※この記事は、2021年6月7日に配信された「旺文社ココマナ編集部note」の記事を一部加筆・修正のうえ、再掲載したものです。

こんにちは。
読むラジオ「#やるせなENGLISH ~〇〇ってなんて言う?~」パーソナリティのDJメイホーです。

みなさんから募集した英語にまつわる “やるせないエピソード” を紹介し、モヤモヤ解消のお手伝いをする当番組。

「英語が出てこず会話終了」
「あのとき結局なんて言えばよかったの?」
「違う意味で伝わったのかヘンな空気に……」
など、みなさんが英語を使ったときに経験したトホホなエピソードに、番組で最適なフレーズをご提案します。

さて、今回は旺文社社員のすーさんのエピソードをご紹介します。
お仕事で参考書や教材をつくっているすーさん。仕事中に送った英語のメールが、意図せぬ誤解を生んでしまったようです。

とある金曜日、私は午後からはじまる長丁場の仕事の準備に追われていました。
スタジオで参考書用の音声を録音する予定があったのです。

息もまばたきもする暇がないくらい急いでいたそんなとき。
別の急ぎの仕事が舞いこんできて、ネイティブのスタッフにお仕事依頼のメールを送らなければならなくなってしまいました。

会社を出発する時間まであと少し。あわてて、いつもお仕事をお願いしているネイティブのDonaldさん(仮名)にメールを書きはじめました。

依頼の用件を書いたあと、「それから、もうすぐ退社するんです。なので、依頼した仕事について質問をいただいても、お返事できるのが週明けになってしまいます。申し訳ない!」と伝えたくて、次のように書き加えました。

“And I’m leaving the company soon. If you have any questions, I’ll answer them on Monday, I’m so sorry.”

…ん? 「会社を出る」って、leave the company でよかったっけ?

一瞬そんな考えがよぎり、いちおうネット検索しましたが、急いでいるので落ち着いて調べることができません。悩んでいる時間もないので、とりあえず送信ボタンを押してスタジオへダッシュ!
その日はなんとか無事に収録を終えることができました。

そして週明けの月曜日。いつもどおりメールをチェックすると、Donaldさんから返信が。

“Oh, I’m sorry to hear that you are leaving the company, as I really enjoyed working with you. It’s too bad that I can’t see you in person. I hope we can keep in touch!”
(おぉ、退職するなんて残念だよ、一緒に仕事してて楽しかったから。直接会えなくて残念すぎる。連絡をとりあおうね!)

I’m sorry(残念)…? keep in touch(連絡をとりあう)……?

オーゥ!! ちょっと待った! 私はまだ退職してませーん!

すぐに「いやいや、仕事辞めないよ!」と返事して誤解は解けたけれど、leave the company が「退職する」と伝わってしまったみたい。なんと表現すべきだったのかモヤモヤが残ります……。

バタバタのタイミングで急ぎのメール、すーさん、大変でしたね! てんてこまいなこの状況、想像すると私もヒヤッとします…。

いつも不思議に思うのですが、忙しいときに限って一気に仕事がやってきませんか? 一難去ってまた一難どころか、一難去る前にまた一難。こんな経験、私だけじゃないはず……。

さて、本題にもどります。「退社する」と「退職する」、ややこしくて混乱しますよね。「出発する」は leave、「会社」は company、文法的に問題はないはずなのに、なぜ伝わらなかったのでしょうか…!?

bye

Donaldさんは、“I’m leaving the company soon.” にびっくりしたようですね、すごく残念がってくれています。う~ん、やるせない…。
ともかく、すぐに誤解がとけてよかったです!

というわけで、今回のフレーズは「もうすぐ退社します」
「退職する」という意味ではない点がポイントですね。

この状況の場合、最適な英語表現は……

I have to leave my office soon.
(もうすぐ退社します。)

一般的に、なんらかの文脈がない限り leave the company と言うと retire(退職する)という意味で受けとられてしまいます。その理由は、「会社」ということばの捉え方。company も office もどちらも日本語だと「会社」という意味ですが、company は「組織としての会社」、office は「働く場所としての会社」という意味合いを含んでいます。そのため、「会社(=働く場所)を出発する」と言いたい場合は、office を使います。

これ以外に、I have to go off work soon. という言い方もあります。go off work は「仕事を切りあげる、会社を出る」という意味のイディオム。こなれた表現なので、覚えておくと便利です。

また、ふつうに「もうすぐ退社します」と言う場合は I’m leaving ~. のように現在進行形を使うのが自然ですが、今回のように「もう出なければならないんです」と申し訳ない気持ちを含めるなら、have to を使うとより伝わりやすいです。

ちなみに、この状況ならこんなフレーズもGoodです。

If you would like to call me to ask any questions, please do so before 1 p.m.
(お電話でご質問がある場合は、午後1時までにお願いします。)

If you have any questions or concerns, please contact Okazaki.
(ご質問やご相談があれば、岡崎までお問い合わせください。)

というわけで、今回はすーさんが送った英語のメールのエピソードをご紹介しました。
すーさん、少しでもすっきりしたでしょうか?

「#やるせなENGLISH ~〇〇ってなんて言う?~」では、みなさんのやるせない思い出を消化するお手伝いをしています。

本日のお相手は、DJメイホーでした。
それではまた、次回の放送でお会いしましょう。
See you next time!