「1文を読む力(英文解釈)」を制する者がTOEICを制す――関正生先生に聞く『TOEIC L&Rテスト 基礎講義』の狙い【著者インタビュー】

※本稿は、『関正生のTOEIC L&Rテスト 基礎講義』の一部を再編集したものです。
TOEIC L&Rテストの受験に向けて対策をしたいけれども、
☑Part別の対策を聞いても、なんかできる気がしない…
☑今までのTOEIC対策では、英語を理解できる実感が持てない…
☑英文を読めない原因は、単語不足だけではない気がする…
☑なんとなく読めたつもりだけど、設問でひっかかる…
☑一度、根本から英語をやり直したいけど、何をすればいいかわからない…
というような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか?
そんな悩みを抱える人に向けて、新しいTOEICの勉強のはじめ方を提案するべく刊行されたのが『関正生のTOEIC L&Rテスト 基礎講義』(以下『基礎講義』)です。著者である関正生先生に、「英語の友」編集部が本書の狙い、特長、使い方をお聞きしました。
そもそも、なぜ「1文を読む力」がTOEICに必要なのか?
——「目標スコア手前で点数が伸び悩んでしまう…」そんな学習者を多くみてきた先生のご経験から本書は生まれたとか?

はい。多くのTOEIC対策本は「短期間でスコアアップ」を謳っていますよね。スコアが上がった結果、「目標スコアに達する」なら良いのですが、多くのTOEIC学習者を見てきた経験から言えるのは「短期でスコアアップしても、目標スコアに届く前に壁にぶち当たり、そこでスコアが停滞することが実に多い」ということです。
多くのTOEIC対策においては、「Part 1の問題は写真を見ながら…」といった、形式の説明から入り、例題と問題演習が続きますが、この流れでは「英語自体の仕組みや構造」の解説の余地がなく、「今持っている英語力だけでTOEICの実戦の場にいきなり放り込まれ」てしまいます。たくさんの問題を解いているうちに、「TOEICへの慣れ」で解ける問題も増えるでしょうが、暗記と単語力に頼ったその付け焼刃的な読み方では、想像よりも早い段階で限界を迎えます。これが「短期でスコアアップしても、目標スコアの手前で止まる」ことのカラクリだと僕は考えています。
—— ではどうすればスムーズに目標スコアを達成することができるのでしょうか?
それは「1つの英文をしっかり読む力(=英文解釈の力)を鍛える」ことに尽きると思います。
一見遠回りに見えるこのアプローチですが、実はこれが目標スコア獲得への最短ルートを進むための第一歩だと信じています。どうしてそうなるのか、目標スコアに到達できない原因から考えてみましょう。
スコアが伸び悩んでいるTOEIC学習者に共通しているのが「アセっている」ことです。確かに「就活や会社の昇進条件でスコアを出したい」といった理由や、特別な理由がなくても「TOEICの勉強自体を早く終わらせたい」と思う気持ちからアセるのは当然です。
もちろんアセること自体は良いことです。本気で向き合っているからこそアセるわけですから。でも、アセることで「大事なこと」を飛ばす(スキップする)と、スコアが伸び悩みます。その大事なこととは次の3つです。
スコア停滞につながるスキップ① 英語の地力養成
そもそも「対策本」というものは「問題の形式を説明したり、今ある英語力をスコアに変換したりするためのもの」です。ですから、TOEIC対策だけでは「英語の地力を上げる作業がカットされてしまう」わけです。
しかも、TOEIC指導そのものにも、(地力を養成しない)欠陥があります。TOEICの対策は「品詞判別の指導はするものの、そこから先の指導(品詞・文法の知識を ”長文で使える状態” に昇華すること)が抜け落ちている」のです。具体的に言えば「(Part 5対策で必ず出てくる)品詞判別を ”Part 7でも使える知識に変える” 指導が抜けている」わけです。たとえば「during と while の品詞の ”違い” は教えるのに、その ”共通点” には触れない」のです。それによって学習者は「長文で出てくる during と while をどう解釈すべきかを教わらない」ことになります。
スコア停滞につながるスキップ② 本文の理解
アセることでスルーしがちなことの2つめは「(TOEIC対策をしているときに)設問と解答ばかりを気にして、本文をしっかりと確認・理解しようとしない」ということです。これも指導者側に問題があり、設問とかかわらない部分はきちんと説明しないのが普通です。
その結果、「解けないというより、そもそも読めていない」学習者が増え、当然スコアも伸び悩みます。多くの学習者がやりがちな「解答とその該当箇所を読んで、知らない単語を確認する」という勉強では、必ずスコアは止まるのです。
スコア停滞につながるスキップ③ 「全文を読む」という真っ当な姿勢
TOEICに限らず、「試験での英文はすべて読む」のが大原則ですが、とはいえ「TOEIC本番では時間が足りない」のが普通です。そこで指導者が「全部を読まなくても解ける」「木を見て森を見ずという方針が大事」などと言えば、学習者は「すべての英文を読む」ことが無駄に思えてしまうかもしれません。
しかし、それは完全に間違っているのです。まず、「木を見て森を見ず」というのは、僕に言わせれば「1本ずつの木を見ることができる、つまり、1つの英文を正確に理解できるようになってから考えるべき」です。
厳しい現実ですが、「正しく地道に全部読むしかない」と、学習者の皆さんは腹をくくってください。「真実」を知ることで余計なことをしなくなり、最短の経路を突き進めることになります。
※ もちろんみなさんは「全部読めって言われても、時間内に読み切れないんだ!」と思うかもしれませんが、あくまで「全部読もうという姿勢で臨もう」ということです(実際にすべてを読み切れるのはほんの一部の人だけです)。
ここまでスコア停滞の原因になる3つのスキップを見てきましたが、これに対して「英語の地力養成としてインプットを行う/本文を重視する/テクニックには目もくれない(もし興味があるなら地力をつけてから)」という対抗策があり、ここに共通する最初の一歩は「1つの英文をしっかり読めるようにすること」なのです。
『関正生のTOEIC L&Rテスト 基礎講義』はどんな本?
——「1つの英文をしっかり読む力」を鍛えるために、『基礎講義』にはどのような特長があるのでしょうか?
書籍冒頭でも触れていますが、本書には主に4つの特長があります。
1.TOEIC対策で埋もれてしまう「英語の実力養成」にフォーカス
どうしても対策本では「答えを出せたか?」に意識が向いてしまいます。しかし本書では「(正解に辿り着くために必要な)英語そのものへの理解」に重点を置くことで、「あ、そういうことだったんだ」と納得しながら読み進めていけます。
2.将来を見越した指導
TOEIC対策の入門書は「基礎だけ・出るものだけ」に絞るのが普通です。それも1つの戦略ですが、「短期でスコアアップしたところで、目標スコアの手前で停滞しては意味がない」ので、そうならないための最短経路を追求したのが本書です。
これを可能にするのは、「英語そのものの指導(大学受験指導など)」と「TOEICの指導」両方における講師としての経験値だと考えています。
3.TOEICにフィットした新発想の英文解釈
「英文解釈」とは「(品詞・文型などの観点から)1つの文を精密に理解する作業」のことです。どうしても受験英語の印象が強いのですが、受験に限らず英語を正確に読むために必要なものです。とはいえ、英文解釈の威力を知っても、受験参考書を使うと「こんな細かいこと、TOEICに必要なのかな?」と不安になることが多々あるでしょう。
本書は「従来の英文解釈を独自の切り口(3つのフェイズ)から整理」して、さらに「TOEICに必要な英文解釈」に絞って効率的な対策を実現していきます。
4.基礎から実戦演習をスムーズにつなぐ
TOEIC入門書でよく起きるのが「基本の説明はわかりやすいのに、実戦形式の問題だと急にレベルが上がり、さらには説明も薄い」ことです。
本書ではそうなる原因(英文解釈のフェイズ2・フェイズ3を飛ばしていること)に、明確に対処していきます。さらに「(各講義の後の)レビューテスト/(各Chapterの後の)章末テスト」を設け、段階的に理解していくことでChapter 5の(本番を想定した)実戦問題にスムーズに移行できます。
—— 先生独自の切り口「3つのフェイズ」で整理される英文解釈は本書の核となる要素ですね。どのようなアプローチなのか教えてください。
3つのフェイズでは「単語」→「カタマリ(句・節)」→「文型」という段階を経て、英文がつくられる流れを構造的にとらえていきます。英文のなりたちに沿って段階的に解説していくので、途中でわからないな、と思う箇所があってもまずは先に進んでみると「そういうことか!」と納得できるのではないかと思います。

本の中身を見てみよう!(5章構成・学習の流れ)
—— 本書の構成について教えてください。
本書は5つのChapter(章)で構成されており、それぞれのチャプターでは下記のような内容を学んでいきます。
| Chapter 0 | スコアが伸び悩む原因と打開策:今回のインタビューでお話しした内容を詳しく解説します。 |
| Chapter 1 | 品詞を武器にする:各単語の働きを決める「品詞」について解説します。 |
| Chapter 2 | 英文解釈の3つのフェイズ:英文解釈の「3つのフェイズ」の全体像を解説します。 |
| Chapter 3 | 4大品詞の詳細:たくさんある品詞は、最終的に4つの品詞に集約されます。その集約の様子をチェックしていきます。 |
| Chapter 4 | 文型を使いこなす:4大品詞というパーツが整理されて、文をつくっていく様子を学びます。どんな英文であれ5つの「型」に集約されるという美しい英語のシステムを理解できるようになっていきます。 |
| Chapter 5 | 実戦形式でチェック:TOEIC形式の問題で、身につけた知識・技を確認しましょう。 |
—— 各講義はどのような流れで進んでいくのでしょうか?
講義で学習内容をインプットし、レビューテストで理解度をすぐに確認できる構成になっています。講義は書籍の冒頭から順番通りに進めればOKです。

▲関先生の臨場感あふれる講義

▲講義後にはレビューテストで手軽に理解度チェック
—— レビューテスト・章末テスト・Chapter 5の実戦問題は、それぞれどのように使うのが効果的ですか?
レビューテストは各講義の最後についているので、講義の内容をインプットしたらすぐに取り組むのがおすすめです。間違ってしまった問題があった場合は講義の内容を見直しましょう。
章末テストはChapter 1~4の最後に掲載しています。その章で学んだ内容を振り返る内容なので、中高のときの定期試験のつもりで臨んでみてください。
Chapter 5の実戦問題では実際のTOEIC形式の問題に取り組んでいきます。一度、Chapter 1~4をしっかり復習してからトライすると正解数が増えるはずです。
テストや実戦問題は、最初から全問正解できなくても大丈夫です。本書の各所には参照先アイコンを記載しているので、間違ってしまった箇所をしっかり復習することで、力が伸びていきます。
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▲書籍内にちりばめられている参照先アイコン
—— 実戦問題の音声は旺文社リスニングアプリ「英語の友」でも聞けるのですね。
英語が実際にどのように発音されるか、を知ることは基礎から実戦へのステップアップにおいて非常に重要です。
リスニングでは tour が「ツアー」ではなく、「トァ」「トー」「トゥア」と発音されたり、where が「ホエア」ではなく「ゥェ(ァ)」と「軽く」発音されたりすることもあります。
Chapter 1~4で学んできた知識と技で「英文を読んで理解できるか」、そのうえで「英文を聞いて理解できるか」解説を読みながらしっかりと確認してみてください。
読者へのメッセージ
—— 最後に、本書を手に取る読者へメッセージをお願いします。
TOEICの勉強は大変です。大変だからこそ「空回りしない、積みあがる」、そして「結果につながる」対策を、この本でしていってほしいと思います。
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