よく見かける表現だけど、実は使い方が「あいまい」な英語ってありませんか? そんな「あいまい英語」を、東進ハイスクール・東進衛星予備校の英語科の人気講師・大岩秀樹先生がスッキリ整理整頓してくれるコラムです。もうこれで「あいまい英語」とサヨナラできる!

その返事、Yes? No?

「英語の勉強は毎日します? 音読はしないの? 単語や熟語の暗記は毎日しますよね? 英語の文章を書いたりはしないんですよね? ここで音読してもらえますか?」

「はい、します。いいえ、しますよ。はい、しますね。はい、書いたりはしていないです。はい、いいですよ」

疑問文。それは会話界の救世主。「自分から話すことがないの? なら、相手に話させればいいじゃない」。フランス革命の頃に誰かが発言していそうな名言ですが、確かに会話中の沈黙という重い扉を開けるカギの1つとして疑問文が有用であることは、経験上、もはや誰の目にも明らかなことかと思います。

疑問文とは会話の糸口。ひいては人間関係構築の第一歩。ゆえに英語の場合でもそのバリエーションは豊富であり、その豊かさゆえに「英語で質問に答えたら、相手の反応が何だかおかしい……。もしかして、思っていることと正反対の返事として伝わっているのかな?」などということも多々あります。では、今のあなたは思っていることを正確に伝えられる返事ができているでしょうか? まずはそこから確認してみましょう。では、次の質問に対する答え(日本語)を英語にしてみてください。よーい、スタート!

1)Do you study English every day? ― はい。[はい、します。]

2)Don’t you read aloud? ― いいえ。[いいえ、しますよ。]

3)You memorize words and phrases every day, don’t you? ― はい。[はい、しますね。]

4)You don’t write English sentences, do you? ― はい。[はい、書いたりはしていないです。]

5)Would you mind reading aloud here? ― はい。[はい、いいですよ。]

全てが「はい」「いいえ」で答えるだけですから楽勝ですよね!? 答え合わせは不要かもですが、一応、確認しておきましょう。では、確認をどうぞ!

1)Yes.[Yes, I do.]

2)Yes.[Yes, I do.]

3)Yes.[Yes, I do.]

4)No.[No, I don’t.]

5)No.[No. I don’t mind.]

さあ、全問正解できたでしょうか? もし全問正解でしたら、今回はここまでです。お疲れ様でした(また次回お願いします)! でも、もし1問でも不正解(または自信がない解答)があったなら、もう少しお付き合いください。

今回のポイントは「Yes / No」の使い分け。「Yes / No」って、「はい=Yes」「いいえ=No」じゃないの? と思いますよね。実は、教える仕事を始めるまで、私もずっとそう思っていました。しかしある日、英和辞典には「Yes / No」のどちらにも「はい/いいえ」が載っていることに気がついたのです。え? 「はい=No」「いいえ=Yes」にもなる? どういうこと……??? と、私はパニックになりましたが、あなたがパニックになる前に、その使い分けを確認していきましょう。

□ 返答に「not」が入らなければ「Yes」

□ 返答に「not」が入るなら「No」

ポイントは、疑問文の形や、日本語の意味に惑わされないことです。単純に、「Yes/ No」は返答に not[no]が入るかどうかの記号的存在だと考えるとキレイに使い分けることができます。そして、否定的な返答には no と not を使います。では、その視点をしっかりとキープしながら、もう一度問題を確認してみましょう。

1)Do you study English every day? ― はい。[はい、します。]

「英語の勉強は毎日します?」に対する「はい、します。」なので、返答に否定的な意味はありませんので not[no]は入りません。こういう場合は “Yes.” あるいは “Yes, I do.” と返答すればOKです。

2)Don’t you read aloud? ― いいえ。[いいえ、しますよ。]

「音読はしないの?」に対する「いいえ、しますよ。」なので、1)と同様に返答に否定的な意味はありませんので not[no]が入らないですね。つまり、この場合も “Yes.” あるいは “Yes, I do.” と返答すれば内容が伝わりますよね。 “No, I do.” と答えたら、「え? しないの? するの? どっち??」みたいな空気が楽しめそうですが、この表現は間違いです。この質問に対して「音読はする」なら “Yes, I do.” と答え、「音読はしない」のであれば “No, I don’t.” と答えます。

3)You memorize words and phrases every day, don’t you? ― はい。[はい、しますね。]

「単語や熟語の暗記は毎日しますよね?」に対する「はい、しますね。」は、返答に not[no]は入りません。よって、この場合も “Yes.” あるいは “Yes, I do.” と返答すれば内容が伝わります。

4)You don’t write English sentences, do you? ―はい。[はい、書いたりはしていないです。]

「英語の文章を書いたりはしないんですよね?」に対する「はい、書いたりはしていないです。」なので、今回は返答に not[no]が入ります。こういう場合は、 “No.” “No, I don’t.” とすることで、正確に内容が伝わります。

5)Would you mind reading aloud here? ― はい。[はい、いいですよ。]

日本語は「ここで音読してもらえますか?」ですが、“Would you mind –ing?”(~することを気にしますか)の表現が使われていますので、直訳は「あなたはここで音読することを気にしますか?」になります。つまり、返答は「はい、いいですよ=いいえ、気にしません」となります。よって、返答は否定的になり not[no]が入りますので、 “No.” “No, I don’t mind.” のように答えればOKです。ちなみに、 “Yes.” “Yes. I mind.” “Yes, I would.” は「はい、気にします=嫌です」という強い拒否を示す表現になるため、あまり使われません(“Yes, maybe later.”(うん、また後でね)のように、やんわりと断りましょう)。

では、「Yes / No」をまとめますが、今回の問題があいまいだった方は、日本語の「はい/いいえ」につられないことがポイント! 疑問文の形ではなく、純粋に「返答に not[no]が入るかどうか」で使い分けをしてみてください。というわけで、最後のシメに質問です。

Did you find this content helpful?
(今回の内容は役に立ちましたか?)

…… “Yes!” ですよね。 ここは、雰囲気的に “Yes.” “Yes, I did.”(はい、役に立ちました)と答える流れかと。では、すかさずもう1問。

Didn’t you find this content helpful?
(今回の内容は役に立ちませんでしたか?)

…… “Yes!” ですよね!? こちらも、not[no]を入れてはいけない空気を感じていただき、ご返答は “Yes.” “Yes, I did.”(いいえ、役に立ちました)」がよろしいかと。

(しつこくもう一度くり返しますが)この2つの質問からわかるように、普通の疑問文でも、否定の疑問文でも「Yes / No」の使い方は同じ。つまり、あまり難しく考えすぎずに、シンプルに使いこなす。それが使い分けの極意となるのです!

というわけで、「Yes と No の使い分け」の基本はいかがでしたでしょうか? 今回のポイントが身につけば、相手の質問に対して誤解のない返答が約束されるはずです。ぜひ、これから出会うさまざまな人たちと、沈黙のない会話を楽しんでみてください。それでは、また次回、お目にかかりましょう! 今回はここまで! お疲れ様でした。