この記事では、英検準1級合格のために必要な情報をまとめて紹介しています。最初に、レベルはどのくらいで合格点は何点か、合格するとどんなメリットがあるかといった英検そのものの解説や、試験⽇程などの情報を挙げてあります。次に、出題の傾向や特徴、効率的な勉強 法、苦⼿とする⼈が多いリスニングの対策など、かなめとなる試験対策を詳述します。最後
に、試験当⽇の流れや具体的な問題例と解答のコツ、⾯接のポイントなどをまとめています。英検準1級を受験する⽅、受験を検討している⽅は、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2024年2⽉時点の情報に基づいています。受験の際は、英検ウェブサイトで最新情報をご確認ください。
※本記事は、複数ある試験⽅式のうち、最も基本的な方式である「従来型」を前提に解説しています。試験⽅式の詳細は、「英検とは:概要と級別の勉強法・試験対策 試験⽅式について」をご参照ください。
※この記事で紹介されている一部の教材は、2024年の英検リニューアル後の試験形式には対応していません。リニューアル後の問題形式と対策については「英検合格ナビゲーター」をご覧ください。

英検とは

英検とは、実⽤英語技能検定のことです。公益財団法⼈ ⽇本英語検定協会が主催し、⽂部科学省が後援しています。1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7つの級があり、年に3回実施されています。年間の総志願者数は420万⼈を超える、⽇本で最⼤規模の英語検定試験です。

リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングという、英語の運⽤に不可⽋な4技能を堅実に測定する検定で、⻑年にわたる実施歴により、抜群の知名度と信頼を得ています。検定料は4技能を測って10,500円(準1級の場合)です。試験会場も多く受験しやすいのが特⻑です。⼩学⽣から社会⼈まで幅広い年齢層を対象としているため、職歴や経験によって結果が左右されないよう設計されており、「誰でも受けられる」「英語⼒そのものを測る」検定という定評があります。

受験の資格・条件などはないので、7つの級のどれにチャレンジしてもかまいません。試験後に送付される成績表には、合否判定だけでなく、どのくらい合格ラインを上回ったか、あるいは下回ったかなどが⽰されることから、習熟度のチェックや学習モチベーションの維持にも活⽤できます。国際標準規格CEFRに対応した英検CSEスコアによって、⾃分のレベルをグローバルな視点で把握できることも⻑所です。

レベル

英検準1級は⼤学中級程度のレベルとされ、「社会⽣活で求められる英語を⼗分理解し、また使⽤することができる」とうたわれています。難関⼤学の⼊試程度のレベルと⾔われ、「実際に使える英語⼒」の証明として⾼く評価されています。⾼校⽣・⼤学⽣・社会⼈を中⼼に、幅広い層に受験されています。

受験する意義

⾼校⽣にとっては、⼤学中級レベルである英検準1級を持っていることは、標準以上の英語⼒が⾝についていることを意味します。そのような級に挑戦し成功したという証拠ですので、学⼒だけでなく学習意欲やチャレンジ精神もあると⾒なされ、推薦・AO⼊試などの⾯接において、好印象を与えることができるでしょう。⼤学⼊試において出願資格が得られたり、得点に加点されたりするなどの優遇措置を受けられるケースもあります。

⼤学⽣にとって
は、英検準1級を持っていると⼤学によっては、英語科⽬の単位として認定されます。留学の際、英語⼒の証明として使えるケースもあります。就職活動の際も、例えば教員採⽤試験で試験の⼀部免除や点数の加点の対象になるなど優遇されます。英語⼒を問わない職種に応募する場合でも、準1級という難度の⾼い資格にチャレンジし取得した経歴は、アピールポイントとなるでしょう。

社会⼈にとって
は、英検準1級を持っているということは、グローバル・ビジネスの現場で活躍する⾜がかりとなるでしょう。近年は国際化の進展にともない、昇進・昇格試験で英語資格の取得が求められたり、英語と無縁だった職場・職種でも英語⼒が必要となったりする傾向があります。英検準1級を持っていれば、キャリアパスにおいて可能性が広がるでしょう。

TOEICテストとの違い

英検の問題とTOEICテストの問題は⼤きく異なります。英検準1級では、家庭・学校・職場・地域など社会⽣活での幅広い場⾯・話題が出題され、⽂化的、科学・医学的な内容のリーディングなど⽐較的アカデミックな英語を理解できることが求められます。⼀⽅TOEICテストで は、ビジネスでの英語⼒を測定する試験であるため、ビジネスや社会人の日常生活における場⾯・話題が中⼼に出題されます。ビジネスの経験がない学⽣にとっては、英検準1級の⽅が攻略しやすいでしょう。⼀⽅、英語からしばらく遠ざかっていた社会⼈にとっては、TOEICテストの⽅が馴染みやすいと思われます。

また英検準1級は、⼀次試験ではリーディング・ライティング・リスニングの3技能、⼆次試験ではスピーキングの能⼒を判定する4技能テストです。対するTOEICテストは、リーディングとリスニングの能⼒を判定するTOEIC L&Rテストと、スピーキングとライティングの能⼒を判定するTOEIC S&Wテストとに分かれています。近年は、従来重視されていたリーディング・リスニングの技能に加え、スピーキングやライティングの能⼒も求められる傾向が顕著です。4技能を総合的に判定したい場合は、⼀度の申し込みで受験でき、検定料も比較的安価な英検準1級にメリットがあります。

英検準1級とTOEICテストは、そもそもテストの性質が異なるため、単純な⽐較はできません。しかし、外国語運⽤能⼒の評価基準であるCEFR* に基づいて各試験を⽐較すると、英検準1級合格はCEFRのB2にあたり、TOEIC L&Rテストでは785点以上(満点は990点)、 TOEIC S&Wテストでは310点以上(満点は400点)にほぼ対応します。

CEFR 英検 TOEICスコア
測定範囲 英検CSEスコア
C1 1級 2600~3299
(1級合格:2630)
L&R:945~
S&W:360~
B2 準1級 2300~2599
(準1級合格:2304)
L&R:785~
S&W:310~
B1 2級 1950~2299
(2級合格:1980)
L&R:550~
S&W:240~
A2 準2級 1700~1949
(準2級合格:1728)
L&R:225~
S&W:160~
A1 3級 1400~1699
(3級合格:1456)
L&R:120~
S&W:80~

(⼤学⼊試センターの公開資料とTOEICウェブサイトを基に作成)

* CEFRは、世界中で広く利⽤されている外国語運⽤能⼒の指標です。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで⾒る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

試験内容

英検準1級には、⼀次試験(筆記・リスニング)と⼆次試験(⾯接)があります。

一次試験

一次試験は、筆記試験とリスニングテストの2部構成です。
筆記試験は90分で、リーディング・ライティングの2技能が判定されます。
リスニングテストは約30分で、筆記試験に続いて実施されます。
解答形式は、ライティングのみ記述式で、それ以外はマーク式です。

問題の構成は下記のとおりです。

●筆記試験
測定技能 問題番号 問題形式 詳細 設問数
リーディング 1 短文の語句
空所補充
文脈に合う適切な語句を補う。 18
2 長文の語句
空所補充
パッセージの空所に文脈に合う適切な語句を補う。 6
3 長文の内容
一致選択
パッセージの内容に関する質問に答える。 7
ライティング 4 英文要約 提示された文章の要約を作成する。 1
5 英作文
(意見論述)
指定されたトピックについて意見を論述する。 1
●リスニングテスト
測定技能 問題番号 問題形式 詳細 設問数
リスニング Part 1 会話の内容
一致選択
会話の内容に関する質問に答える。
(放送回数1回)
12
Part 2 文の内容一致選択 パッセージの内容に関する質問に答える。
(放送回数1回)
12
Part 3 Real-Life形式の内容
一致選択
Real-Life 形式の放送内容に関する質問に答える。
(放送回数1回)
5

英検準1級では、社会⽣活⼀般、芸術、⽂化、歴史、教育、科学、⾃然・環境、医療、テクノロジー、ビジネス、政治などに関する話題が出題されます。

二次試験

⼆次試験は⾯接形式のスピーキングテストです。
⽇本⼈およびネイティブスピーカーの⾯接委員と1対1で約8分話します。

出題される問題は下記のとおりです。

測定技能 問題番号 問題形式 詳細
スピーキング 自由会話 面接委員と簡単な日常会話を行う。
ナレーション 4コマのイラストの展開を説明する。(2分間)
No. 1 受験者自身の意見を問う質問 イラストに関連した質問に答える。
No. 2, 3 カードのトピックに関連した内容についての質問に答える。
No. 4 カードのトピックにやや関連した、社会性のある内容についての質問に答える。*

* 2024年度第1回検定から、No.4 の QUESTION に話題導入文が追加されますが、答え方に変更はありません。

英検準1級の⼆次試験では、社会性の⾼い分野の話題が主に出題されます。過去の出題例を挙げると、在宅勤務、レストランでの喫煙、チャイルドシート、住⺠運動、キャッチセールス、護⾝術などです。

日程

英検準1級は年に3回実施されます。実施⽉は下記のとおりです。

⼀次試験 ⼆次試験
第1回 6⽉ 7⽉
第2回 10⽉ 11⽉
第3回 1⽉ 3⽉

個人受験は、下記の日程で実施されます。

●2024年度

受付期間 一次試験 二次試験
第1回 3⽉15⽇〜5⽉8⽇* 6⽉2⽇(⽇) (A⽇程)7⽉7⽇(⽇)
(B⽇程)7⽉14⽇(⽇)
第2回 7⽉1⽇〜9⽉9⽇* 10⽉6⽇(⽇) (A⽇程)11⽉10⽇(⽇)
(B⽇程)11⽉17⽇(日)
第3回 11⽉1⽇〜12⽉16⽇* 2025年1⽉21⽇(⽇) (A⽇程)2025年3⽉2⽇(⽇)
(B⽇程)2025年3⽉9⽇(⽇)

* 受付期間はいずれもインターネット申し込みの場合です。コンビニ支払・郵便局ATM(Pay-easy)支払の場合、書店申込の場合の締切日は異なりますので、英検ウェブサイトの「2024年度 試験日程」をご確認ください。

⼆次試験にはA⽇程とB⽇程とがあり、英検準1級の個⼈受験では、満21歳以上がA⽇程に、満20歳以下がB⽇程に割り振られます。

個⼈受験でも準会場(団体試験の会場)で受験できる場合があります。その場合は、上記の個⼈受験(本会場)の⽇程とは異なり複数の⽇程があります。詳しくは、英検ウェブサイトで最新情報をご確認ください。また、団体受験の受験⽇も、個⼈受験の⽇程と異なり複数ありますので、ご⾃⾝の所属する団体に問い合わせましょう。

過去問

英検準1級の問題やレベルを確認するには、過去問を解いてみることが⼀番です。英検ウェブサイトにて、直近3回分の過去問が公開されています。過去問は、試験終了後1週間程度でアップロードされます。

過去問で英検準1級対策をするなら、⽇本語訳と丁寧な解説が掲載された旺⽂社の過去問シリーズがおすすめです。6回分の過去問を収録した『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』をご利⽤ください。

『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』

英検準1級合格を⽬指すなら、まずは過去問から︕

まだ試験のことがよくわからない、という⼈は、まず試験の中⾝を知るために使ってください。ひととおり解くことで、⾃分が今どれくらいのレベルなのか、把握することもできます。そして、6回分収録されていますので、実⼒の伸びを確認したい、総仕上げとしたいなど、学習の進捗にあわせてさまざまな場⾯で利⽤することができます。

また、⼆次試験・⾯接では、英検協会から模範解答は発表されていませんが、本書で独⾃に作成したモデルスピーチを、各回5つ、合計30掲載しています。理想的な解答のイメージがつかめて、学習しやすくなります︕

⾳声は、旺⽂社リスニングアプリ「英語の友」で無料で聞くことができます(ただし、書籍に記載されたパスワードの⼊⼒が必要です)。

24年度版は英検2024年度試験リニューアルに関して、新ライティング問題の英検公式サンプル問題(解答例・訳・解説付き)と、旺文社オリジナル予想問題(解答例・訳・解説付き)を掲載しています。

合格点・合格率

一次試験

一次試験の合否は技能ごとに算出されたCSEスコアという指標をもとに判定されており、何問正解すれば合格かをはっきりと知ることはできません。ただし⽇本英語検定協会は、「2016年度第1回では、各技能7割程度の正答率の受験者の多くが合格した」と発表しており、今後も7割程度の正答率が合格ラインだと予測されます。

CSEスコアでは、リーディング・リスニング・ライティングの技能ごとに750点満点とされており、合格基準スコアは3技能合計で1792点です。筆記試験のうち、ライティングの2問は750点満点で評価されるため、⼀次試験の中で⽐重は1/3とかなり⼤きくなります。例えば、リーディング・リスニングで満点を取っても、ライティングが0点だった場合、合計1500点となり、合格基準スコアに292点⾜りないことになります。つまり、⽇頃からどの技能もバランスよく⾝につけておくことが、英検準1級合格には必要なのです。

二次試験

⼆次試験の合否もCSEスコアで判定されます。満点は750点で、合格基準スコアは512点で す。ナレーション、応答内容、発⾳、語彙、⽂法、語法、情報量、アティチュード(積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲や態度)などが評価ポイントとなります。

合格までの道のり

受験級の確認

英検を受験する際には、受験すべき級が本当に準1級であるか、よく検討しましょう。英検は下の級から順に受験する必要はなく、初めて英検を受験する場合でも、英検準1級を受験してかまいません。

英検ウェブサイトで過去問を眺め、⾃分の実⼒とかけ離れていないかどうかチェックしましょう。もし⻭が⽴たないと感じたら、今の実⼒により近い級を先に受験し、ステップアップするというやり⽅もあります。

ケース別学習手順

英検準1級にチャレンジする⽅のモデルケースを2つ想定しました。⾃分の実力に合わせて、学習⼿順・所要時間の⽬安にしてください。

※ここで紹介されている一部の教材は、2024年の英検リニューアル後の試験形式に対応していません。リニューアル後の問題形式と対策については「英検合格ナビゲーター」をご覧ください。

ケースA:英検準1級レベルの学習をほぼ終えている場合

⼤学⽣や社会⼈など、英検準1級レベルの学習をすでに終えている場合、
・試験に慣れること
・苦⼿分野を補強することの2つが重要です。

英検対策書を使った学習手順の一例をご紹介します。

過去問で問題演習

英検は試験形式が毎回⼀定の試験です。そのため、試験に慣れるだけでも、素早く解答し、正答率を上げることができます。『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』で過去問を解き、試験形式に慣れましょう。必ず時間を計り、どれくらいの速さで解答していけばよいか、よく確認しましょう。

答え合わせと、苦⼿分野の発⾒

過去問を解き終わったら答え合わせをし、間違えた問題の解説をよく読みましょう。英検準1級合格に必要な正答率は明らかにされていませんが、7割程度が合格ラインだと予測されます。⼤問ごとに正答率を算出し、正答率が7割を切った⼤問は、苦⼿な分野だと考えましょう。

苦⼿分野の補強

正答率が7割を切る⼤問があった場合には、『英検準1級 総合対策教本』であてはまる章を学習しましょう。単語・熟語に不安があったら『英検準1級 でる順パス単』を使⽤して、語彙⼒を補強しましょう。⻑⽂読解が苦⼿な場合は『英検分野別ターゲット 英検準1級 リーディング問題』で、リスニング⼒に問題があるようなら『英検分野別ターゲット 英検準1級 リスニング問題』で、不⾜している英語⼒を⾝につけましょう。

4. 二次試験の問題演習

⼀次試験を突破したら、『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』で⼆次試験の過去問に挑戦しましょう。スマホなどで⾃分の解答を録⾳し、あとから⾃⼰評価するとよいでしょう。うまく答えられなかった問題は、解説をよく読み、解答例に使われている表現を覚えてしまいましょう。

ケースB:英検準1級レベルの知識が⾝についていない場合

⾼校⽣や、英語にしばらく触れていなかった社会⼈など、過去問を眺めてみて「わからない単語が多すぎる」「知識不⾜だ」と感じる⽅は、英検準1級合格に最低限必要な知識を固めることにまず注⼒しましょう。

1.英検準1級の出題傾向に沿って学ぶ

英検準1級の出題形式と問題の傾向を理解し、それに必要な知識を⾝につけましょう。内容解説と、トレーニングのための問題を併記している『英検準1級 総合対策教本』がおすすめです。英検準1級合格に必要な4技能を、理論と実践で⾝につけることができます。

2. 重要単語を覚える

単語集『英検準1級 でる順パス単』の「でる度A」(よくでる重要単語)の500語をまず覚えましょう。この単語集はでる順に掲載されており、効率よく学習できます。

ここまで終えたら、ケースAの学習⼿順に進みましょう。

合格に必要な学習時間

上記の⼿順で学習をすすめた場合、どれくらいの学習時間が必要か、⼀例を⽰しました。

ケースA

1. 過去問で問題演習︓過去問6回分の演習で12時間
2. 答え合わせと、苦⼿分野の発⾒︓過去問6回分の答え合わせと丁寧な復習で9時間
3. 苦⼿分野の補強︓苦⼿分野1つにつき3時間
4. ⼆次試験の問題演習︓過去問6回分の演習と丁寧な復習で3時間

苦⼿分野の数によりますが、27〜33時間程度を⾒込むとよいでしょう。

ケースB

1. 出題傾向に沿って学ぶ︓傾向を知り対策するのに15時間
2. 重要単語を覚える︓でる度Aを覚えるのに9時間
+ケースAの学習時間

未習分野の量によりますが、51〜57時間程度を⾒込むとよいでしょう。

もちろん個⼈差もありますので、上記の時間はあくまで⽬安です。単語やライティングは⼀度やっただけでは⼒がつかない分野ですし、英語を話す機会がない⼈は発話に慣れるだけで時間がかかることでしょう。⽇頃、学校で英語の授業を受けている⽅は、その分、英語⼒が⽇々⾼まっているはずですので、個⼈学習にここまでの時間は必要ないかもしれません。逆に、社会⼈などで独学されている⽅は、⼗分な学習時間を確保できるよう、しっかり計画を⽴てることが⼤切です。

勉強法

単語

英検準1級によくでる単語は、⽇常会話で使⽤されるものより難度が⾼く、社会性の⾼い話題で使われる語彙が中⼼です。特に筆記⼤問1は、単語の知識を問う問題が中心です。⽂法知識だけで解ける問題はなく、語彙⼒が決め⼿となります。品詞別に⾒ると名詞・形容詞・動詞がほぼ同数ずつ出題されており、副詞も問われます。

⼤問1によくでる単語を例に挙げると、eliminate(〜を取り除く)、congestion(混雑)、 cynical(懐疑的な)などです。

『英検準1級 でる順パス単』の⾳声は、旺⽂社リスニングアプリ「英語の友」で無料ダウンロードできます。収録された⾒出し語のリストを⾒ながら発⾳を確認できるので、英検準1級レベルの単語を、効率的に⽿で覚えられます。

参考書

おすすめの参考書は、『英検準1級 でる順パス単』です。過去の英検問題を分析し、よく出題される単語を「でる順」に掲載した、リスト型単語集です。

勉強法

英検準1級レベルの単語を学習するには、幅広い分野についての社会的な英⽂に⽇頃から触れることが⼤事です。USA Today などネイティブ向けの、⽐較的読みやすいニュース記事を積極的に読んでみましょう。The Japan Times や The Daily Yomiuri など⽇本の英字新聞も、⽇本での出来事を扱っているので馴染みやすく、おすすめです。⾒慣れない単語があったら意味を調べるだけでなく、コロケーション(他の単語との、よく使われる組み合わせ)もメモして⾃作の単語帳を作ったりすると、⼤問1対策にもなりますし、ライティングや⾯接(スピーキング)の際、⾃然な英語表現を使えるようにもなります。

英字新聞などを読むのと並⾏して、単語集も活⽤するとよいでしょう。英検準1級ででる単語はジャンルが幅広いので、読書だけで語彙⼒をつけようとすると膨⼤な量を読まなければならなくなります。ですから単語集『英検準1級 でる順パス単』を使い、効率よく覚えることをおすすめします。単語を⼀定数以上頭に叩き込むと、読む速度が⾶躍的にアップします。すると
⼀層多くの英⽂を読めるようになるので、語彙⼒もさらについてきます。このような相乗効果で、単語⼒・英語⼒を底上げしましょう。

単語集は、「覚えている」「覚えていない」を仕分けるチェックリストととらえましょう。まず、載っている単語を覚えているか覚えていないかを基準に、すべてを短時間で仕分けていきます。単語集の⾒出し語にはチェックボックスがありますから、「覚えていない語にチェックを⼊れる」とルールを決めて(逆に覚えている語にチェックを⼊れてもかまいません)、チェックを⼊れていきましょう。それから暗記に移ります。この勉強⽅法の利点は、すでに覚えている語に時間を奪われず、覚えていない語だけに集中できることです。勉強時間は有限ですから、効率よく学べるよう⼯夫しましょう。

旺⽂社リスニングアプリ「英語の友」は「単語モード」機能を使えば、『英検準1級 でる順パス単』の⾒出し語の⾳声を聞きながらチェックを⼊れて、「覚えている」「覚えていない」をアプリ上で仕分けることができます︕

単語を覚える際には読むだけでなく、聞く・話す・書く、すべての技能を動員しましょう。字⾯を⾒る、発⾳を聞く、⾳読してみる、⼿を動かしてスペルを書いてみるなど、五感を刺激し体で覚えるのです。単語の意味がいまひとつよくわからない場合は、インターネットの画像検索で、その単語をサーチするのもよい⼿です。その単語と関連のある画像がぞくぞくと出てきますから、画像を⼿がかりに意味を頭にインプットできます。また、『英検準1級 でる順パス単』には派⽣語・類義語・反意語も網羅されていますから、まとめて覚えて語彙⼒を倍増、3倍増させましょう。

英検準1級の単語について、さらに詳しく知りたい⽅は、「英検準1級英単語のレベルと単語⼒テスト」をご覧ください。

熟語

英検準1級の熟語は、⽇常⽣活あるいは社会性のある話題で使われる語彙が中⼼です。⼤問1の25問中、4問程度が熟語の問題です。句動詞が主に出題されます。

⼤問1によくでる熟語を例に挙げると、call for(〜を必要とする)、let up(⼿を緩める)、 pull over((⾞)を脇に寄せる)などです。

参考書

おすすめの参考書は、単語集『英検準1級 でる順パス単』です。過去の英検問題を分析し、よく出題される重要熟語300語を掲載しています。黙々と暗記するのが苦⼿という⽅には、『英検準1級 ⽂で覚える単熟語』がおすすめです。⽂脈の中で単語・熟語が⾝につきます。

旺⽂社リスニングアプリ「英語の友」を使えば、『英検準1級 でる順パス単』の⾳声をダウンロードすることができます。収録された⾒出し語のリストを⾒ながら発⾳を確認できるので、英検準1級レベルの熟語を、効率的に⽿で覚えられます。

勉強法

単語と同じく、覚えていない熟語と出会うたびにひとつひとつ覚えていくのもよい学習法ですが、やはり『英検準1級 でる順パス単』を使った学習が効率的です。詳しくは、単語の項をご参照ください。

また熟語を覚える際には、以下のやり⽅がおすすめです。
①熟語を構成する単語の、それぞれの語義をチェックする。
②それらの語義・ニュアンスを結びつけ、イメージを膨らませて意味を想像する。
③熟語としての意味と関連づける。
④例⽂を読み、記憶にインプットする。

(例)skirt around((問題)を回避する)の場合
①skirt[名詞]スカート、すそ、へり [動詞](へりに沿って)進む around[副詞]ひとまわりして、ぐるりと回って
②「へり・すそを、ぐるりと回って」と、イメージする
③へりをぐるりと回るイメージを、「問題の周縁をぐるりと回って避ける」と関連づける
④例⽂ Please stop skirting around the issue.(問題をはぐらかすのはやめてください。)を読み、記憶にインプットする。

この、単語の語義から熟語の意味を想像する⽅法は、⼤問1の選択肢を絞り込むときだけでなく、読解で知らない熟語があったときにも役⽴ちます。

長文読解

英検準1級の⻑⽂読解では、様々なジャンルと世界各地に関する、ある程度専⾨的な⽂章を読んで、理解することができるレベルが求められます。

⻑⽂読解は、⼀次試験・筆記の⼤問2と3で出題されます。⻑⽂の内容は、⽂化的、科学・医学的なものが多く、さまざまな地域のテーマが出題されます。歴史的な側⾯を扱う⽂章が多いのも特徴です。

⼤問2では、約250語の⻑⽂2つに、空所が3カ所ずつ(計6カ所)あります。それぞれの空所にあてはまる述部や接続詞、接続詞的⽤法の語句などを、4つの選択肢から選びます。約15分で解きたいところです。

⼤問3では⻑⽂が2つあります。1つめは約400語で設問が3問、2つめは約500語で設問が4問となっています。問われるのは主に、⻑⽂の細部の内容ですが、全体の主旨・結論を問う出題もまれにあります。速読と緻密な読みの両⽅が必要です。全部で900語程度になる⻑⽂を、できれば40分ほどで解きたいところです。

参考書

⻑⽂読解を基礎から学びたい⽅には『英検準1級 総合対策教本』がおすすめです。⻑⽂の構成や読み⽅のコツなど、短時間で正確に⽂脈を把握する⽅法を指導しています。読解⼒を上げたい⽅には、41⻑⽂を解いて実⼒を練成する『英検分野別ターゲット 英検準1級 リーディング問題』がおすすめです。

勉強法

英検準1級の⻑⽂読解で⼤事なことは、時間内に読み切ることです。そのためには、まず⼤意をつかみましょう。⻑⽂の構造を意識して、タイトルと最初の数⽂はじっくり読み、続く段落はつなぎ⾔葉と5W1H(when, where, why, who, what, how)に注意して速読するので す。それから設問と照らし合わせて、答えに関係する部分を、誤解のないように読み解きます。

⼤問2では、空所の前後が重要なので、まずここを丁寧に読みましょう。それから段落全体、次に⽂章全体の流れを把握して正答を絞り込みます。接続表現のパターンを知っておくと⽂の構造を把握しやすくなるので、例えば「accordingly は順接」、「nevertheless なら逆接」、「to take an illustration は例⽰」などと覚えておきましょう。

⼤問3では、⽂章の流れと設問の順序はほぼ対応しています。具体的に⾔うと、第1パラグラフから1問めが出題され、第2パラグラフからは2問め、という順番です。本⽂、選択肢共に⻑いので、焦って読解がいい加減になったり、疲れてしまって集中⼒がもたなかったりしないよう、⽇頃から⻑⽂に慣れておくことが⼤事です。また、⽬標解答時間内の解答を⽬指す、⽂章の構造を意識して先を予測しながら読む、未知語があっても辞書には頼らず、⾔い換え表現や話の流れから意味を類推する、など、本番を意識した読み⽅を普段から⼼がけましょう。

ライティング

英検準1級のライティングでは、準1級レベルの語彙・文法を使い、論理的でまとまりのある⽂章を書くことができるレベルが求められます。

ライティングは、⼀次試験・筆記に2題出題されます。1題目は「英文要約」です。提示される英文は200語程度の、新聞記事や論文などに見られるアカデミックな文章です。要件は以下の2点です。

  • 提示された文章を読み、そのサマリーを、できるだけ自身の言葉で作成する。
  • 語数は60〜70語。

2題目は「意見論述」です。トピックは「賛成か反対か︓⼩規模で⾃営の商店や企業は、現代社会で⽣き残ることができる」など、社会的な話題が中⼼に出題されます。要点は以下の4点です。

  • 指定されたトピックについて書く。
  • 与えられたポイント4つのうち、2つを⽤いる。
  • 序論・本論・結論の構成で書く。
  • 語数は120〜150語。

参考書

英作⽂を基礎から学びたい⽅には、英⽂の基本構造から学べる『英検準1級 総合対策教本』がおすすめです。問題をたくさんこなしたい⽅は、英作⽂が合計13問収録されている『英検分野別ターゲット 英検準1級 ライティング問題』がおすすめです。

※この2教材は、2024年の英検リニューアル後の試験形式には対応していません。リニューアル後の問題形式と対策については「英検合格ナビゲーター」をご覧ください。

勉強法

英検準1級のライティング・英文要約問題では、まず与えられた英文の内容をつかむことが大切です。目標時間2分程度で、パッセージ全体の論旨と、各パラグラフで述べられている内容、パラグラフ間の論理的なつながりをしっかりと読み取りましょう。
パッセージの内容が把握できたら、全体の主張と各段落の内容をそれぞれ1~2文程度でメモに書き出してみます。メモは日本語で書いても構いません。

例えば
・全体の主張:
・パラグラフ1の内容:近年、~である。
・パラグラフ2の内容:その結果、~という成果があった。
・パラグラフ3の内容:反面、~という悪影響も見られた。
ここまでをパッセージを読み終えてから2分くらいでできるとよいでしょう。
メモができたら、それをもとにして要約文を書いていきます。10分程度で完成できるとよいでしょう。

要約問題では与えられた英文を「できるだけ自分の言葉で表現する」ことが求められていますので、パッセージ中の表現をそのまま使ってはいけません。具体的な用語や固有名詞は、抽象的な表現で言い換えられないか工夫しましょう。作文を既定の語数に収めるためにも、簡潔に言い換えることは必須になります。多彩な表現を使って作文できるように、普段から単語集『英検準1級 でる順パス単』などで語彙力を養っておきましょう。

要約問題では論理的な一貫性も重要になります。要約文の構造が、パッセージのパラグラフ間の関係と同じ構造になるように注意して書き進めましょう。「しかし」「そのために」「したがって」のような繋ぎことばで文の流れを示すことも効果的です。
60〜70語は想像以上に短く、あれもこれもと盛り込んでいるとあっという間に語数がオーバーしてしまいます。繰り返しや不要な修飾表現はできるだけ削り、コンパクトにまとめることを心がけましょう。

書き終えたら、一度頭をまっさらにして自分の書いた要約文を読み返してみます。その時、「元の英文を読んだことがない人でも、要約文だけを読んで論旨が把握できるか」という観点で読みましょう。前提知識がなければわからないようなことばや表現は避けるべきです。スペルミスや冠詞のミスも避けながら、文法面では何よりも「意味が確実に伝わるように文法を正確に使う」ことを心がけましょう。

ライティング・英作文(意見論述)問題では、「序論・本論・結論の構成で書く」ことが要件です。これは、「以下の表のような構成にせよ」という意味です。

①序論(Introduction) トピックを提⽰する導⼊部分。英検準1級では、agree か disagree かなど、⾃分の意⾒を述べる。
②本論(Body) トピックを具体例などを⽰しながら論じる部分。英検準1級では、指定されたポイント2つについて述べる。
③結論(Conclusion) まとめ。英検準1級では、①で⾃分が述べた意⾒をもう⼀度繰り返して締めくくる。

②の「本論(Body)」の部分では、指定されたポイント2つについて、1パラグラフずつ書くとよいでしょう。そのパラグラフの構造は、
・パラグラフ冒頭にポイントを明⽰したトピックセンテンスを書く
・トピックセンテンスの根拠となる、サポーティングセンテンスを2〜3センテンス書くとすると、まとまりのある「本論(Body)」となります。

以上の構造を意識して、時間内に⼿書きで書く練習を積みましょう。「正直どちらでもいいんだけど」と思うトピックであっても、「こちらの⽴場に⽴つ」と決めて、その⽴場で意⾒を主張した⽅が、主旨の通ったエッセイになります。論拠を述べる表現 I have two reasons to support my opinion. や、指定されたポイントを列挙するための表現 First, 〜、Second,〜、結論を⾔う表現 For these reasons, 〜 は、覚えておくと便利です。それ以外にも therefore や also など、つなぎ⾔葉を覚え、使い慣れておきましょう。

リスニング

英検準1級のリスニングでは、社会性の⾼い内容を聞いて理解できるレベルが求められます。

リスニングテストには、Part 1、Part 2、Part 3があり、放送回数はすべて1回です。

Part 1では、男⼥2⼈の会話が読み上げられます。話者の間柄は家族や友⼈など⾝近な関係であることが半数以上で、同僚同⼠や店員と客であるケースも次いで多くなっています。会話の内容は、⽇常会話や雑談、店舗などでのやりとりなど多岐にわたります。

Part 2では、150語前後の⽂章が読み上げられます。⽂章の内容は⽂科系・理科系を問わず、幅広い分野が出題されていますが、科学・技術、医療・健康、動物・⾃然をテーマとしたものが多くなっています。

Part 3では、アナウンスや⾳声ガイダンスなど実⽣活で⽿にする英⽂が読みあげられます。仕事上の連絡や説明、留守電の内容などの⾳声が放送されます。臨場感のある効果⾳が⼊っていることもあります。

実際に⾳声を聞いてみて、英語が読み上げられるスピードを確認しましょう。

(『英検準1級 予想問題ドリル』より)

参考書

リスニングを基礎から学びたい⽅は『英検準1級 総合対策教本』がおすすめです。英検準1級の出題パターンを踏まえた内容になっており、多くの情報から必要なものを聞き取る訓練を積むことができます。数をこなしたい⽅には、オリジナル問題150問を収録した『英検分野別ターゲット 英検準1級 リスニング問題』がおすすめです。

勉強法

英検準1級のリスニングテストでは、専⾨⽤語や新しい概念など、難しい単語が頻出します。しかも、多様な分野の⾼度な内容が、ナチュラルスピードに近い速度で読み上げられるので、「聞き取れない︕」と慌ててしまうかもしれません。しかし英検準1級が求めているのは1語1句を完全に聞き取る能⼒ではなく、聞こえた⾳声から、会話や英⽂の⼤意と要点をつかむ能⼒です。ですから、聞き慣れない単語や複雑そうな状況が放送されても諦めず、後に続く説明や⽂脈から意味を類推するようにしましょう。

最初に訓練したいのは、⼤意をつかむ技術です。会話ならば、話者は相⼿に賛同しているのか反対しているのかなど、状況を素早く把握しましょう。そのためには、同意を表す Itʼs a deal.(それで⼿を打とう)、反対を⽰す Cut it out.(やめてくれ)など、会話特有の表現を知っておく必要があります。英⽂の場合は、つなぎ⾔葉を聞き取って⽂の構造を理解し、内容の展開を予想しながら聞きましょう。例えば、For instance, 〜. と聞こえたら、「例を挙げるのだな、話し⼿の主張を補強するための例⽰かな」と予測できますし、however や even so を聞き取れたら、「逆接だ、この後に話し⼿の主張が来るかも」と備えられます。重要なつなぎ⾔葉をチェックし、それを⽂章の構造と結びつけて考える訓練をしておきましょう。

⼤意がつかめるようになったら、次は要点を聞き取る練習をしましょう。具体的には、5W1H
(when, where, why, who, what, how)が重要です。特にPart 3では when や where、 what を問う問題が多いので、「いつ」「どこで」「何が」の要素が出てきたら素早くメモする習慣をつけましょう。こうやって複数の情報を確実に聞き取り、「〜のケースなら、…をしなければならない」など、取るべき⾏動を状況に応じて判断できるだけのリスニング⼒を養っておきましょう。

旺⽂社リスニングアプリ「英語の友」を使えば、『英検準1級 予想問題ドリル』『英検準1級 でる順 合格問題集』などの⾳声を、スマホでいつでも気軽に聞くことができます。繰り返し聞いて、リスニング⼒を⽇々鍛えましょう︕

英検準1級のリスニングについて、さらに詳しく知りたい⽅は、「英検準1級リスニングの問題と解答のコツ」をご覧ください。

スピーキング(二次試験・面接)

英検準1級のスピーキングでは、社会性の⾼い話題についてやりとりすることができるレベルが求められます。

スピーキングテストは、⼆次試験において⾯接形式で⾏われます。
まず、指⽰⽂と4コマのイラストがかかれた問題カードを⾒て、そのストーリーを説明します。それから、そのイラストにかかわる質問がされます。次に、問題カードのトピックに関連した質問がされます。最後に、問題カードのトピックにやや関連した社会性のある内容について、受験者⾃⾝の意⾒が聞かれます。
過去の出題例は、在宅勤務、レストランでの喫煙、チャイルドシート、住⺠運動、キャッチセールス、護⾝術などです。

参考書

⾯接の流れをあらかじめ知っておけば、不安も解消︕ 14セットの練習問題に加え、⾯接をリアルに体験できる動画の付いた『14⽇でできる︕ 英検準1級 ⼆次試験・⾯接 完全予想問題』* がおすすめです。予想問題14回分をこなしているうちに、出題パターンがつかめてくるでしょう。

* 2024年度第1回検定から、No.4 の QUESTION に話題導入文が追加されますが、答え方に変更はありません。この教材は、2024年の英検リニューアル後の試験形式には対応していませんが、答え方の練習にお使いいただけます。

勉強法

⾯接の評価には、アティチュード(態度)という項⽬があり、積極的にコミュニケーションを取ろうとする意欲を⽰すことが⼤事です。具体的には、⼊退室のあいさつや、アイコンタクト、⼤きな聞き取りやすい声、黙り込まない、などです。問題演習をする際には、頭の中で答えを思い浮かべて済ますのではなく、⾯接の場⾯を想定して実際に、しっかりと声に出して練習しましょう。このような実践を重ねることで、明瞭な発声やアイコンタクトが⾝につき、本番でも⾃然と⾏えるようになります。

英検準1級のスピーキングでは、ストーリーを組み⽴てて話す⼒が求められます。「現代社会の〜の問題について、このように対処したら、かくかくしかじかという別の問題が起きてしまった」という展開が⼤部分を占めます。イラスト中のキャラクターの表情も考慮するなどし て、話を構成しなければならないので、ぶっつけ本番で臨むことはかなりリスクがあります。事前に過去問を使い、初めて⾒るイラストからストーリーを組み⽴てるなど、英語で説明する訓練をしておきましょう。『14⽇でできる︕ 英検準1級 ⼆次試験・⾯接 完全予想問題』* には、本番同様のカラーイラストが14点付属しているので、実戦さながらに練習することができます。

語彙⼒は英語4技能のいずれでも重要ですが、英検準1級レベルのスピーキングになると、重要度が⼀層⾼くなります。様々な社会問題にかかわる語彙を、記憶の中から瞬時に取り出して、その上発話できなければならないからです。⽇頃から新聞やニュースに触れて、社会性の⾼い単語・表現に馴染んでおきましょう。本番の緊張した状況下では、語句のド忘れは起きて当たり前です。「あれは何と⾔うんだっけ、いや代わりに〜と⾔おう」など、別の語句に即座に置きかえられるように、類義語や代替表現を、記憶の貯蔵庫にストックしておくことが肝要です。

* 2024年度第1回検定から、No.4 の QUESTION に話題導入文が追加されますが、答え方に変更はありません。この教材は、2024年の英検リニューアル後の試験形式には対応していませんが、答え方の練習にお使いいただけます。

過去問・予想問題

実際に試験を受けてみたら、時間が⾶ぶように過ぎてしまい、最後の問題までたどり着かなかった―そんな経験をしたことはありませんか︖ ほんの少し答えを悩んだつもりでも、驚くほど時間が経ってしまっていることもあります。試験当⽇、こんな失敗をしないためには、普段から実際の試験と同じ分量の問題を時間内に解くトレーニングをしておくことが⼤事です。過去問や予想問題はこのトレーニングに最適な素材です。

※ここで紹介されている一部の教材は、2024年の英検リニューアル後の試験形式には、対応していません。リニューアル後の問題形式と対策については「英検合格ナビゲーター」をご覧ください。

参考書

近年の傾向を把握するためにも、過去6回分の過去問を⼀次・⼆次試験ともに収録した『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』をおすすめします。2024年度から変更される新ライティング問題に関して、要約問題の英検公式サンプル問題と旺文社オリジナル予想問題を、それぞれ解答例、訳、解説付きで載せています。

⼀次試験直前の総仕上げには、2024年度検定から実施の新形式に対応している『英検準1級 予想問題ドリル』がおすすめです。ライティングに新しく加わった「英文要約」問題が5回分、収録されています。

勉強法

過去問や予想問題を解くときには、下記の「試験当⽇の試験対策/⼀次試験」の問題ごとの時間配分を参考に、各⼤問にどれくらいの時間をかけるか、決めておきましょう。⼤問がひとつ終わるごとに時計を⾒て、時間どおりに進められているか確認しながら解き進めることが⼤事です。わからない問題に時間を割きすぎては、時間内に解き終わることはできません。マーク式の部分であれば、あとで時間が余ったときに⾒直せるように問題冊⼦に印をつけた上で、マークシートには勘で答えを記⼊してしまいましょう。このように本番の試験と同じ気持ちで、過去問・予想問題に取り組むことが⼤事です。

答え合わせが終わったら、⼤問ごとに正解率が何パーセントであったのか、算出しましょう。合否判定はCSEスコアで⾏われるため、何問正解したら合格なのかははっきりしませんが、およその合格ラインは7割程度と予測されます。もし正解率が7割を切る⼤問があったら、それは苦⼿な⼤問ですから、⼊念に復習しましょう。『英検準1級 総合対策教本』で苦⼿な⼤問の解説を読み、基礎知識をしっかりと固めるのもよいでしょう。

試験当日の試験対策

試験会場に⾃動⾞やバイクで⾏くことは禁⽌されています。必ず、電⾞やバスなどの公共交通機関を利⽤して会場に向かってください。会場には早めに着き、トイレも済ませ、愛⽤の参考書で最終確認をしながらリラックスして試験開始を待ちましょう。

⼀次試験(筆記・リスニング)

⼀次試験は、筆記試験、リスニングテストの順で⾏われます。筆記試験開始前に、リスニングテストの⾳量チェックが⾏われます。リスニングテストの直前には⾳量チェックは⾏われませんので、⾳量が⼩さいなど聞こえづらい場合は、必ずこのタイミングで試験監督者に申し出るようにしましょう。

筆記試験は90分です。⼤問ごとの⽬標解答時間は下記のとおりです。

問題番号 問題形式 詳細 設問数 目標解答時間
1 短⽂の語句
空所補充
⽂脈に合う適切な語句を補う。 18 10分
2 ⻑⽂の語句
空所補充
パッセージの空所に⽂脈に合う適切な語句を補う。 6 15分
3 長文の内容
一致選択
パッセージの内容に関する質問に答える。 7 25分
4 英文要約 与えられた英文の要約文を書く。 1 20分
英作⽂
(意見論述)
指定されたトピックについての英作文を書く。 1 20分

時折、時計を⾒て、進み具合を確認しましょう。試験には腕時計の携帯が許可されています(ただし、Apple Watchなどのウェアラブル端末の携帯は禁⽌されています)。

筆記 大問1:短文の語句空所補充

⽂中の空所に、⽂脈に合う適切な語句を4つの選択肢から選んで⼊れ、⽂章を完成させる問題です。単語の知識を問う問題が⼤半で、熟語も出題されます。

例題:
Choose the best word or phrase from among the four choices for the blank.

The soldier’s leg injury was not so serious by itself, but it had not been treated properly. His leg now had a serious (   ).

1 adaptation 2 infection 3 alteration 4 illusion

(『英検準1級 予想問題ドリル』より)

答え:2

合格ラインの⽬安は、18問中13問正解です。短⽂2つで構成されている場合や会話の場合は、空所がない⽅の⽂・発⾔がヒントになることが多いので、そちらをじっくり読むようにしましょう。知らない熟語は動詞や前置詞、副詞からイメージを膨らませると意味を推測できることがあります。しかし、⼤問1は悩んでも答えがひらめくことはあまりないので、わからない問題は早々に⾒切りをつけて、⻑⽂読解やライティングに⼗分な時間を取るのが得策です。

⼤問1に限りませんが、わからない問題でも解答欄には答えをどれか記⼊しておきましょう。「ライティングまで終わったら、⼤問1に戻ってマークしよう」と思っていても、実際には時間切れでマークができないこともありますから、ご注意を。

筆記 ⼤問2︓⻑⽂の語句空所補充

250語前後の⻑⽂2つにそれぞれ空所が3カ所ずつ(計6カ所)あり、空所に⼊る適切な語句を4つの選択肢から選んで⽂章を完成させる問題です。

例題:
Read the passage and choose the best answer from among the four choices for the blank.

The Effects of Alcohol

Alcohol is an important part of our society. It is produced and consumed all over the world and comes in innumerable forms. However, it is also a toxic substance. Unfortunately, informed knowledge of its effects on our bodies is not (   ) its use.

The first part of the body to be affected is the central nervous system, which controls various bodily functions, and analyzes and responds to sensory information. Alcohol reduces our ability to analyze this information, and the results can be seen in the first stage of intoxication, with speech and vision being most affected.(以下略)

1 more personal than
2 separated from
3 as widespread as
4 so intuitive as

(『英検準1級 予想問題ドリル』より抜粋)

答え:3

合格ラインの⽬安は、6問中5問正解です。代名詞や⾔い換え表現が指している語句と、論旨の展開を⽰すつなぎ⾔葉(However など)に注意しながら読むと、⼤意を素早くつかめます。空所の前後は特に丁寧に読み、⼤意と照らし合わせて解答を選びましょう。

筆記 ⼤問3︓⻑⽂の内容⼀致選択

⼤問3では、ほぼ400語、500語の英⽂に対して、内容を問う設問が3問、4問の計7問出されます。英⽂の部分・詳細、理由、プロセスなどを問う問題が多く、全体の主旨・結論を問う出題もまれにあります。

例題:
Read the passage and choose the best answer from among the four choices for the question.

Volunteer Tourism

Volunteer tourism is catching on in wealthy countries. The volunteer-tourism industry, made up largely of travel agents or humanitarian groups, sends people to sites around the world where they can provide assistance to local people. Generally, a bit of tourism is thrown in to make the package more attractive. The trips are similar in nature to assignments by the Peace Corps and church mission work, except that they are far shorter, usually from a single day to three weeks. Volunteers who travel with Ambassadors for Children pay slightly over $2,000 for the opportunity to work with African children infected or orphaned by the AIDS virus. In addition, they take a day safari and visit Robben Island, where Nelson Mandela was held in a prison. The total trip consists of 11 days.(以下略)

What do volunteer tourism organizers do to attract customers?
1 They provide special assistance to the volunteers when traveling.
2 They have publicized the tours to humanitarian groups.
3 They promote volunteer work to tourists already abroad.
4 They offer side tours during the volunteers’ time abroad.

(『英検準1級 予想問題ドリル』より抜粋)

答え:4

合格ラインの⽬安は、7問中5問正解です。最初にざっと読んで⼤意をつかみ、それから要点を抽出して、その周辺を⼊念に読みましょう。正答肢では、本⽂中の表現を別の表現に⾔い換えていることが多くなっています。本⽂の表現をそのまま使⽤している選択肢があったら、引っかけの可能性があるので、慎重に検討しましょう。

筆記 ⼤問4︓英文要約

提示された英文を読み、3分の1ほどに要約します。本文を写すのではなく、極力言い換える必要があります。

例題:
● Instructions: Read the article below and summarize it in your own words as far as possible in English.
● Suggested length: 60-70 words
● Write your summary in the space provided on your answer sheet. Any writing outside the space will not be graded.

The city of Medellin in Colombia once struggled with crime in poor neighborhoods, so the government introduced cable cars connecting low-income areas to the city center, which reduced crime and improved living conditions. Brazil launched a similar cable car system, hoping to find success in connecting the center of Rio de Janeiro to the poorer areas of the city before the 2016 Summer Olympics.
The Rio cable car system provided struggling neighborhoods with better access to schools and other facilities. It also made traveling to the city safer by replacing the system of unlicensed taxis. In addition, some residents opened shops and other businesses for the growing number of tourists who visited the once inaccessible areas.
Despite such advantages, a backlash occurred because there was no dialogue between the government and residents before constructing the cable cars and some people were forced to leave their homes to make way for the system. On top of that, the system did not deliver long-term meaningful improvements to housing and public services as the Colombian system had done. In the end, the cable cars failed to attract tourists following the Olympics, and the system closed shortly after.

解答例:
Following Colombia’s example, Rio de Janeiro introduced cable cars connecting poor areas to the city center. This had a positive impact in many ways, including increasing transportation convenience and public safety as well as the number of tourists. However, there were also problems, such as residents having to leave their homes due to construction. Ultimately, the system was discontinued without any long-term positive effects.

「英検合格ナビゲーター」より引用)

筆記 大問5︓英作⽂(意見論述)

指定されたトピックについて120〜150語の英⽂エッセイを書きます。与えられたポイント4つのうち2つを使い、序論・本論・結論の構成で書く必要があります。

例題︓
● Write an essay on the given TOPIC.
● Use TWO of the POINTS below to support your answer.
● Structure: introduction, main body, and conclusion
● Suggested length: 120-150 words

TOPIC
Agree or disagree: Japan has become too Westernized

POINTS
● Traditions
● Globalization
● Lifestyle
● Borrowing ideas

(『英検準1級 予想問題ドリル』より)

必要な語数は200〜240語と多く、語数を数えるのも⼤変です。解答欄に記⼊する際、1⾏あたり何語程度で書くか、何⾏程度書けば解答として⼗分な語数になるかなどを事前に確認しておくと、試験当⽇、語数のカウントに時間をとられずに済みます。

2題のライティングはどちらも、下記の4つの観点から採点されます。スコアは32点満点で、合格ラインは23点程度だと思われます。

①内容 課題で求められている内容(意⾒とそれに沿った理由)が含まれているかどうか
②構成 文の繋がりが明快で一貫性のある構成になっているか
③語彙 適切な語彙を正しく使っているか
④⽂法 ⽂法的に正しい英⽂になっているか

解答が要件を満たしていない場合や、内容に⽭盾がある場合は、⽂法的に正しい英⽂を書いたとしても0点や減点になる恐れがあるので、気をつけましょう。

筆記試験が終わると、続けてリスニングテストが⾏われます。

問題番号 問題形式 詳細 設問数 放送回数
Part 1 会話の内容
一致選択
会話の内容に関する質問に答える。 12 1回
Part 2 文の内容一致選択 パッセージの内容に関する質問に答える。 12 1回
Part 3 Real-Life形式の内容
一致選択
Real-Life 形式の放送内容に関する質問に答える。 5 1回

問題⽂はすべて1回しか放送されません。解答時間は、設問ごとに10秒間です。

リスニング Part 1︓会話の内容⼀致選択

男⼥2⼈の会話を聞き、その内容に関する質問の答えを4つの選択肢の中から選ぶ問題です。 12問出題され、会話と質問は1度しか放送されません。

例題:
Listen to the dialogue and choose the best answer from among the four choices.

(問題冊子に記載される選択肢)
1 Lend him some money.
2 Give him back the money she borrowed.
3 Lend him some textbooks.
4 Give him a ride to the Student Union.

(放送文)
W: Hey, Pete. Have you finished all your classes today?
M: Yeah, Cathy. I need to ask you a big favor. I’ve got a bit of a cash flow problem at the moment and I was wondering if . . .
W: Sure, no problem. How much do you need?
M: Er, a hundred should cover it. I’ve got to buy some new textbooks this weekend.
W: OK. Let’s go over to the ATM at the Student Union. It will take just a minute.

Question: What does the man ask Cathy to do?

(『英検準1級 予想問題ドリル』より)

答え:1

合格ラインの⽬安は、12問中9問正解です。100語前後の男⼥の会話が放送されます。発話の回数は定まっていないので、先⼊観を持たずに聞きましょう。反論や別の意⾒を述べる表現(but など)や、同意の表現(O.K. や Youʼre right. など)に気をつけると、会話の流れがつかみやすくなります。

リスニング Part 2︓⽂の内容⼀致選択

放送される英⽂の内容と⼀致する⽂を4つの選択肢から選ぶ問題です。150語前後の論説⽂6つに対して2問ずつ、計12問出されます。英⽂と質問は1度しか放送されません。

例題:
Listen to the passage and choose the best answer from among the four choices.

(問題冊子に記載される選択肢)
1 A little stress is actually healthy.
2 Stress is naturally damaging.
3 Strong people can handle more stress.
4 It is not a natural part of the human body.

(放送文)

The Stress in Our Lives

We all feel stressed at certain times of our lives, and generally stress has received a bad name. However, stress is natural to humans and has acted as a survival tool to help us deal with new and even dangerous situations. It increases our alertness, effectiveness and speed of response, such as when we rapidly step on the brakes of our cars to avoid hitting another car. Stress is actually good for us if it is temporary, infrequent and if we have time to recover from it.(以下略)

Question: What does the speaker say about stress?

(『英検準1級 予想問題ドリル』より抜粋)

答え:1

合格ラインの目安は、12問中9問正解です。質問のほとんどは what で始まる疑問文ですが、why や how から始まる疑問文も出題されます。パッセージ内にある表現や、似た発音の単語が入っている選択肢は、引っかけの可能性があるのでご注意を。パッセージの前半部分から1問め、後半部分から2問めが出題されることが多くなっています。

リスニング Part 3︓Real-Life形式の内容⼀致選択

問題冊⼦に印刷された「状況」「質問」「選択肢」を10秒で読んだ後、実⽣活を想定した⾳声を聞きます。そして、質問に対する解答を4つの選択肢から選びます。設問数は5問です。英⽂と質問は1度しか放送されません。

例題:
Read the situation and question. Listen to the passage and choose the best answer from among the four choices.

(問題冊子に記載される内容)
Situation: You are due to return home to New York in three days. You telephone Skyways Airlines to check your return reservation and hear the following recorded message.
Question: What should you do?

1 Press 1.
2 Press 2.
3 Press 3.
4 Press 4.

(放送文)
You have 10 seconds to read the situation and question.
This is Skyways Airlines. Your call is very important to us. Calls are answered in strict rotation, so please do not hang up if the line is busy. If you wish to contact reservations, please press 1; for departure and arrival information for today’s flights, press 2; for reconfirmations of previously booked flights, press 3; for cancellations, press 4, and for all other information, press 5. While we will endeavor to answer your call within five minutes, sometimes due to circumstances beyond our control, or at times of peak demand, we may take a little longer. Thank you for calling Skyways.
Now mark your answer on your answer sheet.

(『英検準1級 予想問題ドリル』より)

答え:3

合格ラインの⽬安は、5問中4問正解です。「状況」の主語が You で、「質問」は「あなたはこれから何をするべきか」というものがほとんどです。放送前の10秒で、「状況」「質問」
「選択肢」をしっかり読み取り、英⽂放送中は不要な情報をふるい落としながら、必要な情報を抽出するようにしましょう。⾃分がその「状況」に置かれている、と想像しながら聞くと集中できます。

英検準1級のリスニングについて、さらに詳しく知りたい⽅は、「英検準1級リスニングの問題と解答のコツ」をご覧ください。

二次試験(面接)

⼆次試験の会場は、⼀次試験の会場とは異なりますので、⼆次試験受験票をよく確認しておきましょう。会場では、受付を済ませたら、控え室で待機します。⻑く待たされる場合もありますので、なるべくリラックスして過ごすようにしましょう。順番が近づくと、⾯接室の近くの席に案内されます。試験後は控え室に戻ることはできませんので、荷物はすべて持って移動しましょう。係員に⼊室するよう指⽰されたら、⾯接室のドアをノックして⼊室しましょう。⼊室の際は、Hello. などの挨拶を忘れずに。

問題番号 問題形式 詳細
自由会話 面接委員と簡単な日常会話を行う。
ナレーション 4コマのイラストの展開を説明する。(2分間)
No. 1 受験者自身の意見を問う質問 イラストに関連した質問に答える。
No. 2, 3 カードのトピックに関連した内容についての質問に答える。
No. 4 カードのトピックにやや関連した、社会性のある内容についての質問に答える。*

* 2024年度第1回検定から、No.4 の QUESTION に話題導入文が追加されますが、答え方に変更はありません。

⾯接試験にはアティチュード(態度)という採点項⽬があります。聞き取りやすい声ではっきりと話し、積極的にコミュニケーションしようとする姿を⾒せましょう。たとえ話す英語に未熟な点があったとしても、黙り込んだりせず⾃然に応答する⽅がプラスになります。

自由会話

⾯接委員と、簡単な⽇常会話をします。⽒名確認の延⻑上で、「海外に⾏ったことがありますか︖」などカジュアルな質問を⽪切りに、2、3往復程度のやりとりが⾏われます。⾃由会話はウォームアップで、採点には含まれません。ですから考え過ぎず、気楽に応答し、⾆と⼼をほぐすようにしましょう。

ナレーション

指⽰⽂と4コマのイラストが掲載された問題カードを渡され、そのイラストの展開を2分間で説明する問題です。

例題:
(問題カード)
● You have one minute to prepare.

This is a story about a man who decided to move to the countryside
with his family.
 
You have two minutes to narrate the story.

● Your story should begin with the following sentence:
One day, a man was walking down the street with his family.

解答例:
One day, a man was walking down the street with his family. There were a lot of people, cars, and buildings. He was telling his wife and his son how nice it would be to live in the countryside, where there was a lot of nature. They agreed with him. A week later, the man and his wife were looking at a magazine in their home. There was an advertisement for houses for sale in a village. His wife said to him, “Let’s move there.” He agreed with her suggestion. On the moving day, the family was having a picnic outside of their home in the countryside. They were eating sandwiches together. They were feeling happy. The next day, the man was waiting for the bus with his son. The man looked at the timetable and noticed there was only one bus per hour. The son was looking at his watch. He was worried about being late for school.

「英検合格ナビゲーター」より引用)

イラストのコマの上部に書かれた時を⽰す表現は必ず使って、ストーリーに流れを持たせましょう。登場⼈物のせりふなどコマの中に書き込まれた語句は、⽬で追いながら発話できるので⼼理的に安⼼できるだけでなく、発話量も増やしてくれます。余裕があれば She suggested 〜. などと別の動詞を⽤い、余裕がなければシンプルに She said 〜. を使って、⾔い落とさず盛り込むようにしましょう。登場⼈物の表情を読み取って、They were satisfied 〜.や He looked shocked 〜. などと描写することも⼤事です。指定された⽂章で話し始めることも忘れずに。

No. 1 イラストに関連した質問

「受験者⾃⾝がイラスト内の⼈物であったらどう思うか︖」など、イラストに関連した質問がされます。たいていは、4コマめのイラストに関する質問です。

例題︓
Please look at the fourth picture. If you were the man, what would you be thinking?

解答例︓
I’d be thinking how inconvenient life in the countryside is. There is only one bus per hour. Although the air is cleaner in the countryside, there are disadvantages, too.

「英検合格ナビゲーター」より引用)

⾯接委員が発する質問をよく聞いて、同じ構⽂・表現で返すとよいでしょう。例えば、If you were the woman, what would you be thinking? と仮定法で質問されたら、I would be thinking 〜. と、⾯接委員の発⾔の後半を利⽤し、主語だけ I に換えて話し始めるのです。
⼀度話し出せば気持ちがリラックスして、後を続けやすくなりますし、煩雑な仮定法も相⼿の発⾔を繰り返せばミスなく使えます。

No. 2, 3 問題カードのトピックに関連した問題

問題カードのトピックに関連した内容について質問されます。

例題:
No. 2
Do people need to spend more money on raising children now than in the past?

解答例︓
Yes. Raising children has become much more expensive. Buying a home big enough for a family has become very expensive, and the cost of living has also gone up. Children also expect to have computers and smartphones these days.

No. 3
Do you think that it’s important to have contact with nature in our daily lives?

解答例:
No. It’s nice to go into nature from time to time, but living in a city is much more stimulating, because we can keep in touch with the latest developments in culture and technology.

「英検合格ナビゲーター」より引用)

Do you think that 〜? や Should 〜? で始まる質問が多く⾒られます。Yes か No で答えられる質問の場合は、まず Yes / No を述べ、それからそう思う根拠を1つか2つ付加しましょう。⾃分の意⾒が Yes でも No でもない場合は It depends.(場合によります)という答え⽅もあり得ます。とにかく、何も答えないという事態だけは避けましょう。

No. 4 問題カードのトピックにやや関連した質問

問題カードのトピックにやや関連した、社会性のある事柄について、受験者⾃⾝の意⾒が問われます。その質問は、カードのトピックからかなり離れた内容だった例もあります。質問に先立ち、前提となる知識・背景を説明する話題導入文が読まれるので、注意して聞くようにしましょう。

例題:
Animal species at risk of extinction often become a topic for discussion. Should the government do more to protect endangered animals around the country?

解答例:
Yes, it should. There are fewer and fewer natural places where animals can live peacefully, so the government should provide safe areas for them. Many animals, like wild bears, are having difficulty finding food.

「英検合格ナビゲーター」より引用)

Yes / No で答えられる問題の場合は、まず Yes, I think so. などと答え、その間に続けるべき根拠を考えましょう。⾃分の意⾒をまとめる時間は確かに必要ですが、その間黙ってしまうと、⾯接委員が「この受験者は質問を聞き取れていない/発話するスキルがない」と誤解するかもしれません。Well や Let me see などの表現を⽤いる、または質問をゆっくりリピートするなどして、考え中であることを⽰しましょう。反射的に Yes と答えたものの「やっぱり違う」と思ったなど、⼀度⼝に出してしまったものを訂正したい場合は、Sorry. と⾔ってから In my opinion, 〜 などと続ければ仕切り直せます。

質問が聞き取れなかった場合には、⾃然な会話の流れの中であれば、Pardon? やExcuse me? などと聞き返しても減点はされません。ただし、質問の中の単語の意味を⾯接委員にたずねても教えてはくれませんので、⾒当がつかない場合は聞き取れた語の話題について、当てずっぽうでもよいので答えてしまいましょう。黙り込んでしまうとアティチュードの評価に悪影響を与えますし、Pardon? を繰り返していると聞き取れないと判定されて、次の質問へ移られてしまいます。

まとめ

英検準1級の全貌が把握できたでしょうか︖ 英検は問題形式が決まっていますので、ひとつひとつの形式をよく把握しておけば、それぞれの正解率を上げることができます。合格ラインは7割程度。地道な対策が合格のカギです。合格を⽬指してがんばってください︕