英検に新しい級が誕生!「準2級プラス」の対策方法は?

実⽤英語技能検定、通称「英検」に、2025年度試験から新しい級が導入されます。その名称は「英検準2級プラス」、レベルとしては2級と準2級の間に当たります。主催する公益財団法⼈ ⽇本英語検定協会によると、新級導入の理由は学習者のステップアップをより適切なものにするためとのことです。学習者データでは、5級から準2級までは次の級の合格までに要する期間が約1年であるのに対し、準2級合格者が2級に合格するまでには2年近くかかるそうです。この2つの級の間のギャップを埋めるため、新たなステップとして「英検準2級プラス」が導入されることになりました。なお、英検準2級プラスの新設によって既存の他級の名称・難易度や出題範囲が変わることはありません。
この記事では、英検準2級プラスのレベルや試験概要、対策用の書籍などを紹介しています。
※本記事は、2025年1⽉時点の情報に基づいています。最新情報は、英検ウェブサイトでご確認ください。
※本記事は、複数ある試験⽅式のうち、最も基本的な方式である「従来型」を前提に解説しています。試験⽅式の詳細は、「英検とは:概要と級別の勉強法・試験対策 試験⽅式について」をご参照ください。
目次
英検準2級プラスの位置づけ
レベルの目安と審査基準
英検準2級プラスは、⾼校中級程度レベルの準2級と、高校卒業レベルの2級の間に新設され、「身近な話題であれば、社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる」英語力が必要とされます。「日常生活に必要な英語を理解し、また使用する」力が求められる準2級よりは、抽象的な話題を扱う能力が求められます。
◎審査基準
級 | レベルの目安 | 審査基準 |
1級 | 大学上級程度 | 広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。 |
準1級 | 大学中級程度 | 社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。 |
2級 | 高校卒業程度 | 社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。 |
準2級プラス | 身近な話題であれば、社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。 | |
準2級 | 高校中級程度 | 日常生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。 |
3級 | 中学卒業程度 | 身近な英語を理解し、また使用することができる。 |
4級 | 中学中級程度 | 簡単な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。 |
5級 | 中学初級程度 | 初歩的な英語を理解することができ、またそれを使って表現することができる。 |
英検準2級プラスの英検CSEスコアと合格基準スコア
英検3級以上のレベルでは、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの正答数を基に、技能別の英検CSEスコアが算出され、合格基準スコア(英検CSEスコア)に達すると合格となります。英検準2級プラスの合格基準スコア(英検CSEスコア)は1829で、一次試験(リーディング・リスニング・ライティング)では1402、二次試験(スピーキング)では427以上が求められます。
◎英検準2級~2級の合格基準スコア(英検CSEスコア) 一次試験
級 | 合格基準スコア |
2級 | 1520 |
準2級プラス | 1402 |
準2級 | 1322 |
◎英検準2級~2級の合格基準スコア(英検CSEスコア) 二次試験
級 | 合格基準スコア |
2級 | 460 |
準2級プラス | 427 |
準2級 | 406 |
英検準2級プラスの4技能総合CEFR
英検CSEスコアは、語学力の国際的な指標CEFR*に対応しており、自分の英語力を世界的な基準で把握することができます。下記の英検CSEスコアとCEFRの対照表を見てみましょう。
(英検ウェブサイトより)
* CEFRは、世界中で広く利用されている外国語運用能力の指標です。詳しくは当サイト内の記事「CEFRで見る英語・外国語検定試験」をご参照ください。
英検では、受験級によってCEFRレベルを算出するため、各級の英検スコア範囲(CEFR算出範囲)を定めています。英検準2級プラスのCEFR算出範囲は1550~1949で、CEFRはA1~A2レベルであると定められています。
英検準2級プラスを一次試験・二次試験共に受験すると、正答数に応じて、4技能総合スコア(英検CSEスコア)0~2500が算出され(1829以上が準2級プラスの合格基準スコア)、4技能総合CEFR**が成績表に表示されます。英検CSEスコアが0~1549だと、CEFR算出範囲を下回るため、CEFRレベルは表示されません。英検CSEスコアが1550~1699の場合、CEFRレベルは「A1」になります。つまり基礎段階の言語使用者(Basic User)と判定されます。英検CSEスコアが1700~1949の場合は、CEFRレベルは「A2」となります。同じく基礎段階の言語使用者(Basic User)ではありますが、「A1」レベルよりは上位と判定されます。そして、英検準2級プラスのCEFR算出範囲を上回る1950~2500の英検CSEスコアを獲得した場合は、英検準2級プラスにおけるCEFR測定範囲の上限である「A2」レベル扱いになります。
** 4技能総合CEFRは、英検の一次試験(リーディング・リスニング・ライティング)と二次試験(スピーキング)の両方を受験しないと表示されません。
英検準2級プラスの試験内容
英検準2級プラスの問題形式・問題数と試験時間
英検準2級プラスには、⼀次試験(筆記・リスニング)と⼆次試験(⾯接)があります。
⼀次試験
⼀次試験は、筆記試験(リーディングとライティングのテスト)とリスニングテストの2部構成です。
筆記試験は85分で、リーディング・ライティングの2技能が判定されます。リスニングテストは約25分で、従来型では筆記試験に続いて実施されます。解答形式は、ライティングのみ記述式で、それ以外はマーク式です。
●筆記試験(試験時間:85分)
測定技能 | 問題番号 | 問題形式 | 詳細 | 設問数 |
リーディング | 1 | 短⽂の語句 空所補充 |
短⽂または会話⽂の空所に、⽂脈に合う適切な語句を補う。 | 17 |
2 | ⻑⽂の語句 空所補充 |
パッセージ(⻑⽂)の空所に、⽂脈に合う適切な語句を補う。 | 6 | |
3 | 長文の内容 一致選択 |
パッセージ(⻑⽂)の内容に関する質問に答える。 | 8 | |
ライティング | 4 | 英⽂要約 | 提示された文章の要約を作成する。 (25~35語) |
1 |
5 | 英作⽂ | 質問に対する回答を英⽂で書く。 (50~60語) |
1 |
●リスニングテスト(試験時間:約25分)
測定技能 | 問題番号 | 問題形式 | 詳細 | 設問数 |
リスニング | 第1部 | 会話の内容 一致選択 |
会話の内容に関する質問に答える。(放送回数1回) | 15 |
第2部 | ⽂の内容 ⼀致選択 |
パッセージの内容に関する質問に答える。(放送回数1回) | 15 |
⼆次試験
⼆次試験は⾯接形式のスピーキングテストです。
英文(パッセージ)と3コマのイラストの描かれたカードを渡され、面接委員の指示に従って英語で受け答えを行います。出題される問題は下記のとおりです。
測定技能 | 問題番号 | 問題形式 | 詳細 | 設問数 |
スピーキング | 音読 | パッセージ*を読む。 | 1 | |
No. 1 | パッセージについての質問 | ⾳読したパッセージの内容についての質問に答える。 | 1 | |
No. 2 | イラストについての質問 | 3コマのイラストの展開を説明する。 | 1 | |
No. 3 | 受験者自身の意見など | ある事象・意見について自分の意見などを述べる。 (カードのトピックに関連した内容) |
1 | |
No. 4 | 日常生活の一般的な事柄に関する自分の意見などを述べる。 (カードのトピックに直接関連しない内容も含む) |
1 |
*サンプル問題では、タイトルを含めて57語のパッセージが出題。
準2級・2級との比較
次に、準2級プラスと隣接する2級と準2級と、試験時間や問題数を比較してみましょう。以下の表をご覧ください。
●試験時間の比較
準2級 | 準2級プラス | 2級 | |
一次試験 | 筆記試験:80分 リスニングテスト:約25分 |
筆記試験:85分 リスニングテスト:約25分 |
筆記試験:85分 リスニングテスト:約25分 |
二次試験 | 約6分 | 推定約7分 | 約7分 |
●問題形式・問題数の比較
測定技能 | 準2級 | 準2級プラス | 2級 | |||
リーディング | 29問 | 短文の語句空所補充 (短文・会話文) 15問 |
31問 | 短文の語句空所補充 (短文・会話文) 17問 |
31問 | 短文の語句空所補充 (短文・会話文) 17問 |
会話文の空所補充 5問 |
― | ― | ||||
長文の語句空所補充 (物語文・説明文) 2問 |
長文の語句空所補充 (説明文) 6問 |
長文の語句空所補充 (説明文) 6問 |
||||
長文の内容一致選択 (Eメール・説明文) 7問 |
長文の内容一致選択 (Eメール・説明文) 8問 |
長文の内容一致選択 (Eメール・説明文) 8問 |
||||
ライティング | 2問 | Eメール1問 | 2問 | 英文要約1問 | 2問 | 英文要約1問 |
意見論述1問 | 意見論述1問 | 意見論述1問 | ||||
リスニング | 30問 | 会話の応答文の選択 10問 |
30問 | ― | 30問 | ― |
会話の内容一致選択 10問 |
会話の内容一致選択 15問 |
会話の内容一致選択 15問 |
||||
文の内容一致選択 10問 |
文の内容一致選択 15問 |
文の内容一致選択 15問 |
||||
スピーキング | 音読(50語程度のパッセージ) | 音読(推定55語程度のパッセージ) | 音読(60語程度のパッセージ) | |||
5問 | パッセージについての質問1問 | 4問 | パッセージについての質問1問 | 4問 | パッセージについての質問1問 | |
イラストについての質問2問 (人物の行動描写、人物の状況説明) |
イラストについての質問1問 (3コマのイラストの展開説明) |
イラストについての質問1問 (3コマのイラストの展開説明) |
||||
受験者自身の意見など2問 | 受験者自身の意見など2問 | 受験者自身の意見など2問 |
上記の表を見てわかるように、英検準2級プラスの試験時間は、英検2級と同じです。また、問題形式・問題数も2級と同じです。
「準2級プラス」という名称ではありますが、この名称に惑わされないようにしましょう。「2級の試験を易しくした内容である」というイメージでとらえておくのがよいでしょう。
英検準2級プラスの試験対策法
過去問などがまだない状態で試験対策をするのは不安なものです。情報量の少ない状況であっても、英検準2級プラスに合格するためにできる対策について解説します。
準2級プラスの試験形式に慣れる
前の章で確認したように、英検準2級プラスの試験内容は2級に近いものとなっています。大問の数も、問われる内容・形式も準2級とは異なるので、改めて違いを押さえておきましょう。形式面において準2級との特に大きな違いは、
- 長文の空所補充問題が大問1つ分増える(代わりに、会話文の空所補充問題がなくなる)
- リスニングに、会話の応答文の選択問題がなくなる(代わりに、会話の内容一致選択と文の内容一致選択の問題数がそれぞれ増える)
- ライティングのうち1問がEメールから英文要約に変わる
- スピーキングのイラスト問題が1コマのイラストを描写するものから、3コマのイラストの展開を説明するものになる
の4点です。
リーディングの長文が増えて読む分量が多くなったり、面接のイラストのコマ数が増えて英語で描写する量が多くなったりするので、一次試験でも二次試験でも、準2級以上に集中力や思考力を要するようになります。本番形式の模試を、実際の試験時間と同じ時間で解いてみるなどして、試験形式に馴染んでおきましょう。
社会的な話題に関心を持つ
準2級が日常的な話題を中心として出題されるのに対し、準2級プラスでは、身近な社会的な話題が出題されます。具体的に言うと、2024年度リニューアル後の準2級では、長文の語句空所補充問題には架空の人物についての物語文が出題されています。一方、準2級プラスのサンプル問題では、「Local Foods(地元産の食品)」「The importance of smell(においの重要性)」といった社会的・科学的な内容の論説文が出題されています。また、長文の内容一致選択のうちEメール問題についても、準2級では個人的な内容のEメールが出題されますが、準2級プラスのサンプル問題では出版社の雑誌編集長からボランティア志望の学生に向けたEメールが出題されており、より社会性の高い内容となっています。とはいっても、地元産の食品やにおい、学生のボランティアといった話題は、高校生にとってもそれほど遠い存在の話ではありません。
このように、社会的とはいえ身近な話題が扱われるため、必要以上に恐れることはありません。しかし、知っている話題であれば話の内容をつかみやすくなるのも事実ですので、日頃から社会的なニュースに目を向けることはたいへん有効です。新聞の一面で気になった記事を読む、ネットニュースの見出しに幅広く目を通す、などを習慣化するとよいでしょう。また、背景知識を身に付けるだけでなく、それを英文読解やスピーキング(面接)に生かすには、語彙力を身に付けておくことも必須です。ニュースで知った内容を英語ではどのように表現するのか、辞書や単語集などで調べて覚えるようにしましょう。
なお、2級では「身近な」が省かれて「社会的な話題」についての力が問われ、準2級プラスよりも社会性の高い内容を表す単語や表現が出題されます。準2級プラスの先の2級合格を見据えて、語彙力や表現力アップにつなげるために簡単な英語のニュースを読むこともおすすめです。
重要文法をマスターする
文法は空所補充問題などでダイレクトに問われることはありませんが、読解やライティングを正確にこなすためには必要な知識です。特に、英検準2級プラス段階では、使役動詞や関係代名詞はしっかりおさえておきましょう。使役動詞は、主に<make / have / let + O + 原形不定詞>や<get + O + to 不定詞>で表され、「Oに~させる」「Oに~してもらう」などの意味になります。関係代名詞は、ライティングにおいてはより多様でフォーマルな英文を作るのに役立ちます。リーディングにおいても、関係代名詞の役割をしっかり把握していれば文構造をスムーズに理解できます。そのほか、過去分詞・現在分詞の後置修飾や、<It is ~ to do> <I find it ~ to do>などの構文に見られる形式主語・形式目的語の it とその内容を表す to 不定詞の役割などを見直すとともに、その他の基本的な文法事項もしっかりおさえておくことが大切です。英検準2級プラス合格のあと2級にステップアップするためにも、文法知識はコンスタントに再確認し、間違えたりあやふやだったりする部分はしっかり学んで確実なものにしておきましょう。
英検準2級プラス対応書籍
英検準2級プラスに対応したおすすめの書籍を紹介します。
本番試験さながらの練習ができる模擬テスト
『英検準2級プラス対策 予想模擬テスト』
試験3回分を収録! 二次試験にも対応
英検公式サンプル問題(旺文社オリジナルの解答例・訳・解説付き)と、旺文社オリジナル予想問題(解答例・訳・解説付き)2回分を掲載しています。一次試験だけでなく、二次試験(面接)の問題・解答模範例・解説も掲載されていますので、二次試験(面接)対策もしっかりできます。
すべての音声をアプリで聞ける
また、掲載3回分すべての音声(リスニング・面接)をWeb特典でダウンロードできるほか、旺文社リスニングアプリ「英語の友」を使用して無料で聞くことができます(ただし、書籍に記載されたパスワードの入力が必要です)。
自動採点アプリを活用して復習できる
本書の試験は、アプリ「学びの友」を使って自動採点することができます。オンラインマークシートに入力するだけで簡単に採点することができるほか、間違えた問題の抽出もできるので、弱点を自覚して重点的に復習することもできます。
※アプリ「英語の友」・音声ダウンロードでの音声再生サービス、アプリ「学びの友」での自動採点をご利用いただける期間は2025年3月18日-2029年2月28日です。なお、ご利用期間内にアプリやPCにダウンロードしていただいた音声・データは、期間終了後も引き続きお使いになれます。
英検単語集の超定番「でる順パス単」シリーズの姉妹版
『英検準2級プラス対策 重要度順パス単』
重要度順に見出し語を掲載
英検公式サンプル問題の分析と、『でる順パス単準2級』『でる順パス単2級』のでる度をもとに、弊社独自に設定した重要度順に単語を掲載しているので、効率的に単語を習得できます。
リスニングや英作文にも使える
「単語編」1200語、「熟語編」400語を掲載しているほか、リスニング問題によく使われる表現をまとめた「会話表現編」100語、英検準2級プラスの英作文に使える表現をまとめた「英作文編」35語も掲載しています。
小型で持ち歩きやすい
サイズが小さくて軽くいので、手軽に持ち歩けます。通学時などにも持ち歩いて、すき間時間に学習することができます。
チェック機能も充実
本書には赤セルシートが付いています。また、見出し語には、覚えたかどうかをチェックできるチェック欄3つがついているので、繰り返し確認することができます。さらに、「単語編」「熟語編」にはチェックテストがついているので、学習した単語や熟語が覚えられたか確認できます。
まとめ
英検に新たに導入される級「英検準2級プラス」の内容は把握できたでしょうか。英検公式のサンプル問題の解答が発表されておらず、まだ全貌をつかみきれないため、受験者としては不安を感じるかもしれません。しかし、他の級と同様、英語力をつける上で大事なのは日々の学習です。試験形式をしっかり把握し、暗記やトレーニングをこつこつ積み重ねて、準2級プラスの合格を目指して頑張ってください!
参考:日本英語検定協会 準2級プラス特設サイト
https://www.eiken.or.jp/eiken/2025newgrade/index.html