目指せIELTSバンドスコア7.0! 「実践IELTS技能別問題集(L&R)」で学習法を徹底レクチャー!【著者インタビュー】
IELTSを技能別に学べる旺文社の「IELTS実践問題集」シリーズに、「リスニング」「リーディング」が加わりました。『実践IELTS技能別問題集リスニング』『実践IELTS技能別問題集リーディング』2冊の特徴や学習ポイントなどについて、「英語の友」編集部が著者の松園保則先生にお聞きしました!
目次
どんな本? どんな人に向いている?
—— まず、この本がどのような読者を対象にしているかを教えてください。英語のリスニングやリーディングが苦手な人でもこの本でレベルアップできますか?
どちらも、IELTSリスニングテストにおいてバンドスコア7.0以上を目指す方を想定した対策本です。様々な英語レベルの学習者の方を想定しているので、苦手を克服したいという方でもレベルアップは十分に可能です。もちろん、既にある程度のバンドスコアを持っている方がさらに上積みを目指したい場合にも役に立ちます。
▲リスニングとリーディングが仲間入り。
リスニングの学習方法は?
—— 『実践IELTS技能別問題集リスニング』について、詳しい内容を教えてください。
Chapter 1では、高い聞き取り力を身につけるための「4つのトレーニング法」を実践演習とともにご紹介します。ディクテーション、シャドーイング、暗唱などのトレーニングを通して、リスニング力の土台をしっかりと固めます。
次のChapter 2ではタスクタイプ別の演習を行います。各タスクの特徴とオススメの解答プロセスを確認した後、パート1からパート4までをバランス良く網羅した演習問題を行います。18題の問題を解き詳細な解説を読みながら、タスクタイプごとに解答プロセスを定着させていきます。
最後のChapter 3では、仕上げ模試として、全40問の本番用演習問題を2セット行い、詳細な解説を通じて本番での対応力を養います。
▲タイプ別に問題演習ができるChapter 2。
—— 基礎から実践練習まで、充実した内容ですね! たくさんの問題が収録されていますが、どのように学習するのがおすすめですか?
「リスニングが苦手な方」や「IELTS対策を行ったことがない方」は、Chapter 1からChapter 3までを最後までやり切ることを目標にしましょう。特に、Chapter 1で紹介しているトレーニングは、日頃の学習に取り入れることで、聞き取り力がグンと上がり、苦手意識が薄らぐことが大いに期待できます。ただし、本書に収録している演習題材は、本番の傾向に極力近い状態にしています。そのため、パート1&2ではあまり馴染みがない会話表現、パート3&4では難易度が高めなアカデミックボキャブラリーなど、意味が取りづらい箇所が出てくることと思います。この点を踏まえて、Chapter 2においては、音声を聞く前にスクリプトや日本語訳に目を通して、意味をある程度把握した上で音声を聞いて解答する、といったやり方を取り入れてもよいでしょう。
—— 先に日本語訳を見てしまってもよいのですね!
意味が分からないまま音声を聞いてランダムに解答するよりは、日本語である程度内容を把握した上で英語の音声を聞いて解答するというやり方によって、「理解できた」という感覚が持てることが期待できますから、試してみる価値はあると思います。ただし、Chapter 3については、本番での対応力を試すためにも、事前にスクリプトや日本語訳を参照せず、本番さながらの演習を優先することをオススメします。
—— 「それなりのリスニング力はあるつもりだけれど、スコアが伸び悩んでいる」という場合はどうでしょう。
その場合は、Chapter 1は確認程度にとどめて、Chapter 2から本格的に学習を始めるとよいでしょう。タスクタイプやパート別で、「やりやすい」と感じるものと「やりにくい」と感じるものが出てくると思います。「やりにくい」と感じたタスクタイプやパートを集中して何度も演習を重ね、苦手意識を克服しましょう。あくまで私の感覚ですが、タスクタイプにおいては個人によってばらつきがありますが、パートについては大きく2つ、パート1&2の日常的・社会的内容が苦手なタイプと、パート3&4の学術的・教育的内容が苦手なタイプに分かれるようです。ご自身が苦手とする題材を正しく把握し、その題材にとことん向き合う気持ちで学習することをオススメします。なお、Chapter 3については本番さながらの演習を優先して本番での対応力を磨くように心がけましょう。
リーディングの学習方法は?
—— リスニング対策でお悩みの方には、ぜひこの学習法を参考にしてほしいですね! 『実践IELTS技能別問題集リーディング』のほうはいかがでしょうか。
基本的な構成は「リスニング」と似ています。Chapter 1では、高い読解力を身につけるための「5つのトレーニング」を実践演習ともにご紹介しています。スラッシュリーディング、音読、精読などを通して、時間をかけずに正確に読み取る力を養いましょう。Chapter 2ではタスクタイプ別の演習を行います。リスニングと同じく、タスクタイプ別に解答プロセスを説明していますので、演習をこなしながら解答プロセスを定着させることができます。Chapter 3では、全40問の本番用演習問題を1セット行い、詳細な解説を通じて本番での対応力を養います。
▲本番形式の模試つき。
—— リーディングも充実の内容ですね。パッセージ数が多いので、長い英文に苦手意識のある人からすると、なかなか大変そうにも見えますが…。
確かにそうですよね。この場合、リスニングと同様に、「リーディングが苦手な方」や「IELTS対策を行ったことがない方」は、Chapter 1からChapter 3まで最後までやり切ることを目標にするとよいでしょう。中でもChapter 1の基礎トレーニングは特に丁寧に行いましょう。日頃の学習にきちんと取り入れることで、読解力もアップしますし、長文への苦手意識が薄らぐことが大いに期待できます。
—— リーディングでも、演習問題の語彙や文の構造が難しすぎると感じる場合は、先に日本語訳を見てしまってもよいのでしょうか?
そうですね。Chapter 2に取り組む際に、パッセージを読んでいて意味が取りづらく難しいと感じた箇所が出てきた場合、日本語訳を参照して意味を把握したうえで改めてパッセージを読み直して演習問題を行う、といったやり方を取り入れても構いません。意味が分からないまま漠然と選択肢を選ぶだけではなかなか実力がついてこないでしょうから、時に日本語訳に頼りながら演習しても問題ないと考えています。ただし、Chapter 3については、日本語訳を見ずに、本番さながらの演習を優先してくださいね。
—— 本番形式の練習は、どのレベルであっても大切ですね。一方で、日本人のIELTS平均点ではリーディングの点数が比較的高く、リーディングが得意だと感じている人も多いようですが。
他の技能に比べると、リーディングには自信があるという方が多いかもしれません。しかし、IELTS対策を独学でしてきたけれど思うようにバンドスコアが上がらない、と悩んでいる方もいらっしゃいます。この場合、IELTSの出題形式やその解法について理解を深めることで解決できるはずです。そういった方は、Chapter 2を通してタスクタイプ別の解法プロセスを定着させること、そしてChapter 3を通じて本番での理想的な解答の進め方を実践できるようにすることを意識してみてください。
IELTSリーディングテストでは、Type 5とType 6のNOT GIVENを除いて、解答の根拠はパッセージのどこかに必ず書かれています。スコアが伸び悩んでいる方の多くは、この根拠探しが適切にできておらず、何となく解答を選んでその根拠をきちんと説明できないままになっていることが考えられます。根拠がどこに書かれているか、また、それを確実に見つけ出すにはどのようなプロセスが理想的なのかを、Chapter 2&3を通じて徹底して探求することを心がけてみましょう。
学習ペースの目安
—— 「リスニング」「リーディング」ともにかなりのボリュームですが、どのくらいのペースで学習していくとよいでしょうか?
1冊を30日完結と設定として、次のような配分で学習してみてはいかがでしょうか。
期間 | 対象 | 主な学習内容 |
3日間 | Chapter 1 | トレーニング法の理解・実践・定着 |
18日間 | Chapter 2 | 1日1題(計18題)を目安に演習題材を消化 |
4日間 | Chapter 3 | 本番演習 & 解説確認 & トレーニング実践 |
5日間 | Chapter 1-3 | 復習として一通り網羅(難しく感じた箇所は特に丁寧に) |
あくまで学習モデルのひとつですので、ご自身の勉強時間やスピードに合わせて調整してみてください。
留学生活にも生かされるように!
—— これでIELTSリスニング・リーディングの対策は万全ですね。それでは最後に、読者であるIELTS学習者の皆様に、メッセージをいただければと思います。
本書を手にとってくださった方々が、IELTSリスニング&リーディングテストにおいて目標のバンドスコアを獲得されること、そして、身につけられたリスニング力&リーディング力がその後の留学生活などにも十分に生かされることを心から願っています。皆さんの頑張り、陰ながら応援していますよ!
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※本シリーズの音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」でお聞きいただけます。
著者が語る! 『実践IELTS技能別問題集リスニング・リーディング』ができるまで
これまで私は、TOEFLに関する指導や研究を長年行ってきましたが、IELTSについてはTOEFLほどの指導・研究経験はありませんでした。また、IELTSは公式に発表されている実践的な情報が非常に少なく、題材の話題やタスクタイプがバラエティに富んでいるため、「このやり方がオススメ!」と言い切れないジレンマを抱いていました。そんな中、IELTSリスニング&リーディング対策本の執筆のお話をいただき、このジレンマを克服するいいチャンスになると感じました。
また、「実践IELTS技能別問題集」シリーズのスピーキング・ライティングの著者である河野太一先生は、私が2005年に前職に就いた際に、私を専任講師として採用してくださり厳しい指導を通じてTOEFL対策の土台を作ってくださった「師匠的存在」の方です。そのシリーズのリスニング・リーディングを「弟子的存在」の私が執筆するというのは、大変光栄なことで運命的な縁すら感じました。こうした経緯から本書の執筆を快諾し、執筆作業に取り組んできました。
今回執筆する上で特にこだわったのが、「IELTSの傾向に沿ったトレーニング法の提示」、「本番の傾向に極力近い演習題材の作成」、「解答を導き出すための具体的なプロセスの提示」の3点です。
1つ目のトレーニング法については、長年のTOEFL対策指導を通じて確立した複数の方法のうち、IELTSの傾向に合わせて「優先すべきトレーニング」と「不必要と思われるトレーニング」に分けて、優先すべきトレーニングをChapter 1でご紹介しています。リスニング を例に挙げると、パート1とパート4において記述式のタスクタイプが頻繁に登場することから、「ディクテーション」を取り入れました。一方で、1つの題材の音声の長さがTOEFLほど長くはなく問題の先読みも可能という点から、TOEFL対策では重視している「Note-making」というトレーニングは、今回は採用していません。
2つ目の演題題材については、過去問対策シリーズの「IELTS Practice Tests」と公式ガイドの「ケンブリッジのIELTS公式ガイド アカデミック&ジェネラル・トレーニング」(ともにCambridge University Press社)に収録されている演習題材を独自の目線で分析し、リスニングとリーディングの出題傾向を極力細かいところまで突き詰めることを心がけました。その傾向については、Chapter 2の中で触れています。さらに、Chapter 2&3に収録した演習題材については、この傾向に近づけるために何度も作成し直しました。中には、どうしても納得がいかず、締め切りギリギリまで修正を繰り返して何とか完成した題材もあります。結果として、非常に質の高い題材に仕上げることができたのではないかと感じています。
3つ目の解答プロセスについては、「演習題材に取り組む際、どのような点に気をつけているか」「演習題材を使って授業をする場合、どのようなメッセージを生徒さんに伝えるか」といった質問を自分自身に投げかけて、その答えを探るような感覚で全題材に対する解説を書きました。特にリーディングにおいては、「設問や選択肢に目を通す→パッセージを読んで解答の根拠を確実に探す→解答する」という一連の流れを文章化することで、「なんとなく答える」状態から「根拠を明確にして自信を持って答える」状態を目指しました。
こうして、試行錯誤を繰り返し、想定以上の時間と労力がかかってしまいましたが、どうにか2冊作り上げることができ、以前抱えていたジレンマはだいぶ解消されたように感じています。
松園 保則(まつぞの・やすのり)
明治学院大学経済学部国際経営学科准教授。
英国ウォーリック大学大学院修士課程(英語教授法)修了。2005年4月から2018年3月まで(株)アゴス・ジャパン専任講師としてTOEFLテスト/IELTS対策の指導を行い、オリジナル教材やオンラインクラスも多数開発。2018年4月より現職。
著書に『超基礎からのTOEFL(R)テスト入門』(共著、旺文社)、『かなり詳しく学べるTOEFL iBT(R)テスト スピーキング・ライティング 演習編』(単著、河合出版)、『今日から使える留学英語表現集 Vol.1 開始編』(河合出版)など。