学校で習ったはずの英文法。日常会話にもよく出てくる使い方なのに、すっかり忘れていませんか? 身近にあるのに意外と知らない「習ったつもり」の英文法を、大学や専門学校、企業で教鞭をとるTOEIC人気講師・駒井亜紀子先生が解説してくれるコラムです。

分詞が、動詞と接続詞の両役をこなす分詞構文

みなさん、こんにちは。駒井亜紀子です。

第25回では分詞の基本的な使い方を説明しました。
少しだけ「分詞の基本的な使い方」を復讐……いや、復習しましょう!
(文法に復讐してもいいことありませんからね!)

第25回のコラムの中で、分詞は「動詞と形容詞の性質を分かち持って」いて、「形容詞と同じように、名詞を修飾できる」と説明しました。

  • a long letter(長い手紙)
  • a typed letter(タイプされた手紙)

形容詞 long(長い)と同じように、
過去分詞 typed(タイプされた)も名詞 letter を修飾していますね。

分詞には現在分詞と過去分詞の2つがあり、それには以下のような違いがありました。

現在分詞 基本的には動詞に ing をつけ、「~している、~する」という進行中の動作や能動的な意味を持つ。
過去分詞 基本的には動詞に ed をつけ、「~された」という受け身の意味を持つ。

思い出しましたか?

さて、今日は、さらに一歩踏み込んで……
「分詞構文」を説明していきます!

分詞構文は簡単に言うと、「分詞を使った構文」です(そのままですね……)。

例えば、Hearing the news, she smiled. のように、文の中には必ず現在分詞(~ing)や過去分詞(~ed)が出てきます。

さぁ、今回は苦手な構文ランキング第1位に輝いた(駒井独自のランキング)、分詞構文を一緒にマスターしていきましょう!

1. 分詞構文の基本のカタチ

冒頭で、分詞は「動詞と形容詞の性質を分かち持って」いて、「形容詞と同じように、名詞を修飾できる」と説明しましたね。

しかし!
分詞構文では、分詞は「動詞と接続詞の働きを兼ねる」ことができ、分詞が含まれる部分は、「副詞のように文の情報を補足する」ことができます。
(安心してください! 皆様の混乱を招いていることは自覚しています!)

実際に<接続詞を使った文><分詞構文>の2つの文を見比べてみましょう。

<接続詞を使った文>
When she heard the news, she smiled.
(彼女はそのニュースを聞いた時、微笑みました。)

<分詞構文>
Hearing the news, she smiled.
(そのニュースを聞いた時、彼女は微笑みました。)

では、この2つの文を元に、下記の2点に着目しながら、分詞構文の構造を確認していきます!

  • 分詞構文では、
  • 1) 接続詞 when が省略されている。
  • 2) 従属節(when節)の主語 she が省略されている。

1) 接続詞 when が省略されている。
分詞は「動詞と接続詞の働きを兼ねることができる」というのが、まさにここに表れていますね!

分詞構文では、接続詞 When が省かれ、その代わりに現在分詞 Hearing が置かれています。
日本語訳は、「…を聞いた時」という意味で、接続詞 When がなくても、when「~する時」と同じ訳になっています。

また、分詞が含まれる「Hearing the news, (ニュースを聞いた時、)」の部分は、「彼女が微笑んだのはいつか」という情報を補足していますね!

2) 従属節の主語 she が省略されている。
接続詞 when を使った文では、主節(she smiled)と従属節(when she)では同じ主語 she が用いられています。

しかし、分詞構文では、同じ主語を2回言わなくてもよいように、従属節の主語は省かれていますね!

いかがでしょうか。
冒頭で、分詞構文の中では、分詞は「動詞と接続詞の働きを兼ねる」ことができ、分詞が含まれる部分は、「副詞のように文の情報を補足する」ことができると言っていた意味が理解できたでしょうか。

では、上記2点を踏まえた上で、改めて<接続詞を使った文>から<分詞構文>の文に変えてみましょう。

When she heard the news, she smiled. <接続詞を使った文>
 ↓(When/she を省く)
When she heard the news, she smiled.
 ↓(動詞は現在分詞のカタチにして置く)
Hearing the news, she smiled. <分詞構文>

両者の違い、改めて確認できましたか。

では、もう少し<接続詞を使った文><分詞構文>を見てみましょう!

  • 1. Because he missed the train, he was late for the meeting.
  • (彼は電車を逃したので、打ち合わせに遅刻しました。)
  • <分詞構文>
  • Missing the train, he was late for the meeting.
  • (電車を逃したので、彼は打ち合わせに遅刻しました。)

元の文では理由・原因を導く接続詞 because を使っています。分詞構文を使った文は、「逃したので」と訳しても、「逃して」と訳しても、どちらでも構いませんが、「~すると、~して(時を表す)」、「~なので(理由を表す)」のように訳すと、意味が整う場合が多いです。

この例のように、分詞構文では「~した時」に加えて、「~なので」と理由を表すこともできるのです。

  • 2.Because she was tired, she went to bed early.
  • (彼女は疲れていたので、早く寝ました。)
  • <分詞構文>
  • (Being) Tired, she went to bed early.
  • (疲れていたので、彼女は早く寝ました。)

この例文は、もちろん「疲れていて」と訳しても大丈夫です。

分詞構文の場合、be動詞は現在分詞 being を置きます。
ただ、文頭に Being が来る場合、通常、省略します

  • 3. Since he was surrounded by a lot of friends, he felt happy.
  • (彼は多くの友達に囲まれていたので、幸せを感じました。)
  • <分詞構文>
  • (Being) Surrounded by a lot of friends, he felt happy.
  • (多くの友達に囲まれて、彼は幸せを感じました。)

接続詞が使われた文では、Since の後ろが「受動態(be+過去分詞):~される」になっています。

分詞構文では、接続詞 Since、主語 he を省いているのが分かります。
この場合、受動態の形を残し、分詞構文は Being surrounded としますが、通常、文頭の Being は省略します。よって、文頭には過去分詞 Surrounded が置かれています。

このように、文頭に過去分詞が置かれた分詞構文は、もともと受動態であったことがわかるように、「~されて」と訳すのがポイントです!

徐々に分詞構文の基本のカタチが理解できてきましたか。

2. 分詞構文の「位置」と「意味」

ここまでは、「分詞構文の基本のカタチ」を説明しました。

全ての例文では、分詞が文頭に置かれていましたが、実は文頭・文中・文末のどこにでも置くことが可能です。

それぞれの位置と意味を確認してみましょう!

<文頭>
Walking to school, I found a new restaurant.
(学校へ歩いていると、私は新しいレストランを見つけました。)

文頭に分詞構文がある場合、「~すると」と訳すと意味が通じる場合が多いです。

また、分詞構文の内容の方が時間的に前のことであれば、原則として「文頭に置く」ということも頭に入れておきましょう。

<文中>
The man, living in Tokyo, can speak three languages.
(その男性は、東京に住んでいて、3言語を話すことができます。)

文中に分詞構文が入り込んでいます。
この場合、主語について説明を加えることが多く、「~して」と訳すと文意が通ります。

<文末>
She was watching TV, talking with her friend.
(彼女は、友達と話しながらTVを見ていました。)

文末に分詞構文が続いていますね。
訳し方は、「~しながら、SV だ。」や、「SV だ。そして~する。」と訳すと流れが整います。

このように、分詞構文の位置によって、オススメの訳し方があります。
では、ここで「位置とオススメの訳し方」を整理しておきましょう!

文頭 ~して、~すると(時) / ~なので(理由)
文中 ~して(時)
文末 ~しながら、SV だ。/ SV だ。そして~する。(付帯状況)

分詞構文の位置によって「こんな風に訳すと文意が通りやすい」というパターンを知っていると、複雑に見える分詞構文も捉えやすくなります!
分詞構文の位置と訳し方のパターンを押さえたうえで、どの訳し方がピッタリくるか見極めましょう。

分詞構文について説明しましたが、その構造や訳し方が分かると、苦手意識が少し軽減できたのではないでしょうか。

次回のコラムでは、分詞構文の否定形と完了形、独立分詞構文について学んでいきましょう!

Thinking of all my readers, I wrote this column!
(全ての読者の方々を思いながら、このコラムを書きました!)
See you next time!
(ではまた!)