※この記事は、2021年8月18日に配信された「旺文社ココマナ編集部note」の記事を一部加筆・修正のうえ、再掲載したものです。

こんにちは。

旺文社ココマナ編集部のNEO岸です。

日本人のヘンな英語に対するネイティブの正直な意見を聞いてみるNEO部。
第4回のテーマは「お誘いは could と would、どっち?」です。

この記事を読み終えるころには、お誘いやお願いに使う could と would の使いわけができるようになっているはず…!

■フォーマルな英語ってむずかしい!

みなさんはフォーマルな英語、使っていますか?
お仕事はもちろん、目上の方や初対面の方に品のある英語でお話しできたらかっこいいですよね。
NEO岸はそれがなかなかできないので、ひたすら could と would を使って話すようにしています。
could と would はていねいな言い方って聞いたことありますからね。

以前に海外出身の友人のご両親が来日することになり、これはうちで日本酒飲んでいってもらわないと! ってことがありました。それで、

Could you come to my house for dinner?”

とメールしました。この英語けっこういい線いってるんでは? というのんきな気持ちで。

しかし。先日NEO部がいつもお世話になっている調査データを参照していたところ、この英語は100点ではなかったことが判明しました…。

…わかってましたとも。could か would さえ使えばOKってほど英語は甘くないってことは。

■“Could you come to …” でお誘いすると…?

今回の質問は、Jones夫妻お誘いシミュレーションバージョンでどうぞ。

Q. “Could you …?” は招待でも使えるか。
最近,近所に引っ越してきた Jones夫妻を自宅へ夕食に招きたいと思います。その際,“Mr. and Mrs. Jones, could you come to our house for dinner next Sunday?” という表現は適切だと思いますか。

ネイティブの答えはこちら。

a5 b92 c3

ふおおお。アメリカは NO が60%、イギリスは NO が83%!

イギリスの方々のご意見が気になる~!

■NATIVEの意見

  • It does not give the listener the ability to choose. They “could” come, but do they want to?(相手に選択の余地を与えていない。言われた方は,来ることは「できる」かもしれないが,この表現では相手が「来たい」と思っているのかはわからない。英♂ 40 代)
  • Sounds like a request (or a request with pressure) like it may be a surprise party, something else mysterious or that you have something unpleasant to discuss with them.(招待されているというよりは,お願いされている(強制的に来いと頼まれている)ように聞こえる。もしこのように言われたら,サプライズパーティーや何かほかの秘密めいたお誘い,あるいはあまり気の進まない内容の相談事が待ち受けているのではないかと感じる。米♀ 30 代)
  • Using the wrong words, sounds as if you are desperate for them to attend.(このような言い方をすると,相手の予定を伺うのではなく,来てもらわないと困るという感じがする。英♂ 20 代)
  • Sounds presumptuous, like a command.(命令しているみたいで厚かましい感じがする。英♀ 20 代)
  • Doesn’t sound welcoming enough or it sounds like you have something urgent to tell them or you need their help with something.(来てほしいという思いが十分に感じられない。むしろ緊急に伝えなければいけないことがある,もしくは何か彼らの助けが必要で呼んでいるような印象を受ける。英♂ 20 代)

め、命令しているみたいで厚かましい!?
could を使ったらていねいになる説、撃沈です!
強制なんてそんなつもりなかったのになぁ(泣)。
どうしたらJones夫妻を誤解なくお誘いできたのでしょうか…。

■教えて! バーダマン先生

人を招待したいときには「意志」を尋ねる表現を使います。

A: Would you like to come to our house for dinner on Saturday?
B: Sure, I’d love to!
 A: 土曜日に我が家に夕食を食べにいらっしゃいませんか?
 B: 喜んでお邪魔させていただきます。

Would you を使うか Could you を使うか、寸分の差に思えても、意味には大差が生じるのですね…!
相手の意志をたずねるときは、Would you ~? で聞く! 覚えました!

A: If you’re free for lunch, would you like to go together?
B: Sorry, but I already have plans.
 A: 予定がないのなら,一緒にランチ行きませんか?
 B: ごめんなさい。今日は先約があって。

日本語でも「もし空いてたら」「もしよかったら」とかつけますもんね。こうやって「そうしたい気持ちがあるか」を聞くニュアンス、わかります!

逆に、could はどんなときに使うのが適切なのでしょうか。

Could you help me move this table?
 この机を動かすの,手伝ってもらえませんか?

ふむふむ。
Could you ~? は、頼みごとを引き受けてもらえるか聞いている感じですね。
依頼するときの表現として覚えておきます!

■今回の活動報告

というわけで、英語でお誘いするときは Could you …? ではなく、Would you like to … ? を使うと相手の意志を尊重した聞き方ができるということがわかりました!

could と would の使い分け、だいぶクリアになりましたね。
「パーティーするのでよかったらきませんか~?」とお誘いするときは Would you …? で、「パーティー誘われたんだけど、アウェーすぎてひとりじゃさびしいからいっしょに来てもらえない?(泣)」と懇願するときは、Could you …? でお願いすればいいってことですよね。

たしかに Could you …? だと、お誘いではなく依頼なので、ていねいな言い方だったとしても、内容やタイミングによっては厚かましく聞こえそうです。
今になってネイティブの意見がじわじわきます。

幸い冒頭でお誘いした友人家族とは、言語の壁を乗り越えて今もお付き合いが続いています。また彼らと会えるときがきたら、次は Would you …? でお誘いしてみようと思います!

記事中のデータ、NATIVEの意見について
旺文社刊行の『コアレックス英和辞典』に掲載されている主要なコラムの1つ「PLANET BOARD」に収録されたデータ及びそのためのアンケート調査から引用。調査は、成城大学社会イノベーション学部心理社会学科川村晶彦教授により、英語圏在住の英語話者約100人を対象に行われた。川村教授をはじめ、『コアレックス英和辞典』の編集に関わるたくさんの先生方の「ネイティブスピーカーが実際に使っている英語の実態を知りたい、伝えたい」という思いから、ネイティブのリアルなコメントを米・英、年齢・性別ごとに収集している。英語学習者のために行われた調査としては、調査項目数、回答者数の規模や母語話者の結果だけでなく日本人学習者の結果と比較検討を行っている点等からいって他に類を見ない貴重なデータ。
調査の詳細は以下の書籍を参照:Akihiko Kawamura, Lexical pragmatics : teaching English communication and pragmatic skills to Japanese learners, (Hituzi Syobo, 2018)

※NEO部では、『コアレックス英和辞典』に未収録の調査結果をご紹介することもあります。

NEO部とは
日本人の英語に対するネイティブの意見を研究する旺文社ココマナ編集部の部活。NEO は Native English Opinions の略。

NEO部顧問 ジェームス・M・バーダマン
米国テネシー州生まれ。ハワイ大学大学院でアジア研究専修、修士。1976年に来日し、以降さまざまな大学で教鞭をとる。早稲田大学名誉教授。中級レベルの英語で読める英語随筆をnoteにて連載中。

Vardaman’s Random Notes ~バーダマンの英語随筆~
https://note.com/vardamansnotes