この記事では、英語能力判定テストIELTS(アイエルツ)について解説しています。IELTSには、留学を目的としたアカデミック・モジュールと、学業以外の海外研修や移住を目的としたジェネラル・トレーニング・モジュールとがありますが、この記事では受験者の多いアカデミック・モジュールについての情報を扱います

まず、試験形式やバンドスコアの仕組みなど、IELTSの概要を説明します。次にIELTSの出題内容に合わせた勉強法を詳述します。最後に、当日の試験対策を、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングと技能ごとに解説します。IELTSを受験しようと思っている方、留学を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。

(本記事は、2018年8月時点の情報に基づいています。受験の際は、実施団体の英検あるいはJSAFのウェブサイトで最新情報をご確認ください。)

IELTSとは

IELTSは、International English Language Testing System の略で、ブリティッシュ・カウンシル、IDP:IELTSオーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構が共同運営で保有する試験です。日本では公益財団法人日本英語検定協会と一般財団法人日本スタディ・アブロード・ファンデーション(JSAF)がそれぞれ実施しています。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を測定する試験で、記述式の筆記試験と面接によるスピーキングテストとで構成され、「使える英語」を測る試験として高く評価されています。イギリスで一般的な語彙・表現やイギリス英語話者・オーストラリア英語話者のナレーションが多いのが特徴です。世界で年間300万人が受験し、そのスコアは140の国と地域、合計10,000機関で認定されています。推奨年齢は16歳以上とされています。申し込みには、試験日当日まで有効なパスポートが必要です。

受験する意義

留学を希望するなら、IELTSの受験を検討しましょう。IELTSは、留学の際に求められる英語力の証明として、世界的に採用されているからです。また、その受験対策を通じて、留学後の生活や学業で必要な語彙・表現も身につけられるでしょう。

高校生の場合、IELTSの成績を大学入試に利用できることがあります。IELTSを英語外部検定利用入試*に採用する大学は、2018年度一般入試で75.3%(旺文社教育情報センター調べ)に達しています。志望大学がIELTSを入試に利用している場合、特に、将来留学を考えている場合は、IELTSの受験を検討してもよいでしょう。

* 英検、IELTSなど、外部の英語資格・検定試験の結果を利用した大学入試のこと。詳しく知りたい方は、「大学入試のための英語資格・検定試験の特徴と選び方:英語外部検定利用入試」をご参照ください。

他試験との比較

英検は日常生活からアカデミック、ビジネスと幅広い分野の英語力を測る試験であり、国内で抜群の知名度と評価を得ています。一方TOEICテストは主にビジネス英語を測定し、就職や転職、キャリアアップの際に高く評価されます。それらに対しIELTSは、アカデミックな英語が中心の、留学のための試験です。

では、同じく留学向けの英語試験として定評あるTOEFL iBTテストと比較してみましょう。TOEFL iBTテストも、留学後の勉学や生活を視野に、大学での講義や事務手続きなどの話題を多く取りあげる試験です。IELTSとの違いは、TOEFL iBTテストがアメリカを中心に世界で広く利用されているのに対し、IELTSはイギリスや、イギリスと歴史的に関係の深い国々(オーストラリア、ニュージーランド、カナダなど)を中心に採用されていることです。ただし近年IELTSは、アメリカでも名門アイビーリーグ8校を含む3000以上の教育機関に採用されるなど、利用が広まりつつあります。「使える英語力」を測定できる良質さが認知されつつあると言えるでしょう。

試験内容

IELTSには、留学を目的としたアカデミック・モジュールと、学業以外の海外研修や移住を目的としたジェネラル・トレーニング・モジュールとがあります。この記事では、アカデミック・モジュールについてのみ説明します。

IELTSは、試験日の午前中に筆記試験(リスニング・リーディング・ライティング)が行われ、面接(スピーキング)は筆記試験と同日、または前後6日以内に実施されます。

筆記試験

筆記試験は、リスニングが約40分(解答転記時間10分を含む)、リーディングが60分、ライティングが60分です。この3つのテストの間に休憩時間はなく、続けて実施されます。解答形式は記述式です。

問題の構成は、下記のとおりです。

測定技能 試験パート 詳細 設問数
リスニング セクション1 日常生活における複数の人物による会話 10
セクション2 日常生活におけるモノローグ 10
セクション3 教育の現場における複数の人物間の会話 10
セクション4 学術的・教育的なテーマに関するモノローグ 10
リーディング パッセージ1 学術的なトピックに関して一般読者向けに書かれた文章で、書籍、専門誌、雑誌、新聞などからの抜粋。 13
パッセージ2 13
パッセージ3 14
ライティング Task 1 最低150語の英作文。グラフや図表など視覚的な情報を与えられ、それを描写する。 1
Task 2 最低250語の英作文。与えられた課題を理解し、英文エッセイの構成(序論・本論・結論)で、自分の意見を述べる。 1

リスニングでは、会話やモノローグを聞きながら、選択問題、記述式問題に答えます。音声の内容と選択肢との情報マッチング、計画・地図・図表の分類、用紙・メモ・表・フローチャートの穴埋め、要約・文章完成など、様々なタイプの問題が出題されます。

リーディングでは、3つのパッセージ(計2150語~2750語程度)を読んで、選択問題、記述式問題に答えます。正誤問題、パッセージの内容と選択肢との特徴・情報マッチング、見出し・主題の選択、文章・要約・メモ・表・フローチャート・図表の穴埋めなど様々なタイプの問題が出題されます。

ライティングのTask 1では、与えられたグラフや図表などについて、データを分析・比較し説明する、もしくは物事の過程や手順を説明することが求められます。Task 2では、ある問題に対する自分の意見を、根拠や例を比較検討しながら論理的に説明することが要求されます。

面接

試験官との1対1のインタビュー形式で、約11~14分行われます。会話はすべて録音されます。

問題の構成は、下記のとおりです。

測定技能 試験パート 試験内容 試験時間
スピーキング パート1 自己紹介と日常生活に関する質問 4~5分
パート2 スピーチ 3~4分
パート3 ディスカッション 4~5分

パート1では、自己紹介と日常生活に関する質問が行われます。受験者の本人確認のあと、家族、仕事、勉強、趣味など受験者自身の嗜好や体験などについて問われます。それから一般的な2つ程度のトピックについて、それぞれ4つ程度の質問がされます。

パート2では、トピックと言及すべきポイントを提示され、1分間の準備時間のあと、最大2分間のスピーチをすることを求められます。スピーチ後、同じトピックについて、1~2問質問されます。

パート3では、パート2に関連するトピックについて、より掘り下げた質疑応答が行われます。

日程・申し込み

日本の全国15都市で年最大48回実施していますが、実施会場は試験日により異なります。申し込みは英検あるいはJSAFのサイトから行います。受験料は25,380円(8%税込)で、申し込みには、試験日当日まで有効なパスポートが必要です。

例題

IELTSの例題や解答用紙のサンプルは、公式サイトから入手することができます。

『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』は、日本で初めてのブリティッシュ・カウンシル公認のIELTS問題集です。3段階で構成されており、まずIELTSについての試験形式から申し込み方法までを含む公式情報が載っています。次に、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの技能ごとに、評価基準や攻略法を知り、豊富な練習問題を解いて実力をつけます。最後に本番形式の模擬試験を体験して、現時点での実力を測ることができます。切り離して使える解答用紙、模擬試験の結果からバンドスコアを把握する換算表、無料の音声ダウンロード・サービスもついています。目標バンドスコア取得へ向けて、ぜひ『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』と一緒にがんばってください!

バンドスコア

バンドスコアとは

IELTSの結果は、合格・不合格ではなく、1.0から9.0までの0.5刻みのバンドスコアで表されます。リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの各技能の点がバンドスコアに換算され、成績証明書には4技能それぞれのバンドスコアと、その平均値であり総合評価であるオーバーオール・バンドスコアが表示されます。

各バンドスコアの英語力は、以下のように解釈できます。

9 エキスパート・ユーザー 十分に英語を駆使する能力を有している。適切、正確かつ流暢で、完全な理解力もある。
8 非常に優秀なユーザー 時折、非体系的な不正確さや不適切さがみられるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない状況においては、誤解が生ずることもありえる。込み入った議論に、うまく対応できる。
7 優秀なユーザー 時折、不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を駆使する能力を有している。複雑な言語も概して上手く扱っており、詳細な論理を理解している。
6 有能なユーザー 不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。
5 中程度のユーザー 部分的に英語を駆使する能力を有しており、大概の状況において全体的な意味をつかむことができる。ただし、多くの間違いを犯すことも予想される。自身の分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。
4 限定的ユーザー 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。
3 非常に限定的なユーザー 非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションが頻繁に途絶える。
2 一時的なユーザー 確実なコミュニケーションを行うことは不可能。慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることしかできない。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労する。
1 非ユーザー いくつかの単語を羅列して用いることしかできず、基本的に英語を使用する能力を有していない。

『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』より)

バンドスコアと他の英語資格試験との比較

文部科学省は、異なる試験の成績を公平に比較するため、各資格・検定試験のCEFR*との対照表を作成しています。その資料に基づき、英検、IELTS、TOEFL iBTテストのCEFRレベルとスコアを示しました。

* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。A1/A2レベルは「基礎段階の言語使用者」、B1/B2レベルは「自立した言語使用者」、C1/C2レベルは「熟達した言語使用者」であるとされています。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

CEFR 英検 IELTS TOEFL iBT
C2       8.5-9.0  
C1 1級   2600~3299
(1級合格:2630)
7.0-8.0 95-120
B2 準1級 2300~2599
(準1級合格:2304)
5.5-6.5 72-94
B1 2級 1950~2299
(2級合格:1980)
4.0-5.0 42-71
A2 準2級 1700~1949
(準2級合格:1728)
   
A1 3級 1400-1699
(3級合格:1456)
   

大学入試センターの公開資料を基に作成)

留学の際に求められるバンドスコア

入学・受入条件は、教育機関によって異なります。一般的に、大学はオーバーオール・バンドスコア6.0から6.5を入学基準としています。例えば、イギリス中部にあるリーズ大学の場合、コースにより異なりますが総じて、大学入学に6.0(各技能5.5以上)、大学院入学に6.5(各技能6.0以上)を求めています。オーストラリアのクイーンズランド大学は6.5(各技能6.0以上)、コースによってはそれ以上を求めます。高レベルの大学の例を挙げると、オックスフォード大学は2019年度の応募資格として、コースにより、7.0(各技能6.5以上)または7.5(各技能7.0以上)が必要だとしています。ケンブリッジ大学は7.5(各技能7.0以上)を要求しています。コースによっては、特定の技能での最低スコアを設けていることもあるので、出願条件をよく確認しましょう。

目標スコアへの道のり

以下では、目標とするIELTSスコアを獲得するまでのロードマップや、それに必要な時間の一例を挙げています。個人差や学習条件が異なるのであくまで目安ですが、学習計画の参考にしてください。

ロードマップ

1. 留学に向けて計画を立てる

留学したい大学を調べ、その大学へ入るために必要なバンドスコアを把握します。その上で、いつ留学するのか、そのためにはいつまでにバンドスコアを取得する必要があるのか、計画を立てましょう。

2. 今の実力を把握する

『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』などを解いて自己採点し、今の実力を把握します。そして希望の大学へ留学するために必要なバンドスコアとの差を確認しましょう。あまりにも差がありすぎる場合は、志望校の変更を検討する必要があるかもしれません。どのくらいの勉強・期間でバンドスコアを伸ばせるかは、次項「平均学習時間」を参考にしてください。

3. 日常的に学習する

2.で把握した今の実力を検証して、IELTS対策を日々実践しましょう。「語彙力が全般的に足りない」と思う場合は『実践IELTS英単語3500』を使って単語を計画的に覚える、「ライティング対策をどうやればいいのかわからない」という場合は『実践IELTS技能別問題集ライティング』で学ぶなど、弱点を克服することが大事です。また、『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』などで、IELTSの形式に合わせた問題演習を行い、出題傾向に慣れておきましょう。

4. IELTSを実際に受験する

金銭的・時間的余裕があったら、実際にIELTSを受けて日頃の学習成果を確認するとよいでしょう。例えばスピーキングのみが目標スコアに達していないなら、『実践IELTS技能別問題集スピーキング』で演習を重ねる、英会話学校へ通うなど、発話力を鍛える訓練を増やすべきです。

平均学習時間

一般に、外国語運用能力の国際的な指標CEFRを1段階上げるには、指導者の下での学習が約200時間必要とされています。CEFRのレベルの1段階は、IELTSのバンドスコア1.5に相当しますから、バンドスコアを1.5上げるために200時間の授業が必要だと考えてよいでしょう。

自習、特に書籍での自学では、もっと時間がかかると思われます。ただし、IELTSに特化した効率のよい学習をすれば、必要時間の短縮は可能です。以下の勉強法を参考に、密度の濃い学習を心がけましょう。

勉強法

単語・熟語

英検やTOEIC L&Rテストでは、語彙の知識を単純に問う問題が出題されますが、IELTSにはその種の出題はありません。だからといって語彙力が問われない訳ではなく、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能のテストのすべてを通じて、語彙力を測定するしくみになっています。

IELTSで求められる語彙を分析してみましょう。リスニングでは、生活必需品の名称や口語表現など、日常的な語彙が多く見られます。例を挙げると、linen(タオル類)や、Say, 6 pm?(例えば、午後6時はどう?)というときの say などです。リーディングでは、一般的な英字誌に使われるようなフォーマルな語の知識が必要です。スピーキングのパート1やパート2では、Most people like to in Japan.(日本では、ほとんどの人が…することを好みます)や、In my experience, .(私の経験では、…)など、自国の文化や自分の経験などを説明できる語彙が必要です。スピーキングのパート3、およびライティングでは、According to (…によれば)、in conclusion(結論として)など、社会的な話題について筋道を立てて述べるための語彙が求められます。

また、IELTSの特徴は、イギリス英語の語彙・表現が多いことです。受験者が解答として書いたり話したりするぶんには、アメリカ英語の語彙やスペル、表記ルールでも減点されません。ただし、イギリス英語の発音や、イギリスでよく使われる表現についての知識がないと、リスニングやリーディング、特にリスニングの口語表現で点を取りこぼす恐れがあります。

参考書

おすすめの参考書は、『実践IELTS英単語3500』です。すべての収録単語を、イギリス英語のスペリング、発音で掲載しています。また、収録している3500語を「基本語1000」と「重要語2500」に分け、さらに「重要語2500」を500語ずつレベル1から5に分類することによって、目標とするバンドスコアに合わせて学習しやすい構成となっています。

勉強法

語彙は、パッシブ・ボキャブラリーとアクティブ・ボキャブラリーに分類することができます。パッシブ・ボキャブラリーとは、読んだり聞いたりしたときに意味がわかる語彙のことです。アクティブ・ボキャブラリーは、書いたり話したりする際に使うことができる語彙を指します。4技能を測定するIELTSでは、どちらのボキャブラリーも伸ばす必要があります。

パッシブ・ボキャブラリーを増やす方法としては、問題演習の際に触れた語句を、きっちり覚えることが基本です。ただ、すべての語句をこの調子で覚えようとすると、膨大な量の英文を読みこなさなければいけなくなってしまいます。ですからこの方法と並行して、単語集『実践IELTS英単語3500』などを使い、効率よく覚えることがおすすめです。日々の学習で培う語彙力を、単語集を通じて補強することによって、相乗効果でパッシブ・ボキャブラリーを増やすことができます。

アクティブ・ボキャブラリーを増やす方法としては、実際に書いたり話したりして、使う回数を増やすことが一番です。書こう/話そうとしてもできない、何をしたらライティング/スピーキング対策になるのかわからないという方は、『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』の、ライティング問題とスピーキング問題を実際に解いてみましょう。そして模範解答の中から、「使ってみたい」と思う語句・表現を抜き出して、自分のネタ帳を作ります。そのネタ帳を書き写したり、声に出して読み上げたりする練習を重ねているうちに、アクティブ・ボキャブラリーが増えていくでしょう。

また、IELTSの対策には、イギリス英語の語彙の知識が欠かせません。例えば、動詞 sit を「試験を受ける」という意味で使ったり、アメリカでは cellphone を使うことが多い「携帯電話」を、mobile と言ったりするなどです。『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』の「IELTS攻略法 イギリス英語編」というページに、重要な語句・表現をまとめてあるので、しっかり読み込み、音読を重ねておくとよいでしょう。

英文法

IELTSでは、文法の知識のみを単純に問う問題は出題されません。しかし、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能のテストすべてで、文法ミスは減点対象です。ライティングとスピーキングでは、文法の正確さだけでなく、さまざまな文法が使われているかも採点されます。リスニングやリーディングでも、IELTSは解答を手書きする形式の試験であるため、不定冠詞 a/an や定冠詞 the を忘れずに書いているか、受身形の動詞を正しく過去分詞形にしているかなど、細かな点までチェックされます。文法の知識を覚えるだけでなく、使い慣れておく必要があると言えるでしょう。

参考書

おすすめの参考書は、『English Grammar in Use (for Intermediate Learners of English)』(Cambridge University Press)です。CEFRのB1~B2(IELTSの4.0~6.5相当)の学習者を主な対象とした本で、文法を使って英語のコミュニケーション力を上げることを目的とした、世界的なロングセラー文法書です。解説を英語で読むのはつらいという方には、翻訳版の『マーフィーのケンブリッジ英文法(中級編)』があります。

勉強法

IELTSのスコアアップのためには、まず名詞についてしっかり学び、かつ使い慣れておくことが必要です。冠詞・定冠詞を間違ったり忘れたりする、複数形にすべきところを単数にしてしまうなど、日本人には些細に見える誤りが、しっかり減点されてしまうからです。可算名詞と不可算名詞の違いも理解できていますか? 自信のない方は文法書の名詞の項を、もう一度しっかり読み込みましょう。そして日頃は、英文を読むときに、名詞に注意を払うよう心がけます。例えば、a piece of information という表現を見かけたら、「information は不可算名詞だな、だから an information ではない」と振り返る、his works という語と遭遇したら、「work は『仕事』という意味では不可算だけど、『作品』という意味では可算だ」と思い返すなど、そのつど知識を整理するのです。時間に余裕があったら、それらの名詞を使って簡単な例文を作ってみましょう。自分で作文したり、話すときに使ったりすると、知識が定着し、ケアレスミスをしにくくなります。この方法はアクティブ・ボキャブラリーを増やすのにも優れた学習法です。

リスニング

IELTSのリスニングには4つのセクションがあり、後半へ進むにつれて難度が上がっていきます。セクション1、2は日常的な内容、3と4はアカデミックな場面での学術的・教育的な内容です。会話やモノローグを聞きながら、メモや表の空欄を埋めたり、選択肢から正しい答えを選んだりと、さまざまな形式の問題を解きます。

参考書

おすすめの参考書は『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』です。各セクションの詳細な解説を読んだ上で、そのセクションに合わせたアクティビティと実践問題をこなすことを通して、実力を養う構成になっています。多くの練習問題を解いたあと、模擬試験を解いて、実力を確かめることができます。

勉強法

IELTSのリスニングテストは、細部の精密な聞き取りを求めるのが特徴です。また、解答は正しいスペルで手書きしなければなりません。したがってスコアアップのためには、正確な聞き取りと記入が必要です。

そのためのおすすめの学習法が、ディクテーションです。聞くだけでは理解できたと錯覚することがありますが、書き出してみると、要所の単語が聞き取れなかったり、冠詞 a/an/the や前置詞などを聞き落としていたりなど、ミスをはっきり自覚できるからです。ナチュラルスピードの英文を書き取るのは難しいので、一時停止や再生速度の変更ができる機器やアプリなどを使い、英文を紙に手書きしてみましょう。次にスクリプトと突き合わせて、間違いをチェックします。このとき大事なのは、ピリオドの書き漏れやスペルミスなどを、減点要素だとはっきり認識して反省することです。一人でディクテーションの答え合わせをしていると、ついつい「本番で気をつければいいや」と甘くなりがちですが、練習のときにできないことは、緊張する本番ではもっとできないものです。わずかなミスでバンドスコアが0.5下がることもあるので、ケアレスミスは日頃からなくすよう心がけましょう。

ディクテーションには、旺文社リスニングアプリ「英語の友」がおすすめ! 『実践IELTS英単語3500』など、旺文社の多くの英語参考書の音声を無料で聞くことができます。例えば、単語集『実践IELTS英単語3500』の例文をディクテーションしてみるとよいでしょう。ナレーターもイギリス英語話者なので、イギリス英語によるナレーションが多いIELTSのリスニング対策にも最適です。

リーディング

IELTSのリーディングは3つのパッセージから構成され、あとのパッセージほど難度が上がります。語数は3つのパッセージの総計で2150語~2750語程度です。出題形式は、メモや表の空欄を埋めたり、本文の要旨を表す文章の空所に適切な単語を入れて文を完成させたりなど、多岐にわたります。

参考書

英文エッセイでは、同じ語・表現の繰り返しを避け、同義語などで言い換える傾向があります。ですから『実践IELTS英単語3500』などの単語集を使い、同義語や派生形の知識を増やすことが、読解力の向上につながります。また、60分で3つのパッセージと、バラエティに富む問題文を読む必要があるので、IELTSに特化した問題集を使い、時間制限を守って本番同様の問題演習を重ねるとよいでしょう。『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』がおすすめです。

勉強法

IELTSのリーディング対策は、速読と精読の組み合わせが有効です。まずは『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』を使って、制限時間内に解答し終える訓練をしましょう。このとき必要なのは「スキミング」と呼ばれる速読です。設問に目を通して問われていることを把握したら、まず、パッセージを一気に読んで大意をつかみましょう。文の主節に集中し、従属節は読み流す、but や however など逆接のつなぎ言葉があったら、そのあとに筆者の主張がないか注目する、長い文は主語と述語、目的語(または補語)だけ押さえて先へ進む、などのテクニックが役立ちます。IELTSは問題冊子に書き込むことができるので、設問とかかわる箇所にアンダーラインを引いてもよいでしょう。次に、設問と本文を突き合わせて解答します。このときは、解答となる情報を素早く探す「スキャニング」と呼ばれる速読が必要です。設問をしっかり理解した上で、不要な情報には目を止めずに読み進め、固有名詞や数字など解答すべき事柄を見つけ出しましょう。

しかし、速読と答え合わせだけでは読解力は伸びません。そこで必要なのが、速読のあとの精読です。まず、知らなかった単語や表現の意味を頭に入れましょう。次に1文ずつ、文法的に分析します。文型は何か、文の構造はどうなっているか、ひと目でわかりますか? 同一文中に was と had been があるなど、異なる時制の表現が見られる場合は、時系列を正しく読めているか、それぞれの時制がどんなニュアンスを持つか、解説を読んだり全訳と突き合わせたりして理解します。仕上げに通して音読して、英語の語順や特有の表現を頭に馴染ませましょう。このように、速読と精読を並行して行うことによって、確かな読解力を養うことができます。

ライティング

IELTSのライティングは、2つのTaskから構成されています。Task 1では、「高等教育を受ける人の割合の推移」や「太陽光発電の機械の構造」など、グラフ・表や図で視覚的な情報を提示され、それを描写することが要求されます。Task 2では、「車の利用は規制されるべきか」など社会的なトピックが示され、それに対する自分の意見を書くことが求められます。

参考書

おすすめの参考書は『実践IELTS技能別問題集ライティング』です。さまざまな問題タイプに対応した文章の組み立て方を学ぶことができ、また、よく使う表現を「表現ドリル」でトレーニングすることができます。さらに、練習問題、問題演習、Practice Test 2回分と、問題の数が多いので、学んだことが実践を通して身につきます。一部解答例の音声はダウンロードできるので、聞いたり真似て音読したりすることによって、模範的な解答例や表現を、確実に頭に入れることができます。音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも無料で聞くことができます。

勉強法

Task 1は、定型表現を使った英作文の数をこなすことによって、スコアを上げることができます。まずは line graph(折れ線グラフ)、bar chart(棒グラフ)など、一般的な図表の名称を覚えましょう。X kept increasing .(X は…増加し続けた。)や Y slumped .(Y は…急落した。)など、推移や増減を表現する言い回しも役立ちます。定型表現は、模範解答から抜粋して自分のネタ帳にまとめるとよいでしょう。『実践IELTS技能別問題集ライティング』の「表現ドリル」や、『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』の別冊「WSサポートブック」などでも学べます。

Task 2では、社会的な問題について、賛否両論を比較検討し記述する必要があります。日頃から、BBCなどのニュースを見て見出しをメモしたり、英字紙を読んだりして、時事問題の語句や表現を身につけるようにしましょう。また、例えば「microplastics(微小なプラスチック粒子)による marine pollution(海洋汚染)」についてのニュースを聞いたときには、「対策として plastic bags(レジ袋)を規制すべきだ/すべきではない」と2つの相反する意見を考えてみて、それぞれの理由や根拠を考える習慣をつけるとよいでしょう。ネットでその話題を検索して、現状や多様な意見を知っておくことも役立ちます。

スピーキング

IELTSのスピーキングは、パート1、パート2、パート3から構成されています。パート1では受験者自身について問われたあと、日常生活に関するトピックについて会話をします。パート2では、与えられたトピックについて2分間のスピーチをするよう求められます。パート3では、そのトピックと関連して、社会的な問題について試験官とディスカッションをします。

参考書

『実践IELTS技能別問題集スピーキング』がおすすめです。答える内容の考え方や話題の展開の仕方を具体的に学ぶことができ、また、「表現ドリル」でよく使う表現を身につけることができます。さらに、練習問題、問題演習、Practice Test 2回分と、問題が豊富なので、数をこなすことで実力を上げることもできます。音声をダウンロードすることもでき、ネイティブによる音声を真似て発音するなどのトレーニングも可能です。音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも無料で聞くことができます。

勉強法

IELTSのスピーキング対策でまずすべきことは、ネイティブによる音声をよく聞いて、そのとおりの発音ができるよう、声に出して練習することです。『実践IELTS技能別問題集スピーキング』などを利用して、模範解答を何度も口に出して言ってみましょう。当日は緊張のせいで、英単語を思い出せなかったり、舌がふだんのようには動かなかったりするものです。言い慣れておくことによって、緊張した状況でも定型表現が口をついて出てくるようになります。

またパート2も、時間をかけて練習するべきです。スピーチを2分にわたって行うことは、母語でも容易ではありません。まずは、IELTS公式サイトの例題を使って、スピーチの骨子を箇条書きで紙に書き、そのメモを見ながら2分間のスピーチをしてみましょう。最初は日本語でも構いません。大事なのは、時間を計ることと声を実際に出すことです。2分間というボリューム感がつかめたら、次は録音や録画をしながら、演習問題をやってみましょう。最後に、録音・録画を再生して、声は大きく明瞭か、ポーズやストレスは適切か、発音は正確かを点検します。不定冠詞 a/an を言い忘れていないか、時制のミスがないかも要注意です。できれば、英語の先生や英語が得意な友人などに聞いてもらい、客観的なアドバイスをもらって、短所の克服に努めましょう。

予想問題

多くの英語資格・検定試験では、リスニングやリーディングのテストはマークシート方式を採用しています。しかしIELTSでは、リスニングやリーディングでも解答の手書きが求められます。ライティングでも、計400語以上と語数が多いため、慣れが必要です。また、どの技能のテストでも後半へ行くにつれ難度が上がるため、目標のバンドスコアに合わせて時間配分を工夫することが、スコアアップにつながります。したがってIELTSは、予想問題を使って本番同様の演習をすることが、特に大事な試験であると言えるでしょう。

参考書

おすすめの参考書は、『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』です。『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』は、技能ごとの攻略法を練習問題で学んだのち、模擬試験を体験できる本です。本番同様の解答用紙も付属しています。『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認 本番形式問題3回分』は、模擬試験が3回分も収録されており、ライティングとスピーキングで役立つフレーズをまとめた小冊子も付いています。どちらの本にも、IELTSの多様な出題形式や問題文が載っており、それらのパターンを知っておくことによって、本番で問題文や形式を速やかに把握できます。

勉強法

大事なのは、本番形式の解答用紙を使い、時間制限を守って、本番とできるだけ同じ環境で模試を経験することです。本番では40分のリスニング、60分のリーディング、60分のライティングがほぼ連続して実施されるので、だいたい3時間の間、集中して解答する必要があります。手書きをすることによる負担もあるので、長丁場に心身を慣らしておきましょう。

また、時間配分も目標のバンドスコアに合わせて、事前に計画しておくべきです。例えばリーディングでは、パッセージ3つで総語数が2150語~2750語になるため、すべてを緻密に読むと時間が不足し、どのパッセージも消化不良となる恐れがあります。目標バンドスコアが5.5~6.0であるなら、パッセージ1と2に重点的に時間配分をする、という戦略もあるでしょう。ライティングも、Task 1よりTask 2の方が配点が高いので、「Task 2を先に丁寧にやる」という方法もあります。事前に模試を体験し、目標バンドスコアを考慮して時間配分のめどをつけておくと、効率的にスコアアップを図れるでしょう。

当日の試験対策

当日の注意事項

当日は、家を出る前に、受験申込の際に使用したパスポート(原本、有効期限内のもの)を確かに持っているか、確認しましょう。パスポートを忘れると受験できません。会場によっては、スピーキングだけが筆記試験(リスニング・リーディング・ライティング)とは別の日に実施されることがあります。このスピーキングの日も、パスポートがないと受験できず、その回の受験が無効になります。

IELTSは時間に非常に厳しく、受付時間内に会場に到着していない場合、遅刻と見なされ受験資格が失効します。余裕を持って家を出るようにしましょう。

当日、試験会場に持ち込めるものは、

  • 試験当日に有効なパスポート(コピー不可)
  • 黒鉛筆(シャープペンシル、キャップ不可)
  • 消しゴム(カバー不可)
  • ラベルのついていない無色透明な容器に入った水(色つきや濁った飲み物は不可)

です。ただし、JSAFで申し込んだ場合、鉛筆と消しゴムは試験会場に用意されたものを使用します。

その他の荷物は荷物室に預けます。貴重品はなるべく持参しないようにしましょう。なお、時計は会場内に用意されています。

当日は体調を整え、トイレは試験開始前に必ず済ませておきましょう。筆記試験のリスニング・リーディング・ライティングは連続して実施されます。その3時間30分の間、退出は原則禁止です。体調不良やトイレなど、やむを得ない場合は退室が許可されますが、時間帯によっては再入室が認められません。

当日の流れ

時間割は、おおむね以下のとおりです。会場により異なるので受験確認書でよく確かめましょう。受験確認書は、筆記試験が行われる日のおよそ2週間前に、申し込みをしたウェブサイトからダウンロードが可能になります。

●筆記試験(リスニング・リーディング・ライティング)
実施団体により若干異なりますが、筆記試験は9:00~12:30ごろに実施されます。リスニング、リーディング、ライティングの順で行われます。

●スピーキングテスト
多くは筆記試験と同日の午後に実施されますが、別日(筆記試験の前後6日間以内)に行われることもあります。集合時間は受験者ごとに異なるので、受験確認書や実施団体からのメールなどをよく確認しましょう。

リスニングテスト

問題形式

約30分で4つのセクションを聞き、10分の転記時間で答えを解答用紙に記入します。設問数は1セクションにつき10問ずつ、全部で40問です。問題形式は、図や表の空所に正答を入れて完成させたり、正答を指定の語数で答えたり、複数の選択肢から正答肢を指定された数だけ選んだり、空所を補充して文章を完成させたりと、さまざまです。

セクション1では、友人同士の会話や電話での問い合わせなど日常的な対話を聞きます。固有名詞や金額、日取りなど、具体的な情報を聞き取ることが求められます。
セクション2では、ラジオ放送や録音されたメッセージなど日常生活におけるモノローグを聞きます。具体的な事実や情報を聞き取ることが求められます。
セクション3では、学生同士のディスカッションなど、教育現場での複数の人物の会話を聞きます。話者の考え方を見極め、事実と意見を整理して聞き取ることが求められます。
セクション4では、大学の講義など学術的なモノローグを聞きます。サマリーを完成させる問題が多く、話者の述べる事実・意見を論の展開に沿って整理しながら聞き取ることが求められます。

例題や解答用紙のサンプルは、IELTS公式サイトのListeningから入手することができます。

採点方法

採点は、正答1問につき1点の40点満点です。この点数がバンドスコアに換算されます。換算の基準は、以下の表のとおりです。1問のミスでバンドスコアが0.5落ちることもあるので、ケアレスミスをしないようにしましょう。

リスニングの点数 バンドスコア
16 5.0
23 6.0
30 7.0
35 8.0

解き方

IELTSのリスニングでは、数を聞き取って答えるタイプの問題が頻出します。数字は、指定された語数以内に収まるなら、アルファベットで書いてもアラビア数字で答えても大丈夫です。ですから、例えば three hundreds ならば 300 と書く、pound、euro、penny は£、€、p など記号や略号を使う、などを心がけましょう。書く時間の短縮にもなりますし、スペルミスの恐れも減らせるからです。

また、各放送の前に「プレビュー」の時間が数十秒与えられます。この間に、問題や選択肢にできるだけ目を通しましょう。内容を予想して情報を待ち構えながら聞くのと、選択肢などを読みながら放送に耳を傾けるのとでは、前者のほうが集中でき、聞く精度も高まるからです。IELTSは問題冊子への書き込みが許されるので、類推できたことをメモしたり、キーワードを丸で囲んだりして、放送を聞くときの手がかりにしましょう。

解答転記時間が10分ありますが、問題が40問ですから1問あたり15秒と、決して余裕のある長さではありません。したがって、解答の記入はできるだけ解きながらやってしまうべきです。転記時間は、書き切れなかったぶんを補い、スペルミスなどをチェックするための時間と考えましょう。

リーディングテスト

問題形式

60分で3つのパッセージ(総語数2150語~2750語程度)を読み、40問の設問を解きます。設問数は、パッセージ1と2が各13問、パッセージ3が14問のパターンが一般的です。問題文の内容は「宇宙開発の歴史」や「ある虫の生態」など、一般向けに書かれた本、雑誌、新聞などの抜粋です。問題形式は、選択肢から正答を選んだり、記述の内容が本文と合致するか否かあるいは言及されていないかを答えたり、パラグラフの見出しや主題を選んだり、図表の空所を補充したりと、さまざまです。

例題や解答用紙のサンプルは、IELTS公式サイトのAcademic Readingから入手することができます。

採点方法

採点は、正答1問につき1点の40点満点です。この点数がバンドスコアに換算されます。換算の基準は、以下の表のとおりです。1問のミスでバンドスコアが0.5落ちることもあるので、ケアレスミスをしないようにしましょう。

リーディングの点数 バンドスコア
15 5.0
23 6.0
30 7.0
35 8.0

解き方

IELTSのリーディングは、1パッセージあたり700語~1000語程度と、かなりの量の長文です。したがって、じっくり読んでいると時間が足りなくなります。パッセージ1は比較的容易で、パッセージ2、3と進むにつれて難度が上がるので、目指すバンドスコアによって時間配分を変えましょう。例えば、バンドスコア6.0が目標ならば23点が目安です。ですから「パッセージ1と2で26問だから、この8割強に正答する必要がある。この2つのパッセージに時間をかけよう」という戦略もあり得るでしょう。

パッセージが難しいと感じたり、量に圧倒されて読み切れなかったりする場合は、問題文を手がかりにキーワードを見つけましょう。固有名詞や数詞は、言い換えることが難しいので、問題文と本文に共通して登場する可能性が高く、貴重なヒントとなります。文章の大意を把握できない場合は、各パラグラフの核となる文「トピック・センテンス」を見つけて、しっかり読むようにしましょう。トピック・センテンスの多くは、パラグラフの冒頭にあります。また、but や however など逆接のつなぎ言葉がある文は、筆者が主張したい事柄を述べていることが多いので、注意するようにしましょう。

IELTSのリスニングでは、答えを解答用紙に転記する時間が設けられていますが、リーディングに転記時間はありません。問題冊子にメモを書きとめるより、解答用紙に直接書き込んだほうが時間の節約になるのでおすすめです。あとでまとめて書き写すつもりでいると、うっかり時間切れになってしまう恐れもあります。

ライティングテスト

問題形式

60分で2つのTaskをこなします。Task 1では、グラフや表、図面などの視覚的な情報を、150語以上の英文で描写します。Task 2では、社会的なトピックについて、「…の長所と短所は何か」「…にあなたはどの程度賛成するか」などと問われるので、自分の意見を根拠と共に250語以上のエッセイにまとめます。解答は、罫線の入った解答用紙に手書きで記入します。

例題や解答用紙のサンプルは、IELTS公式サイトのAcademic Writingから入手することができます。

採点方法

IELTSのライティングは、以下の4つの基準で採点されます。

  1. Task 1では、グラフや表をどの程度正確に読み取り、説明できているか。Task 2では、トピックと質問をどの程度正確に理解し、応えているか。
  2. 文と文をつなぐ表現が適切で読みやすく、文章が一貫していてまとまりがあるか。
  3. 同じ語句・表現の繰り返しを避け、豊富な語彙を適切に使えているか。
  4. さまざまな文法を、文脈上適切な形で使えているか。

スコアの出し方は、次のとおりです。まず、Taskごとに、上の4つの基準について、1から9まで0.5刻みで採点します。その4つのスコアの平均を、そのTaskの最終スコアとします。Task 2は Task 1の2倍のスコアが配点されているため、ライティング全体のバンドスコアは、Task 1の最終スコアに、Task 2の最終スコア×2を足し、それから3で割った数値を、0.5点刻みで丸めたものになります。

解き方

英文エッセイの基本は、序論(introduction)・本論(body)・結論(conclusion)という構成で書くことです。パラグラフは、中核となる文(トピック・センテンス)と、そのトピック・センテンスを展開する文(サポーティング・センテンス)2~6文とで構成するとよいでしょう。

Task 1では、序論に1パラグラフ、本論に2~3パラグラフを目安にしましょう。Task 1程度の分量・内容の英文の場合、結論のパラグラフは省略しても構いません。まず序論で、The table shows .(この表は…を示しています)や This graph illustrates .(このグラフは…を表しています。)などの表現や、問題文の語句を使い、与えられた図表類を大まかに説明します。次に本論で、その図表類の情報を具体的に描写します。グラフ・表の数値や年代、イラストであれば書き添えられている語句をできるだけ使って、情報量を増やしましょう。結論を書く場合は、1パラグラフで、序論と同内容のことを別の表現でまとめます。

Task 2では、まず社会問題などのトピックが提示され、次に受験者が書くべきことを示した指示文が続きます。この指示文を正確に理解して、その要求を漏れなく満たすことがTask 2の最重要ポイントです。指示文は、To what extent do you agree or disagree ?(…にどの程度、賛成あるいは反対しますか?)や、Discuss the advantage and disadvantage of this .(この…の長所と短所を論じなさい)など、複雑な問いかけや細かい要求がされることがほとんどです。ですから、To a certain extent I can agree with , but .(ある程度は…に賛成できますが、しかし…。)と、賛成の程度を示しつつ主張を述べる、advantage と disadvantage の両方を挙げて要求に応えた上で、自分の意見を根拠と共に書くなど、指示文の内容に応じて、必要な要素をしっかり盛り込むようにしましょう。

IELTSは時間との勝負! まとまった分量を書いたあとで、「やっぱり、この文は削除したい」と感じた場合は、字の上に二重線を引いて取り消しましょう。消しゴムを使うより、時間を節約できます。

スピーキングテスト

問題形式

スピーキングテストは、試験官と1対1の面接形式で、所要時間は11~14分間です。会話はすべて録音されます。テストは3つのパートから構成されています。

パート1は、受験者自身や身近な話題について尋ねるインタビューです。家族や故郷のこと、趣味、好きなものなどを問われたあと、2つ程度のトピックにつき、それぞれ4つ程度の質問が行われます。所要時間は4~5分です。
パート2は、2分間のスピーチです。最初に紙と鉛筆を渡されます。次にトピックと言及すべきポイントを提示され、1分間で構想を練るよう言われます。トピックは「あなたにとって大事なものについて説明しなさい」など、受験者自身の体験に基づくものです。スピーチを終えると、その内容について1、2問の質問がされます。所要時間は3~4分です。
パート3は、試験官とのディスカッションです。「あなたの国の価値観」など、パート2の内容を発展させたトピックについて、試験官からの質問に答えます。所要時間は4~5分です。

例題や解答用紙のサンプルは、IELTS公式サイトのSpeakingから入手することができます。

採点方法

IELTSのスピーキングは、パート1~3をまとめて、以下の4つの基準で採点されます。

  1. 自然なテンポで会話できるか、意見や根拠を論理的に組み立てて話すことができているか。
  2. 同じ語句・表現の繰り返しを避け、豊富な語彙を適切に使えているか。
  3. さまざまな文法を、文脈上適切な形で使えているか。
  4. 明快な発音と自然なリズム・抑揚で、聞き取りやすく話すことができていているか。

上の4つの基準について、それぞれ1から9まで0.5刻みで採点し、その平均を0.5刻みで丸めたものを最終スコアとします。

解き方

IELTSの採点方法では、個人の母語による影響は減点されません。したがって日本語なまりを過剰に心配する必要はありませんが、R と L の区別など、基本的な点には気をつけましょう。また、小さく不明瞭な発声や、発音をごまかすための早口はマイナス要因です。気を落ち着けて、大きめの声と明瞭な話し方で、コミュニケーションに対して積極的な姿勢をアピールしましょう。

また、完璧に話そうとする必要はありません。言葉に詰まってしまったときは、あいまいに笑ったり黙り込んだりせず、Well, .(ええと)や Let me see.(そうですね)などと言い、その間に考えをまとめましょう。特にパート3では、母語でも難しい内容の質問をされることもあります。「そんなこと、考えたこともなかった」という場合は、意見を急いでひねり出してしどろもどろになるより、I have never thought about it.(そのことを考えたことがありませんでした。)と率直に言ったほうがいいでしょう。そして But in my experience, .(でも私の経験では…。)と自分の体験談を例に挙げたり、But as for X, .(でも、X については…)と話題を自分が知っているものに転換したりして、コミュケーション力があることをアピールしましょう。

スピーキングでもライティング同様、語彙と文法の豊富さ・適切さが評価されます。ライティングほど難しい語彙・文法は使えなくて当然ですが、別の単語や表現に言い換える、主語を I ばかりにせず自然な範囲で無生物主語を使う、などバリエーションに気を配りましょう。

まとめ

IELTSの全体像が把握できたでしょうか? IELTSは、シンプルな語彙問題や文法問題がなく、一方でグラフなどの描写を長めの英文にまとめる必要があるなど、日本の学生にとっては馴染みの薄い問題形式が頻出します。出題パターンも多様なので、圧倒されてしまうかもしれません。しかし、IELTSの特徴をとらえた学習を地道に続ければ、バンドスコアは着実に上がっていくことでしょう。日々の学習をこつこつ積み重ねて、目標のバンドスコアや志望校への留学を勝ち取ってください!