a lot of money thanks to their sports programs, so people argue that part of that money should go to the athletes. The most popular and profitable sports, like football and basketball, generate a lot of revenue from TV, advertising, ticket sales, and merchandising. The schools also benefit because having popular sports teams attracts new students and donations from graduates. The university uses this money to pay for operations and new facilities, to expand its academic offerings, and even to pay sports coaches and staff. However, none of this money goes to the athletes.(以下略)

Question: Summarize the points made in the lecture, being sure to explain how they cast doubt on specific points made in the reading passage.

(放送文)
Now listen to part of a lecture about the topic you just read about.

As you know, a big topic of discussion we’ve had in sports management has been whether or not to pay student athletes. We really have to consider what the textbook says, but actually I disagree with it. Paying student athletes doesn’t really solve the issues.

Yes, it is true that some colleges make a lot of money, especially from their football and basketball programs. But the truth is colleges lose money on most of their sports programs. As you can guess, sports like lacrosse or rowing are not moneymakers, but does that mean they shouldn’t be available for students to pursue? Or should we only pay the athletes in moneymaking sports such as basketball? Let’s not forget that college athletes receive intensive coaching and access to quality facilities. The top-tier athletes also get media exposure that may lead to lucrative professional careers.(以下略)

『TOEFL iBTテスト 本番模試』より)

Integrated task

You are in a class and the professor is giving a talk about
political science. You need to reply to the professor’s
question by writing a post. In your post, you need to state
your opinion, along with support, and add to the discussion
using your own ideas. The recommended minimum length is
100 words.

Professor Bhatt: So we’ve talked about barriers that prevent people from applying for necessary permits or accessing public services such as welfare payments. One of the most common complaints is that the requirements are too burdensome to fulfill for most people, and require lots of old-fashioned paperwork. This can cost time and money to visit government offices or use up paper to mail forms. Many people think that these processes should transition to electronic filing. What do you all think: should these systems be overhauled and be digitized? Why?

Steve: I think requiring paper forms filled out by hand is just too archaic at this point. Most people are far more used to filling out electronic forms in their everyday lives, and it will significantly ease sharing files and speed up approval processes. Electronic forms are also far more legible, especially when people’s handwriting is becoming worse as people handwrite less.

Naomi: While I agree that electronic filing is more convenient for most people, that’s not true for everyone. Elderly people are less familiar with these new systems and poorer people might not have access to the technology. Government services need to be available for everyone, and that includes people who don’t use the same technology that people like us take for granted.

解き方、コツ

Integrated task

設問の要求は、リスニングの講義の要旨を基として、リーディングの要点がリスニングの内容とどう対立するのか示しながら、150~225語のエッセイに書くことです。リーディングの画面を見ながらライティングできるため、リーディングについての文章が多くなる受験者が見られますが、それでは設問の要件を満たさないので気をつけましょう。また、リーディングの要点を書くときは、画面を見ながら写すのではなく、別の語彙・表現に言い換えたり、自分なりに要約したりすると、語彙力や要約スキルをアピールできます。

Academic Discussion task

設問の要求は、150〜200 語程度のオンラインディスカッションを読んで、100語以上で自分の意見を書くことです。ただ考えを述べるだけではなく、どうして自分はそのように思うのかという説得力のある理由を添えて書くことが求められます。また、議論に貢献することも評価の対象となるので、議論の流れを無視して持論を述べるだけにならないようにしましょう。他の人の発言を踏まえたうえで賛成、反対を述べたり、自分の事例を加えて膨らませたりすることがポイントになります。

TOEFL iBTテストのライティングは、標準の英語キーボード(QWERTY配列)を用いタイプで入力します。英語キーボードでアポストロフィを出すには、日本語キーボードでの「:」(Lの2つ右)を打つ必要があるなど、若干の違いがあります。机の上に対応表が置かれているので、焦らずに確認してタイプしましょう。スペルチェックなどの機能はありませんが、カット&ペーストは可能です。語数は画面上に表示されます。

まとめ

TOEFL iBTテストの全体像が把握できたでしょうか? TOEFL iBTテストは、コンピュータを使って受験し、4技能を複合的に使いながら解答し、加えてアカデミックな内容を扱うなど、日本の学生にとってはハードルの高い試験です。しかし、傾向が一定で出題パターンもある程度限られているので、しっかり対策すればスコアは着実に上げられるはずです。日々の学習をこつこつ続けて、目標のスコアや志望校への留学を勝ち取ってください!