ふだん何気なく使っているものの名前をいざ英語で言おうとするとまったく口に出てこない。 そんなことあるんじゃないでしょうか。 この「言えそうで言えない身近なものの名前・表現」シリーズでは、日常生活や職場などで当たり前に目にするものの名前、それに関連する表現を英語でどう言うか紹介します。 また、学校で習った算数や図形に関する英語、病気やけがに関する英語も見ていきます。
今回は台所・掃除に関連する英語です。
(文:Kan Andrew Hashimoto)

台所に関するものの名前・表現

フライパンと言えば frying pan / pan ですが私が子どもの頃、母や祖母は skillet と言っていました。 意味は変わりませんがどちらを使うのかは地域によるようです。ちなみに Texas 出身の友人は skillet 、近所のカナダ人の友人は pan とのことでした。
英語だと耳慣れないかもしれない単語を並べてみました。

  • 中華鍋 : wok /wɑ́k/
  • おたま : ladle
      動詞だと「おたまですくう」という意味。
  • へら : spatula
  • ざる : strainer
      strainは「こす、裏ごしをする」。
  • 三角コーナー : sink strainer
  • タッパー : plastic container
      日本語の「タッパー」は開発者の名前が由来です。
  • 箸置き : chopstick rest
      「箸が休む場所」、何て明快な言葉でしょう。foot rest / arm rest と同じ発想です。
  • おろし金 : grater
      grate は「おろす、すりおろす」。「チーズおろし」は cheese grater。発音は great と同じです。
  • 泡立て器 : whisk
  • コンロ : stove
    1. 誤解している人が多い単語です。I need a new stove. は「新しいコンロが必要だ」。
      stove はガスや電気などで使うコンロ(調理器具)のこと。
      ガスコンロは gas stove, 電気コンロは electric stove。
      暖房器具の日本語で言うところの「ストーブ」は英語では heater。
  • トマトを小さく切る : cut tomatoes into pieces
  • 塩と胡椒で〜の味を整える : season ~ with salt and pepper
  • 泡立て器でゆっくり混ぜてください : Stir slowly with a whisk.
  • タマネギをおろしてくれない? : Will you grate an onion?
  • 皿洗いをする : do the dishes
  • 皿を水につける : soak the plates in water

「昨夜ラーメンを作った」を英語で言うとき、「作った」をそのまま英訳して
I made ramen last night. としてしまう人が多いです。
しかし火を使った料理には cook を使います。
I cooked ramen last night.が正解。
火を使わない、例えばサラダ、サンドイッチ、お鮨などの場合は make を使います。

掃除に関するものの名前・表現

「掃除をする」は clean ですが「掃き掃除」「モップがけ」「ほこり払い」「拭き掃除」「ワックスがけ」など 掃除には作業がたくさんありますね。

  • 掃除機 : vacuum cleaner
      vacuum は「真空」。動詞では「掃除機をかける」です。
      決して「吸い取る」という意味ではありません。
  • ほうき : broom
      「花が咲く」の bloom とは発音が異なります。要注意です。
  • ちりとり : dust pan
  • モップ : mop
  • ぞうきん : dust cloth
  • 粘着テープ付きコロコロ : sticky roller / lint roller
      Sticky は「べたべたの/粘着性のある」、 lint は「糸くず」。
  • 掃き掃除をする : sweep
  • モップがけをする : mop
  • 掃除機をかける : vacuum
  • ほこりを払う : dust

  • 玄関の掃き掃除をしなさい : Sweep the entrance.
  • 廊下にモップがけをしなさい : Mop the hallway.
  • 絨毯に掃除機をかけた : I vacuumed the carpet.
  • 母は毎日家具の埃を払う : My mother dusts the furniture every day.
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    子どもの頃に母から「あんたの部屋はなんて汚いの!」「きれいにしなさい!」とよく言われました。
    そのとき Clean your room! なら掃除機をかけたり(vacuum)、掃き掃除をしたり(sweep)、モップがけ(mop)をして部屋を掃除しなさい、という意味です。
    しかし実際には、雑誌やおもちゃやお菓子や馬具や絵の具や鉄道模型や作りかけの鳥の巣箱などで溢れかえっていた部屋をきれいにしろ、という意味でしたから母の怒りのセリフは、 Clean up your room! でした。
    clean up は tidy (片付ける)の意味です。
    Up を加えるだけで意味が変わります。面白いですね。
    次回もお楽しみに。

     

    Kan Andrew Hashimoto 米・ウィスコンシン州出身。英・日バイリンガル。英語教育関連の音声、映像、書籍などの制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。公益財団法人 日本英語検定協会、文部科学省、法務省、警察庁などの教育用映像(日・英版)の制作などを行う。著作に「雑談力が伸びる英語の話し方」(斎藤孝と共著・アルク)などがある。