今回の「言えそうで言えない身近なモノの英語表現」は「算数・図形の英語」がテーマです。
計算の基本である「足し算、引き算、かけ算、わり算」や「図形の名前」は日本語だとごく身近なものに感じられるでしょうが、英語ではどのように言うのでしょうか。もし、小中学生のネイティブの子どもたちと話す機会を持てたときは、これらを知っておくと役に立つかもしれません。
(文:Kan Andrew Hashimoto)

アジア人は数学が得意!?

子どものころ私が算数の試験で良い成績を取るたび、先生は満面の笑顔で
“Great job! I knew you’re an Asian!” (すごい!やっぱりアジア人だね)
と手のひらを上げ、私は先生と high five(和製英語ではハイタッチ)をして答案を受け取りました。
今思うと偏見を含んだ問題発言だと思います。
しかし頭の中が空っぽだった私はただただ褒められたとしか思っていませんでした。

ただ、アジア人は算数が得意だ、というのは事実で小学生から高校生に至るまで、算数、代数、幾何で成績の良い生徒は多くがアジア系でした。

mathematics/math/maths

算数(数学)は英語では mathematics と言います。
語源としては複数名詞ですが uncountable noun (不可算名詞)として単数の扱いです。
これを略して math または maths とも言いますが単数の扱いであることは同様です。

算数・数学 : mathematics/math/maths

arithmetic

arithmetic を「算数」と記しているものもありますが本当は少し違います。
アメリカでは小学校で教わる「算数」も中学校、高校で教わる「数学」も mathematics です。
arithmetic は主に「足し算・引き算・かけ算・わり算」または「計算」のことを言います。

四則演算・計算 : arithmetic
私は計算が苦手です。 : I’m not good at arithmetic.

足し算 : addition
引き算 : subtraction
かけ算 : multiplication
わり算 : division

「足し算をする」や「かけ算をする」は do を名詞の前に置きます。
足し算/引き算/わり算をする : do addition / subtraction / division
かけ算をする(冠詞aが必要です) : do a multiplication

足し算は plus、引き算は minus を使って表現することもできます。

3足す4は7。 : 3 plus 4 is 7.
9引く1は8。 : 9 minus 1 is 8.

9足す4はいくつですか? : What is 9 plus 4?
10引く5はいくつですか? : If you subtract 5 from 10, what do you get?
(subtractのすぐ後は引く数字です。引かれる数字ではないことに注意しましょう)

九九は multiplication table と言います。
ただアメリカの multiplication table は1から9までではなく、1から12までです。

日本ではメロディをつけて1から9までのかけ算を覚えますよね。
アメリカにはそのような便利な手段はありません。
1から12までのかけ算をひたすら覚えます。
ちなみに歴史の年号のゴロ合わせのような覚え方もアメリカにはありません。
ただただ覚えるだけです。

algebra, geometry

高校から、数学は代数と幾何に分かれます。どちらかまたは両方を選択します。

代数 : algebra (強勢は語頭 /ǽldʒəbrə/)
幾何 : geometry

分数、小数など

分数 : fraction/fractional numbers
小数 : decimal/decimal fraction
fraction を分数という意味で使うことも多いですが、本来 fraction は小数も含みます。

整数 : integer /íntidʒər/ 語頭に強勢です。
奇数 : odd/odd integer/odd number
偶数 : even/even integer/even number

分子 : numerator : /njúːmərèitər/
分母 : denominator /dinɑ́mənèitər/

5分の1 : one-fifth
3分の2 : two-thirds
英語では分子、分母の順に読み、分母は序数になります。

この分数を小数に直しなさい : Turn this fraction into a decimal.

7.8+4.9-5.6=7.1
読み方は Seven point eight plus four point nine minus five point six equals seven point one.

点、線、角、図形の名前

点 : point
直線 : straight line
曲線 : curve/curve line
対角線 : diagonal / diagonal line
直角 : right angle
鋭角 : acute angle
sharp angle という語もありますが、数学の授業では acute angle を使います。

正三角形 : regular triangle
直角三角形 : right triangle
二等辺三角形 : isosceles triangle (発音注意) / aisɑ́səlìz/
直角二等辺三角形 : isosceles right triangle
正方形 : square
長方形 : rectangle
平行四辺形 : parallelogram / pæ̀rəléləgræ̀m/
台形 : trapezoid / trǽpizɔ̀id /
ひし形 : rhombus / rɑ́mbəs /

円 : circle
半径 : radius
楕円 : oval

図形問題の決まり文句

試験問題での決まり文句です。

  • ここにある図形の面積を求めなさい : Find the area of the given diagram.
  • この立方体の体積を求めなさい : Find the volume of this cube.
  • 1辺が5インチの立方体の表面積と体積を求めなさい : Find the total surface area and volume of a cube whose length is 5 inches.
  • 「求める」は英語ではfindと言います。

    数学で今、表面積を習っています : I’m learning about surface area in math class.

成人してしまえば生活で使うことはまれですがそれでも小中学生の子どもたちと話すときにはこれらの語や例文は必須です。
役に立てる機会があれば嬉しいです。
次回もお楽しみに。

Kan Andrew Hashimoto 米・ウィスコンシン州出身。英・日バイリンガル。英語教育関連の音声、映像、書籍などの制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。公益財団法人 日本英語検定協会、文部科学省、法務省、警察庁などの教育用映像(日・英版)の制作などを行う。著作に「雑談力が伸びる英語の話し方」(斎藤孝と共著・アルク)などがある。