2018年8月、実用英語技能検定(通称:英検)に新しい方式の試験「英検CBT」が導入されました。この記事では、英検CBTの特徴や勉強法、試験当日の流れ、従来型の英検との共通点・相違点について述べています。ダブル受験や従来型英検との併願、英検CBTならではのメリット・デメリット、気をつけたい点なども解説しています。英検CBTを受けるべきか、従来型の英検を受けるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

(本記事は、2018年10月時点の情報に基づいています。受験の際は、英検CBTウェブサイトで最新情報をご確認ください。)

英検CBTとは

英検には現在、従来型と英検CBTという2種類の方式があります。従来型は長年実施されている方式であり、ペーパーテストと面接とで構成されています。英検CBTは2018年8月に始まった新しい方式で、CBT(Computer Based Testing)という名称が示すとおり、コンピューターを使って受験します。問題形式や合否判定のしかた、合格によって得られる資格は従来型の英検と同じです。英語外部検定利用入試にも利用でき、2020年度以降は「大学入試英語成績提供システム」の対象にもなります。

(従来型英検や英検全般について知りたい方は、当サイト内の記事「英検とは:概要と級別の勉強法・試験対策」をご参照ください)

日程

英検CBTは月に1回実施されています。ただし、同じ級の受験を毎月申し込むことはできません。英検CBTの試験は4~7月実施ぶんが第1回検定、8~11月実施ぶんが第2回検定、12~3月実施ぶんが第3回検定と、4ヵ月ごとに回次が区切られており、同一級の申し込みは各検定回につき1回のみ可能となっているからです。

ダブル受験

ダブル受験(隣接した2つの級を受験すること)は、同一の検定回の中でも可能です。例えば、ある試験日の午前中に準2級を、その日の午後に3級を受験したり、3級を受けた翌月に準2級を受験したりすることができます。

従来型との併願

英検CBTと従来型英検で併願(同じ級を申し込むこと)も可能です。同一級の申し込みの場合、英検CBTは年3回の検定回ごとに1回ずつ、つまり年に3回受験できます。したがって年に3回行われる従来型英検と併せると、同じ級を受験できるのは最多で年6回となります。

受験できる級

英検CBTで受験できる級と受験料は以下のとおりです。

試験級 受験料
2級 7,500円
準2級 6,900円
3級 5,800円

各級のレベルと勉強法

英検CBTの各級のレベルは従来型英検と同じであり、合格により取得できる資格・証書も同一です。問題形式も同一のため、勉強法も従来型と変わりません。試験対策の際には、下に紹介した記事を参考にしてください。英検CBTに特有の点については、後述の「メリット」「デメリット」「気をつけたいポイント」をご参照ください。

2級

英検2級では、社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができるか審査されます。レベルは高校卒業程度とされており、標準的な大学入試の難しさと考えればよいでしょう。

英検2級の勉強法を知るには、この記事がおすすめ!
「英検2級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策」

この記事では、英検2級合格のために必要な情報をまとめて紹介しています。出題の傾向や特徴、効率的な勉強法、苦手とする人が多いリスニングの対策など、かなめとなる試験対策を詳述しているほか、試験当日の流れや具体的な問題例と解答のコツ、スピーキングテストのポイントなどをまとめています。英検2級を受験する方、受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

準2級

英検準2級では、日常生活に必要な英語を理解し、使用することができるかが審査されます。高校中級程度のレベルとされており、中学英語がしっかり身についていないと合格は難しいと言えるでしょう。

英検準2級の勉強法を知るには、この記事がおすすめ!
「英検準2級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策」

この記事では、英検準2級合格のために必要な情報をまとめて紹介しています。出題の傾向や特徴、効率的な勉強法、苦手とする人が多いリスニングの対策など、かなめとなる試験対策を詳述しているほか、試験当日の流れや具体的な問題例と解答のコツ、スピーキングテストのポイントなどをまとめています。英検準2級を受験する方、受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

3級

英検3級では、身近な英語を理解し、また使用することができるか審査されます。中学卒業程度のレベルとされており、基礎力の集大成の級と言えるでしょう。

英検3級の勉強法を知るには、この記事がおすすめ!
「英検3級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策」

この記事では、英検3級合格のために必要な情報をまとめて紹介しています。出題の傾向や特徴、効率的な勉強法、苦手とする人が多いリスニングの対策など、かなめとなる試験対策を詳述しているほか、試験当日の流れや具体的な問題例と解答のコツ、スピーキングテストのポイントなどをまとめています。英検3級を受験する方、受験を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

試験当日の流れ

当日、必要な持ち物は、
1. 受験票(英検CBT申し込み受付サイトよりダウンロードし、A4サイズで印刷したもの)
2. 身分証明書(学生証・生徒手帳・健康保険証・パスポートなど)
です。

各級の試験時間は以下のとおりです。スピーキング、リーディング・ライティング、リスニングの順に実施され、それぞれの間に休憩はありません。

試験級 スピーキング リーディング
ライティング
リスニング
2級 15分 85分 25分
準2級 15分 75分 25分
3級 15分 50分 25分

当日は、受付を済ませたあとトイレに行っておき、それから試験室に入室するとよいでしょう。試験開始後に退室した場合、再入室は原則できません。スピーキングテストを全員が終えると、リーディング・ライティングテストが始まります。リーディング・ライティングテストは、自分の判断で終了して次のリスニングテストへ進むことができます。リスニングテスト終了後は退室が可能です。

同じ試験室に他級の受験者がいる可能性もあり、試験終了・退室のタイミングは各自異なります。他の受験者が自分より速く解いているように思えても焦らず、落ち着いて解答し、終了後は受験中の人の邪魔にならないよう静かに退室しましょう。

メリット

従来型英検と比較すると、英検CBTには以下のメリットがあります。

毎月実施されている

年3回実施の従来型英検に比べると、英検CBTは毎月行われているため、候補日が多く自分の都合のよい日を選びやすいのが長所です。同一級の申し込みは、4ヵ月で区切られた回次につき1回のみ可能なので、同じ級に毎月チャレンジはできません。しかし、ダブル受験や従来型との併願によって、受験の機会を増やせる点が特長です。詳しくは、「日程」の項をご参照ください。

試験が1日で終わる

従来型英検の場合、一次試験(リーディング、ライティング、リスニングのテスト)と二次試験(面接方式のスピーキングテスト)が別の日に行われます。それに対して英検CBTでは、スピーキング、リーディング・ライティング、リスニングのテストを、1日で完了することが可能です。

自分のペースで試験を進められる

従来型英検では、リスニングの音声を同室の受験者一同で聞いたり、解答用紙を集めたりする必要性から、試験室内の受験者がテストを同時に開始/終了する仕組みとなっています。一方英検CBTは、1人に1台のコンピューターが割り当てられるため、自己判断でリーディング・ライティングテストを切り上げリスニングテストへ進んだり、試験を終えたら退室したりすることが可能です。

ヘッドフォンで受験できる

従来型英検は、リスニングテストの際、スピーカーで音声を流します。そのため、会場や座る位置によって聞こえ方が異なったり、人によっては物音や反響が気になったりすることがあります。それに対して英検CBTでは、ヘッドフォンを装着してリスニングテストを受けるので、雑音の少ない音声を耳元で聞くことが可能です。

スピーキングテストを確実に受けられる

従来型英検では、一次試験(リーディング、ライティング、リスニングのテスト)に合格しなければ、後日行われる二次試験(面接方式のスピーキングテスト)を受けられません。一方、英検CBTはスピーキング、リーディング・ライティング、リスニング4技能のテストをすべて1日で行います。したがって4技能すべてについての英語力の証明を確実に入手したい場合は、英検CBTがおすすめです。

スピーキングテストは録音方式

従来型英検のスピーキングテストは、面接方式で行われます。対する英検CBTでは、面接ではなく、マイクを使って声を吹き込む録音方式です。面接委員と対面すると緊張してしまうという人には、英検CBTの方が向いているかもしれません。

デメリット

従来型英検と比較すると、英検CBTには以下のデメリットがあります。

受験料が高い

英検CBTは従来型英検の同じ級に比べ、受験料が割高です。従来型英検には団体受験という、受験料がさらに安くなる受験方式がありますが、英検CBTは個人単位で申し込むので、団体割引もありません。

試験級 英検CBT 従来型英検
(本会場料金)
2級 7,500円 5,800円
準2級 6,900円 5,200円
3級 5,800円 3,800円

受験できる級が限られている

英検には1級、準1級、2級、準2級、3級、4級、5級の全7級があり、従来型ではすべての級が受験可能です。しかし英検CBTでは、2級、準2級、3級しか実施されません。

受験地が少ない

英検CBTは全国13都道府県で実施されています。順次増加する見込みであり、2019年度からは全国展開の予定です。しかし、すでに47都道府県で実施されている従来型英検と比較すると、受験しづらいと言えるでしょう。

受験可能な人数が少ない

英検CBTは、コンピューターが1人に1台必要であるため、従来型に比べ、受験可能な人数が限られています。自宅に近いテストセンターで受験できるように、早めに申し込むようにしましょう。

気をつけたいポイント

試験はコンピューターで行われる

英検CBTは、会場に設置されたコンピューターで受験します。試験の直前に、会場のコンピューターで操作方法を確認できますが、試験中に何かトラブルがあると緊張したり慌てたりしてしまうかもしれません。英検CBTウェブサイトの「試験画面・操作方法」から、受験時と同じ画面を使って操作方法を解説する動画を見ることができるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

スピーキングテストから始まる

英検CBTの試験は、スピーキングテストから始まります。耳や口が英語に馴染んでいない状態では、動画の中の面接委員が発する問いを聞き取れず焦ったり、緊張もあって舌が回らなかったりするかもしれません。家を出る前に音読をする、道中英語のリスニングをするなど、ウォーミングアップを十分してから臨みましょう。

スピーキングテストは一斉に行われる

試験室にはパソコンがずらりと並んでいて、パーテーションはあるものの、隣の受験者との距離が数十センチということもあり得ます。そのためヘッドフォンをしていても、周囲の声がある程度聞こえます。加えて他級の受験者も同室内にいたり、説明文を読む速度が各自違ったりするため、スピーキングテストの開始が同時にもかかわらず早く解答を始める人がいたり、自分が話そうとしたときに大勢が一斉に話し始めたりもします。そのような雰囲気に圧倒されないためには、精神力と集中力が必要です。また他人の解答を気にしたり、自分の発音・発言を聞かれたくないとひるんだりしていては、実力を発揮できません。日頃からテレビやラジオをつけたままスピーキング練習をする、「これだけ訓練したから大丈夫」と思えるほど演習を重ねるなど、事前の準備をしておくとよいでしょう。

スピーキングテストの解答には制限時間がある

英検CBTのスピーキングテストは録音方式なので、解答時間は秒単位で厳格に管理されます。生身の面接委員とコミュニケーションを取れる対面式スピーキングテストより、時間が足りなくなる可能性があり、それが心理面のプレッシャーにもなるでしょう。自分にとって答えにくいことを問われたとき、「何と言おう」と悩んでいては、時間があっという間に経って何も言えずに録音時間が終わってしまう事態になりかねません。録音が開始されたらすぐ話し始めることが大事です。

ライティングではタイピングが必須

タイピングで英文を書くことは、書き直しやコピー&ペーストが容易にできるので、手書きより負担が少ないと感じる人が多いでしょう。入力スペースの右上に語数が表示されることも、語数カウントの時間を節約できるのでメリットです。ただし、タイピングに慣れていなかったり、コンピューターの操作が苦手だったりする場合は、時間内に書き上げられないなどのトラブルにつながりかねません。参考書の模範解答をタイピングで写してみるなどして、必要な分量をタイプするのに何分かかるか、感覚をつかんでおくとよいでしょう。英検CBTウェブサイトでは、1分間に30文字を入力できるタイプスピードがあれば問題なしとしています。

英検のスピーキングテストでは、アティチュード(態度)が評価対象になっており、積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢を見せることが大事です。英検CBTの場合、録音された音声のみで採点されるので、声や話し方の与える印象がより重要になるでしょう。明瞭な発音ではきはきと話す、黙り込まない、「え~」などと日本語で言いよどむのでなくLet me see.(そうですね)と英語の表現でつなぐなど、前向きなアティチュードを示すようにしましょう。

まとめ

英検に新しく導入された方式、英検CBTの概要や特徴が把握できたでしょうか? 大学入試や就職に広く活用されている英検が、英検CBTの新設によって、より受験しやすくなったと言えるでしょう。従来型と異なる点も多いので、その特徴を知ることで、自分にとって受けやすい方式で受験することが可能になります。情報を集めて、日々の学習を重ね、目標の級の合格を勝ち取ってください!