この記事では、英検の成績表に合否判定とは別に表示される「英検CSEスコア」について解説しています。英検CSEスコアの仕組みや、そのスコアが示す英語力のレベル、大学入試における具体的な役立て方についても述べています。ぜひ参考にしてください。

(本記事は、2022年4月時点の情報に基づいています。最新情報は、英検ウェブサイトでご確認ください。)

英検の概要とレベル

英検の正式名称は「実用英語技能検定」です。公益財団法人 日本英語検定協会が主催し、文部科学省が後援している、国内最大級の英語資格試験です。1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の7つの級があり、各級のレベルの目安は以下のとおりです。

レベルの目安
1級 大学上級程度
準1級 大学中級程度
2級 高校卒業程度
準2級 高校中級程度
3級 中学卒業程度
4級 中学中級程度
5級 中学初級程度

英検について、より詳しく知るには、この記事がおすすめ!
「英検とは:概要と級別の勉強法・試験対策」

この記事では英検の特徴や、その他の英語資格試験との違いについて解説しています。各級のレベルや、英検S-CBTと従来型の違いなど、英検の体系についても述べています。当サイトに掲載されている記事の中から英検対策に役立つものも、級ごとに紹介しています。ぜひ参考にしてください。

英検で測定される技能

英検は、1~3級では、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能を測定します。4級・5級では、リーディング・リスニングの2技能のみを測定します*

* 4級・5級は、2技能の合否にかかわらず、受験者全員が自宅や学校のパソコン・スマートフォン・タブレットなどでスピーキングテスト(録音形式)を受けることができます。

  リーディング リスニング ライティング スピーキング
1級
準1級
2級
準2級
3級
4級    
5級    

英検CSEスコアとは

以下では、英検CSEスコアとは何か、英検CSEスコアにより何がわかるのか、などについて解説しています。英検各級との関係、語学力の指標CEFRとの対照関係、英検の成績表の見方についても述べています。

英検CSEスコア導入の背景

かつて英検は級の合否だけを判定する試験でした。しかしグローバル化にともなって、英語力を国際的な指標で表す必要性が高まったため、合否判定だけでなく、CSEというユニバーサルなスコア尺度に基づき英語4技能を評価する、英検CSEスコアの成績をも表示することとなりました。CSEとは、Common Scale for English(英語のための共通尺度)の頭文字です。

英検CSEスコア導入により、4技能の技能ごとにスコアが均等に割り振られるため、受験者はどの技能が苦手なのかをはっきり認識できるようになりました。また、各級の合格基準スコアは毎回固定されているので、受験者は回次が異なる受験結果を比較して、合格までの距離をより客観的に把握できるようになりました。さらに、英検CSEスコアを見れば、英検の他級や同じくCSEスコアが表示される英語試験 TEAP と比較して、自分の成績がどのくらいのレベルにあるのか知ることもできます。

CSE2.0とは
スコア尺度「CSE」は一度改定されており、改定前のものを「CSE1.0」、後のものを「CSE2.0」と呼称します。2016年度以降の英検は、CSE2.0によって算出された英検CSEスコアで成績を表示しています。

英検級と英検CSEスコア

英検のそれぞれの級に合格するには、どれくらいの英検CSEスコアが必要なのでしょうか。英検CSEスコアは、難度の高い級ほど高いスコアが割り当てられています。具体的には、1級では各技能につき850、満点で3400であり、2630以上を取ると合格となります。一方3級の場合は、各技能につき550、満点で2200であり、1456以上を取ると合格できます。

また英検CSEスコアは、自分のレベルを級をまたいで把握できるのが特徴です。例えば、英検準2級を受けて合格し、その英検CSEスコアが1900だったという人は、もう少しで2級合格圏の1980に達するレベル、ということになります。

なお英検CSEスコアは、全受験者の答案を採点したあとで、統計的手法を用いてその試験回の難易度などを調整した上で算出されます。正答数が同じでも回次により英検CSEスコアは異なるため、受験者が自己採点によって英検CSEスコアを算出することはできません。

英検CSEスコア
1級 各技能の満点850
全技能の満点3400
合格点2630
準1級 各技能の満点750
全技能の満点3000
合格点2304
2級 各技能の満点650
全技能の満点2600
合格点1980
準2級 各技能の満点600
全技能の満点2400
合格点1728
3級 各技能の満点550
全技能の満点2200
合格点1456
4級* 各技能の満点500
全技能の満点1000
合格点622
5級* 各技能の満点425
全技能の満点850
合格点419

* 4級・5級の合否は、リーディングとリスニングの2技能のみで判定されます。

CEFRと英検CSEスコア

英検CSEスコアは、語学力の国際的な指標CEFR*に対応しており、自分の英語力を世界的な基準で把握することができます。

* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。

CEFR 英検各級の測定範囲 英検CSEスコア
C2 熟達した言語使用者      
C1 1級   2600~3299
(1級合格:2630)
B2 自立した言語使用者 準1級 2300~2599
(準1級合格:2304)
B1 2級 1950~2299
(2級合格:1980)
A2 基礎段階の言語使用者 準2級 1700~1949
(準2級合格:1728)
A1 3級 1400~1699
(3級合格:1456)

(大学入試センターの公開資料より)

例えば、「英検CSEスコアが2280だから、CEFRのB1レベルでも上位の方だ」などと、自分のレベルを確認することが可能です。また、CEFRに対応した他の英語資格・検定試験のスコアと比較することもできます。

大学入試で英語の資格・検定試験を活用する場合は、CEFRの基準に沿って英検CSEスコアと他の英語資格・検定試験を比較している大学入試センターの公開資料などを見て、英検以外の資格・検定試験を受けた場合の成績を推し量ってみてもよいでしょう。

成績表

英検CSEスコアが導入されたことで、英検の成績表は変わりました。2016年度以降の成績表には、合否、英検CSEスコア、合格水準までの距離を示す「英検バンド」が表示されています。英検CSEスコアについては、トータルスコアと技能別スコアが明記されます。

英検の成績表のサンプルを見たい方は、英検ウェブサイトの「英検の成績表を見てみよう!」をチェックしてください。

トータルスコア

各技能の英検CSEスコアを合計したものです。ただし一次試験の成績表では、1~3級はリーディング・ライティング・リスニングの3技能、4・5級はリーディング・リスニングの2技能のスコアの合計が表示されます。

技能別スコア

技能ごとに示された英検CSEスコアです。英検CSEスコアは、技能ごとに均等に配分されているので、各技能のスコアを比較することで、自分の苦手な技能を把握できます。

英検バンド

合格水準からの距離を表す指標です。合格ラインより上回ったら「+」、下回ったら「-」が表示されます。「+」のあとに書かれている数字が大きいほど、余裕をもって合格したことを意味します。「-」のあとの数字が小さいほど合格まで「近い」ことを、大きいほど「遠い」ことを示します。

なお、英検バンドの数値の前に表示されているGは「級」を、Pは「準」を意味します。例えば「GP2-1」の場合、「準2級の合格まであと少し」であったことを表しています。

英検バンドについて詳しく知りたい方は、英検ウェブサイトの「合格ラインまでのキョリを示す英検バンド」をチェックしてください。

英検CSEスコアを利用した大学入試

英検の試験結果が合格・不合格だけでなく、英検CSEスコアでも発表されるようになったことを受けて、このスコアを入試に利用する大学が増えつつあります。以下では、大学受験に当たって英検CSEスコアをどのように活用できるのか、具体的に解説しています。

英語外部検定利用入試とは

英語外部検定利用入試(外検入試)とは、英検、TEAP、IELTSなど大学外部の英語資格・検定試験の結果を利用する大学入試のことです。多くの場合、英検準2級以上相当のレベルが求められます。外検入試を利用すると、受験のチャンスが増えるなどのメリットがあるので、志望大学・学部に外検入試がある場合は利用を検討するとよいでしょう。

外検入試には、各大学が細かい条件をそれぞれ定めていますが、大きく分けると以下の4つの利用パターンがあります。
出願資格:大学が指定した外部検定を出願の要件にする
 例:英検2級に合格していないと出願できない
得点換算:大学が指定した外部検定を、その大学の英語入試の点数に換算する
 例:英検2級に合格していると、英語入試の80点に換算される
加点:大学が指定した外部検定を、その大学の入試の総合点に上乗せする
 例:英検2級に合格していると、総合点に10点が加算される
合否参考・判定優遇:合否判定の際に何らかの優遇措置を行う
 例:入試の得点が同点だったとき、英検2級合格者が優遇される

英検CSEスコアの利用パターン

大学入試での英検CSEスコアの利用法には、以下の4つのパターンがあります。

●英検級の合格と英検CSEスコアの両方を求める
英検のある級の合格と、一定以上の英検CSEスコアの両方を要求するパターンです。当該級の合格点より高いスコアが求められることもあり、その場合は一つ上の級を目指すようなつもりで学習する必要があります。

●英検級の合格と英検CSEスコアのどちらでもよい
英検のある級の合格、または規定以上の英検CSEスコアのどちらでもよい、というパターンです。まずは級合格を目指して学習を進めることで、求められるCSEスコアを満たすことに繋がります。

●英検級の合否は問わず、英検CSEスコアのみを求める
英検の合否は問わず、一定の英検CSEスコアのみを要求する、というパターンです。求められるスコアとそれぞれの級の測定範囲を照らしあわせて、自分の取り組みやすい級で受験することができます。

●英検CSEスコアに加えて、各技能スコアを求める
英検CSEスコアのトータルスコアだけでなく、各技能スコアも求めるパターンです。技能別に最低スコアが決まっているので、日頃から4技能をバランスよく伸ばすように心がけましょう。

志望校・志望学部が決まっている人は、募集要項を調べてどのパターンで実施しているか確認しましょう。その上で、必要な英検CSEスコアを取るためにはどのような勉強をすればいいのか、計画を立てて臨むとよいでしょう。

まとめ

英検CSEスコアは、英検の合否にかかわらず英語力の証明として利用することができ、国際的な語学力指標CEFRにも対応している、大変便利な基準です。自分の英語力を客観的に把握したり、各技能のスコアを比較することで弱点を見つけたりと活用できます。英検の試験結果が届いたら、合否だけでなく英検CSEスコアにも注目して、今後の学習に役立ててください。