この記事では、英検1級の一次試験で出題されるライティング(英作文)問題について詳しく解説しています。はじめに、どのような問題が出されるのか、ライティングの配点が合否にどの程度かかわるのか、どのような観点から採点されるのか、など試験の概要を述べています。次に、理想的な英作文を書くためのコツや解答のノウハウ、役に立つ表現について解説しています。英作文の質を上げるために確認すべき事項のチェックリストも載せています。最後に、作文力をつけるための学習方法や、参考書を使った対策を詳述しています。ぜひ参考にしてください。

(本記事は、2018年3月時点の情報に基づいています。受験の際は、英検ウェブサイトで最新情報をご確認ください。)

試験概要

以下では、英検1級で出題される英作文問題の概要と、問題例、その解答例を挙げています。どのような観点から採点されるのか、合格点はどの程度と予想されるのか、頻出テーマは何か、などについても述べています。

概要

英検1級の英作文は、一次試験・筆記の大問4として出題されます。出題数はわずか1問ですが、英検1級の一次試験に合格するためには、この1問で一定以上の点数をとらなければいけません。というのも、英検の一次試験では、リーディングとライティング、リスニングの各技能にCSEスコアが850点ずつ割り当てられているからです。すなわち、英作文のこの1問が、一次試験の1/3のウェイトを占めているということになります。

(CSEスコアについては、「英検1級のレベルと合格までの勉強法、面接の対策:合格点・合格率」をご参照ください。)

この英作文問題の内容は、与えられたTOPICについて、自分の意見とその理由を200~240語程度のエッセイ(英文)にまとめるというものです。目標解答時間は、筆記試験全体が100分で、リーディングが大問1~3まで計41問あることを考えると、約25分というところでしょう。

与えられるTOPICは英文10語程度で、解答者の意見を Yes か No かで問うタイプと、Agree か Disagree かを選ばせるタイプの、どちらかであることがほとんどです。多くは、「発展途上国にとって経済発展は環境保護よりも優先されるべきか」など、社会性が高く、賛否両論の分かれる話題です。自分の主張を支える理由を3つ挙げることと、序論、本論、結論という構成になっていることが要件です。

問題例

例題:
● Write an essay on the given TOPIC.
● Give THREE reasons to support your answer.
● Structure: introduction, main body, and conclusion
● Suggested length: 200–240 words

TOPIC
Does the Japanese government have much control over the economy?

(旺文社作成予想問題)

解答例

 Though Japan operates under a free market economy, in which private spending has the largest impact on the economy, the Japanese government does exercise considerable control. The government has numerous tools at its disposal to adjust the direction of the overall economy. I will highlight three of the most powerful of these.
 The Ministry of Finance influences the Bank of Japan (BOJ), which controls the availability of credit by adjusting interest rates. The BOJ lowers interest rates when the economy requires stimulation, and raises them when inflation needs to be suppressed. Access to cheap credit enables companies to purchase, invest and hire employees, all of which boost the economy.
 The Ministry of Finance also prepares the budget, including suggestions for setting tax rates and outlining government spending. Lowering tax rates and increasing government spending also stimulate the economy. The government willingly goes into debt during times of recession to provide a boost to the economy.
 Finally, the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) actively steers business activity in Japan, including production, trade and distribution of products. METI works closely with businesses to shape trade policies, predict future economic trends and identify growth industries for investment.
 All of these government measures are taken with the goal of maintaining steady growth and price stability while keeping unemployment at a minimum. We can see from recent events that the government is not always successful in its efforts, but it still maintains a powerful hold on the economy nonetheless.

(旺文社作成)

採点の観点と配点

英検1級の英作文は、以下の4つの観点から採点されます。それぞれの観点に0~8点が配点されており、合計32点満点です。各技能バランスよく得点して合格するには、24点程度を目標とするとよいでしょう。この点数がCSEスコアに変換され、リーディング・リスニングのCSEスコアと合算されて一次試験の合否が決まります。

①内容 課題で求められている内容(意見とそれに沿った理由)が含まれているかどうか
②構成 英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか
③語彙 課題に相応しい語彙を正しく使えているか
④文法 文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか

第1の観点「内容」で最も大事なポイントは、TOPICを正しく理解し、それに対して適切に応答した内容になっているかどうかです。課題とは異なる趣旨のエッセイを書くと、たとえ英語としては正しい文章を書いていても、0点になることもあります。ですから読み違えないよう、問題文とTOPICは慎重に読みましょう。また、自分の主張の根拠となる理由を3つ挙げなければいけません。

次の観点「構成」は、自分の主張とその理由をわかりやすく論理的に書けているかがポイントです。問題文で指示されているとおり、エッセイ全体を序論、本論、結論という構成にすることが必要です。また、各パラグラフは、核となるトピック・センテンスと、それを支えるサポーティング・センテンスで構成されているのが理想的です。パラグラフ内の文章も、つなぎ語を効果的に使うなどして、読みやすく論理的に配置されていなければいけません。

3つめの観点「語彙」は、課題に相応しい語彙を適切な語法で使えているかを見ます。同じ語句や表現を繰り返さずに、別の表現などで言い換えていることが評価されます。

最後の観点「文法」は、文法的に正しい文を書けているかです。文型やパンクチュエーションの観点からも評価されます。文構造のバリエーションも重要なので、同じ主語を連続して使うことは避け、無生物主語や受動態など多様な文型を駆使しましょう。

頻出テーマ

英検1級の英作文は、2016年度第1回検定から、出題形式がやや変更されました。しかしトピックの傾向については、大きな変更はないように思われます。社会性の高い幅広い内容の、多くはグローバルな話題で、新聞・ニュースで取り上げられる時事・社会問題が主流です。ジャンルは政治・社会が多く、国際関係、環境、テクノロジーがそれに次ぎます。具体的には、日本の外交政策、移民受け入れについての賛否、表現の自由に対する規制の是非などです。

2つのコツ

以下では、英検1級の英作文として理想的なエッセイを書くための、重要なコツを2つ挙げています。

型に沿って書く

模範的な形式

英検1級の英作文には、以下の要件があります。
● 自分の主張を支える理由を3つ挙げる
● 序論(introduction)、本論(main body)、結論(conclusion)という構成で書く
● 語数の目安は200~240語
これらの要件に加え、英語のライティングでは、パラグラフを核となるトピック・センテンスと、それを支えるサポーティング・センテンスで構成することが理想的とされています。以上を踏まえるとおのずから決まってくる、英検1級のエッセイとして模範的な形式は、以下のとおりです。

序論 第1パラグラフ 意見を主張する。TOPICの背景の解説や本論の前置きも入れる。(2~3文程度)
本論 第2パラグラフ 各パラグラフとも、冒頭に理由を明示したトピック・センテンス(1文)を置き、続いてその根拠を述べるサポーティング・センテンス(2~3文程度)を配置する。  
第3パラグラフ
第4パラグラフ
結論 第5パラグラフ 「本論」の内容をまとめ、「序論」で述べた主張を、別の言い方で表現して締めくくる。(2~3文程度)

(文の数はあくまで目安です。1文が長かったり、つなぎ語で文を連結したりした場合は、この限りではありません。トータルで指定の語数になっていれば大丈夫です。)

この形式を、前項で挙げた「解答例」にあてはめると、以下のようになります。各パラグラフの核となる部分には、下線を引いてあります。

序論 第1パラグラフ Though Japan operates under a free market economy, in which private spending has the largest impact on the economy, the Japanese government does exercise considerable control. The government has numerous tools at its disposal to adjust the direction of the overall economy. I will highlight three of the most powerful of these.
本論 第2パラグラフ The Ministry of Finance influences the Bank of Japan (BOJ), which controls the availability of credit by adjusting interest rates. The BOJ lowers interest rates when the economy requires stimulation, and raises them when inflation needs to be suppressed. Access to cheap credit enables companies to purchase, invest and hire employees, all of which boost the economy.
第3パラグラフ The Ministry of Finance also prepares the budget, including suggestions for setting tax rates and outlining government spending. Lowering tax rates and increasing government spending also stimulate the economy. The government willingly goes into debt during times of recession to provide a boost to the economy.
第4パラグラフ Finally, the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI) actively steers business activity in Japan, including production, trade and distribution of products. METI works closely with businesses to shape trade policies, predict future economic trends and identify growth industries for investment.
結論 第5パラグラフ All of these government measures are taken with the goal of maintaining steady growth and price stability while keeping unemployment at a minimum. We can see from recent events that the government is not always successful in its efforts, but it still maintains a powerful hold on the economy nonetheless.

このように、模範的なパターンにあてはめて書くようにしましょう。そうすれば、問題文の指示に沿った、理想的な構成のエッセイを書くことができます。

書き方の手順

自分の主張と、それを支える3つの理由を手際よくまとめるコツは、以下のとおりです。

まず、キーワードを書き出してメモを作成しましょう。英語でも日本語でも構いません。自分の意見と、その根拠となる理由について、思いつくまま書いてみます。それから理由のそれぞれをチェックして、補強となる具体例や根拠を思いつくものを3つ選びます。

TOPIC: Does the Japanese government have much control over the economy?

メモ例
意見:Yes
理由1:財務省が日銀に影響(MOF influences BOJ.)
理由2:財務省が予算を編成(MOF prepares the budget.)
理由3:経産省が経済活動を操縦(METI steers business activity.)

ここまでを、2、3分でこなせるとよいでしょう。

次に、この構成で書けるかどうか検討します。具体的には、前項「模範的な形式」の表にあてはめてみて、論理展開に無理がないか検討するのです。サポーティング・センテンスとして書くことも、ここで決めましょう。具体例として客観的な事実を挙げると、知識の多さを示せます。自分の主張とは対照的な意見に軽く触れると、視野の広さをアピールできるでしょう。所要時間の目標は4、5分です。

序論 第1パラグラフ (対照的な意見)a free market economy.
The Japanese government exercises considerable control.
本論 第2パラグラフ MOF influences BOJ.
BOJ controls interest rates.
Cheap credit for companies boosts the economy.
第3パラグラフ MOF prepares the budget.
Lowering tax rates and increasing government spending stimulate the economy.
The government goes into debt during recessions.
第4パラグラフ METI steers business activity.
shapes trade policies, economic trends and growth industries
結論 第5パラグラフ (本論のまとめ)maintaining steady growth and price stability
(対照的な意見)The government is not always successful.
(再主張)The government maintains a powerful hold.

次に、解答用紙に英文を書いていきます。途中で別に書きたいことを思いついたり、異なる見方に気づいて迷ったりしてしまうかもしれませんが、この段階で大きく変更しようとすると、矛盾したりまとまりを欠いたりしたエッセイになる恐れがあります。時間も、15~17分程度しか割けないので、迷わず一気に書き上げましょう。

最後に、2分程度を使って見直しをしましょう。見直す事項は、あとの「解答のチェックリスト」を参考にしてください。エッセイの語数の目安は200~240語と指示されていますが、多少オーバーしても、解答欄の枠内に収まっていれば減点されません。ですから時間が足りない場合は、語数の調整に神経をつかうより、スペルや文法をチェックするほうがよいでしょう。

表現しやすい理由を選ぶ

英検1級の英作文は、語学の試験です。相手を論破するほどの説得力や、専門的な知識があった方が好印象ではありますが、優先すべきは正しい英文で自分の主張を論理的に展開することです。ですから、自分の意見を支える理由は、内容の高度さや専門性よりも、表現のしやすさを基準に選ぶようにしましょう。

例えば、「この間のニュースで、名目GDPが過去最高の水準だと言っていた。これを書いて知識をアピールしたい」と思ったとしましょう。しかし、「名目GDP」や「過去最高の水準」を英語で即座に表現できなかったら、別の理由に切り替えるべきです。英検1級の一次試験ではリーディングの英文も量が多く、時間との戦いになります。言いたいことを表現できるのが理想ですが、無理な場合はそれに固執せず、英語で言いやすい理由を採るようにしましょう。

解答のノウハウ

何行めまで書くべきか把握する

英検で使用される解答用紙の見本は、英検ウェブサイトからダウンロードできます。解答欄は28行あり、指定の語数は200~240語です。1行に8語書くとすると200語に達するのは25行めですから、解答欄をほとんど埋めるほど書かないと、要件の語数には届かないということになります。事前に実際に書いてみて、自分の書き方なら1行にだいたい何語入るか、したがって指定の語数を書いた場合は何行程度書く必要があるかを把握しておきましょう。語数カウントの時間の節約にもなります。

また、前項の「書き方の手順」のように、メモを作成してから記入すれば、自分が今、どのあたりを書いているのかわかります。ですから解答欄のスペースを目分量で測りながら書き進め、過不足があるようなら調整しましょう。

語数が足りなくなりそうだ、と感じた場合におすすめなのは、自分の主張とは対照的な意見を挙げ、それを打ち消すことです。例えば「解答例」の場合、第4パラグラフの文章、
METI works closely with businesses to shape trade policies, predict future economic trends and identify growth industries for investment.
の前に、
Some people might say that METI is not as influential as it may seem, but
を入れて微調整を加え、
Some people might say that METI is not as influential as it may seem, but it works closely with businesses to shape trade policies, predict future economic trends and identify growth industries for investment.
とするのです。すると1文追加できるだけでなく、異論を踏まえた上での主張だということで、説得力も増し一石二鳥です。

逆に語数が超過しそうだ、と感じた場合は、内容の重複や修飾表現の過多など、冗長な部分を探し、削除しましょう。それでも語数が減らない場合は、サポーティング・センテンスの一部や、引き合いに出すつもりだった異論を省略しましょう。「解答例」を例にとると、第5パラグラフの文章、
All of these government measures are taken with the goal of maintaining steady growth and price stability while keeping unemployment at a minimum.
の一部である、
while keeping unemployment at a minimum
をカットすれば、文を短縮することができます。

語数のカウントは、だいたいで OK です。240語を多少オーバーしても、解答欄に収まっていれば問題ありません。ただし、解答欄の外にまで書いてしまうのは絶対に NG! また、解答欄に収まるからといって、内容や構成に悪影響を及ぼすほど冗長に書くのも好ましくありません。あくまでも、問題文に指示された目安の語数を目指しましょう。

使える表現

すでに述べたように英検1級の英作文には、模範的な形式があります。その形式に従ってエッセイを書くときに、役立つ表現は以下のとおりです。

序論で役立つ表現

前置きや、TOPICの背景の説明に使える言い回し

Many people believe that . や It is often pointed out . が使えます。While . も、「」の部分で自分の意見とは異なる立場に軽く触れることができて便利です。Although . は、「」の部分に自分の主張とは対照的な意見を入れると、賛否がかなりはっきり分かれるTOPICについて、自分の意見を強調することができます。

自分の意見を言い表す

TOPICが Agree か Disagree かを選ばせるタイプだった場合は、I agree that . や I do not agree that . が定番です。自分の主張を述べる場合は I think . や I believe . が使えるでしょう。

英検1級のライティングでは、語彙の多彩さも評価対象です。したがって、自分の意見を述べる際、TOPICの文章をそのまま繰り返すことは避けましょう。結論で自分の意見を再主張するときも、序論とは別の言い方をすることが大事です。

本論で役立つ表現

理由を挙げる

課題である3つの理由の挙げ方は、First(ly), . 、Second(ly), . 、Third(ly), . が定番です。First(ly), . の代わりに、To begin with, . や In the first place, . を使ってもいいでしょう。Second(ly), . は、Next, . や Another reason is that とも言えます。Third(ly), . の代用には、Finally, . があります。Furthermore, . や Moreover, . は、Second(ly), . と Third(ly), . の両方の代用になります。

結論で役立つ表現

結論の書き出し例

In conclusion, . が一般的です。To sum up . も使えるでしょう。英検1級ライティング問題の模範的な形式を踏まえるなら、I firmly believe that for the above three reasons. とも言えます。

その他の使える表現

その他のつなぎ語

つなぎ語を適切に使って、話の流れをスムーズにしましょう。逆接の however や nevertheless を使って対抗意見への反論をすると、自分の主張を補強できます。典拠を示すときは、According to . が便利です。原因・理由を述べるときには、because of や due to を使いましょう。

その他の定型表現

論点を示すには The problem is that . が使えます。客観性を持って予測する場合は It is likely [unlikely] that .、物事の原因と結果を明示するには This leads to . という表現があります。

解答のチェックリスト

問いに適切に答えているか

与えられたTOPICからはずれた内容を書いていないか、「理由を3つ挙げる」という要件を満たしているか、この2点は特に重要です。メモを作成したあと、解答用紙に書き始める前に、今一度確認しましょう。

意見と矛盾する理由や説明がないか

エッセイの趣旨が「わかりやすく論理的であること」も採点のポイントの1つです。意見に対する理由、また理由を補強する具体例や説明に矛盾する内容はないか、注意して点検するようにしましょう。

理由に対する説明や補足があるか

理由に対する説明や補足がないと、説得力を欠く内容になってしまいます。また、目安の語数も満たしにくいでしょう。ですから、問題文で挙げるよう求められる理由3つのそれぞれに対して、具体例や事実、追加の説明など2~3文程度ずつ加えて、その内容を補強するようにしましょう。

関係のない内容が含まれていないか

意見や理由とは無関係な文章や論理展開からはずれる内容が入っていると、「わかりやすく論理的であること」という採点の観点からはマイナスとなります。

つなぎ語を適切に使っているか

つなぎ語(therefore や in addition など)を適切に使えていると、エッセイの内容がわかりやすくなります。また、英語のエッセイで理想とされる構成を理解できているというアピールにもなります。

同じ言い回しがないか

同じ単語・言い回しの繰り返しは、語彙力が不十分だと見なされる可能性があります。また、文構造のバリエーションがとぼしいと、「文法」の観点から評価が低くなります(「採点の観点と配点」参照)。自信のない語では、スペルや語法のミスのリスクを冒してまで無理に言い換える必要はありませんが、同じ表現・言い回しの繰り返しはできるだけ避けるようにしましょう。

スペルミスがないか

焦ると思わぬミスをしがちです。パソコンのオートコレクト機能に慣れて、スペルへの注意力が落ちていることもあります。書き上げたあと、もう一度チェックしましょう。

英語ではない単語を使う場合、その語の説明があるか

日本語特有の表現などを使う場合は、英語話者に理解できるよう説明を加える必要があります。例えば、a kimono, a traditional Japanese dress, のように、コンマで切って解説する表現が便利です。和製英語などのカタカナ語は、エアコンなら air conditioner など、正しい英語に直すよう気をつけましょう。

省略形になっていないか

口語に多い短縮形は、英語のエッセイには相応しくありません。wouldn’t などは would not と省略せずに書きましょう。

文法のケアレスミスがないか

時制のミスがないか、単数/複数が適切か、冠詞の付け忘れがないか、確認しましょう。

学習方法

学習方法

英検1級の英作文は、経験がものを言います。社会性の高い問題について論じることや、制限時間内に書き上げることは、慣れによって上達するからです。また、英検ウェブサイトからダウンロードできる解答用紙サンプルを使って適切な分量を把握しておくと、語数を数える手間が要らず、所要時間を短縮できます。手書きで書く練習も、数をこなすことが重要です。パソコンやスマホでばかり書いていると、スペルチェック機能や予測変換に助けられて、スペルを意外と覚えていなかったりします。本番の緊張した状況では、馴染みのある単語であってもあやふやになることがあるので、怠らず手書きで書くようにしましょう。

まとまった文を書くことがそもそも苦手だという人は、過去問や問題集の解答例を熟読することから始めましょう。そのうち、模範的な形式や、論理の展開のしかたがわかってきます。大体のパターンがつかめたら、前述した「書き方の手順」どおりに書く練習を、できるだけ多くこなしましょう。そのうち、習慣化されて手際よく書けるようになります。

英検1級の英作文の場合、社会問題についての知識を増やすことも、重要な対策です。どのようなTOPICが出題されても、自分の意見とその理由3つを、即座に思い浮かべられなくてはいけないからです。TOPICには、国内あるいは国際的にニュースとなっている時事・社会問題がよく選ばれます。ジャンルは政治・社会が多く、国際関係、環境、テクノロジーも頻繁に出題されています。TIME、Newsweek、The Japan Times など、頻出ジャンルの記事が多い新聞・雑誌を読み、社会と時事的な英単語の知識を蓄えましょう。記事を受動的に読むだけでなく、「この問題を自分はどう思う? そう思う根拠は何?」と能動的に問いかけてみて、前述の「書き方の手順」のように、エッセイのメモを作ってみる訓練も必要です。余裕があったら、今度は自分の意見とは逆の意見を支持すると仮定してみて、その立場から主張やその根拠を考える頭脳トレーニングもするとよいでしょう。

賛否両論あるTOPICが出題され、それについて自分の意見とその理由を表明しなければいけない、という点で、英検1級の英作文と面接はよく似ています。しかし、面接では5つのTOPICの中から1つを選んで答えることができますが、英作文ではTOPICを選ぶことができません。したがって英作文対策としては、できる限り幅広い分野の英語記事に日頃から目を通し、知識を蓄えておくことが必要です。

参考書

英作文を基礎から学びたい方には、『英検1級 総合対策教本[改訂版]』がおすすめです。CHAPTER 3が英作文対策にあてられていて、英語エッセイを書く基礎から、英検1級のライティングに合わせた作文ノウハウ、読む・聞く・書く・話すの4技能を統合して英語力をつけるコツまで、詳細に書かれています。特に、前述の「書き方の手順」で示したメモの作り方を詳しく解説していますから、エッセイのプランニングが苦手な方は、この解説に沿って練習を積むとよいでしょう。

問題をたくさんこなしたい方や頻出テーマを理解しておきたい方には、『英検1級 英作文問題[改訂版]』がおすすめです。自分でエッセイを書いてみたあとは、模範解答と解説を読んで、模範解答のどこがなぜ優れているのか分析しましょう。それから自分のエッセイと比較し、できればもう一度書き直してみるとよいでしょう。

『英検1級 英作文問題[改訂版]』は、エッセイの基礎から詳しく解説しています。オリジナル問題が13問収録されており、それぞれの問題の解答例には、異なる立場から意見を主張した2パターンが収録されています。別冊の時事解説・単語ブックでは、時事問題やそれに関する英単語を効率よく学ぶことができます。旺文社リスニングアプリ「英語の友」を使えば音声を無料ダウンロードして、空き時間に耳で学習することも可能です。

まとめ

英検1級の英作文問題について把握できたでしょうか? 出題形式は一定なので、練習により点数を上げることができます。しかしライティングという問題の特性上、高スコアをとるには単語・熟語・文法の幅広い知識と、地道な練習が不可欠です。英検1級の場合は、社会問題についての知見と、自分の意見を整理して述べるスキルも問われます。日々の努力を重ねて、合格を勝ち取ってください!