今回はアメリカのお金とチップに関する英語について紹介します。
アメリカに旅行した時に役立つ硬貨や紙幣についての知識、知っていないと思わぬトラブルにもなりかねないチップのマナーについても解説します。
(文:Kan Andrew Hashimoto)

アメリカの硬貨の愛称

アメリカの硬貨にはすべて特有の呼び方があります。
1セント硬貨を one cent coin, 10セント硬貨を ten-cent coin と正式名称で言う人はまずいません。
a penny / a dime と言います。

以下は硬貨の愛称です。
penny : 1セント硬貨
nickel : 5セント硬貨
dime : 10セント硬貨
quarter : 25セント硬貨

50セント硬貨、1ドル硬貨も存在はしますが、珍しいので使わずにとっておく人もいます。
私も子供のころ偶然手にした1ドル硬貨、50セント硬貨を今でも机の引き出しの中にしまってあります。

アメリカに旅行をする際にはぜひ硬貨の愛称を覚えておきましょう。
特に10セント硬貨には TEN CENTS という文字はなく ONE DIME と刻印されていますので愛称を知らないといくらなのか分からないといった不便なことになってしまいます。

You need two more pennies. : あと2セント必要です
I have four nickels in my pocket. : ポケットに5セント硬貨が4枚ある
Don’t you have four quarters instead of one dollar bill? : 1ドル紙幣ではなく25セント硬貨を4枚いただけませんか

硬貨の愛称を使った決まり文句

save pennies : 節約をする
Save pennies for a rainy day. : 万が一のために節約しよう

nickel-and-dime : けちけちする、小銭をせびる
Don’t nickel-and-dime me! : けちけちしないでよ!

dime : 美人(10点満点という意味から)
She’s such a dime! : 彼女、すごく美人だよ!

quarter は「小銭」という意味もあります。
You got some quarters? :
「25セント硬貨を持ってない?」ではなく「小銭を持っていませんか?」という意味である場合が多いです。

アメリカの紙幣

紙幣は bill と言います。
1ドル札、5ドル札、10ドル札、20ドル札が一般的でそれぞれ、 one-dollar bill, five-dollar bill, ten-dollar bill, twenty-dollar bill という言い方をします。

50ドル札、100ドル札も現在発行されている紙幣として存在しますが、偽札と疑われてチェックされたり、拒否する店もあるので両替ではこの2種類は避けた方が賢明です。

また2ドル札というのも存在します。
珍しい紙幣なので持っていると luck を得られるという迷信があります。
私の机の引き出しにはこれも1枚眠っています。

Give me $20 in bills and the rest in coins. : 20ドルは紙幣で残りは硬貨で下さい

How would you like bills? : どのように両替しますか?

All in ten-dollar bills, please. : 全て10ドル札でください
「紙幣で」「硬貨で」「10ドル紙幣で」、すべてinを使って表現します。

チップというマナー

欧米にはチップを支払うというマナーがあります。
国によって percentage など細かな点は異なります。
ここではアメリカのチップについて紹介します。

ファーストフード店を除く、給仕がいる店では大衆店、高級店にかかわらずチップは必要です。
大衆店では 10-15%、 高級店では 20% 程度、ピザや中華料理のデリバリは 10%、安めのビュッフェやダイナーでは10%、タクシーの運転手には 10-15% などおよその相場が決まっています。
しかしチップの習慣のない日本人にとっては、そんなことをいきなり言われても覚えられるわけがないと思います。

私は学生時代から現在に至るまでどんな店でもチップは全て 15% にしています。
文句を言われたことはありません。

現金で支払うのならチップは紙幣での方が上品です。

Would you let me know how much I should tip? : チップをいくら払ったらいいのか教えていただけませんか。
When should I tip? : チップはいつ払ったらいいですか。
There’s no tipping in Japan. : 日本にはチップの習慣がありません。

tip は名詞だけでなく「チップを支払う」という動詞(自動詞&他動詞)としても使えます。
覚えておくと便利です。

店のサービスに満足できない場合チップは払わなくてもいい、と恐ろしいことが書かれているガイドブックもありますが、私は同意できません。
チップはきちんと支払った上で支配人に苦情を伝えるべきだと思います。

マナーを尊重しながら文化の違いを楽しめたら素敵ですね。
次回もお楽しみに。

Kan Andrew Hashimoto 米・ウィスコンシン州出身。英・日バイリンガル。英語教育関連の音声、映像、書籍などの制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。公益財団法人 日本英語検定協会、文部科学省、法務省、警察庁などの教育用映像(日・英版)の制作などを行う。著作に「雑談力が伸びる英語の話し方」(斎藤孝と共著・アルク)などがある。