この記事では、英語試験TOEIC(トーイック)テストの一つであるTOEIC Listening & Reading Test(TOEIC L&Rテスト)で、目標スコアを奪取するために押さえるべきポイントについて解説しています。TOEIC L&Rテストのスコアの仕組みや、スコアごとのレベルについてもまとめてあります。目標スコアを470点、600点、730点、860点に設定し、それぞれのスコアを取るためにおすすめの攻略法・勉強法を、TOEIC対策書「目標スコア奪取シリーズ」(旺文社刊)の中から選りすぐって紹介しています。TOEIC L&R テストのレベル感を知りたい方や、何としても目標スコアを奪取したい方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2019年6月時点の情報に基づいています。受験の際は、TOEICウェブサイトで最新情報をご確認ください。

TOEIC L&Rテストのスコアとレベル

TOEIC L&Rテストは、ビジネスシーンや日常生活におけるコミュニケーション能力を測定することを目的とする英語試験です。リスニングとリーディングの2技能を測ります。受験者は主に社会人や大学生など、英語を仕事で使用する人や就職活動を視野に入れた人です。アメリカの非営利テスト開発機関 Educational Testing Service(ETS)が開発し、日本では一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が実施・運営しています。

スコア

TOEIC L&Rテストの結果は合格・不合格ではなく、10~990点の5点刻みのスコアで表されます。リスニングとリーディングが各495点で合計990点満点です。

●テストの構成と配点

セクション パート 内容 問題数 配点
リスニング Part 1 写真描写問題 6問 495点
Part 2 応答問題 25問
Part 3 会話問題 39問
Part 4 説明文問題 30問
リーディング Part 5 短文穴埋め問題 30問 495点
Part 6 長文穴埋め問題 16問
Part 7 1つの文書と複数の文書の読解問題 1つの文書 29問
複数の文書 25問

レベル

TOEIC L&Rテストのスコアが表す英語力の目安は、下表のとおりです。参考のために、語学力の国際的な指標CEFR* と、日本で馴染みの深い英検のレベルも併記しました。

スコア レベルの目安 CEFR 英検
860~ Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 B2~C1 準1級・1級合格
730~ どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 B1~B2 2級・準1級合格
600~ 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 B1 2級合格
470~ A2~B1 準2級・2級合格
220~ 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 A2 準2級合格

(IIBC「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表」および大学入試センターの公開資料を基に作成)

* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

TOEIC L&Rテストについて、より詳しく知るには、この記事がおすすめ!
「TOEIC L&Rテストとは:概要と勉強法・試験対策」

この記事には、レベルや試験内容、他の英語試験との比較など、TOEIC L&Rテストの概要がまとめられています。出題傾向に合わせた勉強法や当日の試験対策も、例題を挙げて詳述されています。ぜひ参考にしてください。

470点奪取のポイント

TOEIC L&Rテストのスコア470点以上は、「日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる」レベルとされています。英語に苦手意識のある方や、英語の学習を久しぶりに再開したという方にとって、最初の目標となるスコアと言えるでしょう。以下では、470点を奪取するために役立つポイントを『TOEIC L&Rテスト 470点奪取の方法』(濵﨑潤之輔著;旺文社刊)から選りすぐって紹介しています。

Part 1、Part 2を得点源に

Part 1とPart 2はリスニングです。短めの英文が1文ずつ読み上げられるので、比較的聞き取りやすい問題です。470点を目指すなら、この2つのパートの対策に力を入れ、得点源にしていきましょう。

Part 1は、問題用紙に印刷された写真を見ながら4つの短文を聞き、写真を最も的確に描写している文を選ぶ問題です。1人の人物が写っている写真の問題は、その人の動作・状態が描写されることが多く、予想を立てやすいので、確実に正解したいところです。

Part 2は、1つの発言とそれへの3つの応答を聞き、最もふさわしい応答を選ぶ問題です。Are you ? や Does he ? などの Yes/No で応答できる問題、Where ? や How ? などWH疑問詞が冒頭に来る問いかけを、まず対策するとよいでしょう。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問)
Mark your answer on your answer sheet.

(放送される英文)
Did you go to the outdoor market yesterday?
(A) No, I don’t like crowds.
(B) When does it start?
(C) Fruits and vegetables.

『TOEIC L&Rテスト 470点奪取の方法』より)

答え:A

Yes/No で応答できるタイプの問題です。「あなたは昨日、屋外市場に行きましたか」という問いかけに対して、「いいえ、私は人混みが好きではないのです」と答えている (A) が正解です。

Part 1とPart 2を攻略するコツは、問題集を解いたあと、しっかり復習することです。答え合わせで正解・不正解をチェックするだけではなく、スクリプトと日本語訳を読んで、1文ずつ英文の意味や文法事項を確認しましょう。その上で、英文を聞いた直後に同じ英文を声に出すトレーニング、「リッスン・アンド・リピート」をすることをおすすめします。選択肢や発言の英文を再生し、1文ずつ一時停止して、聞こえたとおりに発声してみるのです。そうすると聞き取れていない箇所はどこか把握できたり、単語同士が連結して発音が変化していることを理解できたりするので、リスニング力がアップします。

旺文社リスニングアプリ「英語の友」では、旺文社の英語資格試験対策書の音声を無料で手軽に再生できます。リピート再生や再生速度変更などの機能を駆使して、「リッスン・アンド・リピート」にぜひ挑戦してください。

文法問題を得点源に

リーディングの冒頭にある Part 5の30問中、約半分は文法問題です。文法は、英語の意味を理解する上で必要不可欠な知識です。文法問題対策をすることにより、Part 5を確実な得点源にすると同時に、他のPartを解くための基礎力もつけることができます。頻出するのは、動詞の変化形の問題、品詞問題、代名詞問題などです。

例題:
Our monthly rent cost ------- heat and hot water, but not electricity and cooking gas.
(A) including
(B) have included
(C) includes
(D) was included

『TOEIC L&Rテスト 470点奪取の方法』より)

答え:C

動詞の変化形問題です。文頭の Our monthly rent cost が主語で、空所には動詞が入ります。(A) は現在分詞・動名詞で、動詞にはなりません。主語は単数形なので、(B) も当てはまりません。(D) は受動態ですが、空所の後に目的語にあたる heat and hot water があり不適です。正解は、現在形の (C) です。

問題を解き、答え合わせしたあとは、その問題中のすべての語句・文法事項が理解できているか、英文の意味が把握できているか確認しましょう。解きっぱなしでは、せっかくの勉強の効果も半減してしまいます。しっかり復習し、知識を蓄積していきましょう。

読解問題は短い文書を攻略

最後のPartであるリーディングのPart 7は、設問が54問あり、そのうち29問が1つの文書を読んで答える問題、25問が複数の文書を読む問題です。とてもボリュームがあるので、上級者でなければ完答は難しいでしょう。目標が470点であれば、1つの文書を読む問題の中から比較的短い文書を選び、しっかり時間をかけて確実に得点することを目指すべきです。比較的短い文書とは、商品ラベル、広告、テキストメッセージなどです。

以下は、商品ラベルの例題です。

例題:
Questions 1-3 refer to the following information.

1. Where would the information most likely be found?
(A) In a product review
(B) In a recipe book
(C) On a bulletin board
(D) On a box of a merchandise

2. What is NOT included in the item?
(A) Cream
(B) Sugar
(C) Egg
(D) Chocolate

3. What are customers advised to do?
(A) Enter a customer number
(B) Mind the temperature
(C) Open the box carefully
(D) Print a discount coupon

『TOEIC L&Rテスト 470点奪取の方法』より)

答え:1. D 2. C 3. B

文書を読む際は、英文の内容を記憶するつもりで読み進めましょう。どこに何が書いてあったかを覚えていれば、問題を解くときに、正解の根拠となる場所をすぐにたどることができます。

 TOEIC L&Rテストで470点を取りたい、という方には、『TOEIC L&Rテスト 470点奪取の方法』(濵﨑潤之輔著;旺文社刊)がおすすめ!
 英語に苦手意識のある人、久々に英語を学習する人にもわかりやすく書かれた本です。470点を奪取するための目標正解数、解くべき問題、あえて捨てるべき問題も明記されています。効果的な復習法をていねいに指導していて、本冊内で学んだ単語は、別冊の単語集でおさらいできます。また、別冊には基礎となる中学英文法もまとめられています。この本の音声は付属CDのほか、旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも聞くことができます。

600点奪取のポイント

TOEIC L&Rテストのスコア600点以上は、「日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる」レベルとされています。多くの企業が英語力の一つの目安と見なすレベルであり、就職や昇進のために600点を目指す方も多いことでしょう。以下では、多忙な中で短期間にスコアを上げ、600点を奪取するために役立つポイントを『TOEIC L&Rテスト 600点奪取の方法』(八島晶著;旺文社刊)から選りすぐって紹介しています。

音・連想のひっかけに注意

リスニングのPart 2は、1つの発言とそれに対する3つの応答を聞き、応答として最もふさわしいものを選ぶ問題です。

Part 2には「ひっかけ問題」がよく出題されます。ひっかけには2種類あり、1つは「音」によるひっかけです。誤答の選択肢の中に、問いかけの発言の一部に似た響きの語が含まれているタイプです。もう1つは「連想」のひっかけです。例えば、問いかけの発言の中にairport(空港)という単語があるとき、誤答の選択肢の1つに、reservation(予約)という、空港に関係のありそうな単語を含むタイプです。いずれも、発言をしっかり聞き取れていないと、ひっかけの選択肢をつい選んでしまいがちです。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問)
Mark your answer on your answer sheet.

(放送される英文)
Where should I meet you for lunch?
(A) Outside the restaurant.
(B) I’ll have spaghetti and meatballs.
(C) At 1 o’clock.

『TOEIC L&Rテスト 600点奪取の方法』より)

答え:A

これは音のひっかけを含んだ問題です。選択肢 (B) の meatball に、問いかけの発言の中の meet と同じ音が含まれていますが、内容がふさわしくありません。

では、ひっかからないリスニング力をつけるためには、どんなトレーニングをしたらよいのでしょうか。おすすめはディクテーション(書き取り)です。短い英文を再生し、聞こえたとおりに書き取ってみます。聞き取れなかった場合は、3回ほど、再生と書き取りを繰り返して英文をできるだけ完成させましょう。そのあとスクリプトと突き合わせて、自分が聞き取れなかった部分、聞き間違った箇所を確認します。このトレーニングにより、自分の記憶にある英単語の音と、ネイティブスピーカーの発音とのズレをあぶり出すことができます。

旺文社リスニングアプリ「英語の友」では、旺文社の英語資格試験対策書の音声を無料で手軽に再生できます。リピート再生や再生速度変更などの機能もあり、ディクテーションにおすすめです。

「先読み」をマスターする

リスニング Part 3とPart 4は、ある程度ボリュームのある会話やトークを聞き、会話/トークごとに3問ずつの質問に答える問題です。会話/トークが放送される前に質問と選択肢を読んでおく「先読み」が正答率に大きく関わります。問われる内容をあらかじめ把握することで、聞き取るべきポイントを絞ることができるからです。

質問と選択肢のすべてを読むことが難しければ、質問だけを先読みしましょう。余裕があれば、加えて選択肢 (A) にも目を通すとよいでしょう。

次の例題を、先読みしてから解答してみましょう。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問)
1. Where most likely are the speakers?
(A) At a stationery shop
(B) At an electronics store
(C) At a tourist information center
(D) At an amusement park

2. What does the woman ask the man to do?
(A) Exchange an item
(B) Check a price
(C) Send a complimentary package
(D) Change an address

3. What does the man say he will do?
(A) Speak with a colleague
(B) Check some information
(C) Contact a manufacturer
(D) Cancel an order

(放送される英文)
Questions 1 through 3 refer to the following conversation.
M: Hi, how may I help you?
W: Hi, I would like to pay for these birthday cards and pens. Also, could I have your new brochure for my next purchase?
M: OK, the total will be $20.58. And sorry, but we’re no longer printing brochures. Please visit our Web site, and you’ll find all our information there.
W: Oh, I see. Are you still sending free notebook samples? I’d like to see your new colors.
M: Sure. We can send out our sample package with all the new colors. Let me check to make sure we have your latest data.

『TOEIC L&Rテスト 600点奪取の方法』より)

答え:1. A 2. C 3. B

先読みすることで、1.では「会話の場面」、2.では「女性が男性に頼むこと」、3.では「会話後の男性の行動」がポイントだと把握できます。この3点に意識を集中しましょう。

実際の試験では、会話やトークのセットが連続して出題されます。1セットの3問をすべて解き終わったら、まだ音声が流れていても、すぐ次のセットの質問と選択肢を先読みするようにしましょう。

読解問題の解くべき問題を見極める

最後のPartであるリーディングのPart 7は、設問が54問あり、そのうち29問が1つの文書を読んで答える問題、25問が複数の文書を読む問題です。とてもボリュームがあるので、上級者でなければ完答は難しいでしょう。600点を目指すのであれば、Part 7は「半分くらい正解すればよい」と割り切り、解くべき問題を見極めるのが攻略のコツです。

解くべき問題は、1つの文書を読む問題です。ただし1文書でも新聞記事(article)の類は、語数が多く内容も難しめなので、深追いは禁物です。ラベル、広告、チャット、メールなどで確実に得点しましょう。複数の文書を読む問題も、1つめの文書に関わる最初の1~2問のみであれば、1つの文書の問題と同じ要領で解くことができます。

 TOEIC L&Rテストで600点以上を取りたい、という方には、『TOEIC L&Rテスト 600点奪取の方法』(八島晶著;旺文社刊)がおすすめ!
 この本には、短期間で効率よくスコアアップできるノウハウが詰まっています。上で触れた先読みのテクニックやディクテーションを使ったトレーニング方法も、きめこまかく解説されています。600点を奪取するための目標正解数や、解くべき問題と解かなくてよい問題の判別法も明記されています。問題数を実際の試験の半分にした「ハーフ模試」により、短時間で総仕上げをすることも可能です。音声は付属CDで聞けるほか、旺文社リスニングアプリ「英語の友」にも対応しています。

730点奪取のポイント

TOEIC L&Rテストのスコア730点以上は、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」レベルとされています。海外出張がある会社・部門を目指すような方にとって、一つの目標となるスコアと言えるでしょう。以下では、弱点を克服して730点の壁を打ち破るために役立つポイントを『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』(古澤弘美著;旺文社刊)から選りすぐって紹介しています。

ストレートではない応答をマスターする

リスニングのPart 2は、1つの発言とそれに対する3つの応答を聞き、応答として最もふさわしいものを選ぶ問題です。Part 2には、発言に対する直接的な返事が選択肢にある比較的やさしい問題と、正答肢が婉曲な応答となっている難度の高い問題とがあります。730点を目指すならば、婉曲なタイプでも正解できるようにしていきたいところです。

婉曲なタイプの正答肢には、「知らない/聞いていない」という返事や、問われた情報ではなく情報の入手方法を伝える応答、発言の前提である事実を覆す発言もあります。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問)
Mark your answer on your answer sheet.

(放送される英文)
Where are you meeting with Mr. Murphy today?
(A) That’s been rescheduled for next Friday.
(B) I know him from college.
(C) Right after the lunch break.

『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』より)

答え:A

「Murphyさんとは今日、どこで会う予定ですか?」という発言に対して、適切な応答を選ぶ問題です。「それは次の金曜日に予定変更されました」と、「今日、会議がある」という前提を覆す応答をした (A) が正解です。

婉曲な応答タイプの問題で正答率を上げるには、問題演習を重ねて、応答のバリエーションの知識を増やしていくことが大事です。

意図問題を攻略する

リスニングPart 3とPart 4は、ある程度ボリュームのある会話やトークを聞き、会話/トークごとに3問ずつの質問に答える問題です。その中で特に難度が高いのが「意図問題」です。意図問題とは、会話/トークの一部を引用し、その発言にこめられた意図を答えるタイプの問題です。600点までは、戦略としてあえて捨てるというやり方もあり得ますが、730点を目指すならばぜひ攻略したいところです。

難しさの理由は、引用された発言だけを読むと、さまざまな意味に解釈できるところにあります。発言の真意を理解するには、会話の流れをしっかり聞き取ることが必須です。解答の際は質問を先読みし、引用されている(これから放送される)発言を把握した上で、その表現が使われるシチュエーションをいくつかイメージしておくとよいでしょう。

次の例題では、Part 3の1セットから、あえて意図問題のみを取り上げました。実際の問題では1つの会話につき3問出題されます。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問;4. と 6. は省略)
5. What does the woman mean when she says, “Say no more”?
(A) She is experiencing a similar problem.
(B) She is confused by the man’s story.
(C) She wants to share some ideas.
(D) She will help the man.

(放送される英文)
Question 5 refers to the following conversation.
M: Hi Brenda, could you possibly do me a favor? My secretary accidentally scheduled two meetings for me at 2:30 this afternoon. One of them is with Mr. Cates from Blue Cloud Construction, so
W: Say no more. I actually needed to discuss some things with Mr. Cates. I’d be happy to meet with him in your place.
M: Thank you. I really appreciate it. I’ll print out my notes for the meeting.
W: Could you just e-mail them to me instead? Then I can view them on my phone.

『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』より)

答え:D

引用された女性の発言 “Say no more” は、「それ以上言わないで」つまり「(それ以上言わなくても)分かった」という口語表現です。ダブルブッキングしてしまったと困っている男性に対し、女性は “Say no more.” と言ったあと、男性の代わりにCatesさんと会うと言っています。この会話の流れから、女性は男性を助けるつもりだと分かり、答えは (D) となります。

文挿入問題を攻略する

リーディングのPart 6は、長文の空所に最もふさわしい語句または1文を、4つの選択肢から選んで挿入する問題です。このうち、1文を挿入する「文挿入問題」は、解答に時間を要するので600点を目指すのであればあえて解かない戦略もあり得ますが、730点を目指すならば攻略したい問題です。

文挿入問題を解くコツは、文と文とのつながりを意識して読むことです。文が挿入される空所の前後の文を読み、その内容から、適切な選択肢を判別しましょう。文のつながりは、「導入」「補足・追加」「逆接・対比」「原因・結果」などのパターンがあります。これらのパターンを意識して読むとよいでしょう。

次の例題では、7. が文挿入問題にあたります。

例題:
Questions 5-8 refer to the following article.

5.
(A) founding
(B) founder
(C) founded
(D) found

6.
(A) on
(B) through
(C) beside
(D) regarding

7.
(A) In any case the service would be popular on its own.
(B) The newly referred customer gets 10% off for the first month.
(C) In contrast, some people took advantage of this system.
(D) The company often tries out new forms of marketing.

8.
(A) Consequently
(B) Unfortunately
(C) Similarly
(D) Nevertheless

『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』より)

答え:5. A 6. B 7. B 8. D

7. の空所の前後に注目しましょう。空所の前には「友達を紹介すると2ヵ月間無料サービスを受けられる」とあり、空所の後には「これが事業成長をもたらした」とあります。最もよくあてはまるのは、「新たに紹介された顧客は10%の値引きを受ける」と、空所の前の内容を「補足・追加」した (B) です。

 TOEIC L&Rテストで730点以上を取りたい、という方には、『TOEIC L&Rテスト 730点奪取の方法』(古澤弘美著;旺文社刊)がおすすめ!
 この本には、上で挙げた3つのポイントも含めて、730点を目指すなら身につけておきたい、難題の攻略ポイントがまとめられています。730点奪取のための各Partの目標正解数も明記されています。またこの本には、TOEIC形式でないTRAININGもあえて収録してあります。これらに取り組むことで、難度の高い問題でも正解できる実力が身についているかどうか、確認することができます。問題数を実際の試験の半分にした「ハーフ模試」により、短時間で総仕上げをすることも可能です。この本の音声は付属CDで聞けるほか、旺文社リスニングアプリ「英語の友」にも対応しています。

860点奪取のポイント

TOEIC L&Rテストのスコア860点以上は、「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」レベルとされています。グローバルな働き方を目指す方の場合、一つの目標となるスコアと言えるでしょう。以下では、860点の壁を越えるために役立つポイントを『TOEIC L&Rテスト 860点奪取の方法』(藤枝暁生著;旺文社刊)から選りすぐって紹介しています。

最後の1語まで正確に聞き取る

リスニングのPart 2は、1つの発言とそれに対する3つの応答を聞き、最もふさわしい応答を選ぶ問題です。多くは、英文の一部が聞き取れれば消去法で正答できる、比較的やさしい問題ですが、精密な聞き取りを要する難問も混じっています。860点を目指すならば、最後の1語まで聞き取らないと正解できない、難度の高い問題にも正答したいところです。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問)
Mark your answer on your answer sheet.

(放送される英文)
Has the keynote speaker’s flight been delayed?
(A) He specializes in organic chemistry.
(B) At the press conference today.
(C) I can check the status on my phone.

『TOEIC L&Rテスト 860点奪取の方法』より)

答え:C

前半の keynote speaker’s しか聞き取れていないと、スピーチが行われる場所をほのめかす (B) にひっかかります。最後の delayed までしっかり聞こえていれば、遅延状況の確認手段を答えた (C) が正答だと判別できます。

最後まで聞き取る力を身につけるには、ディクテーションがおすすめです。スクリプトのある、1~2文程度の短い英文を聞き、手書きやスマホ・パソコンへの入力などで書き取ってみましょう。一度で聞き取れなければ何回か繰り返し聞きます。それから書いた英文とスクリプトを突き合わせ、間違った箇所に注意しながら、また英文を聞いてみます。このトレーニングを重ねると、聞こえた英文をいったん記憶することができるようになるので、問い掛けてくる発言を最後まで聞き取って理解できるようになります。速くて聞き取れない場合は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」など再生速度を変更できるツールを使うとよいでしょう。

速いナレーターのスピードに慣れる

リスニングのPart 4では、1人によるトークを聞いて3つの質問に答える問題が10セット出題されます。中には、ナレーションの速度が速いセットもあります。860点を目指すなら、どんなセットでもスピード負けしない力を身につけましょう。

次の例題で、ナレーションの速いセットを体感してみましょう。

例題:
(問題用紙に印刷されている設問)
1. Where most likely did the talk take place?
(A) At a town hall meeting
(B) At a hands-on training session
(C) At a medical institute
(D) At a university open house

2. What does the speaker recommend doing?
(A) Speaking with graduates
(B) Checking a Web site
(C) Contacting another employee
(D) Reviewing a manual

3. What does the speaker mean when he says, “We won’t disappoint you”?
(A) Admissions fees will be reduced.
(B) Time for completing courses is unlimited.
(C) There are many courses available.
(D) All graduates have been successful.

(放送される英文)
Questions 1 through 3 refer to the following talk.
Here at McKenna University, educational experts have more than a decade of experience providing business courses online. For the first time, we are waiving the admissions enrollment fee for students starting their studies this fall. So, now is the time for you to enhance your expertise and skills! We pride ourselves on our excellent course offerings, so please pick up a brochure at the back of the room with the list of various courses. We won’t disappoint you. For those of you still concerned about making enough time to complete your studies, rest assured, we offer supreme flexibility at every step of the way to help students succeed. We can connect you with graduates in virtually every field of business, so you can learn from their stories and experiences.

『TOEIC L&Rテスト 860点奪取の方法』より)

答え:1. D 2. A 3. C

対策としては、速いナレーションに日頃から慣れておくことが大事です。旺文社リスニングアプリ「英語の友」など、再生速度の調整ができるツールで、少しずつ速度を上げていくとよいでしょう。

また、オーバーラッピングも有効なトレーニング法です。オーバーラッピングとは、スクリプト付きのリスニング教材を使い、音声を再生しながら、同じタイミングでスクリプトを音読するトレーニング法です。素材には、語句の意味や文法事項などを確認済みの、内容を十分理解できる英文を使うようにしましょう。そしてオーバーラッピングと通常の音読を交互に行います。この繰り返しによって、自分の発音の間違っている箇所を発見し、弱みとなっているポイントを理解して克服することが可能になります。オーバーラッピングがある程度できるようになったら、スクリプトを見ずに、耳で聞き取った音声を2、3秒遅れで真似して読み上げるシャドーイングに挑戦してみてもよいでしょう。

最後まで解き切るタイムマネジメントを確立する

TOEIC L&Rテストでハイスコアを取るために重要なこと、それは時間配分です。860点を目指すなら、リーディングPart 7の最後まで解き切ることを目指しましょう。目標解答時間は、Part 5と6に20分、Part 7に55分を充てるのが目安です。Part 7は54問あるので、1問につき1分という厳しいペースとなります。

おすすめの勉強法は、本番と同じボリュームの模試を使い、制限時間を守って演習をすることです。時計を見て、理想のペース配分どおりに進めるようにしましょう。また、特に時間を要するのは、後半に出題される複数の文書を読んで設問に答えるセットの、「…でないものを答えよ」というNOT問題や、「…について何が示唆されているか」など、文書中に答えがわかりやすく書かれていない問題です。時間に余裕がないときは、これらの問題はすっぱり諦めるのも、一つの受験テクニックです。

 TOEIC L&Rテストで860点以上を取りたい、という方には、『TOEIC L&Rテスト 860点奪取の方法』(藤枝暁生著;旺文社刊)がおすすめ!
 この本には、860点を取るために必要な各Partの目標正解数や、このレベルの学習者に必要なトレーニング法など、要点を押さえた学習ポイント・勉強法が豊富に収録されています。収録されている問題は、実際のTOEIC L&Rテストより難しいレベルに作られていて、高得点奪取のための高地トレーニングができます。問題数を実際の試験の約半分にした「ハーフ模試」により、短時間で総仕上げをすることも可能です。この本の音声は付属CDで聞けるほか、旺文社リスニングアプリ「英語の友」にも対応しています。

まとめ

TOEIC L&Rテストで目標スコアを奪取するためのポイントが把握できたでしょうか。TOEIC L&Rテストは形式が定まっているので、出題パターンを理解し解き方に慣れることによって、短期間でスコアアップが可能な試験です。一方で、自分の弱点やそれが苦手な理由に気づけていない場合は、長いこと頑張っていても点が伸び悩み、一定のスコアを越えることができなかったりもします。今の自分に必要な勉強法をつかみ、日々の努力を重ねて、目標スコアを勝ち取ってください!