この記事では、英検3級一次試験のリスニングテストについて詳しく解説しています。はじめに、問題の形式と構成、内容の傾向など、試験の概要を述べています。次に、試験の流れや解答のコツ、解答の際の集中すべきポイントなど、試験直前に再確認すると役立つ情報がまとめてあります。最後に、実力をつけるための学習方法や、アプリ・参考書を使った対策を細かく説明しています。ぜひ参考にしてください。

(本記事は、2018年5月時点の情報に基づいています。受験の際は、英検ウェブサイトで最新情報をご確認ください。)

試験内容

以下では、英検3級のリスニングの概要と問題例を挙げています。問題の形式やよく出るテーマ、質問のパターンについても述べています。

概要

英検3級は中学卒業程度のレベルとされ、リスニングでは、身近なことに関する内容を理解することができるかが試されます。リスニングは一次試験で、筆記(リーディングとライティング)に続いて行われます。試験時間は約25分で、英文が読み上げられるスピードは、1分あたり120~130語程度です。

リスニング問題は第1部、第2部、第3部があります。第1部と第2部では会話が、第3部ではパッセージ(文章)が放送されます。設問数はそれぞれにつき10問、合計30問です。解答時間は、それぞれの問題につき、その問題の放送が終わったあとの10秒間です。放送回数は第1部は1回、第2部と第3部は2回です。

問題番号 問題形式 詳細 設問数 放送回数
第1部 会話の応答文選択 会話の最後の発話に対する応答として最も適切なものを補う。 10 1回
第2部 会話の内容一致選択 会話の内容に関する質問に答える。 10 2回
第3部 文の内容一致選択 短いパッセージの内容に関する質問に答える。 10 2回

英検3級の一次試験では、リスニング、リーディング、ライティングの各技能にCSEスコアが550点ずつ割り当てられています。3技能のスコアの合計が1103点以上で一次試験が合格となります。

(CSE スコアについては、「英検3級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策:合格点・合格率」をご参照ください。)

リスニング第1部

放送文は男女2人の会話と3つの選択肢です。会話はAが話しかけ、Bが応じ、それにまたAが返事をするという、A-B-Aのパターンです。Aの2回めの発話に対するBの応答として適切な答えを、放送された3つの選択肢から選びます。問題冊子に印刷されたイラストがヒントになります。選択肢は問題冊子には記載されていません。放送回数は1回だけです。

会話をする男女は、友だち同士、親子、先生と生徒、店員と客などであることがほとんどです。電話による会話もあります。内容は、家族同士で家事や買い物の手伝いを頼んだり、友だちに放課後や週末の予定を尋ねたりするなど、日常的なことについてです。

問題例

例題:
イラストを参考にしながら対話と応答を聞き、最も適切な応答を1、2、3の中から一つ選びなさい。

(問題冊子にかかれたイラスト)

(放送文)
A: May I help you?
B: Yes. I’d like a glass of juice.
A: What kind would you like?

1 No, thank you.
2 Orange, please.
3 I’d like a hot dog.

(『英検3級予想問題ドリル』より)

答え:2

リスニング第2部

放送文は、男女2人の2往復の会話と、その内容についての質問です。質問に対する答えを、問題冊子に記載されている4つの選択肢から選びます。会話、質問とも2度放送されます。

会話をする男女は、友だち同士、親子、店員と客などであることがほとんどです。内容は家庭生活や学校生活などでの日常的な話題が中心です。質問の多くは日時や場所、登場人物の行動など、会話の内容の一部を問うものです。「彼らは何について話しているか」など、会話全体の状況や内容についての質問もあります。

問題例

例題:
対話と質問を聞き、その答えとして最も適切なものを1、2、3、4の中から一つ選びなさい。

(問題冊子に記載される選択肢)
1 Bill did.
2 Bill’s father did.
3 Jane’s father did.
4 Jane’s mother did.

(放送文)
A: That sweater looks nice on you, Jane.
B: Thank you, Bill.
A: Where did you get it?
B: Oh, it was a birthday present from my father.

Question: Who gave Jane the sweater?

(『英検3級予想問題ドリル』より)

答え:3

リスニング第3部

放送文は、35語程度の短いパッセージと、その内容についての質問です。質問に対する答えを、問題冊子に記載されている4つの選択肢から選びます。パッセージ、質問とも2度放送されます。

パッセージはある人物のエピソードであることが最も多く、主語が I(私)であるパターンと、Sam、Anna など特定の人名であるパターンとがあります。店、学校内など公共の場での案内放送も毎回出題されます。質問の多くは、同じ種類の情報(時、場所、値段などの表現)が複数出てきて、それを聞き分けるタイプのものです。

問題例

例題:
英文と質問を聞き、その答えとして最も適切なものを1、2、3、4の中から一つ選びなさい。

(問題冊子に記載される選択肢)
1 At 7:30.
2 At 7:40.
3 At 7:50.
4 At 8:30.

(放送文)
When Jack got up this morning, it was already 7:30. His class starts at 8:30, and it takes about fifty minutes to get to school. He left home at 7:40, so he didn’t have time to eat breakfast.

Question: What time does Jack’s class start?

(『英検3級予想問題ドリル』より)

答え:4

試験の流れと解答のコツ

以下では、英検3級のリスニングがどのような流れで行われるかを述べ、その流れに沿って解答のコツ、解答の際の集中すべきポイントなどを説明しています。試験前にもう一度チェックするとよいでしょう。

筆記試験が始まる前に音量テストが行われます。音声が聞き取りにくいと感じたら、すぐに試験監督者に申し出ましょう。音量テスト終了以降は、調整を頼んでも受け付けてもらえませんから気をつけましょう。

指示文

リスニングは第1部、第2部、第3部から構成され、各部の問題が始まる前に、日本語で指示文が放送されます。第1部の指示文では、例題とその答えの選び方が説明されます。第2部・第3部では、例題がなく、第1部に比べかなり短い指示文が放送されます。

問題冊子のイラストや選択肢を先にチェックする

第1部はイラストが、第2部、第3部は選択肢が、問題冊子に印刷されています。指示文は毎試験ほとんど変わりませんから、指示文が放送されている間に、印刷されている内容をチェックしましょう。

第1部の指示文は例題の説明が含まれ長いので、その間に各設問のイラストを見ておきましょう。会話が行われている場所が家か、学校か、屋外か、また登場人物は大人か子供か、家族か友人か、表情は喜んでいるか悲しんでいるか、などの情報を、イラストから読み取りましょう。イラストの中の重要だと思われる部分に丸をつけるとよいでしょう。

第2部、第3部は指示文が短く、それほど時間はありません。ですから、それぞれ1問目だけ、選択肢を先に読んでおきましょう。4つの選択肢すべてが動詞で始まっていたら、登場人物の行動を問う問題かもしれません。すべての選択肢が時刻であれば、時間を問う質問であることがわかります。

問題

第1部では、「No. 1」「No. 2」などと問題番号がまず読まれます。それから会話が放送され、最後に「1 No, thank you. 2 」と3つの選択肢が読み上げられます。

第2部の場合は「No. 11」「No. 12」などと問題番号がまず読まれます。それから会話が放送され、最後に「Question: 」と質問が読み上げられます。

第3部の場合は「No. 21」「No. 22」などと問題番号がまず読まれます。それからパッセージが放送され、最後に「Question: 」と質問が読み上げられます。

放送文の冒頭で内容を推測する

第1部と第2部は会話の聞き取りです。「会話をする2人はどんな関係なのか」と「何について話しているのか」を、できるだけ早く把握することが大事です。そのヒントは最初のせりふに含まれていることが多いので、注意して聞きましょう。May I help you? なら、店員と客の会話だと推測できます。Excuse me. だったら、見知らぬ人に話しかけているシーンかもしれません。ファーストネームで呼びかけていれば家族や友だち同士、Mom や Dad であれば子供が親に話しかけていると推測できます。声のトーンや話し方の雰囲気も参考にしましょう。

第3部では、パッセージのパターンをすぐ理解するようにしましょう。最も多いのはある人物についてのエピソードで、多くは冒頭が I(私)や人名で始まります。公共の場でのアナウンスも必ず出題されます。Welcome to や Attention, please. など、多数の人への呼びかけがカギになります。

最後のせりふに注意する

第1部は、会話の続きとして適切な選択肢を選ぶ問題です。したがって、最後の発話を聞き取ることが特に重要です。Who(だれ)、When(いつ)など疑問詞で始まる質問はよく出題されるので、文頭を注意して聞きましょう。ただ、疑問詞を使った問いかけであっても、How about ?(…はどうですか?)や、What’s the problem?(どうしたの?、何かあったの?) など、会話の定型表現である場合もあるので、意味の取り違いに注意しましょう。また、最後のせりふが質問文ではなく、I’m looking for a sweater.(セーターをさがしているんです)など、事実を述べる文である場合もあります。そのときは、「セーターをさがしている人に対して言えるせりふは何だろう」と考え、選択肢の中に This way, please.(こちらへどうぞ)があったら、「洋服のお店だったらあり得る会話かな?」などと推測して、正答を絞り込みましょう。

2度の放送を最大限活用する

第2部と第3部は、放送文が2度流れます。この点を活用するには、以下のような聞き方がおすすめです。

1度目のリスニング:だいたいの内容を理解し、質問をしっかり聞き取る

第2部の場合は、おおまかな会話の流れを追いながら、話題は何かを聞き取りましょう。第3部では、強く発音されている語句をメモするなどして、全体として何を言っているのかを把握しましょう。そして第2部でも第3部でも、質問の内容を1度目で理解することが大事です。疑問詞と主語は特に集中して聞きましょう。

2度目のリスニング:質問の答えを見つけ出す

1度目で聞き取った質問の内容を念頭に、その答えとなる部分を集中して聞くことがポイントです。例えば、先に述べたリスニング第3部の「問題例」を見てみましょう。質問が What time does Jack’s class start?(ジャックの授業は何時に始まりますか?)ですから、2度目のリスニングでは、class と start という語句が要注意です。そういう心づもりで聞いていれば、His class starts と聞こえたときにピンと来て、続く at 8:30. が答えだとわかるはずです。

解答時間

1問ごとに10秒のポーズが置かれます。この10秒間が解答時間です。

次の問題のイラストや選択肢を先にチェックする

マークを終えて時間が余ったら、次の問題のイラストや選択肢を先に見ておきましょう。例えば、大人の女性と男の子が教室で話しているイラストであれば、「女性教師と男子生徒かな。それなら学校に関する内容かな」などと予想できます。選択肢に tennis、volleyball など球技名が見えたならば、次の話題はスポーツの可能性が高いでしょう。By car. や On foot. だったら、交通手段を問う問題かと思われます。このように予想した上で聞けると、ポイントを把握しやすい上、心理的にも余裕を持つことができます。

次の問題に迷いを引きずらない

迷っても10秒の解答時間内に、答えをどれかに決めてマークしてしまいましょう。放送終了後に記憶をたどって「ああ言ったかも、いやこうだったかな」と迷っていても、正解に近づく見込みは低いので、ある程度で見切りをつけて、次の問題の選択肢をチェックする方が効率的です。そして次の問題の放送が始まったら、過去の問題はすっぱり忘れて、今流れている放送に集中するようにしましょう。

学習方法

学習方法

英検3級のリスニングは、出題形式がほぼ定まっています。ですから過去問や予想問題などで演習を数多くこなすことによって、スコアを上げることができます。演習に取り組む際は、放送回数や解答時間を守りましょう。「すべて完璧に聞き取らなくては」と思う人もいるかもしれませんが、英検3級のリスニングが求めているのは、一字一句をつぶさに聞き取る力ではなく、話の大意を理解する力です。そのような力は、回数と時間を厳守することによって、緊張感と集中力を高めた方が身につきます。また、聞き取る際は疑問詞5W1H(What, Why, When, Where, Who, How)に特に注意しましょう。そのようにして何問も解いていると、未知の単語や聞き取れない語句があっても、話の大意を推測できる力が備わってきます。

一方で、答え合わせのときには放送文を見ながら何度も聞いて、一字一句チェックすることが大事です。英文と音は一致しますか? もし、スペルとその箇所の発音が異なって聞こえるのならば、英語が発音されるパターンを、まだ理解できていないのかもしれません。英語には、単語がつながって発音されたり、話し言葉では一定の語句が短縮されたりする特徴があります。例えば、Would you ? という疑問文は、「ウッドゥ・ユー」ではなく、「ウッジュー」のようにつながって発音されます。短縮される例には、I would like . が I’d like . と表記され、発音も「アイ・ウドゥ・ライク」から「アイドゥ・ライク」になるケースが挙げられます。これらの特徴を理解した上で、音とスペルが一致して聞こえるようになるまで、何度も聞き込みましょう。このようなリスニングの基礎知識は、『英検3級総合対策教本 改訂増補版』にまとめられています。

また、会話には決まった表現があり、英検3級のリスニングではこれらの決まり文句が、かなりの頻度で出題されます。この種の問題は知らなければ正答できません。例えば、Sounds good. は「いいね」と、誰かの提案に賛成の気持ちを表す決まり文句ですが、そうと知らなければ、「sound は音という意味だから Sounds は複数形かな。たくさんの音がいい、という意味だろうか?」と混乱してしまいます。ですからこれらは、日ごろから地道に覚えるようにしましょう。会話表現も多く収録している単語集『英検3級 でる順パス単』を使うと効率的に覚えられるでしょう。

リスニング練習には、アプリ「英語の友」がおすすめ! 『英検3級 でる順パス単』など、旺文社の英検対策書から、多くの音声を無料でダウンロードできます。リピートしたりシャッフルで聞いたり、お気に入りマークをつけて、マークのついた文だけ(または、ついていないものだけ)を再生したりするなど、いろいろな使い方が可能です。どうしても聞き取れない箇所があるときは、再生速度変更機能や、3秒戻し機能が役立ちます。

リスニング力を鍛えるには、音読・シャドーイング・ディクテーションが有効です。アプリを使えば、効率よくトレーニングできます。

音読:音声をお手本にして、スクリプト(音声を文字に起こしたもの)を読み上げます。ネイティブの発音・イントネーションによく耳を傾け、できる限り真似しましょう。自分で発声できるようになった音は、自然と聞き取れるようになります。
シャドーイング:音読のバリエーションのひとつです。お手本の音声を追いかけるように、聞こえた音に少し遅れて発声するトレーニングです。慣れてきたらスクリプトを見ずに練習しましょう。
ディクテーション:音声を聞き、その英文をスペルアウトするトレーニングです。どの部分が聞こえていないのかが明確になります。聞き取れない部分は、アプリの再生速度変更機能を使って速度を落としてみたり、3秒戻し機能を使って何度も聞いたりしてみましょう。

参考書

リスニングを基礎から学びたいという方には、『英検3級総合対策教本 改訂増補版』がおすすめです。英単語が発音される際に変化するパターンや、英文が読み上げられるときにつく強弱や抑揚についての知識、会話やパッセージを聞き取るときのコツなどがまとめられています。英検3級の出題傾向を押さえながら学習できるので、効率的に対策ができます。

実際の英検3級の問題を使って耳を慣らしたいという方には、『2024年度版 英検3級 過去6回全問題集』がおすすめです。過去問6回分のリスニングと面接の音声をアプリ「英語の友」を使えば、過去問6回分のリスニングと面接の音声を無料で聞くことができます(ただし、書籍に記載されたパスワードの入力が必要です)。

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音声は、旺文社リスニングアプリ「英語の友」で無料で聞くことができます(ただし、書籍に記載されたパスワードの入力が必要です)。

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まとめ

英検3級のリスニングについて把握できたでしょうか? 出題形式は決まっているので、問題を多く解くことによってスコアを上げられます。「リスニング対策って、何をやればいいのかわからない」と、後回しにしてしまいがちですが、聴解力はリスニングテストだけでなく、面接にも欠かせない重要な能力です。日々の努力を重ねて、合格を勝ち取ってください!