この記事では、英検準1級の一次試験で出題されるライティング問題について詳しく解説しています。はじめに、どのような問題が出されるのか、ライティングの配点が合否にどの程度かかわるのか、どのような観点から採点されるのか、など試験の概要を述べています。次に、理想的な英文を書くためのコツや解答のノウハウ、役に立つ表現について解説しています。英文の質を上げるために確認すべき事項のチェックリストも載せています。最後に、作文力をつけるための学習方法や、参考書を使った対策を詳述しています。ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2024年4月時点の情報に基づいています。受験の際は、英検ウェブサイトで最新情報をご確認ください。

目次

試験概要

以下では、英検準1級で出題されるライティング問題の概要と問題例、その解答例を挙げています。採点の観点、予想される合格点などについても述べています。

概要

英検準1級のライティングは、一次試験・筆記の大問4と大問5に、1問ずつ出題されます。英検準1級の一次試験に合格するためには、この2問で一定以上の点数を取らなければいけません。というのも、英検の一次試験では、リーディングとライティング、リスニングの各技能に CSE スコアが750点ずつ割り当てられているからです。すなわちこの2問だけで、一次試験の3分の1のウェイトを占めるということになります。

※CSE スコアについては、「英検準1級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策:合格点・合格率」をご参照ください。

大問4は英文要約問題です。200語程度の、新聞記事や論文などに見られるアカデミックな英文を読んで、60〜70語のサマリー(要約)を作成します。提示された文章を写すのではなく、できるだけ自身の言葉で言い換える力が求められます。目標解答時間は約20分です。

大問5は意見論述問題です。内容は、与えられた TOPIC について、自分の意見とその理由を120~150語程度のエッセイ(英文)にまとめるというものです。社会性の高い話題について意見を書くことができるかが試されます。
与えられる TOPIC は、英文10~20語程度です。多くは、「賛成か反対か:小規模な独立した店は現代社会で生き残れる」など、社会性の高い内容です。POINTS が4つ提示され、そのうち2つを用いることが課されます。そしてエッセイは序論、本論、結論という構成になっていなければいけません。目標解答時間は約20分です。

英文要約問題の問題例

例題:
● Instructions: Read the article below and summarize it in your own words as far as possible in English.
● Suggested length: 60-70 words

In 2012, the Sustainable Development Solutions Network, a global initiative of the United Nations, began to publish the World Happiness Report. The report polls people from around the world in six categories such as social support, life expectancy, freedom, and corruption. Since the World Happiness Report was first published, one country has regularly topped the rankings: Finland.
What makes Finland the happiest place to live? For one thing, Finland boasts greater levels of equality than almost any other country, including gender and income balance. In addition, Finland’s residents enjoy outstanding social services, including high-level education, low levels of corruption, and free, quality healthcare. They also have access to a natural environment excellent for exercise, which they use to keep fit through activities such as hiking, skiing, and swimming.
However, outstanding social services that support Finland’s high standard of living are funded by some of the highest levels of income tax in the world. On top of that, many food and non-alcoholic drinks are costlier than the EU average. Also, there is the long, dark winter, which can cause depression. However, the Finns tend to be resilient and can often withstand temporary hardships in order to have long-term satisfaction.

(『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』収録「旺文社オリジナル予想問題」)

英文要約問題の解答例

Finland is one of the happiest countries in the world. Reasons for this include the high-level equality, social welfare, and rich natural environment. On the other hand, the reality is that such a high quality of life for citizens is due to extremely high taxes and cost of living. Another negative aspect is the long, dark winter, which Finns seem to be able to endure for long-term happiness. (68 words)

(『2024年度版 英検準1級 過去6回全問題集』収録「旺文社オリジナル予想問題」)

意見論述問題の問題例

例題:
● Write an essay on the given TOPIC.
● Use TWO of the POINTS below to support your answer.
● Structure: introduction, main body, and conclusion
● Suggested length: 120-150 words

TOPIC Agree or disagree:
Teenagers should avoid using social media

POINTS
● Safety
● Information literacy
● Education
● Personal relationships

(旺文社作成予想問題)

意見論述問題の解答例

I agree with the idea that teenagers should avoid using social media. I have two reasons to support my opinion.
Firstly, teenagers treat each other very badly sometimes. They also do this online, and social media can be terrible places for people who are bullied. Also, it is hard for parents and teachers to find out if this kind of bullying is happening, so they are often unable to help the bullied teenagers.
Secondly, criminals can easily target teenagers on these media, and commit cybercrimes, such as information theft and Internet fraud. Teenagers do not have enough skill and experience to avoid these criminals, so they are at high risk of becoming victims.
Because of these reasons, I believe that teenagers should wait until they become adults to use social media. (131 words)

(旺文社作成予想問題)

採点の観点と配点

英検準1級のライティングは、以下の4つの観点から採点されます。それぞれの観点に0~4点が配点されており、合計16点満点です。12点以上を目標にするとよいでしょう。

①内容 課題で求められている内容が含まれているかどうか
②構成 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか
③語彙 課題にふさわしい語彙を正しく使えているか
④文法 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

第1の観点「内容」で最も大事なポイントは、与えられた課題に適切に応答しているかどうかです。課題とは異なる趣旨の英文を書くと、英語としては正しい文章を書いていても、0点になることもあります。ですから読み違えないよう、出題内容は慎重に読みましょう。指示された要件も満たさなければいけません。

次の観点は「構成」です。英文要約問題の場合は、提示された文章と同じ論理展開で書かれているかが審査されます。パラグラフ同士のつながり方を見極め、適切なディスコースマーカー(つなぎ語、論理マーカーとも言う)を使うことが大事です。意見論述問題の場合は、自分の意見とその理由を論理的に、序論、本論、結論という構成で書くことがポイントです。各パラグラフは、核となるトピック・センテンスと、それを支えるサポーティング・センテンスで構成されているのが理想的です。

3つめの観点「語彙」は、課題にふさわしい語彙を正しい語法で使えているかを見ます。やさしい語句ばかりで書かれた解答では、評価が下がる恐れがあります。なるべくレベルの高い語句を選ぶように努めましょう。また、I don’t や We shouldn’t などの短縮形は使わず、I do not、We should not とフォーマルな書き方を心がけましょう。

最後の観点「文法」は、文法的に正しい文を書けているかが審査されます。文構造のバリエーションも重要なので、同じ主語を連続して使うなどのワンパターンな書き方は避けましょう。英語として不自然な文章も好ましくありません。無生物主語など、英語特有の表現を意識し、適切に使うようにしましょう。

英文要約問題 解答のコツ

以下では、英検準1級の英文要約問題で、理想的な英文を書くためのコツを挙げています。

全体と各パラグラフの主旨をしっかり読み取る

要約とは、文字数をひたすら減らして分量を圧縮することではありません。「筆者がこの文章/パラグラフを通じて言おうとしていることは、要するに何か」を、はっきり示すことです。

例えば、上に挙げた例題の第1パラグラフを見てみましょう。Sustainable Development Solutions Network という国連機関が World Happiness Report というレポートを発行していること、世界の国々が social support などの観点から格付けされていること、Finland が top の常連であることが書かれています。

文章全体の主旨を考えずに「このパラグラフを縮めなきゃ!」と思ってしまったら、「Sustainable Development Solutions Network has been ranking Finland as a top country in the World Happiness Report.」などと書きたくなることでしょう。しかし、続く文章を読んでみると、話題は Finland のことです。したがって、Sustainable Development Solutions Network や World Happiness Report は、話の根幹ではなく、枝葉だとわかります。

このように、目先の単語や文章に気を取られるのではなく、「話題は Finland だ」と意識しながら、各パラグラフを注意深く読むことが大事です。

自分の言葉で表す

英文要約問題の指示文には、「summarize it in your own words as far as possible」とあります。また、例題の「 one country has regularly topped the rankings: Finland.」などの箇所を見ればわかるとおり、丸写ししたのでは明快な英文にならないよう、問題が工夫されています。つまり、別の英語表現に言い換えるスキルと、正しい文法を使って英文を作る力とが求められているのです。

「どうやったら要約できるかわからない!」ということであれば、本文を利用して考えをまとめましょう。キーセンテンスを「それだけで意味が通じる英文」に言い換えていくのです。例えば、例題第1パラグラフの「one country has regularly topped the rankings: Finland」を取り上げてみます。one country は Finland のことですから、Finland を one country の位置に入れれば、「Finland has regularly topped the rankings.」という文になります。では the rankings とは何だろう? World Happiness Report の順位だな、それは「世界の幸福な国のトップ常連」だってことだな、それはつまり「幸せな国」という意味だ…と考えれば、Finland is one of the happiest countries in the world. とまとめることができます。つまり、このような言い換えプロセスを踏むことで、文意を可視化できるのです。

英文要約問題 解答のノウハウ

元の英文を手掛かりにする

英検準1級の英文要約問題は、200語前後、3パラグラフほどの英文を60~70語にまとめる問題です。

おすすめは、元の英文の流れに沿ってサマライズ(要約)するやり方です。まずは、段落ごとにキーセンテンスを見つけながら、文全体を読みましょう。それから、パラグラフ同士のつながり方を見極めます。例題の場合、第1段落で「幸福度の高い国、フィンランド」と主題が示され、第2段落ではそのポジティブな理由、第3段落ではネガティブな側面と結論が語られるという構造です。したがって、

  1. 各パラグラフのキーセンテンスを1、2文程度の明快な文に言い換える
  2. 主題→理由の提示→対比的な側面の提示、という構造に合うディスコースマーカー(つなぎ語)を考える
  3. 1.の文章を2.のディスコースマーカーで連結しながら記入する

ことで、適切なサマリーを作成できます。

このようなサマリーを別の紙にメモし、解答欄に記入する前には、一度見直しをしましょう。あとの「英文要約問題 解答のチェックリスト」を参考にしてください。ライティング問題は何よりも、書き上げることが重要なので、このあとはもうあれこれ考えず、書ききってしまうことが大事です。

使える表現(ディスコースマーカー)

要約を作る際は、元の英文の構造どおりに文と文をつなぐ必要があります。以下は、それに役立つディスコースマーカー(つなぎ語)です。

順接・添加

  • therefore
  • in addition
  • additionally
  • besides

逆接

  • however
  • although
  • despite
  • yet

対比

  • on the other hand
  • while
  • whereas
  • meanwhile

結論

  • as a result
  • in conclusion
  • thus
  • ultimately
  • in the end

言い換えの要点

言い換えに当たっては、以下の2点を念頭に置くとよいでしょう。

具体的な情報は抽象化・一般化する

列挙されている具体的な事物の名称は、それらの総称に当たる抽象的な語に言い換えましょう。例題の解答例では、greater levels of equality が high-level equality、social services が social welfare とパラフレーズされていて、それぞれ including 以下は具体例なので省略されています。

「文」を「句」で表す

主語と動詞を含む文を名詞句に言い換えることで、分量を圧縮できます。パラフレーズする力のアピールにもなります。例題の解答例では、many food and non-alcoholic drinks are costlier を high (taxes and) cost of living に、there is the long, dark winter を the long, dark winter にまとめています。

英文要約問題 解答のチェックリスト

重要な情報だけを拾っているか

事物の名称が具体的に列挙されている場合、多くは例示で、キーセンテンスや結論を支える役割を果たしています。これらの固有名詞は最初から取り上げないか、それらの総称に当たる抽象的な語に言い換えるかして、結論だけを書くようにしましょう。

各パラグラフから要素を抽出できているか

アカデミックな文章に無用のパラグラフはありません。必ず全部のパラグラフの内容を1、2文ずつで作成しましょう。「この段落の内容は盛り込まなくてもいいのではないか…」と感じるようなら、全体の主旨を取り損ねている恐れがあります。もう一度、先入観なしで読んでみてください。

ディスコースマーカー(つなぎ語)を適切に使っているか

ディスコースマーカー(moreover や however など)を適切に使えていると、明快なサマリーに仕上がります。元の英文の構成を理解できているというアピールにもなります。反面、誤って使うと「大意を読み取れていない」と判断されてしまうので、うっかりミスをしていないか、再確認しましょう。

同じ言い回しがないか

「できるだけ言い換えること」が要件の問題です。パラフレーズしたことでスペルや文法のミスが出ることのないよう気を配る必要はありますが、本文中の単語・言い回しをそのまま使うことは極力避けましょう。

スペルミスや文法・語法のミスがないか

焦るとスペルミスをしがちです。書き上げたあと、もう一度チェックしましょう。時制が合っているか、三単現の s / es は正しく付いているか、単数/複数が適切か、冠詞の付け忘れがないか、も忘れずに。

英文要約問題 学習方法

コラム記事で練習する

新聞や雑誌には、分量が一定の連載記事が多く載っています。その中から、200語前後の英文を選んで、要約する練習を重ねるとよいでしょう。その記事を ChatGPT など AI に要約させて見比べるのも一案です。主旨のつかみ方や、短縮・言い換えのコツがつかめるでしょう。

人に読んでもらう

要約文とは、元の文章を読んでいない人にも、元の文の本旨が伝わる文章のことです。ですから自分の書いた要約を、元の記事を知らない人に読んでもらい、コメントをもらうとよい練習になります。その人にとって読みやすい文になっていたか、意味は伝わったか、誤解されていないかなどを、質問して確認しましょう。

難しければ日本語から

そもそも要約が苦手だという人は、日本語の文章でトレーニングするという手もあります。新聞・雑誌などからアカデミックなコラム記事を選んで、各パラグラフの主題を書き出し、全体を構成する練習をするとよいでしょう。ただ、英語の記事でやってみる方が、長文読解の訓練にもなって一石二鳥です。

意見論述問題 解答のコツ

以下では、英検準1級の意見論述問題で理想的なエッセイを書くためのコツを挙げています。

型に沿って書く

模範的な形式

英検準1級の意見論述問題には、以下の要件があります。
● 序論(introduction)、本論(main body)、結論(conclusion)という構成で書く
● 語数の目安は120~150語
● 与えられた4つの POINTS のうち、2つを用いる

これらの要件に加え、英語のパラグラフ・ライティングの形式に従っているとさらに評価が高くなるでしょう。英語のライティングでは、パラグラフを、核となるトピック・センテンスと、それを支えるサポーティング・センテンスで構成することが理想的とされています。以上を踏まえるとおのずから決まってくる、英検準1級のエッセイとして模範的な形式は、以下です。

序論 第1パラグラフ TOPIC に対する自分の意見(賛否、是非など)を述べる。(1~2文程度)
本論 第2パラグラフ 冒頭に、1つめの POINT を明示したトピック・センテンスを書く。続いてその根拠を述べるサポーティング・センテンスを書く。(2~4文程度)
第3パラグラフ 冒頭に、2つめの POINT を明示したトピック・センテンスを書く。続いてその根拠を述べるサポーティング・センテンスを書く。(2~4文程度)
結論 第4パラグラフ 「序論」で自分が述べた意見を、もう一度繰り返して締めくくる。(1~2文程度)

具体的には、序論で TOPIC に対する自分の意見を I agree . / I disagree . などで表現します。それから本論で、選んだ POINTS を2つ展開します。First(ly), や Second(ly), という表現が便利です。そして結論で、Because of these reasons, I believe that . などと、自分の意見を繰り返して締めくくりましょう。

※文の数はあくまで目安です。1文が長かったり、つなぎ語で文を連結したりした場合は、この限りではありません。トータルで指定の語数になっていれば大丈夫です。

この形式を、前項で挙げた「意見論述問題の解答例」に当てはめると、以下のようになります。

序論  第1パラグラフ  意見 I agree with the idea that teenagers should avoid using social media.
前置き I have two reasons to support my opinion.
本論 第2パラグラフ トピック・センテンス Firstly, teenagers treat each other very badly sometimes.
サポーティング・センテンス They also do this online, and social media can be terrible places for people who are bullied. Also, it is hard for parents and teachers to find out if this kind of bullying is happening, so they are often unable to help the bullied teenagers.
第3パラグラフ トピック・センテンス Secondly, criminals can easily target teenagers on these media, and commit cybercrimes, such as information theft and Internet fraud.
サポーティング・センテンス Teenagers do not have enough skill and experience to avoid these criminals, so they are at high risk of becoming victims.

結論

第4パラグラフ

まとめ

Because of these reasons, I believe that teenagers should wait until they become adults to use social media.

このように、模範的なパターンに当てはめて書くようにしましょう。そうすれば、問題文の指示に沿った、理想的な構成のエッセイを書くことができます。

書き方の手順

自分の意見と、それを支える理由2つを手際よくまとめるコツは、以下のとおりです。

まず、POINTS を見ながら自分の立場・主張を決めましょう。次に、日本語でも英語でもいいので、メモを作成します。自分の立場と選んだ POINTS を書き、それぞれの POINT に対応した理由も書き出すのです。それから理由のそれぞれを補強する具体例や根拠を思いつくものをいくつか列挙します。

TOPIC:Agree or disagree: Teenagers should avoid using social media

選んだ POINTS:Safety と Personal relationships

メモ例
意見:agree
POINT 1:Personal relationships ⇒ ティーンの間にはいじめがある
    具体例・根拠:SNS でのいじめがひどい、親や教師が気づきにくい
POINT 2:Safety ⇒ 犯罪にまきこまれる危険性
    具体例・根拠:十代は未熟で犯罪を避けられない、被害者になりやすい

このメモがそのままエッセイの骨格になります。ここまでを、5分程度でこなせるとよいでしょう。

次に、このメモに従ってエッセイの形式で英文を書いていきます。意見を上の表の「序論」の位置に入れ、2つの理由を「本論」の第2、第3パラグラフに当てはめ、「結論」で改めて自分の意見を述べる、という要領で書きましょう。「主張」で1~2文、「本論」の第2パラグラフで2~4文、第3パラグラフでも2~4文、「結論」で1~2文、計6~12文が目安です。10分程度を目標にしましょう。

※文の数はあくまで目安です。1文が長かったり、つなぎ語で文を連結したりした場合は、この限りではありません。トータルで指定の語数になっていれば大丈夫です。

最後に、5分程度を使って見直しをしましょう。見直す事項は、あとの「意見論述問題 解答のチェックリスト」を参考にしてください。

意見論述問題 解答のノウハウ

自分に有利な POINTS を使う

英検準1級の意見論述問題では、POINTS を2つ使うことが課されています。TOPIC を踏まえた上で POINTS を眺め、書ける要素が多いものを選びましょう。

TOPIC が agree / disagree 型である場合は、「SNS を使えないなんて、とんでもない!」などと第一印象や直感で選ぶことは避けるべきです。まずは、POINTS のそれぞれを agree / disagree 双方の観点から眺めてみましょう。例えば、前述の「意見論述問題の問題例」では以下のようになります。

●agree
・Safety ⇒ SNS で犯罪に巻き込まれる、個人情報が漏れる、炎上のリスクがある
・Information literacy ⇒ フェイクニュースを信じる
・Education ⇒ SNS を使いすぎて勉強の時間がなくなる
・Personal relationships ⇒ SNS によるいじめ、人間関係の希薄化

●disagree
・Safety ⇒ SNS で災害情報などを得られる、親とこまめにコンタクトできる
・Information literacy ⇒ SNS を通して情報の扱い方を学べる
・Education ⇒ SNS で外国人と友達になれば英語の勉強に役立つ
・Personal relationships ⇒ 遠くへ引っ越した友達ともつながれる

以上のようにじっくり書き出す必要はありませんが、この作業はエッセイの骨格を考える上でとても重要です。頭の中で考えたりキーワードをメモしたりして、十分に整理しましょう。そして、「英語で表現しやすいか」「エッセイとしてまとめやすいか」という観点から、意見と POINTS を決めるべきです。「これは私が普段から思っていることだから、ぜひ書きたい!」という内容があったとしても、英語で表現しにくかったならば、別の意見・POINTS にパッと切り替えることが肝要です。

POINTS の単語は、提示されたままの形で使う必要はありません。例えば、safety を safe にするなど品詞を変えても大丈夫です。また、Personal relationships を選んでも、この語句をそのまま使うのではなく、bullying という観点で書くなど、応用することも可能です。

何行めまで書くべきか把握する

英検で使用される解答用紙の見本は、英検ウェブサイトからダウンロードできます。事前に実際に書いてみて、自分の書き方なら1行にだいたい何語入るか、従って、指定の語数である120~150語にする場合は何行程度書く必要があるかを、把握しておくことをおすすめします。例えば、1行に10語程度を書く人の場合は、12行以上が目標となります。

また、前項の「書き方の手順」のように、メモを作成してから記入すれば、自分が今、どのあたりを書いているのかわかります。ですから解答欄のスペースを目分量で測ってみて、語数が足りないようなら具体例を増やしましょう。例えば「意見論述問題の解答例」の場合、They also do this online, and social media can be terrible places for people who are bullied. のあとに For instance, を加えて、For instance, they might try to spread negative rumors about others. と書けば、1文増加させることができます。In my experience, . という表現を使い、自分の経験談を追加するという方法もあります。もっとも、前述の「型に沿って書く」の形式を守っていれば、だいたい指定された語数になるはずなので、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

解答の英文を解答欄の外にまで書いてしまうのは絶対にNGです! また、解答欄に収まるからといって長々と書き、内容や構成に悪影響を及ぼすのも好ましくありません。問題文に指示された語数と、しっかりした構成の両立を目指しましょう。

使える表現

英検準1級のエッセイには模範的な形式があります。その形式に従って書くときに役立つ表現は以下のとおりです。

自分の意見を言い表す

TOPIC の英文を利用するのが効率的です。例えば TOPIC が Agree or disagree: Teenagers should avoid using social media だった場合、TOPIC のコロン以下をそのまま用い、I agree (with the idea) that teenagers should avoid using social media. と書くことができます。In my opinion, . や I believe . も使えます。We must . と言えば、とても強い信念を表せます。

理由を挙げる

POINTS を理由として2つ挙げるには、One reason is . と Also, . という表現が便利です。First(ly), . と Second(ly), . でもいいでしょう。1つめの理由を挙げるには、To begin with, . や First of all, . も使えます。

具体例を挙げる

such as や for example, 、for instance, という表現が定番です。In my experience, . を使うと、自分の体験を具体例として示すことができます。

結論として意見を再主張する

For these reasons, . や Therefore, . As a result, . などのつなぎ語が役立ちます。第1文で I agree . と意見表明したなら、結論では It is for these reasons that I believe . と述べるなど、表現にバリエーションをつけるようにしましょう。

意見論述問題 解答のチェックリスト

問いに適切に答えているか

与えられた TOPIC からはずれた内容を書いていないか、「POINTS を2つ使う」という要件を満たしているか、この2点は特に重要です。

意見と矛盾する要素や関係ない内容がないか

エッセイの主旨が「わかりやすく論理的であること」も採点のポイントの1つです。意見に対する理由、また理由を補強する具体例や説明に、矛盾する内容が含まれてないか、注意して点検するようにしましょう。無関係な文章を入れてしまうのもマイナス点になります。

ディスコースマーカー(つなぎ語)を適切に使っているか

つなぎ語(for example や therefore など)を適切に使えていると、エッセイの内容がわかりやすくなります。また、英語のエッセイで理想とされる構成を理解できているというアピールにもなります。

同じ言い回しがないか

同じ単語や表現の繰り返しは、語彙力の不足と見られる恐れがあります。文構造のバリエーションのとぼしさも、「文法」の採点の観点から評価が低くなります(「採点の観点と配点」参照)。多彩な表現を心がけましょう。

スペルミスや文法・語法のミスがないか

スペルミスはないか、時制が合っているか、三単現の s / es は正しく付いているか、単数/複数が適切か、冠詞の付け忘れがないか、もう一度チェックしましょう。

意見論述問題 学習方法

英検準1級の意見論述問題は、経験がものを言います。与えられた観点から論を構成することや、制限時間内に書き上げることは、慣れによって上達するからです。また、英検ウェブサイトからダウンロードできる解答用紙サンプルを使って適切な分量を把握しておくと、語数を数える時間を省略できます。本番でスペルを忘れたりする事態を防ぐためにも、怠らず手書きで練習して慣れておきましょう。

まとまった文を書くことが苦手だという人は、過去問や問題集の解答例を熟読することから始めましょう。そのうち、模範的な形式がわかってきます。大体のパターンがつかめたら、手順に従ってエッセイを書き上げる練習を、できるだけ多くこなしましょう。そのうち、習慣化されて手際よく書けるようになります。

また、英検準1級の意見論述問題で扱われる TOPIC は、多くが社会で話題になっていることです。ですから日頃から新聞・ニュースなど、できれば英語のものに触れるようにしましょう。また様々な人の意見に触れ、それらに対して自分は賛成か反対かを考えてみることも大事です。

おすすめの学習法は、時事的な英単語を Japan という単語と共に、インターネットで検索してみることです。例えば、aging society Japan でサーチすると、日本の高齢化についての英字新聞の記事がいくつもヒットします。それらに目を通すと、shrinking population、falling birth rates、labor shortage など、特定の表現がよく使われていることに気がつくでしょう。つまり、それらが「高齢化」でエッセイを書く際に役立つ表現となります。記事内に頻出するので記憶に残る上、日本についての記事なので読みやすく、さらに時事問題についての知識もつくと、一石三鳥ですよ!

参考書

英検準1級のライティング対策には、要約問題・意見論述問題5セット分の予想問題を収録した『英検準1級 予想問題ドリル』がおすすめです。本試験に近い形式の問題を各大問につき5問ずつ実際に書いてみることで、語数の感覚やライティングの手順が身につきます。解答例と解説も収録されているので、自分の解答の出来ばえをチェックするのにも最適です。また言うまでもないことですが、作文に不可欠なのは語彙力です。特に英検準1級の場合、社会性の高い話題にかかわる単語を知っていなければいけません。単語集『英検準1級 でる順パス単』などを使い、日本語の意味を見て見出しの英単語を即座に思い出せるよう、訓練を積みましょう。旺文社リスニングアプリ「英語の友」を使えば音声を無料ダウンロードして、空き時間に耳で学習することも可能です。

まとめ

英検準1級のライティング問題について把握できたでしょうか? ライティングという分野の特性上、高スコアを取るには、単語・熟語・文法の幅広い知識と地道な練習が不可欠です。日々の努力を重ねて、合格を勝ち取ってください!