メールで使える英語表現 ビジネス編 #1「自己紹介と引き継ぎの挨拶をする」

自動翻訳や校正ツールの進歩により、英語で文章を書くハードルは格段に下がりました。一方で、「この英文、失礼なニュアンスだったりしないかな?」と、ちょっと不安になることもあるのでは?
こちらの「メールで使える英語表現」シリーズは、英語でメールを書くときに使える便利な語彙・表現を、シチュエーションごとに紹介する記事です。定型的な表現に言い換え例文を複数つけ、注意するポイントも挙げてあります。英文メールのテンプレートとしても活用してください!
ビジネス編第1回は、「自己紹介と引き継ぎの挨拶をする」です。
今回のテーマ:Introducing Yourself as the New Contact Person
同僚が異動になり、あなたはその仕事と顧客を引き継ぐことになりました。社外のクライアントにメールを書き、自己紹介と引き継ぎの挨拶をしなければなりません。好感度の高いメールにするには、どう書けばよいでしょうか? 構成と文例をチェックしてみましょう。
メール文の例
To: david.miller@globaltech.com
Subject: Your New Contact at ABC CorporationDear Mr. Miller,
I’m reaching out to introduce myself as your new contact at ABC Corporation, taking over from Sho Sato. My name is Kanako Suzuki. ①I hope you are doing well.
I’ve heard a lot about you from Sho, who has moved to another department, and ②I’m very excited about the opportunity to work with you. Please feel free to contact me anytime if you have any questions or concerns.
③I look forward to your response.
Best regards,
Kanako Suzuki
ABC Corporation
(訳)
宛先: david.miller@globaltech.com
件名: ABC コーポレーションの新担当者としてのご挨拶ミラー様
佐藤翔から引き継ぎ、ABC コーポレーションの新しい担当者として自己紹介するためにご連絡いたしました。名前を鈴木加奈子と申します。①お元気でいらっしゃいますでしょうか。
別の部署に異動しました翔から、ミラー様のお話をたくさん伺っており、②ご一緒に仕事ができる機会をとても嬉しく思っております。ご質問やご懸念がございましたら、いつでも遠慮なくご連絡ください。
③ご返信をお待ちしております。
敬具
ABC コーポレーション
鈴木加奈子
重要表現
① I hope you are doing well.
「お元気でいらっしゃいますでしょうか/よろしくお願いいたします」
日本語の「よろしくお願いいたします」にぴったり該当する英語表現はありませんが、代替となり得る定型表現がこの文です。親切かつ親しみやすい挨拶として、英文ビジネス・メールの定番となっている言い回しでもあります。日本語の「お世話になっております」のようにメールの冒頭に置くことも可能なので、今回のメールであれば、Dear Mr. Miller, と I’m reaching… の間に移動してもよいでしょう。
ただし今回は、相手への初めてのメールであることを考慮し、あえて冒頭から外して書いてあります。それは西洋のコミュニケーション文化として、「要点を先に書く」ことでメールの意図が伝わりやすくなり、好印象を与えることができるからです。今回のように初めて連絡する相手の場合、相手は見覚えのない名前・アドレスのメールを読んでいる状態です。「誰から?」「間違いメールでは?」と思っている可能性もありますので、まずは自己紹介と用件から始めるとよいでしょう。英文メールの場合、挨拶は必ずしも冒頭でなくてよいということを覚えておいてください。
類似表現:
定番
- I hope this email finds you well.
「お元気でお過ごしのことと思います」
「このメールが届いた時、あなたが元気でありますように」という意味が込められた言葉で、丁寧かつ一般的な挨拶表現です。英文メールでは1文目に来ることが定番となっています。上記のメール例のように挨拶をあえて後置する場合は、I hope you are doing well. など別の挨拶を書く方が自然に見えるでしょう。
ややカジュアル
- How are you doing?
「お元気ですか」
メールでも対面でも使える、便利な挨拶表現です。ややカジュアルな表現です。ビジネスの現場では、最初は丁寧な言い回しを使う方が好印象になりますが、関係が深まってきたらフレンドリーな言葉づかいの方がよい場合もあります。そのようにカジュアルな表現へ移行させていくとき、このフレーズが役に立つでしょう。
チャット用
- Hope you’re[everyone’s] doing well.
「お元気でお過ごしのことと思います」
グループチャットなど、複数の読み手に一度に挨拶するときの言い回しです。ややカジュアルなフレーズで、フレンドリーさを醸し出すのに役立ちます。
- コラム:「引き継ぎ」は、シンプルに書こう!
- 前任者からではなく、後任の人物からいきなり引き継ぎの挨拶があると、相手は「前任者はどうしていなくなったのだろう?」「何か不祥事でも起こしたのでは?」などの疑念を抱く可能性もあります。そういった意味でも、憶測を呼ぶような複雑な言い回しや詳細の説明は避け、以下のように簡潔に事実を伝えることをおすすめします。
I’m taking over from Sho Sato.(佐藤翔の役割を受け継ぎました。)
I’ve assumed Sho Sato’s responsibilities.(佐藤翔の責務は私が引き受けました。)
I’ve stepped into Sho Sato’s position.(佐藤翔の役職に就きました。/後任になりました。) - なぜ引き継いだのかを説明する際も、以下のように事実を簡潔に述べるに留めるのが一般的です。
He has moved to another department.(彼は他部署に異動しました。)
He has exited the company.(彼は退職しました。)
② I’m very excited about the opportunity to work with you.
「ご一緒に仕事ができる機会をとても嬉しく思っております」
このメールのようなシチュエーションでは、「相手と良好な関係を築きたい」という気持ちを適切に伝えることが重要です。I’m very excited(とても嬉しい、非常にわくわくしている)などの表現を用い、前向きな気持ちを伝えましょう。
ポイントは、opportunity(機会)という語です。単に excited to work with you(あなたと働けることが嬉しい)と書くと、この協働はすでに決定事項であり相手には選択の余地がないという圧迫感を与えてしまいます。opportunity / chance(よい機会)というポジティブな語を挟み、直接的な表現を避けて文意をやわらげましょう。opportunity を入れることには、よい効果がもう一つあります。あなたにエキサイトしているのではなく、あなたと働ける「機会」を喜んでいるのだ、と示せることです。
類似表現:
丁寧
- I’m happy to have a chance to work with you.
「ご一緒に仕事ができる機会があり嬉しいです」
例文②と同内容の丁寧な表現です。you ではなく chance を嬉しいと思っている、と伝える言い回しになっています。
丁寧・前向き
- I’m excited about the possibilities ahead.
「今後の可能性に期待しております」
直訳すれば「今後への可能性にわくわくしている」です。相手と自分の協働関係はポジティブな成果につながると思うと伝えたいとき、幅広く使える表現です。
具体的な状況を盛り込む場合
- I’m very excited about the possibilities ahead regarding ~.
「今後の~の可能性に大いに期待しております」
直前の文例 I’m excited about the possibilities ahead. を、より具体的な状況に合わせて使いたいときは regarding ~(~について/関して)を添えましょう。I’m very excited about the possibilities ahead regarding our companies’ ongoing collaboration.(両社の進行中の協働案件に関して、今後の可能性に大いに期待しております。)などと、特定の事例についての文にカスタマイズできます。
- コラム:やり過ぎ注意!
- 今回のメール例にある I’ve heard a lot about you.(あなたのお話はたくさん伺っています。)というような文は、好印象につながります。相手についてきちんと調べた上でメールを書いていることが伝わるからです。しかし、簡潔に書くよう注意しましょう。I’ve heard nice things about you. などと細かく書くと、「本当に?」「どんな良いこと?」という疑問を起こさせ、逆効果になりかねません。
③ I look forward to your response.
「ご返信をお待ちしております」
メールの最後の一言として、初めて連絡する相手に対しては、これが最もシンプルかつ効果的な結びフレーズです。「返信を求めている」=「話がしたい」という意思を伝えていることになります。もちろん、初めての相手以外にも使用可能な、覚えておくと便利な表現です。
ただし、日本語のメールの結びに使われる「よろしくお願いいたします」と同じようには使えません。日本語の「よろしくお願いいたします」は半ば決まり文句ですが、I look forward to your response. は明瞭に相手の返信を求める表現です。当該メールをもって用件が一段落する折には、うっかり習慣で書かないよう気をつけましょう。
類似表現:
丁寧
- Please feel free to contact me if you have any questions.
「質問がございましたら遠慮なくご連絡ください」
メールの末尾だけでなく、文中で書いてもよい表現です。その場合、最後の一言として、I look forward to your response. を添えてもよいでしょう。 - 日本語のメールでは同内容の文言が社交辞令としてもしばしば書かれますが、英語でははっきり、返信や質問を促す意になります。これ以上の返信を求めていないメールには、気軽に書かないよう注意しましょう。
シンプル
- Thank you for your time.
「お時間をいただきありがとうございました」
ほとんどの状況で使える便利な結び表現です。一つの用件が終わる際の最後のメールにも、やり取りがさらに必要で返信を求めるメールにも使えます。time を understanding(ご理解)や cooperation(ご協力)に変更することもできる、汎用性の高い締めくくりです。
カジュアル
- Take care.
「元気でね」
メールの末尾で使える、非常にシンプルでカジュアルな結句です。Regards や差出人名さえ省略して、ただ Take care とだけ書くことも可能です。Have a good one. / Have a nice day.(よい一日を。)や、Until next time.(また次回ね。)も同様に使えます。
まとめ
新担当者としての挨拶は、いつでもやや緊張するもの。しかし押さえるべきポイントは3つだけです。要点を第一に、説明は簡潔に、結びは返信してもらえるようフレンドリーに、この3点を押さえましょう。多忙な中メールを読む受信者の身になって、読みやすいメールを書くことを心がけましょう!





