新学期、新年度になって、TOEIC L&Rテストの受験が必要になった人も多いのではないでしょうか? これからはじめて勉強に取り組むという方に向けて、『TOEIC L&Rテスト はじめて受験のパスポート』の著者である駒井亜紀子先生(神田外語学院講師)に、「英語の友」編集部が本書を使ったおすすめの勉強法をお聞きしました。

そもそもTOEIC L&Rテストって?

—— TOEIC L&Rテスト(以下、TOEIC)とはどんなテストでしょうか。簡単に、試験の内容やどのように活用されているかをお聞かせください。


▲駒井亜紀子先生

ビジネスシーンや日常生活での、会話や文章でのやりとりといった英語能力を測るテストです。7つのPartに分かれており、Part 1からPart 4がリスニング(L)、Part 5からPart 7がリーディング(R)のテストです。いちばんの特徴は、結果が合否ではなく、5点刻みの10~990点でスコアが表される習熟度テストという点です。出題の内容はビジネスに特化したものが多いですが、高校2年生くらいまでの英語の知識を総合的に試されます。

活用のされ方は、社会人は社内での昇進、海外出張の目安として、学生は、TOEIC600点以上で出願が可能になるなど、留学や編入の際に英語力を客観的に見る指標として使われることが多いです。就職活動でも、英語力を見る場合、英検よりもTOEICのスコアを見られるケースがほとんどです。

『TOEIC L&R テスト はじめて受験のパスポート』の特徴

—— 書籍タイトルにもあるとおり、駒井先生ご執筆の『TOEIC L&Rテスト はじめて受験のパスポート』はTOEICの勉強を始めるにあたって最適だと思います。コンセプトから教えてください。

一言で表すと、「1冊で完結できる」ということです。本書を1冊学習すれば、TOEICがどんなテストなのか、全体像が手っ取り早く確認できます。なおかつ、各Partの重要ポイントが分かります。何冊もやりたくない、時間もお金もかけたくない —— なるべく短時間で安く、そんな学習者の希望にこたえます。

—— 初学者に向けて、本書にはどのような工夫がされているのでしょうか?

さきほど、高校2年生くらいまでの英語の力を試されると言いましたが、実際にTOEICで使われている単語はビジネス用語が多いので、社会に出ていない人にとっては難しいと感じるでしょう。出張などの経費について、会議について、会社がどういうふうに運営されているのかを知らないと、なかなかその中で使われる用語をイメージできず解答できないかもしれません。ですから、本書には、TOEICに絞った単語や文法を盛り込んでいます。TOEICのスコアを証明する必要がある場合は、TOEICに絞った勉強をした方がいい。ルールはTOEICに限らずスポーツにも共通することですよね。ルールを知ってこそ実力を発揮できる。そのルールを知ってもらう要素を詰め込んでいるのがこの本です。

本の中身を見てみよう!

—— 本書の構成はどのようになっていますか?

Partごとに、「Partの概要→攻略ポイント→練習問題→練習問題を使った攻略ポイント解説→実践問題」といった流れで学習できるようになっています。また、別冊として、学習の成果を測る「復習テスト」、本の中に収録されている単語を音声で聞きながら覚えられる「復習単語集」が付いています。

▲リスニングPart 1、人物写真の問題についての「攻略ポイント解説」。「ミニ講座」では、知っているとさらに得する点を駒井亜紀子先生が解説している。

▲リーディングPart 5で頻出する「動詞のカタチ問題」の「攻略ポイント解説」。学んだ知識をすぐ活用できる「エクササイズ」も充実している。

—— 「攻略ポイント」の内容はYouTube動画と連動しているのですね。

はい、各Partの「攻略ポイント」に付いているQRコード*を読み込むと、書籍と同じ内容がYouTube動画で見られるようになっています。文字を追うよりも動画で見た方が理解できる人もいます。書籍を持ち歩くのは重いと感じる人は、通勤・通学中にまずYouTube動画で攻略ポイントを押さえて、家に帰ってから書籍で練習問題を解くという使い方もできますよ。また逆に、まずは書籍でひととおり学習してから動画を見て、攻略ポイントを動画で復習するという使い方もできます。書籍と動画を両方活用することで相乗効果を得られます。

* QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

▲「Part 1攻略ポイント解説」のYouTube動画。駒井亜紀子先生が実際に解説してくれるので、授業を受けた気分に。

—— 動画には、コロナ禍における生活の変化で、意外な活用法があったとか?

そうなんです。コロナ禍で学校の授業がリモートになるなか、どうやって講義したらいいかという先生たちに「この動画を流していいですか?」と聞かれたことが何度かありました。授業のスライド代わりに、この動画を活用いただいたという。私が教えている学校で、授業の導入としてこの動画を使いました。

復習こそ命

—— ところで、別冊の「復習テスト」と「復習単語集」は、すごく「復習」を強調されていますね。どうしてでしょうか。その活用方法についてお聞かせいただけますか?

「復習単語集」は見開きになっていて、左ページには、本書に出てくる英文をそのまま抜き出しています。そして右ページには、その文のなかで覚えるべき単語のリストを掲載しています。ですから、本書をひととおり学習した人であれば、その単語が分かっていることは前提。分かっていないとダメですよっていうことです。

▲「復習単語集」Part 3の紙面。覚えるべき単語は赤字で表示されているので、赤セルで隠して思い出せるか試してみられる。

分かっていない場合は、復習する必要があります。使い方は左ページの英文を活用することです。右ページのリストを見て分からなくても、左ページの文を読んで本書で学習した内容を思い出せるか、ストーリーの中で思い出せるか試してほしいです。本書で学習した際に「あの時こんな感じで解いていた」と思い出すそのプロセスが大事。「あの時のあれか!」となり、はじめは思い出せなかった悔しさを体験することで、記憶の定着につなげてほしいのです。

—— 掲載単語は322単語で、そんなに多くはないですね。

はい。しかし抜き出した単語は、TOEIC頻出。322単語のみですが、それを覚えられたという達成感を味わってほしいと思います。ただ、単語を羅列するだけでは覚えられません。文脈の中で覚えるという密度の濃い覚え方をしてください。単語だけを知っていても、文の中でどう使われているか分からない人もいます。文脈で覚えれば、実際の使い方が分かるので、テストに出たときも正解につながります。

—— 単語集の音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも聞けるのですね。

音声を聴きながら学習するのは効果的です。TOEICのリスニングでは、単語を音として認識していないとスコアは取れません。単語の意味と音を一気に覚えられるのが、この単語集。ぜひ、文を音読しながら単語を覚えてください。

—— 「復習テスト」の方はいかがでしょうか?

こちらは、実際のTOEICに近い問題形式になっています。本書で学習した攻略ポイントを活用しながら問題を解き、どこまで学習したことが身に付いたか試してみましょう。解答・解説では、本書のどこに戻って復習すればよいかを書いているので、間違えたところを重点的に学習し直してください。また、旺文社TOEIC L&Rテスト対策書自動採点システムが搭載されているので、マークシートを自分で用意するのがめんどうな人は、マークシート代わりに活用できます。メールで採点結果が届き記録が残るので、繰り返し解くことで以前はどこを間違えていたかを確認できます。不正解が減っていれば、自分の学習の成果が分かり達成感を味わえるでしょう。

TOEICのスコアはあなたの未来を切り開くパスポート

—— 本書の中には先生のコラムも掲載されていますね。どのような思いが込められているのでしょうか。

TOEICのスコアを伸ばすために単語力・文法力はもちろん必要ですが、それだけでは十分とは言えません。英語力以外の部分についてどう工夫するのか、実際のTOEICの試験中にどうすれば実力を発揮できるのかなどをコラムに盛り込みました。

新しいことをやる時って、思い込みでやっている人がけっこう多いものです。私はジョギングをしているのですが、始めたときは、遅いより速く走った方がいいと思い込んでいました。でも、マラソンのテキストを開くと、長くゆっくり走ることで筋力がつく、ロングスローディスタンスという走法が書いてありました。素人は知らないですよね(笑)。英語の分野でも思い込みがあると思います。単語を覚えるにしても1時間書き続ければ覚えられると思い込んでいる人もいる。だけど実際は、10分程度の学習を毎日繰り返した方が効率的。そういったコツを書きました。

—— 最後に、TOEICをこれから受験する人たち向けて、メッセージをお願いします!

TOEICの勉強を始めるきっかけって、何かしらあると思います。英語力アップなのか、就職、昇進、留学なのか。その全ての目標、夢を後押ししてくれるのが、TOEICのスコアです。目標に向かって最大限TOEICを利用してほしいと思います。TOEICの高いスコアをとることが目標という人もいるかもしれませんが、スコアを持っていれば、その先の目標もきっと見えてくるでしょうし、そういう人に思いがけないチャンスが訪れることも多いんです。スコアアップのチャンスは諦めなければいくらでもあります。なぜならTOEICは何度でも受けられる試験だからです。どうか1回1回の結果で落ち込まないでください。諦めさえしなければ失敗はありません。努力が報われるまで続ければいいのです。TOEICのスコアはあなたの未来を切り開くパスポートです。私が『TOEIC L&Rテスト はじめて受験のパスポート』のなかで、みなさんを応援しながら、目標スコア取得までの道のりをお供します!

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『TOEIC L&Rテスト はじめて受験のパスポート』

はじめてTOEIC L&Rテストを受験する方に向けて、申し込みから攻略法までフルサポートする総合対策書です。全パートの概要と要点を整理整頓し、講義形式でスッキリ解説。

※本シリーズの音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」でお聞きいただけます。

著者プロフィール

駒井亜紀子(こまい・あきこ)

神田外語学院講師。

TOEIC L&Rテスト990点(満点)、英検1級。大手企業でもTOEICの指導にあたる。外資系企業勤務を経て、英語講師へと転身。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト はじめて受験のパスポート』(旺文社)、『TOEIC L&R TEST 200問音読特急 瞬発力をつける』(朝日新聞出版)、『1か月で復習するTOEIC(R) L&Rテスト 基本の500単語』(語研)などがある。