この記事では、英検準2級の一次試験で出題されるライティング問題について詳しく解説しています。はじめに、どのような問題が出されるのか、ライティングの配点が合否にどの程度かかわるのか、どのような観点から採点されるのかなど、試験の概要を述べています。次に、理想的な英文を書くためのコツや解答のノウハウ、役に立つ表現について解説しています。英文の質を上げるために確認すべき事項のチェックリストも載せています。最後に、ライティング力をつけるための学習方法や、参考書を使った対策を詳述しています。ぜひ参考にしてください。

※本記事は、2024年4月時点の情報に基づいています。受験の際は、英検ウェブサイトで最新情報をご確認ください。

試験概要

以下では、英検準2級で出題されるライティング問題の概要と問題例、その解答例を挙げています。どのような観点から採点されるのか、合格点はどの程度と予想されるのかなどについても述べています。

概要

英検準2級のライティングは、一次試験・筆記の大問5と大問6に1問ずつ出題されます。英検準2級の一次試験に合格するためには、この2問で一定以上の点数をとらなければいけません。というのも、英検の一次試験では、リーディングとライティング、リスニングの各技能にCSEスコアが600点ずつ割り当てられているからです。すなわち、この2問だけで一次試験の1/3のウェイトを占めるということになります。

※CSEスコアについては、「英検準2級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策:合格点・合格率」をご参照ください。

大問5はEメール問題です。提示された英文のEメールを読み、タスク(要件)を満たす返信になるよう、解答欄内に40〜50語程度の英文を書き込みます。提示されるEメールは80語程度で、内容は知り合いなどからの日常的な手紙です。目標解答時間は約15分です。

大問6は意見論述問題です。内容は、与えられたQUESTIONに対する自分の意見とその理由を、50~60語程度で書くというものです。QUESTIONは英文10~15語程度で、多くは、「部活には参加すべきだと思いますか?」など、比較的身近な話題です。目標解答時間は約20分です。

Eメール問題の問題例

例題:
● あなたは,外国人の知り合い(Elijah)から,Eメールで質問を受け取りました。この質問にわかりやすく答える返信メールを,        に英文で書きなさい。
● あなたが書く返信メールの中で,ElijahのEメール文中の下線部について,あなたがより理解を深めるために,下線部の特徴を問う具体的な質問を2つしなさい。
● あなたが書く返信メールの中で        に書く英文の語数の目安は40語〜50語です。
解答欄の外に書かれたものは採点されません。
● 解答が ElijahのEメールに対応していないと判断された場合は,0点と採点されることがあります。 ElijahのEメールの内容をよく読んでから答えてください。
       の下の Best wishes, の後にあなたの名前を書く必要はありません。

Hi!

Guess what! I have started growing vegetables in my garden at home. I wanted to grow apples, but my mom said our garden is too small for an apple tree. She suggested growing vegetables instead. I will give you some of my vegetables when they’re ready to eat. Growing vegetables is fun, but it’s hard work. I have to give them water every day. Do you think more people will grow vegetables at home in the future?

Your friend,
Elijah

Hi, Elijah!

Thank you for your e-mail.

解答欄に記入しなさい。

Best wishes,

(『2024年度版 英検準2級 過去6回全問題集』収録「旺文社オリジナル予想問題」)

Eメール問題の解答例

It’s great that you’re growing vegetables in your garden! What vegetables are you growing now? How long does it take for the vegetables to be ready to eat? As for your question, I’m sure more people will enjoy growing vegetables because working outside under the sun is quite refreshing!

(『2024年度版 英検準2級 過去6回全問題集』収録「旺文社オリジナル予想問題」)

意見論述問題の問題例

例題:
●あなたは,外国人の知り合いから以下のQUESTIONをされました。
●QUESTIONについて、あなたの意見とその理由を2つ英文で書きなさい。
●語数の目安は50語~60語です。
解答欄の外に書かれたものは採点されません。
●解答がQUESTIONに対応していないと判断された場合は、0点と採点されることがあります。QUESTIONをよく読んでから答えてください。

QUESTION
Do you think more foreigners will visit Japan in the future?

(旺文社作成予想問題)

意見論述問題の解答例

I think more foreigners will visit Japan in the future. I have two reasons. First, there are many places to see in Japan. For example, Kyoto is famous for its old temples and shrines. Second, Japan is safe. People can walk safely on most streets even at night. That is why I think more foreigners will come to Japan.

(旺文社作成予想問題)

採点の観点と配点

大問5:Eメール問題

Eメール問題は、以下の3つの観点から採点されます。それぞれの観点に0~4点が配点されており、合計12点満点です。各技能バランスよく得点して合格するには、8点以上を目標とするとよいでしょう。

①内容 問題文の指示に不足なく答えられているか
受け取ったEメールに対する返信として適切な内容か
②語彙 課題にふさわしい語彙を正しく使えているか
③文法 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

「内容」の観点で最も重要なのは、「下線部について2つの質問をする」など、与えられたタスクをきちんとこなすことです。次に大事な点は、提示されたEメールに対する返信としてふさわしい英文を書くことです。関係がまったくない内容を書くと、たとえ英語としては正しい文章を書いていても0点になることもあります。また、提示されたEメールに含まれているあなた(受取人)への質問に、しっかり返事しないと適切な返信にはなりません。これらの要素を満たした英文を書くためには、問題の指示文と提示されたEメールを注意して読み、タスクと文意をしっかり理解する必要があります。

「語彙」の観点で重要なのは、課題にふさわしい語彙を正しく使えているかです。英検3級レベルの語彙ばかり使用するのは好ましくありません。正確なスペルで、語と語の間には適切なスペースを空けて書くようにしましょう。文頭の単語や固有名詞の最初の文字を大文字で書くことや、複数形の語尾を正しく変化させることも大事です。

「文法」の観点で重要なのは、文法的に正しい文が書けているかです。特に動詞は、主語や時制に対応した形にするよう気をつけて書きましょう。意味の区切りにはカンマ、文末にはピリオドを打つなど、英文のルールを守ることも忘れないように。

大問6:意見論述問題

意見論述問題は、以下の4つの観点から採点されます。それぞれの観点に0~4点が配点されており、合計16点満点です。10点以上を目標とするとよいでしょう。

①内容 課題で求められている内容(意⾒とそれに沿った理由2つ)が含まれているかどうか
②構成 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか
③語彙 課題にふさわしい語彙を正しく使えているか
④文法 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

「内容」の観点で最も大事なポイントは、与えられたQUESTIONに対して適切に答えているかどうかです。ですから問題文とQUESTIONを慎重に読みましょう。また意見だけでなく、そう思う理由も書かなければいけません。

「構成」の観点で重要なのは、自分の意見とその理由をわかりやすく論理的に書けているかです。自分の意見と矛盾する内容は書かないようにしましょう。また、接続詞などのつなぎ語を効果的に使うと論旨の通った明快な文章にすることができます。

「語彙」「文法」の観点で重要なポイントは、上記のEメール問題と同じです。

Eメール問題のコツ

以下では、英検準2級のライティングとして理想的な英文Eメールを作成するための、重要なコツを挙げています。

タスクをこなせるようEメールを組み立てる

通常のEメールならば、最初に相手の名と挨拶を書き、それからケースバイケースで本文を連ね、最後に「Best wishes,」などの締めくくりの言葉と自分の名前とを記します。しかし英検準2級のEメール問題では、この「最初」と「最後」の部分はすでに印字されており、考慮不要です。したがって、「本文」に当たる部分だけを考えて書くことになります。

知り合い同士の日常的なEメールという設定なので、定まった構成・形式などはなく、自由に書いて大丈夫です。ただし、「語数の目安は40~50語」「下線部について2つの質問をする」「提示されたEメールに適切に返信する(問われたことに応答する)」という要件を、きちんと満たす必要があります。以下の型に当てはめて文章を組み立てると、過不足ないEメールを書けるでしょう。

感想 相手のEメールを読んで感じたことを述べる。(1文程度)
質問 質問1 1つめの質問を書く。(1文程度)
質問2 2つめの質問を書く。(1文程度)
応答   相手からの質問に対する答えを書く。(1文程度)
補強 自分の答えについて、そう答えた理由や理解を促進する具体例などを述べる。(1~2文)

具体的に言うと、相手のEメールへの感想をまず述べ、下線部に関する質問を2つ書き、相手からの質問に応答する、という流れです。ただし、それだけだと指定の語数には足りないでしょう。また、質問を受けて答えだけをぽつんと述べるのも不自然です。したがって、「そう答えた理由」などを1~2文付け加えるとよいでしょう。

感想の書き方

日本語の文通でもそうですが、もらったメールに返事をする場合は、相手が伝えてきた内容への感想をまず述べるのが一般的です。ですからこのEメール問題でも、提示されたEメールへの第一印象から書き始めると、ナチュラルな返信に仕上がります。

ただし、「Eメールありがとう(Thank you for your e-mail.)」などの挨拶文は、すでに印字されています。したがって、「連絡をもらってとても嬉しい(I’m so happy to hear from you!)」などと、重複する内容の感想を書くことは止めましょう。「あなたのEメールを読んで驚きました(I’m surprised to read your e-mail.)」などと、どんなメールにも使えるような漠然とした感想を書くことも好ましくありません。「提示されたEメールを理解できなかったので、当たり障りのない印象を述べたのだろう」と思われてしまう恐れがあります。もとのEメールの内容としっかり関わる、具体的な感想を書くことを心がけましょう。

感想を具体的に書くにはthat節を使うのがおすすめです。そのやり方は次の通りです。まず、第一印象を述べます。「It’s 形容詞」や「I’m 形容詞」という表現が便利です。それから接続詞の that をつけ、そのあとに感想のもととなった事象を、主語と述語のある英文に作り上げて続けます。この「主語と述語のある英文」を作る際は、提示されたEメール内の英文が利用できます。

実例として、上で挙げた「Eメール問題の解答例」の第一文「It’s great that you’re growing vegetables in your garden!」を見てください。第一印象として「It’s great」とまず書き、直後に接続詞「that」を続けています。それから、great と思った対象を「you’re growing vegetables in your garden!」と、主語と述語のある英文で述べています。この英文は、「Eメール問題の問題例」のEメール内の文章「I have started growing vegetables in my garden at home.」を利用して作ったものです。

質問の作り方

提示されたEメールの下線部を眺め、「この件に関してなら、こんな質問をしてみたい」と思った内容を、まず日本語でもいいのでメモしていきましょう。その中から、「英語の疑問文にしやすいものはどれか」という観点で、2つを選びます。思いつかなかった場合は、英語の疑問詞「5W1H(what、who、where、when、why、how)」を、一つずつ突き合わせてみると、質問文を作れそうなものが見つかるでしょう。

応答の仕方

まず大事なのは、提示されたEメール中の質問を読み返し、意味を確認することです。それから、自分の意見に基づいて応答する英文を作ります。その際は、提示されたEメール中の質問文を大いに利用しましょう。例えば、質問が、Do you think ? という形式の文だったら、「」の部分を調整して、I think または I don’t think のあとに入れることで、応答文を作ることができます。質問文をよく見て、どの部分が主節/従属節か、どの語が主語/述語か、しっかり見極めましょう。

質問文中の大部分の語は、多くが応答文にそのまま利用できます。

(例)Do you think that students should go to libraries? → I think that students should go to libraries.
(例)Do you think that more people will use these services? → I think that more people will use these services.

英検準2級のテストには、Do you think students should study abroad? など、接続詞の that を省略した文章も見られます。どの部分が利用できるのか、しっかり見抜くことが大事です。その中で、同じ意味を指すように動詞を言い換えたりすることができればより表現も豊かになります。応答文の最初に、「About your question,」などの前置き文も入れるとよいでしょう。

応答の補強の仕方

相手からの質問に答えだけを書いて返信するのは、ぶっきらぼうで不自然です。ライティング力の不足で、書きたいことが書けなかったように見えてしまうかもしれません。指定の語数にも達しない可能性があります。ですから、その答えに至った理由や、相手の理解を促す具体例などを書くのがおすすめです。

書くことを思いつかない場合や、書いたけれど語数が不足する場合は、こちらから話題を振ったりする英文を考えて書き加えるとよいでしょう。その際、心がけなければならないのは、「話題に関わる内容の英文を作る」ことです。まるっきり別の話題を書いたりしたら、つなぎ表現がよほど巧みでないと、違和感のある返信になってしまうでしょう。「提示されたEメールを誤読しているようだ」と判定されてしまう恐れもあります。

Eメール問題の解答のノウハウ

何行めまで書くべきか把握する

英検で使用される解答用紙の見本は、英検ウェブサイトからダウンロードできます。実際に書いてみて、自分の書き方なら1行にだいたい何語入るか、したがって指定の語数には何行程度書く必要があるかを、事前に把握しておくことをおすすめします。例えば1行に7語程度を書く人の場合、Eメール問題の指定語数40~50語を満たすには、6行~7行が目安となります。

使える表現

英検準2級のEメール問題で、役立つ表現は以下のとおりです。

自分の感想を表現する

I’m 形容詞、または I feel 形容詞、という言い回しがスタンダードです。ポジティブなものには happy、glad、excited、impressed、ネガティブな感情には sad、sorry などが使えます。I’m 形容詞 to hear that you とすると、手紙への返信らしい表現になります。It’s interesting that you など、It を主語にした文もよいでしょう。

疑問詞で質問する

前述したとおり、英語の疑問詞「5W1H」をすらすら使えると強みになります。what(何)、who(だれ)、where(どこ)、when(いつ)、why(なぜ)、how(どのように)は、必ず覚えておきましょう。how much(いくら、どのくらいの量の)や how long((時間・距離が)どのくらいの)、which(どちらの)を活用してもよいでしょう。

応答文の前置き

記入に当たっては、いきなり応答を書くと不自然なので、「あなたの質問については(About your question, / As for your question,)」などと、前置きの句を入れるとよいでしょう。カンマを打つことも忘れずに。

具体例を挙げる

such as や for example, (例えば…)という表現が定番です。In my experience, . (私の経験では、…)を使うと、自分の体験を具体例として示すことができます。

意見論述問題のコツ

以下では、英検準2級の意見論述問題として理想的な英文を作成するための、重要なコツを2つ挙げています。

型に沿って書く

模範的な形式

英検準2級の意見論述問題に、使用すべき単語や文型などの規定はありません。しかし「自分の意見とその理由を2つ書く」「語数の目安は50~60語」という要件を満たしながら、内容的にまとまりのある英語の文章を書くとなると、おのずから形式は定まってきます。模範的な形式は以下のとおりです。

主張 自分の意見を述べる。(1文程度)
理由1   1つめの理由を挙げる。(1文程度)
補強 理由1の具体例や、その内容を補強する事実などを述べる。(1文程度)
理由2   2つめの理由を挙げる。(1文程度)
補強 理由2の具体例や、その内容を補強する事実などを述べる。(1文程度)
再主張 冒頭で述べた自分の意見をもう一度繰り返して締めくくる。(1文程度)

具体的には、まず冒頭でQUESTIONに対する自分の意見を I think . (私は…だと思います)などと述べます。それから、その意見の根拠を2つ挙げます。First, . (第一に…)と Second, . (第二に…)という表現が便利です。そして最後に、That is why . (これらの理由で、…)などと、自分の意見を繰り返して結論としましょう。
この形式を、前項で挙げた「解答例」に当てはめると、以下のようになります。

主張 I think more foreigners will visit Japan in the future.
(前置き) I have two reasons. (この文がある方が明快だが、省略可)
理由1   First, there are many places to see in Japan.
補強 For example, Kyoto is famous for its old temples and shrines.
理由2   Second, Japan is safe.
補強 People can walk safely on most streets even at night.
再主張 (省略可) That is why I think more foreigners will come to Japan.

このように、模範的なパターンに当てはめて自分の意見を書くようにしましょう。そうすれば、問題文の指示に沿った、理想的な構成の英文を書くことができます。

解答の際は、QUESTIONを利用しましょう。上の表の「主張」と「再主張」を見てください。more foreigners will visit [come to] Japan (in the future). と、ほとんど同じ表現が使われていますね? この表現、実はQUESTIONである “Do you think more foreigners will visit Japan in the future?” の赤字部分とほとんど同じです。
多くの場合QUESTIONは、Do you think ? という、あなたの意見を聞く形式の文になっています。したがって、「」の部分を調整して、I think または I don’t think のあとに入れることで、「主張」と「再主張」の文を作れるのです。このやり方で、必要な6文中、2文を完成することができますよ! 余裕があったら、visit を come to に替えるなど、語彙力をアピールしましょう。

書き方の手順

自分の意見と、それを支える2つの理由を手際よくまとめるコツは、以下のとおりです。

まず、日本語でも英語でもいいので、QUESTIONに対する自分の意見(賛否や是非)を書きましょう。次に、それを支える理由を箇条書きにします。それから理由のそれぞれをチェックして、補強となる具体例や根拠として思いつくものを2つ選びます。 そして、以下のようなメモを作りましょう。

QUESTION: Do you think more foreigners will visit Japan in the future?

メモ例
意見:(もっと多くの外国人が将来日本を訪れると)思う
理由1:見るべき場所がある
    補強:京都の寺や神社
理由2:安全
    補強:夜でも歩ける

このメモがそのまま英文の骨格になります。ここまでを、5分程度でこなせるとよいでしょう。

次に、このメモに従って解答欄に英文を書いていきます。意見を上の表の「主張」の位置に入れ、2つの理由をそれぞれ「理由1」「理由2」に当てはめ、「再主張」に自分の意見をもう一度入れる、という要領で書いていきましょう。「主張」で1文、「理由1」で2文、「理由2」でも2文、「再主張」で1文、計6文が目安です。この英文を書く作業は10分程度を目標にしましょう。

最後に、5分程度を使って見直しをしましょう。見直す事項は、あとの「解答のチェックリスト」を参考にしてください。語数の目安は50~60語と指示されていますので、その目安を守り、解答欄に収まるように書きましょう。時間が足りない場合は、語数の調整に神経を使うより、スペルや文法のチェックを優先するのがおすすめです。

表現しやすい理由を選ぶ

英検準2級の意見論述問題は、語学の試験です。正しい英文で自分の意見を論理的に、時間内に書くことが肝要です。ですから、自分の意見を支える理由は、内容の高度さや専門性よりも、表現のしやすさを基準に選ぶようにしましょう。

例えば、「訪日外国人は増えると思う」という意見に対する理由として、「和食が世界遺産に登録されたから、とぜひ書きたい!」と思ったとしましょう。しかし、「世界遺産」や「登録」をどう英語で表現してよいか思いつけないときは、別の理由を選ぶべきです。言いたいことを表現できるのが理想ですが、無理な場合はそれに固執せず、「おいしい食べ物がたくさんあるから」などと、自分が英語で表現できそうな理由を書くようにしましょう。

意見論述問題の解答のノウハウ

何行めまで書くべきか把握する

英検で使用される解答用紙の見本は、英検ウェブサイトからダウンロードできます。この点はEメールの問題と共通ですが、自分の書き方なら1行にだいたい何語入るか、書いてみて把握しておくとよいでしょう。例えば、1行に7語程度を書く人の場合、意見論述問題の50~60語には8行が目安となります。

また、前項の「書き方の手順」のように、メモを作成してから記入すれば、自分が今、どのあたりを書いているのかわかります。ですから解答欄のスペースを目分量で測ってみて、語数が足りないようなら具体例を増やしましょう。例えば「解答例」の場合、temples and shrines(寺や神社)のあとに such as を加えて、temples and shrines, such as A, B, and C, (例えば A、B、Cの寺や神社)と具体的な寺社名を挙げれば、6語増加させることができます。In my experience, . (私の経験では、…)という表現を使い、自分の経験談を追加するという方法もあります。もっとも、前述の「型に沿って書く」の形式を守っていればだいたい指定された語数になるはずなので、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

使える表現

英検準2級の意見論述問題には模範的な形式があります。その形式に従って英文を作る際、役立つ表現は以下のとおりです。

自分の意見を言い表す

I think . (私は…だと思います)/ I don’t think .(私は…ではないと思います)が定番です。In my opinion, . (私の意見では、…)という表現も使えます。「再主張」で I believe . (私は…だと思います)を使うと、I think 以外の表現も知っていることをアピールできるでしょう。

理由を挙げる

最初に I have two reasons. (理由は2つあります)と書くと、「これから理由を2つ挙げる」ということを明示できます。それぞれの理由を述べる文の冒頭に、First, . (第一に、…)と Second, . (第二に、…)を使うと、構成がわかりやすくなります。カンマを打つことを忘れずに。

具体例を挙げる

such as や for example, 、In my experience, 、などの表現が定番です。

結論として意見を再主張する

That is why I think . (こういう訳で私は…と思います)という表現が便利です。For these reasons, . (これらの理由で、…)や Therefore, . (ですから、…)などのつなぎ語も役立ちます。

解答のチェックリスト

Eメール問題・意見論述問題に共通する事項

解答欄内に書ききれているか

解答欄の外にまで書いてしまうのは絶対にNGです! また、欄内に収まるからといって、内容や構成に響くほど長く書くのも好ましくありません。記入する前に構成をしっかりとプランニングし、指定の語数を目指しましょう。

関係のない内容が含まれていないか

内容と無関係な文章が入っているとネガティブに評価されます。

スペルミスがないか

焦ると思わぬミスをしがちです。foreigner など発音されない文字を含む単語や、second など日本語での発音(セカンド)とスペルにズレのある単語は、特に気をつけましょう。

英語ではない単語を使っていないか

着物、初詣など日本語特有の表現などを使う場合は、英語話者に理解できるよう説明を加える必要があります。しかし準2級の指定語数では説明する余裕がないので使わないほうが無難です。和製英語などのカタカナ語は、エアコンなら air conditioner など、正しい英語に直すよう気をつけましょう。

時制のミスがないか

動詞を時制に合った適切な形にしているかチェックしましょう。未来を表す助動詞 will のあとでは、動詞は原形にしなければいけません。過去を表す場合は、きちんと過去形にしましょう。

単数/複数が適切か

複数の人・物について書くときは、名詞を忘れずに複数形にしましょう。child(子ども)の複数形は children になるなど、不規則に変化する複数形もあるので注意が必要です。数えられる名詞の複数形に -s [-es] が付いているか、主語の単複や人称に応じて適切な動詞の形を使っているかなど、名詞だけでなく、それに対応する動詞や代名詞もふさわしい形にしましょう。

冠詞がついているか

冠詞の a / an / the を必要なところに使っているか、確認しましょう。 a / an は、初めて話題に出る、不特定の可算名詞(数えられる物・人)の単数形に付けます。the は、可算名詞か不加算名詞か、単数か複数かを問わず、一度話題にでた名詞や特定できる名詞に付けましょう。

語と語、文と文の間に適度なスペースがあるか

語と語の間、文と文の間には、1文字に相当するスペースが必要です。1つの単語を、文字と文字の間を空けて書くと、1つの単語に見えなかったり、次の単語との境界が不明確になったりする恐れがあります。文字は単語ごとにキッチリとまとめて書くようにしましょう。

大文字で始めるべき語が大文字になっているか

文頭の単語、固有名詞、月・曜日名などを表す単語は、最初の文字を大文字にします。これもしっかり確認しましょう。I(私は)は常に大文字です。

ピリオド、カンマが抜けていないか

文末にピリオドを書き忘れていないか、カンマを適切に使っているかなども確認しましょう。

Eメール問題

課題に適切に答えているか

与えられたタスクをこなしているか(2つの質問をしているか)、適切に返信しているか(問われたことに応答しているか)、この2点が肝要です。

質問が重複していないか

質問を作る際はその内容が、提示されたEメール内にすでに書かれていないか、気をつけて確認しましょう。例えば、「I have to give them(vegetables) water every day.」という文がEメール内にあるにもかかわらず「How often do you have to give vegetables water?」という質問を書いたりしたら、「この受験者はEメールを読めていない」とジャッジされてしまいます。

意見論述問題

問いに適切に答えているか

与えられたQUESTIONに対して適切に答えているか、「理由を2つ書く」という要件を満たしているか、この2点が特に重要です。メモを作成したあと、解答用紙に記入する前に、今一度確認しましょう。

つなぎ語を適切に使っているか

つなぎ語(for example や therefore など)を適切に使えていると、文章の構成がわかりやすくなります。

意見と矛盾する理由や説明がないか

「わかりやすく論理的であること」も採点のポイントの1つです。意見に対する理由、また理由を補強する具体例や説明に矛盾する内容はないか、注意して点検するようにしましょう。

理由に対する説明や補足があるか

理由に対する説明や補足がないと、説得力を欠く内容になってしまいます。また、目安の語数も満たしにくいでしょう。ですから、理由1と理由2のそれぞれに対して、具体例や経験談など、その内容を補強する説明を1文程度ずつ付加しましょう。

学習方法と参考書

学習方法

英検準2級のライティングは、経験がものを言います。ピリオドを打つことや名詞の複数形を語尾変化させることなどは、習慣づけることによってミスを減らせるからです。また、英検ウェブサイトからダウンロードできる解答用紙サンプルを使って適切な分量を把握しておくと、語数を数える手間が要らず、所要時間を短縮できます。手書きで書く練習も、数をこなすことが重要です。パソコンやスマホでばかり書いていると、スペルチェック機能や予測変換に助けられて、スペルを意外と覚えていなかったりします。本番の緊張した状況では、馴染みのある単語であってもあやふやになることがあるので、怠らず手書きで練習するようにしましょう。

ライティング対策全般で有用なのは、お手本にできる例文をなるべく多く覚えることです。特に、文法の教科書に載っている例文が役に立ちます。「この文法を使えば、こういうことを言い表せるのか」という点を意識しながら、声に出して何度も読んでみて、頭にしっかり入れるようにしましょう。「こういうことを書きたい」と思ったら、似た例文を記憶から引っ張り出し、メモに書き出します。それから動詞を入れ替えたりして、自分が書きたい内容の文に変えればよいのです。

Eメール問題の対策には、ある事柄に対して「具体的な特徴を問う質問」を考えて英語にする練習が効果的です。身の回りの物事について、英語で問う文を作ってみたり、その質問に対して英語で答えてみたりするとよいでしょう。

意見論述問題が苦手だという人は、過去問や問題集の解答例を書き写すことから始めましょう。そのうち、模範的な解答の構成と必要な分量がわかってきます。大体のパターンがつかめたら、解答例を熟読し、よく使われる表現を覚えて自分の解答に使ってみるようにしましょう。

また、ライティングに欠かせないのが単語力です。単語を知らなければ、自分の言いたいことも表現できません。日頃から、身の回りの物を見てはその英語名を言ってみる、知らなければ調べるなどして、日常生活に関する語彙を増やしましょう。単語集『英検準2級 でる順パス単』などを使い、日本語の意味を見てその見出し語の英単語を即座に思い出すのもよい訓練です。この単語集に対応した形式の書き込み式ノート『英検準2級 でる順パス単 書き覚えノート』を使えば、単語力の強化とスペリングの手書き練習が同時にできます。また、単純な反復練習では単語が覚えづらい、という方にはチェック問題を解いて単語を定着させる『英検準2級 でる順パス単 クイックチェック』もおすすめです。旺文社リスニングアプリ「英語の友」を使えば音声を無料ダウンロードして、空き時間に耳で学習することも可能です。

参考書

おすすめの参考書は、『英検準2級 予想問題ドリル』です。ライティングの問題が「Eメール」「意見論述」それぞれ4問収録されているので、時間を計りながら本番のつもりでやってみましょう。それから前項の「解答のチェックリスト」を参照して、問題点を自分なりに洗い出してみます。解答例と解説を読む際は、文の構成を確認すると同時に、表現のバリエーションも増やすようにしましょう。時間に余裕があれば、解答例を参考にしながら、別の言い回しを使ったライティングをもう一度やってみると理想的です。

まとめ

英検準2級のライティング問題について把握できたでしょうか? 出題の傾向を知っておくことで、課題を読む時間が短縮でき、点数アップにつながります。しかしライティングという問題の特性上、高スコアをとるには単語・熟語・文法の幅広い知識と、地道な練習が不可欠です。合格を目指してコツコツとがんばってください!