2026年1月21日にTOEFL iBTテストがリニューアルされます。今回のリニューアルでは、問題形式が大きく変わり、新しい試験方式・スコア方式が導入されます。では、TOEFL iBTテストのリニューアルについて、詳しく見ていきましょう。

※本記事は、2025年11月時点の情報に基づいています。受験の際は、TOEFLテスト日本事務局ウェブサイトで最新情報をご確認ください。

問題形式・出題内容の変更点

今回のリニューアルでは、問題形式が大きく変わり、リーディングとリスニングのセクションに「アダプティブ方式」が導入されます。また、試験順序にも変更があります。以下、「試験順序」と「テスト構成」をリニューアル前後で比較します。

【試験順序】

リニューアル前
(2026年1月20日まで)
リニューアル後
(2026年1月21日以降)
リーディング

リスニング

スピーキング

ライティング
リーディング

リスニング

ライティング

スピーキング

【テスト構成】

セクション リニューアル前
(2026年1月20日まで)
リニューアル後
(2026年1月21日以降)
リーディング 長文読解2題
(各10問)
35分 3種類のタスク* (最大50問)

  • 単語を完成させる
  • 日常生活に関する文章を読む
  • アカデミックな文章を読む

上記3種類のタスクを2段階のモジュールで構成(アダプティブ方式

最大 30分**
リスニング 会話問題2題
(各5問)
講義問題3題
(各6問)
36分 4種類のタスク* (最大47問)

  • 音声を聞いて応答を選ぶ
  • 会話を聞く
  • アナウンスを聞く
  • アカデミックな講義を聞く

上記4種類のタスクを2段階のモジュールで構成(アダプティブ方式

最大 29分**
ライティング
  • 「読む+聞く+書く」の統合型 (1問)
  • アカデミックなディスカッションのために文章を書く (1問)
29分 3種類のタスク (最大12問)

  • 文を作る
  • メールを書く
  • アカデミックなディスカッションのために文章を書く
最大 23分**
スピーキング
  • 身近なトピックについて個人的な意見を述べる (1問)
  • 統合型(3問)
16分 2種類のタスク (最大11問)

  • 聞いて繰り返す
  • インタビューを受ける
最大 8分**

(ETS公式サイトを参照し作成)

*リーディングとリスニングはダミー問題(採点対象外)が含まれるため、問題数が変わる可能性があります。
**推定時間には、導入説明を読む時間や音量調整の時間は含まれません。

TOEFLといえば「学術的(アカデミック)」という印象が強いかもしれませんが、新形式では大学生活のみならず、日常生活の話題も出題されるようになります。また、アカデミックな題材についても、その分野の背景知識の有無によって得点が左右されるような極端に専門的な題材は廃止され、実社会との関連性が見いだせる出題内容になります。このように、リニューアル後の試験は、受験者の多様なバックグラウンドに配慮しており、公平性が重視されています。

各セクションのタスクの詳細は、後の「セクション別の詳細」で解説します。

「アダプティブ方式」の導入

「アダプティブ方式」とは、受験者の正答率に応じて問題の難易度が調整される方式です。今回のリニューアルでは、リーディングとリスニングのセクションで導入されます。アダプティブ方式を導入することで、従来よりも、より正確な英語力の測定が可能になります。

今回TOEFL iBTテストで導入されるのは「2段階のアダプティブ方式」です。リーディングとリスニングのセクションは「モジュール1」と「モジュール2」の2部構成となり、モジュール1の正答率に応じて、モジュール2では難易度がUpper(難しめ)またはLower(易しめ)の2つに分岐し、受験者ごとにどちらかのレベルの問題が出題される仕組みになります。つまり、モジュール1では全ての受験者に共通の問題が出題されますが、モジュール2の問題の難易度は受験者のレベルに合わせて異なるものになります。

▼リーディングのアダプティブ方式のイメージ

モジュール1・共通問題
3種類のタスク

  • 単語を完成させる
  • 日常生活に関する文章を読む
  • アカデミックな文章を読む

(20問)

connector モジュール2・Upper(難しめ)
2種類のタスク

  • 単語を完成させる
  • アカデミックな文章を読む

(15問)

モジュール2・Lower(易しめ)
2種類のタスク

  • 単語を完成させる
  • 日常生活に関する文章を読む

(15問)

ダミー問題(最大15問)

▼リスニングのアダプティブ方式のイメージ

モジュール1・共通問題
4種類のタスク

  • 音声を聞いて応答を選ぶ
  • 会話を聞く
  • アナウンスを聞く
  • アカデミックな講義を聞く

(20問)

connector モジュール2・Upper(難しめ)
3種類のタスク

  • 音声を聞いて応答を選ぶ
  • 会話を聞く
  • アカデミックな講義を聞く

(15問)

モジュール2・Lower(易しめ)
3種類のタスク

  • 音声を聞いて応答を選ぶ
  • 会話を聞く
  • アナウンスを聞く

(15問)

ダミー問題(最大12問)

(ETS公式サイトを参照し作成)

Upper(難しめ)/ Lower(易しめ)のどちらかに振り分けられた後は、そのモジュール内でさらに問題レベルが変化していくことはありません。例えば、Upperに振り分けられた受験者は、セクションの最後までUpper用の問題セットを解くことになります。高得点を目指す方は、モジュール1でミスをしないように注意し、モジュール2でUpperに進めるようにしましょう。

セクション別の詳細

では、リーディングから順に、各セクションのタスクを詳しく見ていきましょう。

リーディング

問題形式 問題数* 推定時間**

  • 単語を完成させる
  • 日常生活に関する文章を読む
  • アカデミックな文章を読む

(2段階のアダプティブ方式)

最大50問 最大30分

*ダミー問題(採点対象外)が含まれるため、問題数が変わる可能性があります。
**推定時間には、導入説明を読む時間や音量調整の時間は含まれません。

「単語を完成させる」では、アカデミックなパラグラフ(約70~100語程度)が出題されます。そのパラグラフには、文字が欠けた不完全な単語が10箇所含まれており、受験者は空欄に文字を入力して単語を完成させる必要があります。例えば、「_ _ ly」と表示されている箇所に、受験者は「o」と「n」を一文字ずつ入力して、onlyという単語を完成させます。英文を理解するための基礎的な文法力と語彙力が問われます。

「日常生活に関する文章を読む」では、約15~150語の英文(Eメール、SNSの投稿、お知らせなど)が出題され、その内容に関する設問に対し、最もふさわしい答えを4つの選択肢の中から選びます。日常生活で見かける身近な題材が取り上げられます。

「アカデミックな文章を読む」では、約200語のアカデミックな文章を読み、長文の内容に関する設問に対し、最もふさわしい答えを4つの選択肢の中から選びます。長文の中から必要な情報を探すスキミング力が求められます。リニューアル前の「長文読解」では、長文が約700語ありましたが、リニューアル後は長さが約3分の1程度に短くなり、その分野の背景知識の有無によって得点が左右されるような極端に専門的な題材は廃止されます。

前述のとおり、リーディングセクションではモジュール1が終わると、受験者はUpper(難しめ)/ Lower(易しめ)のどちらかに振り分けられ、モジュール2の問題に進みます。同じモジュール内で画面上のNext(次へ)とBack(戻る)のボタンを押して、次の問題に進んだり、前の問題に戻ったりすることができますが、いったんモジュール2に進んだ後にモジュール1の問題に戻ることはできませんので、注意しましょう。

リスニング

問題形式 問題数* 推定時間**

  • 音声を聞いて応答を選ぶ
  • 会話を聞く
  • アナウンスを聞く
  • アカデミックな講義を聞く

(2段階のアダプティブ方式)

最大47問 最大29分

*ダミー問題(採点対象外)が含まれるため、問題数が変わる可能性があります。
**推定時間には、導入説明を読む時間や音量調整の時間は含まれません。

「音声を聞いて応答を選ぶ」では、キャンパスライフに関連する一人の短い発言を聞いて、4つの選択肢の中から最もふさわしい応答を選びます。

「会話を聞く」では、二人の会話を聞き、その内容についての設問に対し、最もふさわしい答えを4つの選択肢の中から選びます。このタスクでは、買い物や食事、趣味、旅行など日常生活で行われる会話が中心で、リスニングセクションの4つのタスクの中では、最も日常生活寄りの内容になっています。リニューアル前の「会話問題」と比較すると、リニューアル後の会話は、長さが大幅に短くなっただけでなく、内容も日常生活に寄せたものへと変化しています。

「アナウンスを聞く」では、一人の話し手の短いアナウンス(約40~85語)を聞き、その内容についての設問に対し、最もふさわしい答えを4つの選択肢の中から選びます。アナウンスの内容は、教室内での教授からのお知らせ、学内施設の工事のお知らせ、学内ラジオ局からのお知らせといった、キャンパスライフにちなんだものが出題されます。

「アカデミックな講義を聞く」は、約100~250語の短い講義を聞き、講義の内容についての設問に対し、最もふさわしい答えを4つの選択肢の中から選びます。リニューアル前の「講義問題」の流れを汲むタスクですが、リニューアル前は1つの講義が3~5分だったのに対し、リニューアル後は約1~2分と短くなっています。

いずれのタスクも音声は一回しか放送されません。また、北米、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど、さまざまなアクセントで出題されます。設問と選択肢は画面上に表示されますが、前の問題に戻ることはできない仕様になっています。

ライティング

問題形式 問題数 推定時間*

  • 文を作る
  • メールを書く
  • アカデミックなディスカッションのために文章を書く

最大12問 最大23分

*推定時間には、導入説明を読む時間や音量調整の時間は含まれません。

「文を作る」は、語や句を並べ替えて、会話の文脈に沿った文を組み立てる語句整序問題で、10問出題されます。これまでになかったタスクで、文法力が問われます。不要な語句が含まれる場合もあるため、注意が必要です。

「メールを書く」では、与えられた状況に応じて相手にふさわしいメールを書くことが求められます。問題数は1問で、試験時間は7分と定められており、語数の指定はありません。しかし、Write as much as you can and in complete sentences.(できるだけ多く、完結した文で書いてください)という指示があるため、明瞭かつ効果的なメールを相手との関係性に応じた丁寧さで書くことが求められます。実用的なライティング力を測定することに力点が置かれているといえます。

「アカデミックなディスカッションのために文章を書く」は、唯一、リニューアル前の形式から変更のないタスクです。問題数は1問、オンライン授業を想定した形式で、教授の投稿文ならびに学生2人の意見を踏まえた上で、自分の意見を10分間で100語以上書くことが求められています。

スピーキング

問題形式 問題数 推定時間*

  • 聞いて繰り返す
  • インタビューを受ける

最大11問 約8分

*推定時間には、導入説明を読む時間や音量調整の時間は含まれません。

「聞いて繰り返す」は、画面に表示された絵についての説明文を聞いて、その英文をそのまま繰り返す(リピートする)タスクです。合計7文が1文ずつ流れ、各音声の後、8~12秒以内にリピートする必要があります(※秒数は問題によって異なります)。 

「インタビューを受ける」では、放送されるインタビュアーからの4つの質問にそれぞれ45秒以内で答える形式です。個人的な経験や、ある主張に対する自分の意見や根拠を述べるもので、奨学金への応募や調査研究への参加などさまざまな場面を想定した質問が出されます。

バンドスコア方式の導入と採点結果の迅速化

今回のリニューアルでは試験内容だけでなく、評価方法と採点結果の返却についても大きな変更点があります。

大きく変わった点は
・「バンドスコア方式」の導入
・採点結果の返却が迅速化(72時間以内)
です。それぞれについて以下に解説します。

「バンドスコア方式」の導入

リニューアル後はヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages、以下CEFR)に対応した「バンドスコア方式」が導入され、各セクションのスコアならびに総合スコアが、1-6のスケールで評価されることになります。0.5刻みの評価で、計11段階(1 / 1.5 / 2 / 2.5 / 3 / 3.5 / 4 / 4.5 / 5 / 5.5 / 6)です。例えば、各セクションが以下のスコアだったと仮定します。

  • リーディング:4.5
  • リスニング:4
  • ライティング:3.5
  • スピーキング:3

この場合、合計すると4.5+4+3.5+3=15となり、この数値を4で割ると3.75となりますが、0.5刻みのスコアになるため四捨五入で総合スコアは4となります。このスコアをCEFRの基準で見ると、B2になります。以下が新しいTOEFL iBTテストのバンドスコアとCEFRの対応表です。

CEFRの
レベル
Total Reading Listening Writing Speaking
C2 6 6 6 6 6
C1 5.5 5.5 5.5 5.5 5.5
C1 5 5 5 5 5
B2 4.5 4.5 4.5 4.5 4.5
B2 4 4 4 4 4
B1 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5
B1 3 3 3 3 3
A2 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5
A2 2 2 2 2 2
A1 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
A1 1 1 1 1 1

(ETS公式サイトを参照し作成)

なお、2026年1月21日のリニューアルから2年間は、リニューアル前の「0-120のスコア(各技能は0-30の範囲で表示され、その合計が0-120で表示される)」と新しい「1-6のバンドスコア」がスコアレポートに併記されます。

新しい「1-6のバンドスコア」と「0-120のスコア」対応表

Total
(1-6)
Reading
(0-30)
Listening
(0-30)
Writing
(0-30)
Speaking
(0-30)
Est. Total
(1-120)
6 29-30 28-30 29-30 28-30 114+
5.5 27-28 26-27 27-28 27 107+
5 24-26 22-25 24-26 25-26 95+
4.5 22-23 20-21 21-23 23-24 86+
4 18-21 17-19 17-20 20-22 72+
3.5 12-17 13-16 15-16 18-19 58+
3 6-11 9-12 13-14 16-17 44+
2.5 4-5 6-8 11-12 13-15 34+
2 3 4-5 7-10 10-12 24+
1.5 2 2-3 3-6 5-9 12+
1 0-1 0-1 0-2 0-4 0+

(ETS公式サイトを参照し作成。表内のEst. Totalとは「推定合計値」のこと)

CEFRに対応したバンドスコアが導入されることにより、スコアの解釈が容易になるほか、IELTSなどの他の試験とも比較しやすくなります。

採点結果の迅速な返却

新形式では採点結果の返却までの時間が、受験から72時間以内、すなわち3日以内に短縮されます。
なお、2026年1月1日以降の受験日からは、紙のスコアレポートの自宅への無料郵送サービスは廃止されます。

変わらない点

ここまで見てきたようにさまざまな面で大きな変更のあったTOEFL iBTテストですが、変わらない点もあります。

  • 試験料
  • 申し込み手順

TOEFL iBTテスト は2025年4月1日にUS$245からUS$195へ減額されましたが、2026年1月21日からの新試験もUS$195です。また、申し込み手順もこれまでと変わりません。

試験対策

新形式に備えるためには、まずはETSの公式サイトが「Shop Official TOEFL iBT® Test Resources」のページで公開している、以下の体験版サンプルと模擬テストに取り組むのがよいでしょう。

  • 体験版サンプル(Interactive Sample/PC版)
  • フルバージョン模擬テスト1(Full-Length Practice Test 1/PC版)
  • フルバージョン模擬テスト2(Full-Length Practice Test 2/PC版)

また、問題形式は大幅に変更されますが、単語・熟語がこれまで同様、重要であることに変わりはありません。『TOEFLテスト英単語3800[4訂版]』『TOEFLテスト英熟語700 [4訂版]』を使って、語彙力を強化するとよいでしょう。

まとめ

2026年1月21日に大幅なリニューアルを遂げるTOEFL iBTテストについて、その変更点をお伝えしてきました。試験内容をしっかり把握し、単語力・熟語力をつけて、新形式のTOEFL iBTテストに取り組んでください。