英検受験に向けて学習中の皆さんはどんなふうに単語を覚えていますか? 単語と語義に対してひとつの例文が並んでいる、いわゆる「リスト型」の単語帳だと飽きてしまって続かない、覚えたはずの単語が文の中に出てくるとわからなくなってしまう、などとお悩みの人もいるのではないでしょうか。そんな人におすすめなのが『英検 文で覚える単熟語』(以下、『文単』)シリーズです。この記事では『文単』を使った単語学習をより効果的にするヒントや、リーディングやリスニングに必要なスキルの強化につながる発展的な使い方について紹介します。

『文単』の特長

リニューアルされた『文単』シリーズは、英検によく出るトピックを取り上げた長文がたくさん収録されています。この長文には英検合格に必要な単語や熟語が盛り込まれており、効率的に語彙力を増強することができます。さらに、すべての長文と長文に出てきた単語や熟語の訳の読み上げ音声を旺文社リスニングアプリ「英語の友」で無料で聞くことができます。

英検によく出るテーマに触れながら語彙力を増強できる

『文単』では、英検でよく出題されるテーマごとに長文を読みながら各級に必要な単熟語を学習できるようになっています。いくつかの長文がテーマ(分野)ごとに分けられており、テーマの冒頭にはそのテーマでよく扱われるトピックや、テーマと関連の深いキーワードを紹介する「テーマを知る」のコーナーが設けられています。

▲もくじの一部(本記事内のページ見本はすべて『英検2級 文で覚える単熟語 [4訂版]』より)

▲「テーマを知る」で各テーマを深掘りできる

必須単熟語が長文の中で覚えられる

級によって、長文の長さや重要単語数が違うためページ構成は少しずつ違いますが、ここでは2級を例にして本編の構成をご紹介します。

▲本文ページ ❶長文トピックの概要 ❷長文(英文) ❸長文の日本語訳  ❹単熟語表(長文内の赤字の単熟語の意味や派生語・関連語が並ぶ)

冒頭には、その長文でどういう内容が書かれているかがざっとわかる概要(❶)が記載されています。学習に入る前に目を通して、トピックを大まかに把握すると理解しやすくなります。また、この部分だけを読んで、どのトピックを学習するかを判断してもいいでしょう。

チェックに便利な「番号」表記

❷と❸は重要単語が含まれた長文と、その日本語訳です。注目したいのが、長文に出てくる重要単語には下線が引かれており、数字がふられているということ。この番号が、英文を読みながら日本語で素早く意味を確認するのに役立ちます。

例えば下の英文を読んでいるときに、「ほかの部分はわかるけれど、appearanceってなんて意味だっけ…」と思ったら、左上の数字「2」を頼りに対応する日本語訳(「外見」)をサッと見つけ出すことができるので、文を理解しようとしているときに中断する時間が少なくて済みます。

▲長文(❷)

▲対応する長文の日本語訳部分(❸)

単熟語表で各重要単語への理解が深まる

単熟語表(❹)でも長文中の番号と同じ番号で並んでいます。長文を読んでいるときにわからなかった重要単語をすぐに探してチェックしておけば、あとからまとめて再確認することができます。

▲単熟語表(❹)にも長文内と共通の番号がついている

このページでは単熟語の意味だけではなく、使い方や関連語句などもあわせて紹介しているので、単語・熟語の理解をさらに深めることができます。
また、長文は読まずにこの単熟語表で単語のチェックから始めて、単語がすべてわかる場合はその長文を飛ばして次の長文に進むという、クイックチェックの役割として使うこともできます。

赤シートで覚えたかどうか確認できる

長文内の重要単熟語も、日本語訳内の単熟語訳も、単熟語リストの日本語訳も赤字になっているので、必要に応じて学習した内容が身についたか確認できます。英文の方を隠せば「日→英」の練習、日本語訳の方を隠せば「英→日」の練習が可能です。

▲赤シートを載せた状態

「確認テスト」で再確認

テーマごとに掲載されている10~15ほどの長文を読み終えたあとには、単語の意味や使い方を問う確認テストのページが用意されています。確認テストの問題はテーマの各長文からまんべんなく出題されるので、そのテーマで学習したことが身についたかどうかを確認することができます。

▲確認テスト

ここでは日本語訳を見て英単熟語を答えたり、英単熟語を見て類義語や反対語を答えたり、意味を答えたりと、いろいろな練習問題で前に学習した単語を覚えているかどうかを確認できます。解答にはその単語を含む長文のページが記載されているので、解けなかった問題の単語を含む長文に戻って復習することができます。

使い方は目的や学習スタイルに合わせて

以下では目的やスタイルに合わせて、『文単』を使って学習する方法をご紹介します。

丁寧に精読して語彙力増強

単語と語義や例文だけではなく、具体的な話題を扱った文章で単熟語に出会うことで、それが文脈やテーマイメージと結びつくので、単語の意味の理解はより深まり記憶に残ります。また、話を読んで(聞いて)頭に思い描いた情景や事柄と結びつけるのに役立つと言われています。
そのため、もっとも基本的な使い方は、長文の日本語訳を赤シートで隠して一文ずつ丁寧に読み進めていくやり方です。一文ずつ日本語訳を見て、意味を取り違えていることころがないかを確認し、わからない言葉があったら単熟語にふられている番号を頼りに、赤シートをずらして意味を確認しましょう。
すべての文を読み終わったら、単熟語リストのページに進み、こちらも赤シートを使って意味を覚えているかどうかを一つひとつ確認していきます。長文ごとに、わからない単熟語がなくなるまで繰り返し学習します。

どんどん読み進めればリーディング力を身につけられる

長文を読み解くには、前の文とのつながりも理解する必要があります。単文ごとに重要単語の意味を確認して学習してもいいですが、学習した単語を理解した状態で、最後には、その長文を最初から最後まですらすら読んで理解できることをめざしましょう。それができれば、その長さの長文を読める力がついたことになります。

試験本番でも通用する読解力をつけるという意味では、長文の部分だけをとにかくどんどん読み進めていくという方法もあります。わからない単語があっても意味をすぐ見ないで最後まで読み、意味を推測する訓練もしておくとよいでしょう。意味を見る場合にも前後の部分まで読み込まずに、該当の単熟語の意味を手早く確認する程度にとどめましょう。

好きなテーマを選んでそのテーマから制覇すると決めたり、あるいはもくじを見て興味があるトピックからランダムに学習を進めたりするなど、やる気を保てるよう工夫することも学習を続けていくコツです。
『文単』では、読んで「へー」と思わせるような、科学・技術・自然・健康・医療・文化などのいろいろな話題が扱われているので、読み物として楽しみながら学ぶことができます。

リスニングに必要な力も同時に身につけられる

リスニング力の強化には、旺文社リスニングアプリ「英語の友」で聞くことができる無料音声を使いましょう。英文と訳を見て意味を確認しながら何度も英文の音を聞いて、最終的には聞くだけで長文の意味がわかるようにする、という練習が有効です。

また、普段から「読んだらわかるのに、リスニングになると全然わからない」という苦手意識を持っている人は、音を聞いて理解できるかに重点を置きながら、英文も日本語訳も何も見ないで音声を聞くことから始めてみるのもおすすめです。何度も聞いていると、知らない単語が出てきても意味を推測できることもあるとわかり、本番の試験に落ち着いて臨めるようになります。また、推測しながら何度も聞く中で、文脈を頼りにその単語に対する印象やイメージを広げた状態で、『文単』に戻って紙面で確認すると、より記憶に残りやすくなるでしょう。

本書の3級、準2級、2級では、リーディングだけでなく、リスニングの「会話文」や「パッセージ」などの形式をテーマとしてまとめたパートもあるので、その中で必要な単語を覚えながら、リスニングの問題によく出る場面や形に慣れることもできます。

『文単』を使いつくす発展トレーニング

これまで見たように、本書はどこを赤シートで隠すか、目で見るか、音で聞くかなど、何から始めるかや目的や状況によっても自由に使うことができます。自分に合ったやり方を見つけるためにいろいろ試してみるのが長続きするコツかもしれません。ここでは、いろいろな学習法をひと通りやり終えてしまった、という人向けに、自分に刺激を与える「高負荷」な学習法と、逆に「ただ楽しむ」に徹する方法をご紹介します。

アウトプットで定着促進する高負荷トレーニング

意味を頭の中で思い浮かべたり、聞いた単語のスペリングを頭の中で思い浮かべたりするだけでも練習にはなりますが、声に出したり、書いたりして体を使うことによって、自分が理解しているかどうかをより明確に知ることができます。

簡易的な部分ディクテーション練習

聞き取った英文音声を、一字一句そのまま英語で書いていく「ディクテーション」という練習を学校などでやったことがある人もいるかもしれません。全文を聞いて書き出すとかなりの時間と負荷がかかりますが、聞く力だけでなく文法能力や正しい英語のスペリングまで身についているかを確認できます。

もう少し手軽に単語だけに絞ってその練習がしたい、という人は、まず『文単』の赤シートを用いて、英文の方に赤シートを載せて重要単語を隠してください。その状態で、重要単語だけを聞き書きする簡易的部分ディクテーションをやってみましょう。意味もしっかり理解しているかを確認しながら行えば、「その単語の音を聞いて意味がわかるか」「その単語のスペリングを正しく覚えているか」という両方のことを確実に確認できます。この練習は、単語に的を絞っているので、重要単語をすべて書き出せると確認できたら必ず全文を通して聞くようにしましょう。

聞いた英文を声に出して言う

一文ごとに音声を聞いたあとに声に出す「リピート練習」は、英文を見ながらでも音の確認になりますが、英文を見ないで聞いた音をもう一度言ってみましょう。文の構造をわかっているかの確認にもなるので少しだけ難易度が上がります。少しずつリピートする文の数を増やしていくと、「音真似」だけではできないレベルの知識を必要とするので高度な訓練となります。

英文の意味を日本語で声に出して言ってみる

読んだり聞いたりした英文を理解しているかどうか、頭ではわかったつもりでいても、いざ口に出して言おうとしてみるとできないことがあります。これにより、自分が理解していないところをはっきりと認識することができます。これは、本の中の日本語訳と一言一句同じでなくてもかまいません。意味があっていれば十分です。

日本語訳を見て英文を作る(日文英訳)

かなり高いレベルの学習法です。英訳しようとすると自分がわかっていない部分が浮き彫りになります。
まるまる覚えてしまった、という人は完全再現に挑戦してみてもいいかもしれません。

単に読み物や読み聞かせの音だと思って「楽しむ」

高負荷のトレーニングは、集中力が必要なので、長時間行うのは大変かもしれません。そんなときは、とにかく読み物として楽しんだり、ラジオのように聞き流したり、音を聞いてわからなければ本を見て確かめたり、というくらいにとどめて、継続的に英語に触れることに軸足を置きましょう。

英文雑誌や動画素材で学習している場合は、わからない言葉があったら辞書などで意味を調べなければなりませんが、この『文単』を使えば、面白い話題に触れながら、意味をすぐに知ることができます。

そのほか、内容を楽しむという意味では、日本語訳を読んでしまって内容をよく理解してから英文を読む、あるいは音声を聞くだけでも、意味を理解した状態で英語をインプットできるので意外に役立ちます。

通勤・通学や「ながら学習」で聞き流して定着促進

忙しい毎日の通勤・通学のすき間時間や、料理や洗濯などの家事をしながら、旺文社リスニングアプリ「英語の友」で長文の音声を聞く習慣をつけるだけでも、覚えた単語の理解や長文の内容の聞き取りの確認になり、一度覚えた単語や長文の記憶定着を図ることができます。

リスニングアプリ「英語の友」のプレミアム機能で長文も持ち歩き

月額の「英語の友プレミアム(アプリ内課金)」にアップグレードすると、この『文単』の英文や単語の音声を聞くだけではなく、「英文再生」機能を使って長文を表示しながら音声を聞けたり、長文に含まれている重要単語のリストを見たりすることができます。

「英文再生」機能では、日/英/日英両方の表示モードの切り替え()ができ、赤シートを載せた状態と同じにする(赤字が消える)機能()もついているため、上記で見てきたような本書を用いた練習を通勤・通学時にも手軽に行うことができます。音声が流れている部分をハイライト表示()することもでき、見失うこともありません。重要単語だけを集めた単語一覧()で単語だけのチェックもできます。

▲「英文再生」機能の画面。音声読み上げ部分がハイライトされる

▲「英文再生」機能で日本語のみ赤シートを使用

▲単語一覧も表示できる

まとめ

単語学習には、覚えてもしばらく経つと忘れてしまうという落とし穴があります。一度覚えた重要単語を含む長文を繰り返し読んだり聞いたりして、忘れないための習慣をうまく作っていきましょう。どの方法をとっても、最終的には「あの話で出てきた語だったな」と思い出せれば、この本を十分に活用できたと言えるでしょう。
リーディングやリスニング力も同時にトレーニングできるのが『文単』のよいところです。この記事で紹介した方法は一例なので、自分のレベルや時間の都合、目的によって、うまく組み合わせて自分のトレーニング方法を確立していってください!!

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『英検 文で覚える単熟語』シリーズ

英検過去問の分析に基づいて選定された単熟語が、よく出題されるテーマの長文に盛り込まれた一冊。

※本シリーズの音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」で無料でお聞きいただけるほか、「英語の友プレミアム(アプリ内課金)」の英文再生(英文表示)機能にも対応しています。