数えられる名詞と数えられない名詞、多くの日本人はその区別に迷うことがあるのではないでしょうか。
この「数に関する英語」シリーズでは、不可算名詞、長さ・重さ・量の単位、群れの数え方など、日本人が苦手とする英語特有の語句・表現を紹介していきます。
(文:Kan Andrew Hashimoto)

アメリカでの小学校低学年の頃の授業で

先生が机の上にリンゴをひとつ置きました。
そして生徒たちに聞きました。”How many? (いくつ?)”
私たちは大声で叫びました。”One!” ある生徒は”Just one!”

先生はリンゴをいくつか追加して言いました。”How many?”
私たちは得意げに叫びました。”Five!”

それが12くらいまで続いたと思います。

数えられないもの

先生はリンゴをしまい、今度は大きなシュガーポットを取り出しました。
そしてシュガーポットから机の上に砂糖をザァーとこぼして、聞きました。
“How about this?(これはどう?)”
私たちは大興奮で思い思いに叫びました。
“What?(何?)” ”Really? (マジで?)” ”Gee, I love it! (うわっ、最高!)”
先生が、
“Can you count? (数えられる?)”
私たちは、
“No way!(ムリ!)” ”Yes, of course!(もちろん!)” ”Let’s do it! (数えようよ!)”
先生は、
“Are you sure you can do it? : (本当にできると思う?)”
と言ったあと、最後にこうまとめました。
“You don’t have to. Because you can’t. I can’t either. No one can. It’s uncountable.
(数える必要はないよ、なぜならできないからだよ。先生もできない。誰もできない。これは数えられないものなんだ)”

この日、私たちは初めて

    「不可算名詞」

という言葉を学びました。

数えられないもの=不可算名詞

不可算名詞は

「ひとつひとつの輪郭がはっきりしていなくて数えにくいもの」です。

愛(love)、美(beauty)、水(water)、空気(air)、 砂糖(sugar)、塩(salt)、米・ご飯(rice)、コーヒー(coffee)・・・

数えられないものの英語の数え方

輪郭がはっきりしていなくて数えにくいものを、「容器」に入れて数えやすくすることで行います。
その「容器」を、単位、本当の容器、切り分け方の3つに分けてみると不可算名詞が分かりやすくなると思います。

1)単位

one liter of water : 1リットルの水
two cubic meters of air : 2立方メートルの空気
three gallons of gasoline : 3ガロンのガソリン(液体の単位:1ガロンは約4リットル)
four kilograms of sugar : 4キログラムの砂糖
five pints of beer : 5パイントのビール(液体の単位:1パイントは約500cc)
six cups of vinegar : 6カップの酢(料理用計量カップ:1カップは237ml)
One square meter of land costs 500 dollars in that area of NYC. :
ニューヨークのその辺りでは1平方メートルの土地が500ドルです。
Add 1 cup of water, 200 grams of flour and 2 teaspoons of sugar. :
水をカップ1,小麦粉を200g, 砂糖を小さじ2杯、加えます。

2)本物の容器

one bottle of wine : ボトル1本のワイン
two bowls of rice : お茶椀2杯のご飯
three tubes of water paint : 3本のチューブの水彩絵の具
four glasses of orange juice : コップ4杯のオレンジジュース
five cartons of milk : 5パックのミルク
six cans of beer :6缶のビール
Will you give me two glasses of wine? :
ワインをグラス2杯ください
I bought ten cans of dog food. :
ドッグフードを10缶買いました。

3)切り分け方

one pinch of sugar : 1つまみの砂糖
a dash of salt : 塩を少々(1ふりの塩)
a chunk of meat : 1かたまりの肉
two pieces of cake : 2切れのケーキ
three flashes of lightning : 3回の稲妻の光
four slices of pizza : 4枚のピザ
five sheets of paper : 5枚の紙

*太字は全て数えられない(とする)名詞です。

水をコップ1杯、ワインをボトル1本、紙1枚…のようなものの 日本語での数え方は可算名詞としてではなくまさに英語の不可算名詞の数え方と同じです。
日本人に不可算名詞の数え方が分かりにくいとは私には思えません。
ただ「英語ではどの名詞が不可算名詞なのか」が分かりにくいだけだと思います。
実はそれはアメリカ人の子どもたちにとっても同じです。

次回もお楽しみに。

Kan Andrew Hashimoto 米・ウィスコンシン州出身。英・日バイリンガル。英語教育関連の音声、映像、書籍などの制作を手がける(株)ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。公益財団法人 日本英語検定協会、文部科学省、法務省、警察庁などの教育用映像(日・英版)の制作などを行う。著作に「雑談力が伸びる英語の話し方」(斎藤孝と共著・アルク)などがある。