よく見かける表現だけど、実は使い方が「あいまい」な英語ってありませんか? そんな「あいまい英語」を、東進ハイスクール・東進衛星予備校の英語科の人気講師・大岩秀樹先生がスッキリ整理整頓してくれるコラムです。もうこれで「あいまい英語」とサヨナラできる!

接頭辞、接尾辞で単語の正体がわかる!

暗闇の中に動く影。

恐い。でも、ライトを照らしたとき、アタマやシッポだけでもちらりと見えて、はっきりとした正体は不明でも「ネコかな?」となるだけで、ホッと一安心しますよね。完全な正体不明では恐怖の対象でも、「なんかの動物だ」とわかっただけで、恐怖は不思議と軽減されたり、なくなったりするものです(カサカサ動く昆虫「G」のように、正体が判明した方が恐いヤツもいますが)。

資格試験中に知らない単語。

恐い。どんなに勉強しても必ず出現する知らない単語。英語学習者にとっては、ある意味「G」よりも厄介な存在。しかし、もし単語のアタマやシッポで、はっきりとした単語の意味は不明でも「こんな意味かな?」「こんな品詞かな?」と推測できれば、資格試験中のあの絶望感が軽減されると思いませんか?

・・・・・・実は、英語には、それを可能にする存在があるんです! それは、接頭辞(せっとうじ)と接尾辞(せつびじ)。もちろん、全ての単語に付いているものではないですが、とくに資格試験では強力な武器となることもありますので、この機会にぜひお見知り置きください。

では、メインの話をする前に1つ。接頭辞・接尾辞学習で大切なのは、ズバリ「気分」です。「ワタシの前で隠れても無駄ですよ? アタマやシッポが見えているじゃないですか。さては、キミの正体は○○ですね!?」のように、名探偵気分になる! これ、意外とポイントなので忘れないでくださいね。では、名探偵になるための第一歩として、代表的なアタマとシッポを見ていきましょう。

接頭辞と接尾辞

まず、接頭辞と接尾辞とは何なのでしょう? この単語を例に見てみましょう。

unforgettable = un- + forget + -able

この単語では真ん中に「forget(忘れる)」という動詞がありますね。その前には「un-」が付いていますが、このように語のアタマに付ける文字を「接頭辞」と呼ぶんですね。そして「-able」のように語のシッポに付ける文字を「接尾辞」と英語の名探偵たちは呼んでいます。

接頭辞は中心となる語に「意味のトッピング」を、接尾辞は「意味・品詞のトッピング」をするのが主な働きです。そして、2つ同時に使わずに、どちらか1つだけを使うことももちろん可能です。では、接頭辞から見ていきましょう!

接頭辞 10選*

*別な意味をトッピングするものもありますが、まずは代表選手!

(1)anti- :「反・・・、非・・・」をトッピング
(2)co- :「共同、相互、結合」をトッピング
(3)de- :「下降、否定」をトッピング
(4)dis- :「分離、反対、欠如」をトッピング
(5)in- [im-] :「否定」をトッピング

(6)inter- :「間、相互」をトッピング
(7)mis- :「誤った」をトッピング
(8)pre- :「・・・以前の」をトッピング
(9)re- :「再び」をトッピング
(10)un- :「否定」をトッピング

これらのアタマは、例えばこんな感じで使います。

 「rebound=re-(再び)+ bound(はずむ)=はね返る」

もちろん、「はね返る」のようにきれいな意味がわからなくても、「再びバウンドする」という、当たらずとも遠からずの意味を推測することは可能ですよね。では、次は接尾辞を見てみましょう。

接尾辞 10選

・動詞を作る接尾辞
(1)-en :「・・・にする」の意味をトッピング

・名詞を作る接尾辞
(2)-ism :「・・・主義」の意味をトッピング
(3)-ty :「・・・状態」の意味をトッピング
(4)-ness :「・・・状態」の意味をトッピング
(5)-tion [-sion] :「・・・状態、・・・動作」の意味をトッピング

・形容詞を作る接尾辞
(6)-able :「・・・できる」の意味をトッピング
(7)-ful :「・・・に満ちた」の意味をトッピング
(8)-ive :「・・・の性質を持つ」の意味をトッピング
(9)-less :「・・・のない、・・・できない」の意味をトッピング
(10)-ous :「・・・の多い」の意味をトッピング

これらのシッポは、例えばこんな雰囲気で使います。

 「dangerous = danger(危険)+ -ous(・・・の多い)=危険な:形容詞」

例えば、「Some bees are not(   )at all.」という問題で、選択肢が「① danger ② dangerous ③ dangerously」とあった場合、文法的に空所には形容詞が入るとわかっていれば、一瞬で②が選べたりします。オオ、ベンリ!(ちなみにですが、-lyは「形容詞+ -ly=副詞」にする接尾辞です)

では、名探偵の入り口に立ったアナタに問題です。先ほどの「unforgettableとはどんな意味でしょうか?

 「 unforgettable= un-(否定)+ forget(忘れる)+ -able(・・・できる)」

ふむふむ・・・・・・つまり、意味は「忘れることができない」ですな。そして、品詞は -ableなので「形容詞」ですな!? という感じで、見抜けていたら、もう名探偵候補生の一人です。では、せっかくですので、名探偵トレーニングを5問ほどやっていただきましょう。以下の単語はどのような意味でしょうか!? たとえ知っている単語であっても、アタマとシッポを手がかりに、自分で意味を考えてみてくださいね。

(1)antivirus
(2)international
(3)strengthen
(4)offensive
(5)miscalculation

どうでした!? 正体は見抜けました!? ちなみに、「G」ではないですよ! では、答え合わせをしていただきましょう。

(1)antivirus = anti-(反・・・、非・・・)+ virus(ウイルス)= アンチウイルスの,ウイルス対策の

(2)international = inter-(間、相互)+ national(国家の)= 国家間の

(3)strengthen = strength(強さ)+ -en(・・・にする[動詞を作る])=強くする

(4)offensive = offense(攻撃)+ -ive(・・・の性質を持つ[形容詞を作る])=攻撃的な

(5)miscalculation = mis-(誤った)+ calculate(計算する)+ -tion(・・・状態、・・・動作[名詞を作る])=計算違い

いくつ「自分で意味を考える」ことができたでしょうか。名探偵になるためには、アタマとシッポを覚えることも大切ですが、中心となる語を覚えていないと正確な正体はつかめません。ですので、基本となる単語の数を増やしつつ、少しずつアタマとシッポの数も増やし、どんどん英語の名探偵としての実力を強化していってくださいね! それでは、ここまでといたしましょう。今回も、お疲れ様でした!