英語の勉強をがんばっているのに、なかなか聞き取れない。単語をコツコツ覚えているのに、成績がいまひとつ伸びない。そんな悩みを抱えている方はいませんか。英語のトレーニングの仕方を変えると、自分の弱点に気づいたり克服できたりすることがあります。

この記事では英語のトレーニング法のひとつである、シャドーイングについて説明します。そのやり方、期待できる効果、役に立つ教材やアプリについて述べていますので、ぜひ参考にしてください!

シャドーイング ~その効果と実践方法~

以下では、シャドーイングのやり方や効果、具体的なトレーニング方法などについて述べています。

シャドーイングとは?

シャドーイングとは、英語の音声を、聞こえてくるままに真似して1、2秒遅れで追いかけながら、自分も発声してみることです。お手本となる音声にシャドウ(shadow:影)のようにぴったりついていくことから、このように呼ばれています。

どうしてシャドーイングが役立つのか

英語を聞いていて、「知っている単語なのに、なぜか聞き取れない」と感じることはありませんか? それは、単語ひとつひとつの発音と、それが文章の中で発音された場合の音との違いに、混乱が生じているのかもしれません。シャドーイングは、その音声変化を認識するのに適したトレーニングです。

英語には、文章として発音する際、単語のひとつひとつの音をすべて発音するのではなく、一定の法則に従って音を省略して発音するリダクション(reduction:省略、削減)という現象が見られます。リダクション以外にも、前後の単語と影響し合って音声変化を起こすケースが多く存在します。そのため日本語を母語とする学習者は、英語を聞いたとき、「聞こえてくる音を、記憶にある英単語の知識に結びつけられない」という困難にぶつかりがちです。単語ひとつひとつの発音を基にリスニングをするため、音声変化が起きた結果の音と、その単語のもともとの発音とを、頭の中で一致させることが難しいのです。

シャドーイングのトレーニングは、集中して聞くことと、聞こえてくるとおりに発音してみることによって、脳に音声変化を認識させることに役立ちます。また、口を実際に動かしてトレーニングすることから、発話する場合の音声に慣れることができ、スピーキング力の向上にもつながります。

リダクションをはじめ、英語の音声変化について知るには、この記事がおすすめ!
「リスニングの基本:英語の音声変化と聞き取り法」

この記事では、英語の音声変化についての基本知識をコンパクトにまとめてあります。音声変化を聞き取るためのトレーニング法や、おすすめの教材など、リスニング力を強化する勉強法についても述べています。ぜひ参考にしてください。

シャドーイングの実践方法 ~基礎編~

ステップ1

まずは、英語朗読用の音源を用意します。スクリプトがついているもので、かつ日本語訳もある素材を選びましょう。まずは、スクリプトを見ながら一度音読してみてください。意味のわからない文章は、日本語訳を見てしっかり理解しておきましょう。また、音声を聞いてポーズの入る箇所にスラッシュを引いておくと、音声の切れ目を認識でき、音読の際に参考になるでしょう。

ステップ2

ステップ1が問題なくできたら、次はオーバーラッピングを3回やってみましょう。オーバーラッピングとは、スクリプトを見ながら音声を流し、音声と同時にスクリプトを音読することです。この時、どの音が省略されているのか(リダクション)、意識して読み上げることが大事です。録音して、音源と自分の発音とを比較してください。自分の発音が音源と異なっているところがないか注意してみてください。あったらできるだけ音源の発音に近づけるように修正しましょう。

ステップ3

スクリプトを見ながらのオーバーラッピングに慣れてきたら、いよいよシャドーイングに挑戦です。スクリプトは見ずに音を再生し、その音声を1、2秒遅れで追いかけながら真似していきます。音源のスピードが速すぎるようだったら、再生速度を変更できるプレーヤーを使って自分に合う速さに調整し、落ち着いてしっかりやってみましょう。

シャドーイングの実践方法 ~上級者編~

シャドーイングは、同時通訳者を志す人の練習によく取り入れられる、高度なトレーニングです。決してやさしくはないので、必ずしも通常速度でできるようになる必要はありません。しかし上級者であれば、自身のレベルを上げるために、通常速度についていくことを目指した方がよいでしょう。最初は短めの文章でトレーニングし、少しずつ量を増やしていくことがおすすめです。

スキマ時間で英語の音声に触れるには、旺文社の英語学習アプリ「英語の友」がおすすめです。旺文社から刊行されている資格試験対策書200点以上の音声を、無料でダウンロードすることができます。

また「英語の友プレミアム(アプリ内課金)」にバージョンアップすると、より多彩な学習方法で効率よく学ぶことができます。リスニング機能にはシャドーイング機能が追加されるので、上で挙げたステップ1~3のプロセスに沿って、ステップごとに重点を置いてトレーニングできます。なおこの機能は、旺文社の単語集『英検でる順パス単』シリーズのコンテンツを使用しています。日本語訳や英文のスクリプトを表示したり、再生間隔・速さを調整したりも可能です。自分に合った設定にカスタマイズできるので、ぜひ利用してみてください。


▲シャドーイング機能の例1


▲シャドーイング機能の例2

まとめ

シャドーイングは、英語の学習にとても有用なトレーニング法です。でも「やらなければ」と身構えるとプレッシャーになり、気が重くなってしまいがちです。アプリで短時間気楽に取り組むなど、自分に合ったやり方を見つけて日々実践しましょう。少しずつでも継続することが、長期的には確かな実力となります。ぜひ、気長に頑張ってください!